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楽
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らく
ふりがな文庫
“
楽
(
らく
)” の例文
旧字:
樂
松本法城
(
まつもとほうじょう
)
も——松本法城は結婚以来少し
楽
(
らく
)
に暮らしているかも知れない。しかしついこの間まではやはり焼鳥屋へ
出入
(
しゅつにゅう
)
していた。……
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そうでしょう。
正
(
ただ
)
しいことをしながら
苦
(
くる
)
しめられ、
悪
(
わる
)
いことをしても、
楽
(
らく
)
な
暮
(
く
)
らしをしている
人
(
ひと
)
があるのは、どうしたわけですか。」
世の中のために
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
なんとも覚えのない悲しさで「走りごくで一等とったさかい、お
祖父
(
じ
)
やんも安心してお前を働きに出せる。人間は
楽
(
らく
)
しよ思たらあかん」
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
この、「袖ふきかへす」という句につき、「袖ふきかへしし」と過去にいうべきだという説もあったが、ここは
楽
(
らく
)
に解釈して好い。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
渡金
(
めつき
)
を
金
(
きん
)
に通用させ様とする
切
(
せつ
)
ない工面より、真鍮を真鍮で
通
(
とほ
)
して、真鍮相当の侮蔑を我慢する方が
楽
(
らく
)
である。と今は考へてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
もし茶家の指導で茶碗が生まれるとすれば、茶の中に代々育つ京の
楽
(
らく
)
家は、代々茶碗を生んでいなければならない理屈になる。
現代茶人批判
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
浪人の
楽
(
らく
)
な人だか何だか知らないけれども、勝手なことをやって遊んでいる
中
(
うち
)
に中気が起ったのでしょうが、何にしろ
良
(
い
)
い竿だ
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「一紙半銭の奉財のともがらは、この世にては無比の
楽
(
らく
)
にほこり、当来にては
数千蓮華
(
すせんれんげ
)
の上に坐せん、
帰命稽首
(
きみょうけいしゅ
)
、
敬
(
うやま
)
って
白
(
まお
)
す」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私
(
わつし
)
はね
今日
(
けふ
)
はアノ
通
(
とほ
)
り朝から
降
(
ふ
)
りましたので一
日
(
にち
)
楽
(
らく
)
を
仕
(
し
)
ようと思つて休んだが、
何
(
ど
)
うも困つたもんですね、
何
(
なん
)
ですい病気は。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし英雄であるよりも、神であるほうが
楽
(
らく
)
ではないか。——よりも楽……あの男のほうが自分よりも楽にやっているのだ。
悩みのひととき
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
「旦那はんお留守の間に早よ行つて来てんか。何でもあらへん、眼つぶりもつてでも
楽
(
らく
)
に行ける。えら行けの
丹波
(
たんば
)
行けや。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「十一月三十日に、夢之助と荒巻の両名が揃って戻ってきた筈だが、それは何時ごろだったね。
楽
(
らく
)
の翌日の荷造りの日だよ」
明治開化 安吾捕物:05 その四 ああ無情
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「故障にはちがいないが、ふつうの故障とはちがう。三センチばかりは、
楽
(
らく
)
にあがるが、あとはどうしてもあがらないのだ」
豆潜水艇の行方
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
というのは、彼はハーキュリーズに対して、別に不親切な気持はなく、ただ自分で
楽
(
らく
)
がしたさに、身勝手な振舞をしていただけなんですから。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
「無聊を感じられるほどお
楽
(
らく
)
にいては困る。昨夜からとくと見るに、お久良の気ぶりにも多少
腑
(
ふ
)
に落ちぬ所もあり、かたがた油断はならない」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
修行時代
(
しゅぎょうじだい
)
には
指導役
(
しどうやく
)
の
御爺
(
おじい
)
さんが
側
(
わき
)
から一々
面倒
(
めんどう
)
を
見
(
み
)
てくださいましたから
楽
(
らく
)
でございましたが、だんだんそうばかりも
行
(
ゆ
)
かなくなりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
『
癪
(
しやく
)
にさわるけれど、
誰
(
だれ
)
か
仲間
(
なかま
)
を
誘
(
さそ
)
つてやらう。
仲間
(
なかま
)
と
飛
(
と
)
ぶなら
楽
(
らく
)
なもんだ、
何
(
なに
)
か
饒舌
(
しやべ
)
つてるうちには
着
(
つ
)
くだらうし。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
「
楽
(
らく
)
」と銘打つ作の如き、この悲劇に陥らなかったものがどれだけあろうか。いかに意識して
削
(
けずり
)
を作り、高台を考え、形を奇にしているであろう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
去年までは車にしたが、
今年
(
ことし
)
は今少し
楽
(
らく
)
なものをと考えて、到頭以前
睥睨
(
へいげい
)
して居た自動車をとることにした。実は自身乗って見たかったのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
江戸へ逃げて行って——何うにかなるだろう。何うにも成らなかったら、鉄砲にうたれてやらあ、切腹するよりも
楽
(
らく
)
らしい。金千代は、楽そうな顔を
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「
阿母
(
かあ
)
さん阿母さん」、と雪江さんは私が眼へ入らぬように挨拶もせず、華やかな若い
艶
(
つや
)
のある
美
(
い
)
い声で、「
矢張
(
やっぱり
)
私の言った
通
(
とおり
)
だわ。
明日
(
あした
)
が
楽
(
らく
)
だわ。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
転げるように飛込んで来たのは、五十年配の女——お菊の母親のお
楽
(
らく
)
でした。いきなり徳松を突き飛ばすと、その
膝
(
ひざ
)
の上から、娘のお菊を
毟
(
むし
)
り取ります。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
またしても
気不味
(
きまず
)
いものゝ出来たといううわさが
楽
(
らく
)
になるすこしまえ楽屋の一部にしきりに行われたのである……をそれとなくさぐってみたい肚だった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
僕
(
ぼく
)
たちは
弁当
(
べんとう
)
を
持
(
も
)
っていなかったので
腹
(
はら
)
ぺこになって、
村
(
むら
)
に二
時頃
(
じごろ
)
帰
(
かえ
)
って
来
(
き
)
た。それから
深谷
(
ふかだに
)
までお
爺
(
じい
)
さんを
届
(
とど
)
けにいってくるのは
楽
(
らく
)
な
仕事
(
しごと
)
ではなかった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
朝茶の炉手前は何かしら
苦業
(
くぎょう
)
を修する発端で、その日も終日不可解の茶の渋味を
呪法
(
じゅほう
)
に
則
(
のっと
)
るごとき泡立てに
和
(
やわ
)
らげて、静座しつつ、
楽
(
らく
)
の茶碗を取りあげて
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「腕に職を付けるのは
辛
(
つれ
)
えさ」と栄二は続けた、「考えてみな、葛西へ帰ったって、朝から晩まで笑ってくらせやしねえだろう、それとも百姓はごしょう
楽
(
らく
)
か」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何も解りもしないきみが、こすり附けたり噛みついたりしていても、それで
些
(
ち
)
っとも羞かしい気がしないのは、きみが
楽
(
らく
)
なことをらくに愉しんでいるからなんだ。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その
楽
(
らく
)
の日に若島は常陸山につり出されて負けたが、若島としてはなかなか分のいい相撲をとったので、ひいき客のある人が祇園下の料理屋へこの力士を招いて
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『ほんとにさうですねえ。莫迦正直に督促して歩いたりするより、その方が余程
楽
(
らく
)
ですものねえ。』
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかし財政は依然として余り
楽
(
らく
)
にもならず、後で述べるように、デビーが欧洲大陸へ旅行した留守中につぶれかけたこともあり、一八三〇年頃までは中々に苦しかった。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
どの時代を思い出してみても、私にはそう
楽
(
らく
)
なという日もない。ずっと以前に、私は著作のしたくをするつもりで、三年ばかり山の上に全く黙って暮らしたこともある。
分配
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そうでしょう、
道
(
みち
)
があるお
蔭
(
かげ
)
で、
方々
(
ほうぼう
)
の
土地
(
とち
)
に出来る
品物
(
しなもの
)
がどんどんわたしたちのところへ
運
(
はこ
)
ばれて来ますし、お
友
(
とも
)
だち
同士
(
どうし
)
も
楽
(
らく
)
に
往
(
い
)
ったり
来
(
き
)
たりすることが出来ます。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
徳之助 何の、
雑作
(
ぞうさ
)
もないことさ。(酒造家の方へ行きかけ)我ながら旅ずれがしてきたかと思いながら、
楽
(
らく
)
に育った者の意気地なしで、大きな構えの家へは行き難い。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「教えてやんなさい、高く飛ぶほうが、
低
(
ひく
)
く飛ぶより
楽
(
らく
)
だって!」と、隊長は大声で答えました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
一同大歓喜で出迎え家に入って祝宴を張った、席上かの八餅金を出して父母に与え、これは竜金で
截
(
き
)
り取って更に生じ一生用いて尽きず、これを以て
楽
(
らく
)
に世を過されよ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
本願寺も在所の者の望み
通
(
どほり
)
に承諾した。で
代々
(
だい/″\
)
清僧
(
せいそう
)
が住職に成つて、丁度
禅寺
(
ぜんでら
)
か
何
(
なに
)
かの
様
(
やう
)
に
瀟洒
(
さつぱり
)
した
大寺
(
たいじ
)
で、
加之
(
おまけ
)
に檀家の無いのが
諷経
(
ふぎん
)
や葬式の
煩
(
わづら
)
ひが無くて気
楽
(
らく
)
であつた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
演劇
(
しばい
)
は
昨日
(
きのう
)
楽
(
らく
)
に成つて、座の中には、直ぐに
次興行
(
つぎこうぎょう
)
の
隣国
(
りんごく
)
へ、早く
先乗
(
さきのり
)
をしたのが多い。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
霧が光を見せずに立って逃げて、
楽
(
らく
)
に前の見える目に、石垣の立っているのが見えるわ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「おかみさん。湯に行って暖たまって
来
(
こ
)
よう。今日は
一日
(
いちんち
)
楽
(
らく
)
休みだ。」と兼太郎は夜具を踏んで柱の
釘
(
くぎ
)
に
引掛
(
ひっか
)
けた手拭を取り、「大将はもう芝居かえ。
一幕
(
ひとまく
)
のぞいて来ようかな。」
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
仲人も土地では家柄だそうです、達ちゃん伍長になるとなかなか万事
楽
(
らく
)
と大笑いです。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
兎も角彼は昼間の方が稍ともすれば不安を覚える位ひに変に馬鹿々々しく
楽
(
らく
)
だつた。
籔のほとり
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
『始めからさう
旨
(
うま
)
い訳には行かないぢや……』笑つて見せて、『けれど、
正公
(
しやうこう
)
も
成長
(
おほき
)
くなつたし、
定公
(
さだこう
)
も学問が出来るから、お
貞
(
てい
)
さん、もう安心なもんぢゃ。これからは
楽
(
らく
)
が出来る』
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
だから私は、よほどの事でもない限り、私のほうからお友達の所へ遊びに行く事などは致しませんでした。家にいて、母と二人きりで黙って縫物をしていると、一ばん
楽
(
らく
)
な気持でした。
待つ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
吉之丞はぐったりとなり、あおのけに寝て胸の上で手を
組
(
く
)
んだ、いつもの
楽
(
らく
)
な
姿勢
(
しせい
)
をとると、ひょっとすると、明日は眼がさめないのかも知れないと思いながら、うつらうつらしだした。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
北アメリカインディアンの心に
奢侈
(
おごり
)
の念を起こさせるようなありきたりの洗面装置があり、歯ブラシよりも大型の雨傘が
楽
(
らく
)
らく掛かりそうな、役にも立たない褐色の木の棚が吊ってあった。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
それでも芝居の
楽
(
らく
)
の日に、興行中に贈られた花の仕分けなどして、片づいて
空
(
から
)
になった部屋に、帰ろうともせず
茫然
(
ぼうぜん
)
と、何かに
凭
(
もた
)
れている姿などを見ると、ただなんとなく
涙含
(
なみだぐ
)
まれるときがある。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
訳のほうは作文よりゃ
楽
(
らく
)
だよ。だって、訳のほうは想像で行くもの。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
一体永い間死ぬるほどの疲れに体を
委
(
ゆだ
)
ねていたものが、たった何分間かこんな
楽
(
らく
)
をしているのが、不都合だというべきだろうか。自己の存在という事を自覚するのが、当然の権利ではないだろうか。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
腸蔵さん、こんな様子ではとても今日
楽
(
らく
)
をする事が出来ないゼ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そいぢや、僕が
藉
(
か
)
さう。君のところは、僕のとこより、
楽
(
らく
)
だ。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
楽
常用漢字
小2
部首:⽊
13画
“楽”を含む語句
安楽椅子
道楽
神楽
快楽
音楽
伯楽
管絃楽
安楽
歓楽
楽園
娯楽
設楽
道楽者
楽欲
神楽岡
邑楽
雅楽寮
倶楽部
独楽
楽器
...