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御方
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おんかた
ふりがな文庫
“
御方
(
おんかた
)” の例文
頼春は忽然数年前に、日野
資朝
(
すけとも
)
卿の別館の夜の後苑でその
御方
(
おんかた
)
の、
御姿
(
おんすがた
)
と
御声
(
おんこえ
)
とに接しまつった事を、まざまざと脳裡に映し出した。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お舎弟様は文武の道に
秀
(
ひい
)
で、お智慧も有り、
先
(
ま
)
ず大殿様が御秘蔵の
御方
(
おんかた
)
度々
(
たび/\
)
お
賞
(
ほ
)
めのお言葉も有りました事は、父から聞いて居ります
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一 拙者昨夕散歩の際
此
(
この
)
辺一町以内の草の中に金時計一個遺失致し候間御拾取の上御届け下され候
御方
(
おんかた
)
へは御礼として金百円呈上
可仕候
(
つかまつるべくそろ
)
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おねがいです。もいちど京へ立ち戻り、かの
御方
(
おんかた
)
達の安否をたしかめました上で、再びお後を慕い東国へ
馳
(
は
)
せ下りますれば——」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ましてや貴人は今は世に亡き
御方
(
おんかた
)
である。あからさまにその人を
斥
(
さ
)
さずに、ほぼその事を
記
(
しる
)
すのは、あるいは
妨
(
さまたげ
)
がなかろうか。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
侍童
御方
(
おんかた
)
の
墓
(
はか
)
へ
撒
(
まか
)
うとて
花
(
はな
)
を
持
(
も
)
ってわせられました。
遠
(
とほ
)
くへ
離
(
はな
)
れてゐいと
仰
(
おほ
)
せられましたゆゑ、
僕
(
わたくし
)
はさやう
致
(
いた
)
しました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「
昨日
(
きのう
)
の雨のやどりの御恵に、
信
(
まこと
)
ある
御方
(
おんかた
)
にこそとおもう物から、今より
後
(
のち
)
の
齢
(
よわい
)
をもて、
御宮仕
(
おんみやづかえ
)
し奉らばや」と云った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
この
御方
(
おかた
)
は中津の
御家中
(
ごかちゅう
)
、中村何様の若旦那で、自分は始終そのお屋敷に
出入
(
でいり
)
して決して
間違
(
まちがい
)
なき
御方
(
おんかた
)
だから厚く頼むと
鹿爪
(
しかつめ
)
らしき手紙の文句で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
実に仏教の道徳を備えた
御方
(
おんかた
)
はかくもあるべきものかと人をして讃嘆敬慕の念に堪えざらしむる事がございます。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
今日まで
懕々
(
ぶらぶら
)
致候
(
いたしさふらふ
)
て、唯々
懐
(
なつかし
)
き
御方
(
おんかた
)
の事のみ
思続
(
おもひつづ
)
け
候
(
さふらふ
)
ては、みづからの
儚
(
はかな
)
き儚き身の上を
慨
(
なげ
)
き、胸は
愈
(
いよい
)
よ痛み、目は
見苦
(
みぐるし
)
く
腫起
(
はれあが
)
り候て、今日は
昨日
(
きのふ
)
より
痩衰
(
やせおとろ
)
へ
申候
(
まをしさふらふ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
岩沼卿
(
いわぬまきょう
)
と
呼
(
よば
)
せらるる
尊
(
たっと
)
き御身分の
御方
(
おんかた
)
、是も御用にて欧州に御滞在中、数ならぬ我を見たて
御子
(
おんこ
)
なき家の跡目に
坐
(
すわ
)
れとのあり難き仰せ、再三
辞
(
いな
)
みたれど許されねば
辞
(
いなみ
)
兼
(
かね
)
て承知し
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あの
時
(
とき
)
ばかりは、いかに
武運
(
ぶうん
)
に
恵
(
めぐま
)
まれた
御方
(
おんかた
)
でも、
今日
(
きょう
)
が
御最後
(
ごさいご
)
かと
危
(
あやぶ
)
まれました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
白河法皇の
女御
(
にょうご
)
で、最後は、
﨟
(
ろう
)
の
御方
(
おんかた
)
と呼ばれる、花山院の
上﨟
(
じょうろう
)
であった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ホームズ先生、あなたは私の秘密を、お護り下さる
御方
(
おんかた
)
と存じますが、私は、最近私の主人から求婚されて、ここでの私の立場は、非常に難しいものになって来たと云うことをお知らせいたします。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
まづ
女御
(
にようご
)
の
御方
(
おんかた
)
にてむかしのおんものがたりなどきこえたまふに
夜更
(
よふ
)
けにけり、二十日の月さしいづるほどにいとゞ木高きかけどもこぐらうみえわたりて、近きたちばなの
薫
(
かを
)
りなつかしくにほひて
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
さてその死なぬと申すは、近く申さば
釈迦
(
しゃか
)
の孔子のと申す
御方
(
おんかた
)
には、今日まで生きて御坐る故、人が
尊
(
たっ
)
とみもすればありがたがりもおそれもする、果して死なぬではないか〔一種霊魂不滅の観念〕。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
雨
(
あめ
)
はふれど
雪
(
ゆき
)
は
降
(
ふ
)
れど
其處
(
そこ
)
に
轅棒
(
かぢぼう
)
おろさぬ
事
(
こと
)
なしと
口
(
くち
)
さがなき
車夫
(
しやふ
)
の
誰
(
た
)
れに申せしやら、
某
(
それ
)
から
某
(
それ
)
と
傳
(
つた
)
はりて
想像
(
さうぞう
)
のかたまりは
影
(
かげ
)
となり
形
(
かたち
)
となり
種々
(
さま/″\
)
の
噂
(
うわさ
)
となり、
人
(
ひと
)
知
(
し
)
れず
氣
(
き
)
をもみ
給
(
たま
)
ふ
御方
(
おんかた
)
もありし
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
白いお
髪
(
ぐし
)
の
御方
(
おんかた
)
を、又無いものと
慕
(
しと
)
うては
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
御方
(
おんかた
)
の
御裳
(
みも
)
の端だに
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
どのへ知らせん この
状
(
じょう
)
を手にされし日 ただちに
錫杖
(
しゃくじょう
)
を富士の
西裾野
(
にしすその
)
へむけよ たずねたもう
御方
(
おんかた
)
あらん
同志
(
どうし
)
の人々にも会い
給
(
たま
)
わん
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その間も彼は絶える暇なく「許すとのお言葉をくだされる、神の
界
(
くに
)
に属しまつる御一方」とは、いかなる
御方
(
おんかた
)
で
在
(
おわ
)
しますぞや、それを求めそれを探した。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何がさて母君は
疾
(
とく
)
に世に亡き
御方
(
おんかた
)
なれば、出来ぬ相談と申すもの、とても出来ない相談の出来よう
筈
(
はず
)
のなきことゆえ、いかなる鼻もこれには弱りて、しまいに泣寝入となるは
必定
(
ひつじょう
)
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
斯
(
こ
)
ういう
場合
(
ばあい
)
であるから
何所
(
いずく
)
へまいるにも、そちを
連
(
つ
)
れる。』
命
(
みこと
)
はそう
仰
(
おお
)
せられたそうで、
又
(
また
)
姫
(
ひめ
)
の
方
(
ほう
)
でも、いとしき
御方
(
おんかた
)
と
苦労
(
くろう
)
艱難
(
かんなん
)
を
共
(
とも
)
にするのが
女
(
おんな
)
の
勤
(
つと
)
めと、
固
(
かた
)
く
固
(
かた
)
く
覚悟
(
かくご
)
されたのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
何も当時の君主を
奢侈
(
しゃし
)
で人民を苦める
御方
(
おんかた
)
と
見做
(
みな
)
す如き不臣の心を持って居たでは
万々
(
ばんばん
)
あるまい、ただし倹約を好み人民を安んずるの六字を点出して、此故を以て漢文を崇慕するとしたに就ては
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
毎日のやうに
御出
(
おんい
)
で
被成候
(
なされさふらふ
)
て、御前様の
御世話
(
おんせわ
)
万事
被遊候
(
あそばされさふらふ
)
御方
(
おんかた
)
の
由
(
よし
)
に候へば、後にて御前様さぞさぞ御大抵ならず御迷惑
被遊候
(
あそばされさふらふ
)
御事
(
おんこと
)
と、山々
御察
(
おんさつ
)
し申上候へども、一向さやうに
御内合
(
おんうちあひ
)
とも存ぜず
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
大臣参議と
雖
(
いえど
)
も皆戦争の
巷
(
ちまた
)
をくゞり抜け、大砲の
弾丸
(
たま
)
にも
運好
(
うんよ
)
く
中
(
あた
)
らず、今では堂々たる
御方
(
おんかた
)
にお成り遊ばして入らっしゃるのでございますがまだ
開
(
ひら
)
けません時分、
亜米利加
(
アメリカ
)
という処は
何
(
ど
)
ういう処か
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
宮家は比叡山の元天台
座主
(
ざす
)
、僧家としても智行兼備の
御方
(
おんかた
)
、何んのご躊躇するところもなく、珠数サラサラと押し揉んで、
千手陀羅尼
(
せんじゅだらに
)
を高らかに読まれた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「むつらの
御方
(
おんかた
)
の
愛
(
いと
)
し
子
(
ご
)
やら、お
妻
(
さい
)
の局の
父御
(
ててご
)
、百合の小女房の良人、またわたくしのただ一人の身寄りも」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人の中に、やや座を開いて控えたのは、すなわちこれ才子の
御方
(
おんかた
)
。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「……さ、さ、
御方
(
おんかた
)
。お側へすすんで、過ぎこし方のおはなしやら、このたびのお礼をも仰せなされませ。ただ、
欣
(
うれ
)
し泣きにばかり暮れておいで遊ばさずと」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お京様のお身の上、さる
御方
(
おんかた
)
なつかしがられ、お預かり致す」という文面であった。アッと仰天した一同の者、隣室へかけ込んだが、サア事だ! お京はもぬけの
殻
(
から
)
であった。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
全殿に火を
放
(
つ
)
け、右大臣家の側衆もあらまし討ち取り、当の
御方
(
おんかた
)
の
御首
(
みしるし
)
を挙ぐるもやがてのうちに候わん。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『そもじたち、何していやる? ……。
御方
(
おんかた
)
にお
風邪
(
かぜ
)
でもおひかせしたら、どうしやるぞ。うつけ者よ』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(自分は、戦は好まぬが、故右大臣家(信長)の
遺子
(
わすれがたみ
)
たるこの
御方
(
おんかた
)
のため、義に依って、戦うのである)
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私心なく、ただ
御不愍
(
ごふびん
)
なる
女性
(
にょしょう
)
と、末長き御幼少の
御方
(
おんかた
)
たちのために——良人たり父たるあなた様の大乗大愛を——かくのごとく
祷
(
いの
)
りまする、お
縋
(
すが
)
りいたしまする
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その美しくて若い
御方
(
おんかた
)
と、幼い姫たちは、かたわらに
繞
(
めぐ
)
らした
金屏風
(
きんびょうぶ
)
のうちに、可憐なかきつばたの花が、池の
汀
(
みぎわ
)
に群れ咲いているように、かたまり合っていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……むつらの
御方
(
おんかた
)
、お
妻
(
さい
)
の
局
(
つぼね
)
、
百合殿
(
ゆりどの
)
の小女房、
常葉
(
ときわ
)
の局など、なぐさめてもなく、とり乱している。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ご親切様で……へ、へ、へ。だがネ、お米の
御方
(
おんかた
)
、き、気の毒だが、宅助、ちッとも酔っちゃいねえ。だ、だめだよ! ……ず、ずらかろうなんて気で、どう神妙な様子を
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血と血とのつながりに
醸
(
かも
)
される
美
(
うる
)
わしい愛情を、人の上に立たれる
御方
(
おんかた
)
からして認めぬようなご行為をなされたら、世上人心に、どういう影響を及ぼすか、恐ろしいことだ
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書中にある
御方
(
おんかた
)
という人こそ
信玄
(
しんげん
)
の
孫
(
まご
)
武田
(
たけだ
)
伊那丸であることまで、残るところなく説明した。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いつも同じような御返答では、児童の使いのようで、てまえも、ほとほと弱る。実を申せば、わが小田原の
御方
(
おんかた
)
(氏政、氏直のこと)たちも、いささか
業
(
ごう
)
を煮やしておるので」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
捨てても男のほうへ突ッ走るじゃござんせんか。ははあ……読めましたぜ、お米の
御方
(
おんかた
)
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山門内に見るには、まだ間がございましょう。……オオ死出の道、お淋しそうな。むつらの
御方
(
おんかた
)
、お妻のお局、常葉の君も、みな私に
倣
(
なら
)
って、太守のおそばにいてさしあげたがよい
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すぐあとの女のさけびは、侍女の南の
御方
(
おんかた
)
があげた驚きにちがいあるまい。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
オ、これは、いつぞや奥の
御方
(
おんかた
)
が、鞍馬の
遮那王
(
しゃなおう
)
様へ贈るといって、心を
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、思案ばかりでなく、そのよい相談相手として、自分の主人尾張守頼盛の
母公
(
ははぎみ
)
にもあたれば、また清盛の義母にもあたるちょうどいい手づるの
御方
(
おんかた
)
として——
池
(
いけ
)
の
禅尼
(
ぜんに
)
へも内密に
縋
(
すが
)
っている。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(たのもしき
御方
(
おんかた
)
よ。行く末いかなる大将におなり遊ばすやらん)
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『かまわぬ、何も、その
御方
(
おんかた
)
を、お疑いしてゆくわけじゃない』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「畏れ多いおうわさでございますが、高倉天皇の第四の王子、上皇とおなり遊ばしてからは後鳥羽院と申し上げているあの
御方
(
おんかた
)
ほどな達人は先ずあるまいと
下々
(
しもじも
)
の評でございまする」禅閤
兼実
(
かねざね
)
はうなずいて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「砦にこもる
御方
(
おんかた
)
はすなわち
武田伊那丸
(
たけだいなまる
)
さまだ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“御方”で始まる語句
御方様
御方便
御方々
御方寸
御方樣
御方一人