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引籠
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ひきこも
ふりがな文庫
“
引籠
(
ひきこも
)” の例文
「聴いて下さいよ親分、——そのお屋敷の御当主庄司右京様は二年前から軽い中気でお役御免になり
引籠
(
ひきこも
)
り中大変なことが始まった」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
拝啓昨今御病床六尺の記二、三寸に
過
(
すぎ
)
ず
頗
(
すこぶ
)
る不穏に
存候間
(
ぞんじそうろうあいだ
)
御見舞申上候
達磨儀
(
だるまぎ
)
も盆頃より
引籠
(
ひきこも
)
り
縄鉢巻
(
なわはちまき
)
にて
筧
(
かけい
)
の滝に
荒行中
(
あらぎょうちゅう
)
御無音
(
ごぶいん
)
致候
(
いたしそうろう
)
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
研究が進んで来ると復一は、試験所の研究室と曲もの細工屋の
離
(
はなれ
)
の住家とを黙々として往復する以外は、だんだん
引籠
(
ひきこも
)
り勝ちになった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「いいえ……
清洲
(
きよす
)
のお屋敷へお
引籠
(
ひきこも
)
りになってから、もう二年越し、どちらへも、ちょっとも外出はなさらないそうでございます」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と思いますと是が
気病
(
きやみ
)
になり、食も進まず、奥へ
引籠
(
ひきこも
)
ったきり出ません、
母親
(
おふくろ
)
は心配するが、兄三藏は中々分った人でございますから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
一旦
(
いったん
)
眼前
(
めのまえ
)
の平和が破れてからは、岸本は一方に輝子を見ることも苦しく思い、一方には門を
鎖
(
とざ
)
してあるも同様に
引籠
(
ひきこも
)
り勝ちな今の身で
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
心柄
(
こころがら
)
とはいひながら
強
(
し
)
ひて
自
(
みずか
)
ら世をせばめ人の
交
(
まじわり
)
を断ち、
家
(
いえ
)
にのみ
引籠
(
ひきこも
)
れば
気随気儘
(
きずいきまま
)
の空想も門外世上の声に妨げ
覚
(
さ
)
まさるる事なければ
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ペテルブルグに
行
(
い
)
つてからもドクトルは
猶且
(
やはり
)
同樣
(
どうやう
)
、
宿
(
やど
)
にのみ
引籠
(
ひきこも
)
つて
外
(
そと
)
へは
出
(
で
)
ず、一
日
(
にち
)
長椅子
(
ながいす
)
の
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
になり、
麥酒
(
ビール
)
を
呑
(
の
)
む
時
(
とき
)
に
丈
(
だ
)
け
起
(
おき
)
る。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何かわからないが怒りに似たものが身に突立ってきた。彼はひとり二階に
引籠
(
ひきこも
)
ってしまった。葬儀の翌日から雨が降りだした。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
彼はその村の呉服屋の
息子
(
むすこ
)
だった。彼は病気のために中学校を途中で
止
(
よ
)
して、こんな
田舎
(
いなか
)
に
引籠
(
ひきこも
)
って、講義録などをたよりに独学していた。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
翌日から警部は病気と称して
引籠
(
ひきこも
)
ってしまったのです。それで嫂の死は、自殺であると
見做
(
みな
)
して一先ず事件の幕は閉じられてしまったのです。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大方いまの雪のために、先生も、客人も、天幕に
引籠
(
ひきこも
)
ったんでございましょう。
卓子
(
テエブル
)
ばかりで影もない。野天のその卓子が、雪で、それ大理石。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
相違
仕
(
つかま
)
つり候ては御役儀も
輕
(
かろ
)
く
相成
(
あひなり
)
候故私しの内意仕つり候に付私再吟味御免を
蒙
(
かうむ
)
り其後病氣と
披露
(
ひろう
)
仕つり
引籠
(
ひきこも
)
り
中
(
ちう
)
家來
(
けらい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして爺さんは、すこしも変らぬテンポで炭を割り、湯を沸し、それから部屋の隅へ
引籠
(
ひきこも
)
って溜息を吐いている。すべてが旧のままになったのだ。
溜息の部屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大杉も
引籠
(
ひきこも
)
って落付いて仕事をしていられないと見えて、日に何度となく乳母車を押しては近所を運動していたから、表へ出るとは
番毎
(
ばんこ
)
に
邂逅
(
であ
)
った。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
するとこの兄が自分の弟の引込思案でただ家にばかり
引籠
(
ひきこも
)
っているのを非常に
忌
(
い
)
まわしいもののように考えるのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
右門は、その後、父但馬守の
位牌
(
いはい
)
を捧げて、国元の
大和
(
やまと
)
柳生の庄へ
引籠
(
ひきこも
)
った。芳徳寺の第一世
烈堂和尚
(
れつどうおしょう
)
は彼である。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それにもかかわらず、鶴見はよく堪えて、静かに
引籠
(
ひきこも
)
って、僅かにその残年を送っているのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
船室に
引籠
(
ひきこも
)
って
啄木
(
たくぼく
)
歌集を読んだり、
日向
(
ひなた
)
に出ては海を
眺
(
なが
)
めたり、そんな時を過していました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そこが
弟橘姫様
(
おとたちばなひめさま
)
の
日頃
(
ひごろ
)
お
好
(
この
)
みの
御修行場
(
ごしゅぎょうば
)
で、
洞窟
(
どうくつ
)
の
入口
(
いりぐち
)
にはチャーンと
注連縄
(
しめ
)
が
張
(
は
)
られて
居
(
お
)
りました。むろん
橘姫様
(
たちばなひめさま
)
はいつもここばかりに
引籠
(
ひきこも
)
って
居
(
お
)
られるのではないのです。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それに身の
周囲
(
まわり
)
に気をつけて見ると、夜も昼も出歩いて女を
漁
(
あさ
)
っていた者が、急に家に
引籠
(
ひきこも
)
っているのが、人の嫌疑を増すようにも思われて来たので、六日目の
夜
(
よ
)
になって
怖
(
こわ
)
ごわ外へ出た。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それからハボンスは、宿屋のきたない
室
(
へや
)
に
引籠
(
ひきこも
)
つてぼんやりしてゐました。
シャボン玉
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
……あいつは今日もまた朝っぱらからずっと部屋に
引籠
(
ひきこも
)
りっきりなのかな?
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
昼の
中
(
うち
)
は
頭重
(
つむりおも
)
く、胸閉ぢ、
気疲劇
(
きづかれはげし
)
く、何を致候も
大儀
(
たいぎ
)
にて、
別
(
わ
)
けて人に会ひ候が
憥
(
うるさ
)
く、
誰
(
たれ
)
にも
一切
(
いつせつ
)
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
き
不申
(
まをさず
)
、
唯独
(
ただひと
)
り
引籠
(
ひきこも
)
り居り候て、
空
(
むなし
)
く時の
経
(
た
)
ち
候中
(
さふらふうち
)
に、
此命
(
このいのち
)
の絶えず
些
(
ちと
)
づつ弱り候て
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
我事
(
わがこと
)
すでに
了
(
おわ
)
れりとし主家の結末と共に
進退
(
しんたい
)
を決し、たとい身に
墨染
(
すみぞめ
)
の
衣
(
ころも
)
を
纒
(
まと
)
わざるも心は全く
浮世
(
うきよ
)
の
栄辱
(
えいじょく
)
を
外
(
ほか
)
にして
片山里
(
かたやまざと
)
に
引籠
(
ひきこも
)
り静に
余生
(
よせい
)
を送るの
決断
(
けつだん
)
に出でたらば、世間においても真実
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
廣介は、あの夜以来、心配の余り、病気と称して邸に
引籠
(
ひきこも
)
ったまま、島の工事場へも行かず、それとなく、千代子の一挙一動を監視して、彼女の心の動きをば、大体見てとることが出来ました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして家へ歸ると直に、澤山の原書を取ツ散かした書齋に
引籠
(
ひきこも
)
ツて、
書
(
ほん
)
を讀むとか、思索に耽るとか、
設
(
よし
)
五分の時間でも
空
(
むだ
)
に費やすといふことが無い。
他
(
ひと
)
から見れば、淋しい、單調な生活である。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
落ちぶれて田舎へ
引籠
(
ひきこも
)
ったとなるとかあいそうですから、こんど戦地からかえって、いろいろ問い合せて見ると、母親——つまり私の従妹も死んでしまって、女の子の引取り手もないという始末です
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
以後一箇月ばかりは堅く居館の門を閉じて
引籠
(
ひきこも
)
っていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
藤助と岩根半蔵が縛られてから五日、平次はこれほどの手柄にも慢ずるどころか、神田の家に
引籠
(
ひきこも
)
って、人に顔も見せなかったのです。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ペテルブルグに
行
(
い
)
ってからもドクトルはやはり
同様
(
どうよう
)
、
宿
(
やど
)
にのみ
引籠
(
ひきこも
)
って
外
(
そと
)
へは
出
(
で
)
ず、一
日
(
にち
)
長椅子
(
ながいす
)
の
上
(
うえ
)
に
横
(
よこ
)
になり、
麦酒
(
ビール
)
を
呑
(
の
)
む
時
(
とき
)
にだけ
起
(
おき
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「こちらへ
引籠
(
ひきこも
)
りましてからは、どなたへもお知らせを致しませぬ、諸方からお見舞を頂くことをかえって恐れておりました」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
馳
(
は
)
せて書斎に
引籠
(
ひきこも
)
り机に身をば
投懸
(
なげか
)
けてほつと
吐
(
つ
)
く息太く長く、
多時
(
しばらく
)
観念の
眼
(
まなこ
)
を閉ぢしが、「さても見まじきものを見たり」と声を
発
(
いだ
)
して
呟
(
つぶや
)
きける。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
立伊賀亮事
俄
(
にはか
)
に
癪氣
(
しやくき
)
差起
(
さしおこ
)
り明日の所
全快
(
ぜんくわい
)
覺束
(
おぼつか
)
なく候間
萬端
(
ばんたん
)
宜敷御頼み申也と云
送
(
おく
)
り
部屋
(
へや
)
へ
引籠
(
ひきこも
)
り居たりける
扨
(
さて
)
其夜も
明
(
あけ
)
辰
(
たつ
)
の
上刻
(
じやうこく
)
と成ば天一坊には八山を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
思えばこの半月あまりは
一歩
(
ひとあし
)
も
戸外
(
そと
)
へ出ず
引籠
(
ひきこも
)
ってのみいた時に比べると、おのずと胸も開くような心持になり
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その正月にかぎって親戚への年始廻りにも出掛けずに
引籠
(
ひきこも
)
っていた岸本は久しぶりで自分の家を離れる思をした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
清二は外から帰って来ると、いつも
苛々
(
いらいら
)
した気分で妻にあたり散らすのであったが、その癖、夕食が済むと、奥の部屋に
引籠
(
ひきこも
)
って、せっせとミシンを踏んだ。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
娘の糸子が電話をかけに行っている間に、
邸内
(
ていない
)
の男たちが呼び集められた。玉屋総一郎は、ともかくも蠅男の襲撃を避けるため、自分の居間に
引籠
(
ひきこも
)
る決心を定めた。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いわれは、久しく
切所
(
せっしょ
)
に
引籠
(
ひきこも
)
って
行蔵
(
こうぞう
)
をつつみ、
手策
(
てだて
)
のなかりし柴田めも、いまみずから
牢砦
(
ろうさい
)
を出で、勝ちに
驕
(
おご
)
って遠く陣を張れるは、まさに、勝家が運の尽きよ。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふと今しがた小店員が云った気鬱症の娘が、何処に
引籠
(
ひきこも
)
っているのだろうと私は考え始めた。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その代り父母や自分に対しても前ほどは口を
利
(
き
)
かなくなった。暑い時でもたいていは書斎へ
引籠
(
ひきこも
)
って何か熱心にやっていた。自分は時々嫂に向って、「兄さんは勉強ですか」と聞いた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
如何
(
いか
)
なる悪縁か重二郎殿を思い
初
(
そ
)
めましたを、重二郎殿が親の許さぬ
淫奔
(
いたずら
)
は出来ぬと
仰
(
おっ
)
しゃったから、一
室
(
ま
)
にのみ
引籠
(
ひきこも
)
り、只くよ/\と思い
焦
(
こが
)
れて
遂
(
つい
)
に重き病気になり、
病臥
(
やみふ
)
して居ります
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
少しは傷など受けて
帰来
(
かへりき
)
にけるが、これが為に彼の感じ
易
(
やす
)
き神経は
甚
(
はなはだし
)
く激動して夜もすがら眠を成さず、今朝は心地の
転
(
うた
)
た
勝
(
すぐ
)
れねば、一日の休養を乞ひて、夜具をも収めぬ一間に
引籠
(
ひきこも
)
れるなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「逢いません、——あと二三日の辛抱で、ここへ来て貰えると思いましたので、宵からこの部屋に
引籠
(
ひきこも
)
って、帳面の調べをいたしました」
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
雀
(
すずめ
)
や
燕
(
つばめ
)
でないのだもの、鸚鵡が
町家
(
まちや
)
の屋根にでも居て御覧なさい、其こそ世間騒がせだから、こゝへ来て
引籠
(
ひきこも
)
つて、先生の小説ばかり読んで居ます。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから数日の間、お銀様が面を見せなかったのは、
引籠
(
ひきこも
)
って、塚の上に立てられるべき、なんらかの建設物のプランを立てていたものだとも考えられる。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
岸本は彼女への月々の仕送りも見合せ、手紙を書くことも見合せ、ただただ
引籠
(
ひきこも
)
り勝ちに謹慎の意をあらわしていた。でも節子の方からはよく手紙をよこした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
長男新次郎
厳勝
(
としかつ
)
も、衆にすぐれた若者だったが、備前の浮田家に仕え、十六歳の初陣に鉄砲で腰を打たれ、不具の身となってから、柳生に帰って
引籠
(
ひきこも
)
ったままである。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕食後、彼は居間に
引籠
(
ひきこも
)
った。例の鞄を押入から出して、
絨氈
(
じゅうたん
)
の上に置いて開いた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこには朝っぱらからひとり
引籠
(
ひきこも
)
って靴下の修繕をしている正三の姿があった。順一のことを一気に喋り
了
(
おわ
)
ると、はじめて
泪
(
なみだ
)
があふれ流れた。そして、いくらか気持が落着くようであった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“引籠”で始まる語句
引籠勝