腕組うでぐみ)” の例文
このしづくに、横頬よこほゝたれて、腕組うでぐみをして、ぬい、とつたのは、草鞋わらぢつたみせ端近はぢかしやがんだ山漢やまをとこ魚売うをうりで。三まいざる魚鱗うろこひかつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しばらくのあひだ芋蟲いもむしはなしもしないでたばこけむいてましたが、つひには腕組うでぐみめてふたゝ其口そのくちから煙管きせるはな
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
どうも来ないようじゃないかと云うと、うん、たしかに来るはずだがと時々腕組うでぐみをして溜息ためいきをつく。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
堀はそれを持たせて使つかひを出したあとで、暫く腕組うでぐみをしてひて気を落ち着けようとしてゐた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
吹く者と知なば戀路こひぢさめ息子せがれ吾儕わし能樣よきやうに言ゆゑ和郎そなたは音羽町へ早くゆきねとせり立られ忠兵衞今は理の當然たうぜんせまられたれば一句も出ずちから投首なげくび腕組うでぐみして進まぬ足を進めつゝ音羽を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
丁坊の話を感にたえないような顔で聞いていた大佐はそこで腕組うでぐみをして
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
校庭のポプラのみき腕組うでぐみをしてよりかかっていたが、合図の鐘が鳴る五六分前になると、急に何か思い出したように、みんなのかたまっているところに来て、いきなり次郎の頭をゆさぶりながら
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
漸々ようよう人の手にたすおこされると、合羽を解いてくれたのは、五十ばかりの肥ったばあさん。馬士まごが一人腕組うでぐみをして突立つッたっていた。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もうはなからけむを出すのがいやになつたので、腕組うでぐみをして親爺おやぢかほながめてゐる。其かほにはとしの割ににくが多い。それでゐてほゝけてゐる。まゆしたかはたるんで見える。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と私は其の場にうなりながら腕組うでぐみをいたしました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
になるね、とつたふりをしてこゑくれば、なに心得こゝろえたる樣子やうすにて同行どうかう北八きたはち腕組うでぐみをして少時しばらくだまる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小六ころく簡單かんたん返事へんじをしてつた。宗助そうすけまた座敷ざしき御米およねかほ熟視じゆくしした。おこしてらなくつてはわるやうな、またおこしては身體からださはやうな、分別ふんべつかないまどひいだいて腕組うでぐみをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
腕組うでぐみをして考えこんだとき
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いきくさこと……あまつさへ、つでもなくすはるでもなく、中腰ちゆうごししやがんだ山男やまをとこひざれかゝつた朽木くちぎ同然どうぜんふしくれつてギクリとまがり、腕組うでぐみをしたひぢばかりがむね附着くつつ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ腕組うでぐみをしながら、もうそろ/\火事くわじ半鐘はんしよう時節じせつだとおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
少焦すこじれで、医者はおそろしい顔をしてにらみつけると、あわれがって抱きあげる娘の胸に顔をかくしてすがるさまに、年来としごろ随分ずいぶんと人を手にかけた医者もを折って腕組うでぐみをして、はッという溜息ためいき
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其時そのとき宗助そうすけはじめて細君さいくんから宣告せんこくけたひとやうに、しばらく腕組うでぐみをしてかんがへたが、工夫くふうしたつて、けること出來できないやう位地ゐち事情じじやうもと束縛そくばくされてゐたので、つい夫成それなりになつて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
お君がそっと歩行あるいて行くと、六畳の真中に腕組うでぐみをしてすわっていたが
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一昨年いつさくねんときは、翌日よくじつ半日はんにち、いや、午後ごご時頃じごろまで、ようもないのに、女中ぢよちうたちのかげあやし氣勢けはひのするのがおもられるまで、腕組うでぐみが、肘枕ひぢまくらで、やがて、夜具やぐ引被ひつかぶつてまでおもひ、なや
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「おゝ、」とうなづく、老爺ぢい腕組うでぐみかたうごかす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)