トップ
>
戴
>
いただ
ふりがな文庫
“
戴
(
いただ
)” の例文
先方は
謙遜
(
けんそん
)
して、
蒔岡
(
まきおか
)
さんと私とでは身分違いでもあり、薄給の身の上で、そう云う結構なお嬢様に来て
戴
(
いただ
)
けるものとも思えないし
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
昨夜
(
ゆうべ
)
、あなたのお兄さんから
戴
(
いただ
)
いた金が、別に盗賊も入ったようにもないのに、そっくりなくなったのです、どうしたのでしょう」
白っぽい洋服
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その第三頁目には王冠を
戴
(
いただ
)
いた白髪小僧の姿と美事な女王の衣裳を着けた美留女姫が
莞爾
(
にっこ
)
と笑いながら並んでいる姿が
描
(
か
)
いてあった。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
中空
(
ちゅうくう
)
には大なる
暈
(
かさ
)
戴
(
いただ
)
きし
黄
(
きいろ
)
き月を仰ぎ、低く地平線に接しては煙の如き横雲を漂はしたる
田圃
(
たんぼ
)
を越え、
彼方
(
かなた
)
遥かに
廓
(
くるわ
)
の屋根を望む処。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それには、是非ともお
交際
(
つきあい
)
を願って、いろ/\な立ち入った御相談にも、
与
(
あずか
)
らせて
戴
(
いただ
)
きたいと、それで実はあんな突然なお申込を……
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
私が子供の頃には、本を読み始める時と読み終った時とには、必ずそれを手で推し
戴
(
いただ
)
いて頭を下げるように云い附けられたものだ。
書物の倫理
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
その
傍
(
かたわら
)
に馬立てたる白髪の
翁
(
おきな
)
は
角扣紐
(
つのボタン
)
どめにせし緑の
猟人服
(
かりゅうどふく
)
に、うすき
褐
(
かち
)
いろの帽を
戴
(
いただ
)
けるのみなれど、何となく
由
(
よし
)
ありげに見ゆ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
民衆でありながら、しかも好んで服従し、頭として一人の君主を
戴
(
いただ
)
いている。労働者は甘んじて軽侮され、兵士は甘んじて
鞭
(
むち
)
打たれる。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
花下
(
かか
)
に緑色の一
子房
(
しぼう
)
があって、直立し花を
戴
(
いただ
)
いている。子房には
小柄
(
しょうへい
)
があり、その下に大きな二枚の
鞘苞
(
しょうほう
)
があって花を
擁
(
よう
)
している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
又
(
また
)
私
(
わたくし
)
の
申上
(
もうしあ
)
げることにどんな
誤謬
(
あやまち
)
があるかも
計
(
はか
)
りかねますので、そこはくれぐれもただ一つの
参考
(
さんこう
)
にとどめて
戴
(
いただ
)
きたいのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その人
迂
(
う
)
ならず、善く財を理し、事を計るに由りて、かかる疎放の殿を
戴
(
いただ
)
ける田鶴見家も、
幸
(
さいはひ
)
に
些
(
さ
)
の
破綻
(
はたん
)
を生ずる無きを得てけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかもその
戴
(
いただ
)
きが、すでに天秤棒をかつぎ、またはリヤカアを
引張
(
ひっぱ
)
ってあるいている土地は、もうだんだんと多くなっているのである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「あとで
戴
(
いただ
)
くわ。それにそんな良い薬なら、東京の妹にも
頒
(
わ
)
けてやりたいんです。このごろ何だかぶらぶらしているようだから。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
京都の
黒谷
(
くろだに
)
で
参詣人
(
さんけいにん
)
が
蓮生坊
(
れんしょうぼう
)
の
太刀
(
たち
)
を
戴
(
いただ
)
くようなかたで、苦沙弥先生しばらく持っていたが「なるほど」と云ったまま老人に返却した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
渠
(
かれ
)
は山に
倚
(
よ
)
り、水に臨み、清風を
担
(
にな
)
い、明月を
戴
(
いただ
)
き、了然たる一身、
蕭然
(
しょうぜん
)
たる四境、自然の清福を占領して、いと
心地
(
ここち
)
よげに見えたりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「え、そうです。知人が酒屋をしてまして、新聞を見せてくれたのです。是非乗せて
戴
(
いただ
)
きたいのですが……国では皆心配してますから。」
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
...
戴
(
いただ
)
いた事がありますがあれはどう致します」お登和嬢「ドウナツは軽便なお菓子でメリケン粉十五杯に焼粉を軽く一杯よく混ぜて
篩
(
ふる
)
って、 ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「おやいいものを
戴
(
いただ
)
いて、この中には何が這入ってるだろう、あけて御覧んなさい。おやいいもんだネー。オヤもうお
帰
(
かえり
)
でございますか。」
初夢
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
……でも、何だか悪いやうな気がするから、やつぱり見て
戴
(
いただ
)
くわ。私の画つて、これ。手当り次第引つぱり出して来ましたの。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
津山からの見舞い品を
捧
(
ささ
)
げ、一文字の短刀を
戴
(
いただ
)
いて、この感動的な対面が終ったとき、若さまは静かに「母上の御
位牌
(
いはい
)
へ御挨拶を致したい」
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お
光
(
みつ
)
などのように兵隊の気嫌まで取て漸々御飯を
戴
(
いただ
)
いていく女もあるから、お前さんなんぞ決して不足に思っちゃなりませんよ
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
雷門
(
かみなりもん
)
を中心とし、
下谷
(
したや
)
、
浅草
(
あさくさ
)
、
本所
(
ほんじょ
)
、
深川
(
ふかがわ
)
の方面では、同志が三万人から出来た。貴方たちも、加盟して
戴
(
いただ
)
きたい。どうです!
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
姫よ、お前だと勘違いをして、鳰鳥とかいう里の女を、
戴
(
いただ
)
いて帰って行ったものさ。アッ、ハッハッハッハッ、間抜けた奴らさ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、蝋燭を買って、山に登り、お宮に参詣して、蝋燭に火をつけて捧げ、その燃えて短くなるのを待って、またそれを
戴
(
いただ
)
いて帰りました。
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「これはどうもおみやげを
戴
(
いただ
)
いて済みません。どうかごゆるりとなすって下さい。もうすぐ幻燈もはじまります。私は一寸失礼いたします。」
雪渡り
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
示したものだから気力ある若い人々が世間へ出る始めにこの話を額の立て物と
戴
(
いただ
)
き
真向
(
まっこう
)
に保持して進撃すべしと西洋でいう。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
蟻は一匹の王を
戴
(
いただ
)
いて毎日朝から晩まで働いている。一匹も
怠
(
なま
)
けるものがなく、そして大きな仕事にぶつかれば大勢一緒になってそれに掛かる。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ゆえに戦い敗れて彼の同僚が絶望に圧せられてその故国に帰り
来
(
きた
)
りしときに、ダルガス一人はその
面
(
おも
)
に
微笑
(
えみ
)
を
湛
(
たた
)
えその
首
(
こうべ
)
に希望の春を
戴
(
いただ
)
きました。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
空のどこかに、雲のうえの輝き渡る大きなお宮の中に、金の冠を
戴
(
いただ
)
いた神様がいらっしゃることをあなたは知って居た。
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
武蔵野新聞社、学芸部、長沢伝六。太宰治様。
追伸
(
ついしん
)
、尚原稿書き直して
戴
(
いただ
)
ければ、二十五日までで結構だ。それから写真を一枚、同封して下さい。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
爺さんはすると、歯のない歯ぐきをまるだしにして喜びながら、両手で押し
戴
(
いただ
)
くような真似をして、それを受けとる。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
権力の地位に在って所信を断行する快さは既に先頃の経験で知ってはいるが、それには孔子を上に
戴
(
いただ
)
くといった風な特別な条件が絶対に必要である。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
藩祖謙信公から家に
戴
(
いただ
)
いている千坂家の五ヵ条の家憲にござります。その第一条だけを御覧ぜられませ。それには——
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは近頃
専
(
もっぱ
)
ら事実を尊ばれる小説家の微妙な観察に
由
(
よっ
)
て
委
(
くわ
)
しく描写して
戴
(
いただ
)
いたならば明白になるかも知れません。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
遠方からわざわざ来たのですから、先生のお帰りを待って
戴
(
いただ
)
いて行くというのです。田舎の人は実に
強情
(
ごうじょう
)
で困ります
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
木蘇
(
きそ
)
の
御嶽山
(
おんたけさん
)
が、その角々しき峰に白雪を
戴
(
いただ
)
いて、青ぎった空に美しい。近くは釜無山それに連なる甲斐の駒ヶ岳等いかにも深黒な威厳ある山容である。
白菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
渾然
(
こんぜん
)
と漲りわたっていた果もない夢幻的空想は、今ようようその気まぐれな精力と、奇怪な光彩とを失い、小さい宝杖を持ち宝冠を
戴
(
いただ
)
いた王様や女王様
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
こう言出したと云ッて、何にも
貴嬢
(
あなた
)
に義理を欠かして
私
(
わたくし
)
の
望
(
のぞみ
)
を遂げようと云うのじゃア無いが、唯貴嬢の口から
僅
(
たッた
)
一言、『
断念
(
あきら
)
めろ』と云ッて
戴
(
いただ
)
きたい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「だからって、ツァーを中心に推し
戴
(
いただ
)
くなんて……。ロシアだってテロリストの究極の敵はツァーだったんだ」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
倶
(
とも
)
に天を
戴
(
いただ
)
くを恥じとするとか極端の言葉を用い、あるいは某が某女性と関係したる
始末
(
しまつ
)
を
細々
(
こまごま
)
と記してある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
真
(
まこと
)
に
是
(
こ
)
れ一の夢幻界なり。湾に沿へる
拿破里
(
ナポリ
)
の
市
(
まち
)
は次第に暮色
微茫
(
びばう
)
の中に没せり。
眸
(
ひとみ
)
を放ちて遠く望めば、雪を
戴
(
いただ
)
けるアルピイの山脈
氷
(
こほり
)
もて削り成せるが如し
ヴエスヴイオ山
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
御願いしようと思ったので御座いますが、それも余り失礼なので。あの誠に失礼で御座いますが、私の部屋でおやすみになって
戴
(
いただ
)
くよりないので御座いますが
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
阿弥陀
(
あみだ
)
に
戴
(
いただ
)
けるもの、或は椅子に掛かり、或は
床
(
とこ
)
に
踞
(
すわ
)
り、或は立つて
徘徊
(
はいくわい
)
す、印刷
出来
(
しゆつたい
)
を待つ
間
(
ま
)
の
徒然
(
つれづれ
)
に、機械の音と相競うての高談放笑なかなかに
賑
(
にぎ
)
はし
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
米沢は上杉氏の城下町、
鷹山
(
ようざん
)
公の名君を
戴
(
いただ
)
きし都。そこは何よりも
糸織
(
いとおり
)
の産地として著名であります。糸織というのは
縒糸
(
よりいと
)
で織った絹織物のことであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「あなたはお客扱ひがお上手でいらつしやるやうね。何ならこゝで暫くお手本を見せて
戴
(
いただ
)
けないでせうか。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
馭者はビロードの服にナポレオン帽を
戴
(
いただ
)
いているという始末で、とにかく珍らしくもあり、また立派なものでした。乗車賃は下が高く二階は安うございました。
銀座は昔からハイカラな所
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
仮令
(
たとい
)
馨子凱歌の中に光栄の
桂冠
(
けいかん
)
戴
(
いただ
)
くを得ざりしにせよ、彼女の生はその
畢生
(
ひっせい
)
の高貴なる
焔
(
ほのお
)
のあらん限を尽して戦い、戦の途上戦い死せる光栄ある戦死者の生也。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「そこまでして
戴
(
いただ
)
いては済みませんわ。そこまでして戴いては…………恥かしい…………あたし………」
唇草
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あら、私としたことが、申し遅れまして、あの私は○○雑誌社の者ですが、今日のお話を訪問記事に致しまして、来月号の○○誌に掲載させて
戴
(
いただ
)
き
度
(
た
)
く思います。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
若
(
も
)
し九仭の
功
(
こう
)
を一
簣
(
き
)
に欠くあらば
大遺憾
(
だいいかん
)
の至りなり、
希
(
ねがわ
)
くは此一夜星辰を
戴
(
いただ
)
きて
安眠
(
あんみん
)
するを得せしめよと、
誰
(
たれ
)
ありてか天に
祈
(
いの
)
りしなるべし、天果して之を感ぜしか
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
“戴”の解説
戴(たい)は、漢姓のひとつ。『百家姓』の116番目。
2020年の中華人民共和国の第7回全国人口調査(国勢調査)に基づく姓氏統計によると中国で96番目に多い姓であり、262.03万人がいる。一方、台湾の2018年の統計では第50位で、82,988人がいる。
(出典:Wikipedia)
戴
常用漢字
中学
部首:⼽
17画
“戴”を含む語句
頂戴
押戴
頂戴物
推戴
頭戴烏帽子
頂戴仕
戴冠
戴宗
不倶戴天
奉戴
戴冠式
倶不戴天
指戴
即位推戴
項戴
頂戴金
頂戴致
命頂戴
大詔奉戴日
奉戴日
...