トップ
>
枯枝
>
かれえだ
ふりがな文庫
“
枯枝
(
かれえだ
)” の例文
さて例の
通
(
とほり
)
人家を避けて、
籔陰
(
やぶかげ
)
の辻堂を捜し当てた。近辺から
枯枝
(
かれえだ
)
を集めて来て、おそる/\
焚火
(
たきび
)
をしてゐると、瀬田が
発熱
(
ほつねつ
)
して来た。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そこで、その日はいつもよりたくさんに
枯枝
(
かれえだ
)
や
落葉
(
おちば
)
を拾ってきて、中には
生木
(
なまき
)
の枝までも交えて、煙が多く出るようにしました。
お山の爺さん
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
花売とはいうけれども
門松
(
かどまつ
)
年木
(
としぎ
)
、または尋常の
薪
(
まき
)
や
枯枝
(
かれえだ
)
もあり、或いはぬれた
松明
(
たいまつ
)
とか、根無し
蔓
(
つる
)
という植物とか
謂
(
い
)
っている例も
喜界島
(
きかいじま
)
にはある。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
僕
(
ぼく
)
どもは
枯枝
(
かれえだ
)
をひろひ石をあつめて
仮
(
かり
)
に
灶
(
かまど
)
をなし、もたせたる食物を
調
(
てう
)
ぜんとし、あるひは水をたづねて茶を
烹
(
に
)
れば、上戸は酒の
燗
(
かん
)
をいそぐもをかし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
黒
(
くろ
)
い
枯枝
(
かれえだ
)
や
黒
(
くろ
)
い
木
(
き
)
の
見
(
み
)
えるお
家
(
うち
)
の
裏
(
うら
)
の
桑畠
(
くはばたけ
)
の
側
(
わき
)
で、
毎朝
(
まいあさ
)
爺
(
ぢい
)
やはそこいらから
集
(
あつ
)
めて
來
(
き
)
た
落葉
(
おちば
)
を
焚
(
た
)
きました。
朝
(
あさ
)
の
焚火
(
たきび
)
は、
寒
(
さむ
)
い
冬
(
ふゆ
)
の
來
(
く
)
るのを
樂
(
たの
)
しく
思
(
おも
)
はせました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
果して
枯枝
(
かれえだ
)
が大分出来たが、
肝腎
(
かんじん
)
の
命
(
いのち
)
は取りとめて、
剪
(
き
)
り残されの枝にホンの十二三
輪
(
りん
)
だが、美しい花をつけたのである。彼はあらためてつく/″\と其花を眺めた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
請
(
うけ
)
て見よと
眞向
(
まつかう
)
に
振翳
(
ふりかざ
)
して切て
懸
(
かゝ
)
る此時吾助は身に
寸鐵
(
すんてつ
)
も
帶
(
おび
)
ざれども
惡漢
(
しれもの
)
なれば
少
(
すこし
)
も恐れず
傍
(
そば
)
に落たる松の
枯枝
(
かれえだ
)
を
追
(
おつ
)
取て右に
請
(
うけ
)
左
(
ひだ
)
りに流し
暫
(
しば
)
し戰ひ居たりしが吾助は
元來
(
もとより
)
劔術
(
けんじゆつ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
之
(
こ
)
れから車を沼の
辺
(
へり
)
まで引き込み、
彼
(
か
)
の荷を
下
(
おろ
)
し、二人で
差担
(
さしかつ
)
ぎにして、
沼辺
(
ぬまべり
)
の
泥濘道
(
ぬかるみみち
)
を踏み分け、
葭
(
よし
)
蘆
(
あし
)
茂る
蔭
(
かげ
)
に
掻
(
か
)
き
据
(
す
)
えまして、車夫は心得て居りますから、
枯枝
(
かれえだ
)
などを掻き集め
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
野邊
(
のべ
)
の
草木
(
くさき
)
にのみ春は歸れども、世はおしなべて秋の暮、
枯枝
(
かれえだ
)
のみぞ多かりける。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
元
(
もと
)
は
枯枝
(
かれえだ
)
の
交
(
まじ
)
つた
杉垣
(
すぎがき
)
があつて、
隣
(
となり
)
の
庭
(
には
)
の
仕切
(
しき
)
りになつてゐたが、
此間
(
このあひだ
)
家主
(
やぬし
)
が
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れた
時
(
とき
)
、
穴
(
あな
)
だらけの
杉葉
(
すぎは
)
を
奇麗
(
きれい
)
に
取
(
と
)
り
拂
(
はら
)
つて、
今
(
いま
)
では
節
(
ふし
)
の
多
(
おほ
)
い
板塀
(
いたべい
)
が
片側
(
かたがは
)
を
勝手口
(
かつてぐち
)
迄
(
まで
)
塞
(
ふさ
)
いで
仕舞
(
しま
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
には
與吉
(
よきち
)
を
背負
(
せお
)
つて
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
を
歩
(
ある
)
いて
竹
(
たけ
)
の
竿
(
さを
)
で
作
(
つく
)
つた
鍵
(
かぎ
)
の
手
(
て
)
で
枯枝
(
かれえだ
)
を
採
(
と
)
つては
麁朶
(
そだ
)
を
束
(
たば
)
ねるのが
務
(
つとめ
)
であつた。おつぎは
麥藁
(
むぎわら
)
で
田螺
(
たにし
)
のやうな
形
(
かたち
)
に
捻
(
よぢ
)
れた
籠
(
かご
)
を
作
(
つく
)
つてそれを
與吉
(
よきち
)
へ
持
(
も
)
たせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
僧は
枯枝
(
かれえだ
)
を
小腋
(
こわき
)
にして帰って来た。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
枯枝
(
かれえだ
)
は
去歳
(
こぞ
)
の嵐に吹き折られ
北村透谷詩集
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
村から少し離れた山のふもとに、松や
柏
(
かしわ
)
やくぬぎや
椎
(
しい
)
などの
雑木林
(
ぞうきばやし
)
がありました。秋のことで、
枯枝
(
かれえだ
)
や
落葉
(
おちば
)
などがたくさん積もっていました。
お山の爺さん
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
僕
(
ぼく
)
どもは
枯枝
(
かれえだ
)
をひろひ石をあつめて
仮
(
かり
)
に
灶
(
かまど
)
をなし、もたせたる食物を
調
(
てう
)
ぜんとし、あるひは水をたづねて茶を
烹
(
に
)
れば、上戸は酒の
燗
(
かん
)
をいそぐもをかし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
風吹き通す
台所
(
だいどこ
)
に切ってある小さな
炉
(
ろ
)
に、
木片
(
こっぱ
)
枯枝
(
かれえだ
)
何くれと
燃
(
も
)
される限りをくべてあたっても、顔は
火攻
(
ひぜめ
)
、
背
(
せな
)
は
氷攻
(
こおりぜ
)
めであった。とめやが独で甲斐々々しく
駈
(
か
)
け廻った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「どうだ
勘次
(
かんじ
)
、
以來
(
いらい
)
愼
(
つゝし
)
めるか、
此
(
こ
)
の
次
(
つぎ
)
にこんなことが
有
(
あ
)
つたら
枯枝
(
かれえだ
)
一つでも
赦
(
ゆる
)
さないからな、
今日
(
けふ
)
はまあ
此
(
こ
)
れで
歸
(
かへ
)
れ、
其
(
そ
)
の
櫟
(
くぬぎ
)
の
根
(
ね
)
は
此處
(
こゝ
)
へ
置
(
お
)
いて
行
(
ゆ
)
くんだぞ」
勘次
(
かんじ
)
は
草刈籠
(
くさかりかご
)
を
卸
(
おろ
)
さうとした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
是には如何に貧しい者でも野山に入って、自由に持ってこられる
柴
(
しば
)
や
枯枝
(
かれえだ
)
が、水の
彼方
(
かなた
)
の国だけでそれほどにも貴重であったというところに、最初の重点がおかれていたのではなかったろうか。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
紅茶々碗を持つた儘、書斎へ引き取つて、椅子へ
腰
(
こし
)
を懸けて、
茫然
(
ぼんやり
)
庭
(
には
)
を
眺
(
なが
)
めてゐると、
瘤
(
こぶ
)
だらけの
柘榴
(
ざくろ
)
の
枯枝
(
かれえだ
)
と、
灰色
(
はいいろ
)
の
幹
(
みき
)
の
根方
(
ねがた
)
に、
暗緑
(
あんりよく
)
と
暗紅
(
あんかう
)
を
混
(
ま
)
ぜ
合
(
あ
)
はした様な
若
(
わか
)
い芽が、一面に吹き
出
(
だ
)
してゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お宮のまわりの森も、草が抜かれ
枯枝
(
かれえだ
)
が折られ、立派な
径
(
みち
)
まで出来て、公園のようになりました。朝と晩には、
神殿
(
しんでん
)
の前にお
燈明
(
とうみょう
)
があげられました。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
わたしなどの若いころには、どの地方へ旅行して見ても、瓦を焼くけむりの見られないところはなかった。燃料はたいてい松の
枯枝
(
かれえだ
)
で、土はそこいらの
粘土
(
ねんど
)
を持ってきて、水でこねて
型
(
かた
)
にとった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
けれど、あまりたくさん煙が出ないようにと、
枯枝
(
かれえだ
)
や枯葉を少ししか集めませんでした。
お山の爺さん
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
しかもその部屋の広さが限りない上に、
燈火
(
ともしび
)
の光もなく、何の飾りもなく、
足下
(
あしもと
)
にはじゅうたんのかわりに、名も知れぬ
気味
(
きみ
)
悪い
葛
(
かずら
)
や
茨
(
いばら
)
が、積もり積もった
朽葉
(
くちば
)
や
枯枝
(
かれえだ
)
の上にはいまわっています。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
何しろ誰もはいったことのない山の森で、昼でさえその中はまっ暗なほどおい茂っていて、
枯枝
(
かれえだ
)
朽葉
(
くちは
)
の積もり積もった上に、
茨
(
いばら
)
や
葛
(
かずら
)
がはい廻っていて、いくら象でもなかなか上って行けませんでした。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
枝
常用漢字
小5
部首:⽊
8画
“枯”で始まる語句
枯
枯木
枯草
枯葉
枯蘆
枯野
枯死
枯山
枯渇
枯淡