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揺
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うご
ふりがな文庫
“
揺
(
うご
)” の例文
旧字:
搖
庭の
桔梗
(
ききょう
)
の紫
揺
(
うご
)
き、
雁来紅
(
けいとう
)
の葉の紅
戦
(
そよ
)
ぎ、
撫子
(
なでしこ
)
の淡紅
靡
(
なび
)
き、
向日葵
(
ひまわり
)
の黄
頷
(
うなず
)
き、夏萩の
臙脂
(
えんじ
)
乱れ、蝉の声、虫の
音
(
ね
)
も風につれて
震
(
ふる
)
えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「巨人は薊の中に
斃
(
たお
)
れて、薊の中に残れるはこの盾なり」と読み終ってウィリアムが又壁の上の盾を見ると蛇の毛は又
揺
(
うご
)
き始める。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
海藻
(
みる
)
をかき乱したような黒髪の、水肌を慕うように
揺
(
うご
)
めく中に、白い顔が恐怖と苦悩に
歪
(
ゆが
)
んで、二つの眼ばかりが、星のごとく輝きます。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ふと一等墓地の中に松桜を交え植えたる
一画
(
ひとしきり
)
の
塋域
(
はかしょ
)
の前にいたり、うなずきて立ち止まり、
垣
(
かき
)
の小門の
閂
(
かんぬき
)
を
揺
(
うご
)
かせば、手に従って開きつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「ふゥむ、」と得意らしく小鼻を
揺
(
うご
)
めかしながら毬栗頭は
褪
(
は
)
げチヨロケた黒木綿の紋付羽織をリウとしごいて
無図
(
むづ
)
と座つた。
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
のりになりて首を
揺
(
うご
)
かすと、権太も釣込まれてその通に首を揺かし、極りの悪き風にて顔を下げ、
月代
(
さかやき
)
の上に右の手を
載
(
の
)
す。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
日脚
(
ひあし
)
が斜めに樹の影を押して、微風が夕顔の白き花を吹き
揺
(
うご
)
かすのを見ると何ともいはれぬ善い心持になつて始めて人間に生き返るのであつた。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
追いかけて頼んでも縋っても、旅客は知らぬ顔をしてずんずんと先に行く。初夏の日影は美しく光って、麦の緑が静かな午後の微風に
揺
(
うご
)
いている。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
巡査が松明を
振翳
(
ふりかざ
)
す途端に、遠い
足下
(
あしもと
)
の岩蔭に何かは知らず、
金色
(
こんじき
)
の光を放つ物が
晃乎
(
きらり
)
と見えた。が、松明の火の
揺
(
うご
)
くに
随
(
したが
)
って、又
忽
(
たちま
)
ちに消えた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「待ッたか?」ト初めて口をきいた、なおどこをか眺めたままで、欠伸をしながら、足を
揺
(
うご
)
かしなから「ウー?」
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
余の神経が
揺
(
うご
)
いて居る為此の様に聞えるのか、将た秀子の決心が非常に強い為自から此の様な声を発するのかも知らぬけれど、背く事の出来ぬ命令である
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
黄昏
(
たそがれ
)
家を出で、暫らく水際に歩して
還
(
ま
)
た田辺に迷ふ。螢火漸く薄くして稲苗
将
(
まさ
)
に長ぜんとす。涼風葉を
揺
(
うご
)
かして
湲水
(
くわんすゐ
)
音を和し、村歌起るところに
機杼
(
きじよ
)
を聴く。
客居偶録
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そこには、真新しい
寒冷紗
(
かんれいしゃ
)
づくりの
竜幡
(
りゅうはん
)
が二
流
(
りゅう
)
ハタハタと
揺
(
うご
)
めいている
新仏
(
にいほとけ
)
の墓が懐中電灯の灯りに照し出された。
墓標
(
ぼひょう
)
には女の名前が書いてあったが覚えていない。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
春の日の当っておる時に土地とか石とか草とかの上に、ゆらゆらと
揺
(
うご
)
くところの或気を感ずる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
星者は曾の気位の高いのを見ておべっかをつかった。曾は扇を
揺
(
うご
)
かしながら微笑して聞いた。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
真常流注
(
しんじょうるちゅう
)
、外
寂
(
じゃく
)
ニ内
揺
(
うご
)
クハ、
繋
(
つな
)
ゲル駒、伏セル鼠、
先聖
(
せんしょう
)
コレヲ悲シンデ、法ノ
檀度
(
だんど
)
トナル……
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ペオチアの田舎で菜摘みを事としたが、転じてアテーネの遊君となってより高名の士その歓を求むる者引きも切らず、一たび肢を張れば千金到り一たび
要
(
こし
)
を
揺
(
うご
)
かせば万宝
納
(
い
)
る。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「日本は小なれども
楫
(
かじ
)
のごとし。東洋の大船を
揺
(
うご
)
かすはすなわちこの楫ならざるべからず」
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ギーギーという音がして、左右に帆柱が
揺
(
うご
)
いたかと思うと、張り切った帆が弛んで来た。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
よく見れば見も知らぬ人にて死してあるようなり。月のある夜なればその光にて見るに、
膝
(
ひざ
)
を立て口を開きてあり。この人大胆者にて足にて
揺
(
うご
)
かして見たれど少しも身じろぎせず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
物を言う時には絶えず首を
揺
(
うご
)
かす、其度にリボンが
飄々
(
ひらひら
)
と一緒に
揺
(
うご
)
く。時々は手真似もする。今朝
結
(
い
)
った束髪がもう大分乱れて、
後毛
(
おくれげ
)
が頬を
撫
(
な
)
でるのを
蒼蠅
(
うるさ
)
そうに
掻上
(
かきあ
)
げる手附も
好
(
い
)
い。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その
箏
(
たかんな
)
のごとき巌に纏ふこと七巻半、
鱗甲
(
りんかふ
)
風に
揺
(
うご
)
き、朱を
濺
(
そゝ
)
げる眼は天を睨む、時に鎮西八郎射てこれを
殪
(
たふ
)
し、その脊骨数箇を馬に駄す、その馬重きに堪へず、嘶いて進まざりしところ
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
強い日光に照りつけられた海水の反映が室の壁と天井とに
絶間
(
たえま
)
なく波紋の
揺
(
うご
)
く影を
描
(
ゑが
)
いてゐる。窓の上に巣を作つてゐる燕が、幾羽となく海の方へ飛んで行つては
海草
(
うみくさ
)
のちぎれを
喙
(
ついば
)
んで来る。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
怖いから眼をつぶったら、ガクリと音がして
揺
(
うご
)
いていた歯がぬけた。ポコンと穴があいて、血がいくらでも出る。口もゆすがせないで、きたない手でおじいさんは白い粉の
薬
(
くす
)
りをつけてくれた。
旧聞日本橋:17 牢屋の原
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
... 押えて
揺
(
うご
)
かしてみると分ります。潰したての鳥は肉と骨と筋と
皆
(
み
)
んな別々になっているように肉だけクルクルと動きます。二、三日過ぎると肉が骨へ着いて前のように動きません。それに
硬
(
こわ
)
さと
柔
(
やわらか
)
さとも違います」客
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
淡蒼
(
うすあを
)
い影を
揺
(
うご
)
かす
ピアノ
(新字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
揺
(
うご
)
く
勢
(
いきほひ
)
に乗じて、我々の理想通りに文芸を導くためには、零砕なる個人を団結して、自己の運命を充実し発展し膨脹しなくてはならぬ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
蜥蜴は死んだのか、気絶したのか、少しも動かぬ。トラはわんぐりと
喰
(
く
)
いはじめた。まだ生きて居ると見えて、蜥蜴の
尾
(
お
)
が右左に
揺
(
うご
)
いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
吾が近眼にはよくも見えねど、何やらん
白繻子
(
しろじゆす
)
に
軟
(
やはらか
)
き白毛の
縁
(
ふち
)
とりたる服装して、
牙柄
(
がへい
)
の扇を持ち、頭の
揺
(
うご
)
く毎にきら/\光るは
白光
(
プラチナ
)
の飾櫛にや。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
蕪村の句は堅くしまりて
揺
(
うご
)
かぬがその特色なり。ゆえに無形の語少く有形の語多し。簡勁の語多く冗漫の語少し。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
生憎
(
あいにく
)
や
櫓
(
ろ
)
柱損じて如何ともする
能
(
あた
)
わず、急に
犢鼻褌
(
ふんどし
)
を解き、
櫂
(
かい
)
を左右の
舷
(
げん
)
に結び、二人極力これを
揺
(
うご
)
かす、忽ちにして
褌
(
ふんどし
)
絶つ。急に帯を解き、これを結び、
蒼皇
(
そうこう
)
以て舟を
行
(
や
)
る。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ねやの雨戸をがたがたと
揺
(
うご
)
かすとも知らず、時々ひびく遠寺の鐘が、たえず無常を告ぐるとも知らず、東の窓の明くなりたるに驚きて、眼さむれば、あたかも小児が朝
起
(
おき
)
出でて
一夜のうれい
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
自惚れると妙な理窟がつくもんで、新聞記者の大洞福弥君、二学士の落第を聞いて鼻を
揺
(
うご
)
めかした子。
有繋
(
さすが
)
に妙子様頗る見識がある。学士の虚名を見破つた処は素晴らしいもんだ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
偶
(
たまたま
)
不平を以って鳴けば、
遽
(
にわか
)
に多言の
咎
(
とがめ
)
を獲、悔、
臍
(
ほぞ
)
を
噬
(
か
)
むも及ぶなし。尾を
揺
(
うご
)
かして憐を乞うを恥ず。今其罪名を責むるを蒙り、其状を
逼
(
せま
)
らる。伏して竜鱗を
批
(
う
)
ち竜頷を探る。
豈
(
あ
)
に敢て生を求めんや。
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
落月情を
揺
(
うご
)
かして江樹に満つ
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが
一色
(
いつしき
)
になつて
回
(
まは
)
る。
白
(
しろ
)
い棺は奇麗な
風車
(
かざぐるま
)
を
断間
(
たえま
)
なく
揺
(
うご
)
かして、三四郎の横を通り越した。三四郎は
美
(
うつ
)
くしい
葬
(
とむらひ
)
だと思つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
蕪村の句は堅くしまりて
揺
(
うご
)
かぬがその特色なり。故に無形の語少く有形の語多し。簡勁の語多く冗漫の語少し。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
影が水に映って、水が影を
揺
(
うご
)
かして、影か形か、形か影か、深いか浅いか、一切分らない。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
木影
(
こかげ
)
が
揺
(
うご
)
く。蛙が鳴く。
一寸
(
ちょっと
)
耳をびちっと動かした
母犬
(
おやいぬ
)
は、またスヤ/\と夢をつゞける。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
やや旧派の束髪に結って、ふっくりとした前髪を取ってあるが、着物は木綿の
縞物
(
しまもの
)
を着て、
海老茶色
(
えびちゃいろ
)
の帯の
末端
(
すえ
)
が地について、帯揚げのところが、洗濯の手を動かすたびにかすかに
揺
(
うご
)
く。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
津田は
面喰
(
めんくら
)
った。彼の心は波のように前後へ
揺
(
うご
)
き始めた。彼はいっその事思い切って、何もかもお延の前に
浚
(
さら
)
け
出
(
だ
)
してしまおうかと思った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
風が花を
揺
(
うご
)
かして露の散る時、そのほか露の散る時は始めて露の見ゆる心地すれど、それも露の見ゆるにはあらでむしろ露が物の上に落つる音を聞きて知る位の事ならん。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ふっくらした厚い席の上で、彼女の
身体
(
からだ
)
が
浮
(
うわ
)
つきながら早く
揺
(
うご
)
くと共に、彼女の心にも柔らかで軽快な一種の動揺が起った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
終りには肩をすぼめて、恐る恐る歩行た。雨は
満目
(
まんもく
)
の
樹梢
(
じゅしょう
)
を
揺
(
うご
)
かして
四方
(
しほう
)
より
孤客
(
こかく
)
に
逼
(
せま
)
る。非人情がちと強過ぎたようだ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
甲野さんは茶碗を前に、くすんだ万筋の前を合して、黒い羽織の
襟
(
えり
)
を正しく坐っている。甲野さんが問い
懸
(
か
)
けられた時、
囅然
(
にこやか
)
な糸子の顔は
揺
(
うご
)
いた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
凡てが悉く
揺
(
うご
)
いて、新気運に向つて行くんだから、取り残されちや大変だ。進んで自分から此気運を
拵
(
こし
)
らへ
上
(
あ
)
げなくつちや、生きてる甲斐はない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
津田の心はこの言葉を聴く前からすでに
揺
(
うご
)
いていた。しかし行こうという決心は、この言葉を聴いた
後
(
あと
)
でもつかなかった。夫人は
一煽
(
ひとあお
)
りに煽った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
投げ
出
(
いだ
)
したる足の、長き
裳
(
もすそ
)
に隠くるる末まで明かに写る。水は元より動かぬ、女も動かねば影も動かぬ。只弓を
擦
(
す
)
る右の手が糸に沿うてゆるく
揺
(
うご
)
く。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
云い
棄
(
す
)
てて紫の
絹
(
リボン
)
は戸口の方へ
揺
(
うご
)
いた。
繊
(
ほそ
)
い手に
円鈕
(
ノッブ
)
をぐるりと回すや
否
(
いな
)
や藤尾の姿は深い背景のうちに隠れた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と女はうたい
了
(
おわ
)
る。
銀椀
(
ぎんわん
)
に
珠
(
たま
)
を盛りて、
白魚
(
しらうお
)
の指に
揺
(
うご
)
かしたらば、こんな声がでようと、男は
聴
(
き
)
きとれていた。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
揺
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
“揺”を含む語句
動揺
揺曳
揺籃
揺椅子
揺蕩
一揺
揺動
揺々
蕩揺
揺起
揺上
揺落
揺籠
小揺
偏揺
揺下
揺出
揺据
大揺
揺笑
...