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愛想
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あいそ
ふりがな文庫
“
愛想
(
あいそ
)” の例文
「あれは變りもので、旦那衆のやうな心持でゐたんです。酒の酌や、御馳走の世話や、お客樣への
愛想
(
あいそ
)
の出來る人ではございません」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
赤い
碁盤縞
(
ごばんじま
)
のフロックを着た先生の
末子
(
ばっし
)
が
愛想
(
あいそ
)
に出て来たが、うっかり
放屁
(
ほうひ
)
したので、学生がドッと笑い出した。其子が泣き出した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
襤褸
(
ぼろ
)
を着てこんな真似をしてこんな親に附いて居ようより、
一層
(
いっそ
)
の事
好
(
い
)
い処へ往って仕舞おうとお前に
愛想
(
あいそ
)
が尽きて出たのに違いない
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼はぎごちない思いをして、ようやくそれを書き上げた
後
(
あと
)
で、もう一遍読み返した時に、自分の字の
拙
(
まず
)
い事につくづく
愛想
(
あいそ
)
を尽かした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
湯町に巣喰う遊び人の仲間に入って、
博奕
(
わるさ
)
をしているのも知っていたが、それでも男に、
愛想
(
あいそ
)
が尽きたとは思わないお寿々だった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
その話を聞いた老人夫婦は内心この
腕白
(
わんぱく
)
ものに
愛想
(
あいそ
)
をつかしていた時だったから、一刻も早く追い出したさに
旗
(
はた
)
とか
太刀
(
たち
)
とか
陣羽織
(
じんばおり
)
とか
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私
(
わたくし
)
の
岩屋
(
いわや
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
というのは、つまり
斯
(
こ
)
うした
失敗
(
しっぱい
)
とお
叱言
(
こごと
)
の
繰
(
く
)
りかえしで、
自分
(
じぶん
)
ながらほとほと
愛想
(
あいそ
)
が
尽
(
つ
)
きる
位
(
くらい
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お母さんだって、きょうの私のがまんして
愛想
(
あいそ
)
よくしている態度を、嬉しそうに見ていたじゃないか。あれだけでも、よかったんだろうか。
女生徒
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
愛想
(
あいそ
)
の
尽
(
つ
)
きた
獣
(
けだもの
)
だな、
汝
(
おのれ
)
、
苟
(
いやし
)
くも諸生を教へる松川の妹でありながら、十二にもなつて何の事だ、
何
(
ど
)
うしたらまたそんなに学校が
嫌
(
いや
)
なのだ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
吉三郎はこういって自ら上がりながら、この「よくやって来た珍客」に何か歓迎のお
愛想
(
あいそ
)
をいわないかと促すように姉を見た。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
唯
(
ただ
)
不思議な事には、親しくなるに
随
(
したが
)
い次第に
愛想
(
あいそ
)
が無くなり、鼻の
頭
(
さき
)
で
待遇
(
あしらっ
)
て折に触れては気に障る事を言うか、さなくば
厭
(
いや
)
におひゃらかす。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ねえ坊や、お前さえなければお母さんはどこへでも行けるのだよ、坊やのお父様という人はねえ、お母さんに尼になれだとさ、お父さまに
愛想
(
あいそ
)
を
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
香潮の顔を一目見ると、あまりの変りように
愛想
(
あいそ
)
をつかしまして、いよいよこんな鬼のような顔をした者の妻となる事は出来ないと思いました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
私が夢から
醒
(
さ
)
めきらぬような顔付をしているとて、にやにや笑ったが、
愛想
(
あいそ
)
よく食後の葉巻煙草などをすすめて呉れた。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
參詣人
(
さんけいにん
)
へも
愛想
(
あいそ
)
よく
門前
(
もんぜん
)
の
花屋
(
はなや
)
が
口惡
(
くちわ
)
る
嚊
(
かゝ
)
も
兎角
(
とかく
)
の
蔭口
(
かげぐち
)
を
言
(
い
)
はぬを
見
(
み
)
れば、
着
(
き
)
ふるしの
浴衣
(
ゆかた
)
、
總菜
(
そうざい
)
のお
殘
(
のこ
)
りなどおのずからの
御恩
(
ごおん
)
も
蒙
(
かうむ
)
るなるべし
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
川岸
(
かし
)
女郎
(
じょろう
)
になる気で
台湾
(
たいわん
)
へ行くのアいいけれど、
前借
(
ぜんしゃく
)
で
若干銭
(
なにがし
)
か取れるというような洒落た訳にゃあ行かずヨ、どうも我ながら
愛想
(
あいそ
)
の尽きる仕義だ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
座鋪に帰って、親子のものの遠慮して這入口に
一塊
(
ひとかたまり
)
になっているのを見て、末造は
愛想
(
あいそ
)
好く席を進めさせて、待っていた女中に、料理の注文をした。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お
愛想
(
あいそ
)
ぶりにちょっと行燈をかき立てて、注文の
小皿
(
こざら
)
盛りと
熱燗
(
あつかん
)
を守人の前へ置いてから、老爺はまた安へ向かって
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
で、私の臆病には自分ながら
愛想
(
あいそ
)
の
竭
(
つ
)
きる位で、倫敦へ帰った
後
(
のち
)
も、例の貴婦人の怖い顔が明けても暮れても
我眼
(
わがめ
)
に
彷彿
(
ちらつ
)
いて、滅多に忘れる
暇
(
ひま
)
がない。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分の繪などに三文の價値も置かれなくつてもいゝから、業病で鼻が缺けて身體中から
膿
(
うみ
)
が出るやうになつても、
愛想
(
あいそ
)
を盡かさぬほどの親しみを求めてゐた。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
それに、
生徒監
(
せいとかん
)
はとても
愛想
(
あいそ
)
よく
母親
(
ははおや
)
を
迎
(
むか
)
えて、さんざんお
詫
(
わび
)
をいったのだから、その上どう
仕様
(
しよう
)
があろう?
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
手伝おうかと言っても独りでやることが判っているので、決してお
愛想
(
あいそ
)
にもその事は言葉に漏らさなかった。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
講演の後などで「たいへん善いお話を伺いまして」などとお
愛想
(
あいそ
)
を言われることがありますが、あなたは話のどこが善かった、おもしろかったと言うのですか。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
しかしそこに集まる人たちが鬼の首でも取ったようにそんな話をして楽しむということに
愛想
(
あいそ
)
をつかした。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「あなたは
早起
(
はやお
)
きでゐらつしやいますね。」私が彼女の傍へ行くと、
愛想
(
あいそ
)
のいゝ接吻と握手で迎へられた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
愛想
(
あいそ
)
よくいつもにこにこして、
葉巻
(
はま
)
きのたばこを横にくわえ、ざる
碁
(
ご
)
をうって
不平
(
ふへい
)
もぐちもなかった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
処女にして文学者たるの危険などを
縷々
(
るる
)
として説いて、幾らか
罵倒
(
ばとう
)
的の文辞をも
陳
(
なら
)
べて、これならもう
愛想
(
あいそ
)
をつかして
断念
(
あきら
)
めて
了
(
しま
)
うであろうと時雄は思って微笑した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
このまま続いたらまた例の発作で倉地に
愛想
(
あいそ
)
を尽かさせるような事をしでかすにきまっていたから。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
氏は五十歳を幾つも越えないであらう。肉
附
(
づき
)
の締つた、
細
(
ほそ
)
やかな、背丈の高い体に
瀟洒
(
せうしや
)
とした紺の背広を着て、調子の低い
而
(
さう
)
して
脆相
(
もろさう
)
な程美しい言葉で
愛想
(
あいそ
)
よく語つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それはそうかも知れんけど、……候補者だって、日ごろは威張りくさって、道で逢うても、見むきもせん癖して、選挙が近づくと、急に、にこにこと、
愛想
(
あいそ
)
がようなる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
主任は段々警察のやり方に
愛想
(
あいそ
)
をつかして、刑事主任が横柄な奴だとか、この間の巡査が、あんなに請合っておきながら、近頃では自分の顔を見ると逃げ廻っているとか
盗難
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お神はお
愛想
(
あいそ
)
を言ったが、倉持は何となく浮かぬ顔で、もぞもぞしていたが、よく見ると彼は
駱駝
(
らくだ
)
のマントの下に、黒紋附の羽織を着て、白い大きな
帯紐
(
おびひも
)
を垂らしていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
子供等は時々彼等を
捉
(
つか
)
まえて
玩弄
(
おもちゃ
)
にする。彼等はお
愛想
(
あいそ
)
よく、耳を立て鼻を動かし小さな手の輪組の中におとなしく立っているが、少しでも、隙があれば逃げ出そうとする。
兎と猫
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
ところでお豊だがの、
卿
(
おまえ
)
もっと
躾
(
しつけ
)
をせんと困るぜ。あの通り毎日
駄々
(
だだ
)
をこねてばかりいちゃ、
先方
(
あっち
)
行ってからが実際思われるぞ。観音様が
姑
(
しゅうと
)
だッて、ああじゃ
愛想
(
あいそ
)
をつかすぜ
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
乃公
(
おれ
)
の
側
(
そば
)
では喫んで
呉
(
く
)
れるななんて、
愛想
(
あいそ
)
づかしの
悪口
(
わるくち
)
を
云
(
いっ
)
て居たから、今になって自分が烟草を始めるのは
如何
(
どう
)
もきまりが悪いけれども、高橋の説を聞けば
亦
(
また
)
無理でもない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私事
(
わたくしこと
)
其節
(
そのせつ
)
一思
(
ひとおも
)
ひに不法の事を申掛け、
愛想
(
あいそ
)
を尽され候やうに致し、離縁の
沙汰
(
さた
)
にも
相成候
(
あひなりさふら
)
はば、誠に此上無き
幸
(
さいはひ
)
と
存付
(
ぞんじつ
)
き候へども、
此姑
(
このしうとめ
)
と
申候人
(
まをしさふらふひと
)
は、評判の心掛善き御方にて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
努めて
愛想
(
あいそ
)
笑いを浮かべて、あやすように云っていたのであるが、しゃべっているうちにいつか真剣さの
溢
(
あふ
)
れた表情になり、どうにかして
納得
(
なっとく
)
させようと一生懸命になっているのが
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また、人が
傷
(
きずつ
)
け合ったり陥れ合ったりする世間その物にも、
愛想
(
あいそ
)
が尽きていますのよ。妾、勝彦さんのような、のんびりとした太古の心で、生きている方が、大好きになりましたのよ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「いらっしゃいまし。」と、おかみさんが、
愛想
(
あいそ
)
よくお
茶
(
ちゃ
)
を
注
(
つ
)
いでくれました。
薬売りの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もとは
仲町
(
なかちょう
)
の羽織芸者で、吉兵衛と好きあって一緒になった仲だが、なんにしても吉兵衛の
甲斐性
(
かいしょう
)
ないのと陰気くさいのにすっかり
愛想
(
あいそ
)
をつかし、急にむかしの生活が恋しくなってきた。
顎十郎捕物帳:18 永代経
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
していやがったが、よくよくおれに
愛想
(
あいそ
)
をつかしゃアがったと見えて
他
(
よそ
)
へ片付いてしまやアがったんで、つい娘や子供の事もそれきり
放捨
(
うっちゃ
)
って置いたんだがね、数えて見るともう十八だ。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
盗人というようながむしゃらな連中も外見の貧弱さに
愛想
(
あいそ
)
をつかせて、ここだけは素通りにしてやって来なかったから、こんな
野良藪
(
のらやぶ
)
のような邸の中で、
寝殿
(
しんでん
)
だけは昔通りの飾りつけがしてあった。
源氏物語:15 蓬生
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その互ひの工合わるさ——かういふ
目出度
(
めでた
)
い席には禁物の工合わるさをどうかして水に流さうと、自分よりも四十も若い男に向つて、いろ/\と
愛想
(
あいそ
)
を述べたのだが、あまりのムツツリした不作法に
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
「おう、金公……」かれは
愛想
(
あいそ
)
よく「どうだ、いそがしいか?」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「お嬢さん、お客さんにも、お
愛想
(
あいそ
)
をなさるものですよ」
狼の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お房の母は
愛想
(
あいそ
)
宜
(
よ
)
く、「窮屈な、嫌な
箇所
(
とこ
)
でせう。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
また思ふ、
柑子
(
かうじ
)
の
店
(
たな
)
の
愛想
(
あいそ
)
よき
肥満
(
こえ
)
たる
主婦
(
あるじ
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「エヘヘヘヘ」とこれはお
愛想
(
あいそ
)
のつもりで
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
勿論、世辞や
愛想
(
あいそ
)
は。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そしてお
愛想
(
あいそ
)
に
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
“愛想”の意味
《名詞》
愛 想(あいそ, あいそう)
かわいいこと。人をもてなすのに情愛があること。
(一般的には「おあいそ」の形で)勘定、支払い。
(出典:Wiktionary)
“愛想”の解説
愛想
(出典:Wikipedia)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
想
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“愛想”で始まる語句
愛想尽
愛想気
愛想盡
愛想笑
愛想好
愛想氣