トップ
>
強
>
しい
ふりがな文庫
“
強
(
しい
)” の例文
言うまでもなく非常に止められたが遂には、この場合無理もない、
強
(
しい
)
て止めるのは却って気の毒と、三百円の慰労金で放免してくれた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それゆえ椿には実は字音というものは無い筈だが、しかしそれを
強
(
しい
)
て字音で
訓
(
よ
)
みたければこれをシュンというより外致し方があるまい。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
頓
(
やが
)
てロイドレ街に
達
(
たっす
)
れば町の入口に馬車を待せ、幾度か彼の嚊煙草にて
強
(
しい
)
て顔色を落着けつゝ、二十三番と記したる館を尋ねて
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
が、もし
強
(
しい
)
て求めたなら食道楽であったろう。無論食通ではなかったが、
始終
(
しじゅう
)
かなり
厳
(
やか
)
ましい
贅沢
(
ぜいたく
)
をいっていた。かつ
頗
(
すこぶ
)
る健啖家であった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
併
(
しか
)
し
此方
(
こっち
)
では何等の不思議を見た事無し、
強
(
しい
)
て心当りを探り出せば、前に
記
(
しる
)
した一件のみ。これでも怪談の部であらうか。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
余計な
穿鑿
(
せんさく
)
だては入らないことと、
強
(
しい
)
て
探出
(
さがしだ
)
そうとはしなかったが、
慥
(
たしか
)
な説に拠ると、上州で、かなり資産家の一人息子に父親は生れたらしい。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「さもこそあらめ、よくぞいひし。其方がいはずば
此方
(
こなた
)
より、
強
(
しい
)
ても勧めんと思ひしなり。
思
(
おもい
)
のままに武者修行して、天晴れ父の
仇敵
(
かたき
)
を討ちね」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
人格の
尊厳
(
そんげん
)
を第一位に置く
霊活不覊
(
れいかつふき
)
なる先生の心を
傷
(
いた
)
むるのは知れ切った事まで先生に
強
(
しい
)
られたのは、あまりと云えば
無惨
(
むざん
)
ではありますまいか。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
飛躍する気持になり
度
(
た
)
い。何物かに
酔
(
よ
)
うて
恍惚
(
こうこつ
)
とした情熱にわれを忘れたい。
大体
(
だいたい
)
こういう気風である。だが、世上一般の実状はその反対を
強
(
しい
)
ている。
時代色:――歪んだポーズ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これより
先
(
さ
)
き
小厠
(
こづかい
)
を一
人
(
にん
)
使用するの必要は無論感ずる所なりしといえども、
強
(
しい
)
てこれを
伴
(
ともな
)
わんとすれば、非常に高き賃金を要し、また
偶
(
たまた
)
ま自ら進んで
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
しかし我輩は
梓
(
あずさ
)
君の精神は千古不滅であって、政治上、教育上、必ずや早晩その理想が実現さるるに相違ないという自信を以て、
強
(
しい
)
て自ら慰めておった。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
足寄橋にて別れて餘作が
後貌
(
うしろすがた
)
を
遥
(
はるか
)
に眺めて一層の脱力を覚えたるも、
強
(
しい
)
て歩行し、漸く西村氏に泊す。此際に
近藤味之助
(
こんどうあじのすけ
)
氏は学校に在勤して慰めくれたり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
浪路は、嬉しさを
強
(
しい
)
てかくすようにして、懐紙を出して、小さな
猪口
(
ちょく
)
を包み、大事そうに帯の間にしまった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
雑誌社としては無題を迷惑がる事察するにあまりあれど、さりとて他人がみだりに命題すべき
筋合
(
すじあい
)
にあらざるを以て、
強
(
しい
)
てそのまま掲出すべきことを希望せり。
遺稿:01 「遺稿」附記
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
雑誌社としては無題を迷惑がる事察するにあまりあれど、さりとて他人がみだりに命題すべき
筋合
(
すじあい
)
にあらざるを以て、
強
(
しい
)
てそのまま掲出すべきことを希望せり。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
強
(
しい
)
て特徴と云えば栓の頭が
多面体
(
ためんてい
)
に刻まれて、中ほどくらいまで
金色
(
こんじき
)
に色を付けてあるくらいのもので、いくら見ても珍重するほどのものとは思われなかった。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
強
(
しい
)
て殺してしまうほどの無理を
冒
(
おか
)
さない以上は、坑夫以上だろうが、坑夫以下だろうが、儲かろうが、儲かるまいが、とんと問題にならなかったものと見える。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
強
(
しい
)
て
聞
(
きく
)
でも
無
(
なけ
)
れど
此儘
(
このまま
)
別れては何とやら仏作って魂入れずと云う様な者、話してよき事ならば
聞
(
きい
)
た上でどうなりと
有丈
(
あるたけ
)
の力喜んで尽しましょうと
云
(
いわ
)
れてお
辰
(
たつ
)
は
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もし
強
(
しい
)
てそれを云うようであれば、半次の旧悪の数々とともに、彼の居所をその筋へ密告するからと脅迫したところから、半次は今はもうこれまでなりと思い
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大「いや、どうも無理に酒を
強
(
しい
)
られ、神原も中々の
酒家
(
のみか
)
で、飲まんというのを
肯
(
き
)
かずに勧めるには実に困ったが、飯も
喫
(
た
)
べずに帰って来たが、
嘸
(
さぞ
)
待遠
(
まちどお
)
であったろう」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此方
(
こなた
)
より訪はまく思立つ時にのみ訪ひ行き、わが心のままなる思に
耽
(
ふけ
)
りて、去りたき時に立去るも
強
(
しい
)
て袖引きとどめらるる
虞
(
おそれ
)
なく、幾年月打捨てて
顧
(
かえりみ
)
ざることあるも
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
強
(
しい
)
て相続させたところで、笑を傍倫に取るのみで、その益ないことであるから、息子が何人生れようと、皆ことごとく釈門に入れようと、多年思慮しておったのである。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
私は
強
(
しい
)
て議論もせず、脱走連中に
知
(
しっ
)
て居る者があれば、余計な事をするな、負けるから
罷
(
よし
)
にしろと
云
(
いい
)
て
止
(
と
)
めて居た位だから、福澤を評するに前朝の遺臣論も勘定が合わぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
消極的に出ることは自己以外の威力に強制されて
為
(
す
)
るので、独立自由の人格の好まない
所
(
ところ
)
、甘んじない
所
(
ところ
)
、止むを得ざること、
謂
(
い
)
わば恐迫され
強
(
しい
)
られて
為
(
す
)
る如きものである。
デモクラシーの要素
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
頓狂
(
とんきょう
)
な、夢を見ている様な
空
(
うつろ
)
の声が答えた。三谷はギョッとしたが、
強
(
しい
)
て元気な調子で
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
然
(
しか
)
れども先生は
従来
(
じゅうらい
)
他人の書に
序
(
じょ
)
を
賜
(
たま
)
いたること更になし、今
強
(
しい
)
てこれを先生に
煩
(
わずらわ
)
さんこと
然
(
しか
)
るべからずと
拒
(
こば
)
んで許さざりしに、
児
(
じ
)
竊
(
ひそ
)
かにこれを
携
(
たずさ
)
え先生の
許
(
もと
)
に至り
懇願
(
こんがん
)
せしかば
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
片側町ではあるけれども、とにかく家並があるだけに、
強
(
しい
)
て
方向
(
むき
)
を変えさせられた風の脚が意趣に砂を
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げた。砂は蹄鉄屋の前の火の光に照りかえされて
濛々
(
もうもう
)
と渦巻く姿を見せた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それ以外にそれ以上に
夥
(
おびただ
)
しく
匿
(
かく
)
れた佳作が存在する。特に使用せられた各種の日常の用器に素晴らしい作が残る。
強
(
しい
)
て茶趣味で
工風
(
くふう
)
せられた作の如きは、むしろなんらの反省に価しない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
後宇多は
強
(
しい
)
られて退位し、後深草の
御子
(
みこ
)
が伏見天皇となられたのが、
弘安
(
こうあん
)
十年。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし
強
(
しい
)
てこの語を存せんとならば「暗く見ゆる神の恵」なる定義を附して存すべきなり、刑罰なる語を以て爾に愛せらるるものをしばしば威嚇する爾の
教役者
(
きょうえきしゃ
)
をして再び爾の聖書を探らしめ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「上衣が見ッからねえんですよ。多分、誰かゞ間違って着たんだ。俺の名前が書いてあるのに。」
強
(
しい
)
て作ったような、意気地のない笑いを浮べた。中隊長は聞いて、聞かぬらしく苦々していた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
俗務をおッつくねて、課長の顔色を
承
(
う
)
けて、
強
(
しい
)
て笑ッたり
諛言
(
ゆげん
)
を呈したり、
四
(
よつ
)
ン
這
(
ばい
)
に這廻わッたり、
乞食
(
こつじき
)
にも劣る真似をして
漸
(
ようや
)
くの事で三十五円の
慈恵金
(
じえきん
)
に有附いた……それが
何処
(
どこ
)
が栄誉になる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
論者、
間々
(
まま
)
、
或
(
あるい
)
は少年子弟の自治の精神を涵養し、その活溌の気象を発揚するを喜びず、
強
(
しい
)
てその
輩
(
やから
)
を
駆
(
かり
)
てこれを或る
狭隘
(
きょうあい
)
なる範囲内に入れ、その精神を
抑
(
おさ
)
え、その気象を制せんと欲するものあり。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
変って居るのは
唯々
(
ただ
)
何時
(
いつ
)
もの通り夜になると不動様を拝むことだけで、
僕等
(
ぼくら
)
もこれは
最早
(
もはや
)
見慣れて居るから
強
(
しい
)
て気にもかゝりませんでした。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
三山の親切に対して
強
(
しい
)
て争う事も出来ずに不愉快な日を暮す間に、大阪の本社とは日に
乖離
(
かいり
)
するが東京の編輯局へは度々出入して自然
親
(
したし
)
みを増し
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そんな者を
強
(
しい
)
て好んで食わ無くてもそのお隣りに柔かくてオイシそうな本当のタビラコがウントコサとあるじゃ無いか。常識から考えたって
直
(
す
)
ぐ分る事ダ。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
余は
舌鼓
(
したつづみ
)
うって、門をたゝいて、
強
(
しい
)
て開けてもらって内に入った。内は
真闇
(
まっくら
)
である。車夫に
提灯
(
ちょうちん
)
を持て来させて、妻や姉妹に
木曾殿
(
きそどの
)
とばせをの墓を
紹介
(
しょうかい
)
した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
然るに片山夫婦は予に告げて曰く、通例の和服にては、小虫を防ぐには足らず、
迚
(
とて
)
も耐忍すべからずと。斯く示されたりしも、
強
(
しい
)
て和服にて股引をはきて出掛けたり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
強
(
しい
)
て敵に内通をしたとはいはん、が、既に国民の国民たる精神のない奴を、そのままにして
見遁
(
みの
)
がしては、我軍の元気の消長に関するから、
屹
(
きっ
)
と改悟の点を認むるか
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その後わたしは年々暑さ寒さにつけて病をいたわる事のみにいそがしく再び三味線のけいこをするような気にもならずまた
強
(
しい
)
て著作の興を呼ぶ気にもならなくなった。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
誠にあれはお
母様
(
かゝさま
)
に対しても置かれた義理ではございません、憎い奴でございますが、
強
(
しい
)
て
縋
(
すが
)
り付いて参り、私故にお隣屋敷の源次郎さんが勘当をされたと申しますから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
強
(
しい
)
て考えるならば、好かれたからこそ殺されたのです。恋の叶わぬ恨みですね。併し、そうだとすると、園内でちま子を恋していなかったものは一人もないと云って
差支
(
さしつか
)
えないのです。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これが
昔
(
むかし
)
のように自分は一向承知しないにも
拘
(
かかわ
)
らず、
強
(
しい
)
て財産の一部を捲き上げたり、あるいはこれを自分の一向賛成せぬことに用うれば、自由のない国家として、今日より見れば専制、独裁
デモクラシーの要素
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
今は山海の珍味を旨とし、
強
(
しい
)
て季節はずれのものを誇ります。したがって価は極めて高いのです。だが真の茶料理はそうではないはずです。その土地のもので季節の品を選ぶのが本筋なはずです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
大抵の約束を実行する場合を、よく注意して調べて見ると、どこかに無理があるにもかかわらず、その無理を
強
(
しい
)
て
圧
(
お
)
しかくして、知らぬ顔でやって
退
(
の
)
けるまでである。決して魂の自由行動じゃない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
父親は母親に押えられて
強
(
しい
)
て居所も訊かなかった。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「今度だけ私にまかして下さい、何とか致しますから」と言われて自分は
強
(
しい
)
て争わず、めいり込んだ気を引きたてて改築事務を少しばかり
執
(
とっ
)
て床に
就
(
つ
)
いた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
強
(
しい
)
て評価すれば、第一編はマダ未熟であり、第三編は
脂
(
あぶら
)
が抜けて少しくタルミがあるが、第二編に到っては全部が緊張していて、一語々々が活き活きと生動しておる。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
強
(
しい
)
て敵に内通をしたとは謂わん、が、既に国民の国民たる精神の無い奴を、そのままにして
見遁
(
みの
)
がしては、我軍の元気の消長に関するから、きっと改悟の点を認むるか
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
るを
強
(
しい
)
て強情を申し張り、
殊
(
こと
)
に命より荷物が大切だ、切られても構わんというから撿めさしたのだ、さアもう許さんから
行
(
ゆ
)
け武士に二言は無い、番頭手前も
怪
(
け
)
しからん奴だ
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“強”の解説
漢姓
強(きょう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
“強”を含む語句
強請
強情
強者
強面
強飯
強盗
強健
手強
強力
強奪
強直
勉強
強敵
強雨
気強
頑強
強張
強気
強烈
心強
...