同然どうぜん)” の例文
れたのも同然どうぜんのものだが、まだすこしばかりいのちがあるらしい。わたし丹誠たんせいたすけたいとおもっている。」と、おじいさんはこたえました。
おじいさんが捨てたら (新字新仮名) / 小川未明(著)
何故なぜざまろ、可気味いゝきみだ、と高笑たかわらひをして嘲弄てうろうしない。おれてたはてたが、ふね彫像てうざうげたのは、貴様きさま蹴込けこんだも同然どうぜんだい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
マーキュ はて、愚圖ぐずついてゐるのは、晝間ひるま炬火たいまつけてゐるも同然どうぜんふのぢゃ。これ、意味いみりゃれ。
まあ手っ取り早く云やあ、この世の中を猿同然どうぜん渡って来たんでさあ。こう申しちゃおかしいが、あなたより十層倍の経験はたしかに積んでるつもりです。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
れが私立しりつぼけ生徒せいとといはれゝばおまへこと同然どうぜんだから、後生ごせうだ、どうぞ、たすけるとおもつて大萬燈おほまんどう振廻ふりまわしておくれ、れはしんからそこから口惜くやしくつて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そしてこのとおかみさまのあらたかな加護かごのある上は、もうおに退治たいじしたも同然どうぜんだと心強こころづよおもいました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
だつて、かんがへていらつしやらないも同然どうぜんだわ。今日けふはもう二十日はつかぎよ。それに、こないだから、子供こども洋服やうふくくつをあんなにつてやりたいつてつてたぢやないの?
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
この紀念塔きねんたふてられた深山しんざんまでは、危險きけんだからたれけない、かなければ其樣そん證據物しようこぶつのあることらないでる。※一まんいちけばたちま猛獸まうじう毒蛇どくじや喰殺くひころされてしもうから、んだ人間にんげんいも同然どうぜん
殺せしなどと申せども樣の儀が證據に相成べきか萬一それが爲菊が殺したるにもせよ母のいのちかゝはると申たるに金を貸ぬは汝等なんぢらが心得違ひより母を殺す譯に相當り汝が手にて殺せしも同然どうぜんなり我人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おれが、こゝろらずに、けろりとしてましたつらよ。おのれいしでも、おれこゝろんで、睫毛まつげつゆ宿やどさないか。かすみにもくもらぬひとみは、蒟蒻玉こんにやくだま同然どうぜんだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
でね、すこつたかぶをみんな其方そのはうまはことにしたもんだから、いまぢや本當ほんたうに一もんなし同然どうぜん仕儀しぎでゐるんですよ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はじめからんでいるも同然どうぜんまち建物たてものや、人間にんげんなどのつくったうちや、堤防ていぼうやいっさいのものは、打衝ぶつかっていっても、ほんとうにんでいるのだからいがない。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
グレ さうとも/\、そんなことをすりゃ、奴隷コーリヤー同然どうぜんぢゃわい。
いきくさこと……あまつさへ、つでもなくすはるでもなく、中腰ちゆうごししやがんだ山男やまをとこひざれかゝつた朽木くちぎ同然どうぜんふしくれつてギクリとまがり、腕組うでぐみをしたひぢばかりがむね附着くつつ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「だめだ。だめだ。かわぶちなんかいけない。みちわるくて、やぶがたくさんあってこまる。おまえさんは無神経むしんけい同然どうぜんだからいいが、わたしこまる。」と、かおをしかめて不賛成ふさんせいをとなえだした。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よくせき土地とち不漁しければ、佐渡さどから新潟にひがたへ……といたときは、枕返まくらがへし、と妖怪ばけものつたも同然どうぜん敷込しきこんだ布團ふとんつて、きたからみなみひつくりかへされたやうに吃驚びつくりした。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……電車通でんしやどほりへつて、こんなおはなしをしたんぢあ、あはれも、不氣味ぶきみとほして、お不動樣ふどうさま縁日えんにちにカンカンカンカンカン——と小屋掛こやがけかねをたゝくのも同然どうぜんですがね。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
嬌瞋きやうしんはつしては屹度きつといことはあるまい、いま婦人をんな邪慳じやけんにされてはからちたさる同然どうぜんぢやと、おつかなびつくりで、おづ/\ひかへてたが、いやあんずるよりうむやすい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
したうでまつ同然どうぜん針金はりがねのやうながスク/\える。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)