只今たゞいま)” の例文
『えゝ只今たゞいま足下そくか御關係ごくわんけい事柄ことがらで、申上まをしあげたいとおもふのですが。』と、市役所員しやくしよゐん居並ゐなら人々ひと/″\挨拶あいさつむとした。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
松源まつげん伊予紋いよもん申付まうしつけます、おや御両人様おふたりさんからお年玉としだま有難ありがたうございます、只今たゞいますぐに、わたし元日ぐわんじつからふく/\です事よ。としたりてく。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
『まだ/\もつとおほくの證據しようこ御座ございます、陛下へいかよ』とつて白兎しろうさぎは、にはかあがり、『文書もんじよ只今たゞいまひろひましたのです』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
このひとは、このやま甲斐かひくに乘鞍山のりくらやまいてゐるが、これはやはり只今たゞいま飛騨山脈ひださんみやく日本につぽんアルプス)のなかのあのやまでせう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
只今たゞいま御門ごもんまへ乞食坊主こじきばうずがまゐりまして、御主人ごしゆじんにおかりたいとまをしますがいかがいたしませう」とつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
番丙 これなる老僧らうそうは、ふるへながら溜息といきき、なみだながしてをりまする。只今たゞいま墓場はかばからまゐるところを取押とりをさへて、これなるすき鶴嘴つるはしとを取上とりあげました。
云るゝや只今たゞいまいとまつかはしたりと申せしくちの下より人代ひとかはりなき中はいださずとは前後ぜんごそろはぬ申でう殊更ことさら夫の難儀なんぎある人代ひとかはりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
只今たゞいま猪子といふ方の御話が出ましたが、』と高柳は巻煙草の灰を落し乍ら言つた。『あの、何ですか、瀬川さんはの方と御懇意でいらつしやるんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「然し只今たゞいまでは大層御成功のやうにかねて聞いて居ります。」丸田は客の喜びさうに話を持つて行つた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
只今たゞいま」と可愛い声してあがり来れるだ十一二の美しき小女せうぢよ、只ならぬ其場の様子に、お六と花吉との顔ばし黙つて見較みくらべつ、狭き梯子はしごギシつかせて、狐鼠狐鼠こそこそ低き二階へ逃げ行けり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
第一だいいち喜悦よろこびは、先刻せんこく輕氣球けいきゝゆううへうたがつたやうに、いまいままで、我等われらうかべるこの太洋たいやうは、大西洋たいせいやうか、はたアラビアンかいかもわからなかつたのが、只今たゞいま水兵すいへいことばで、矢張やはりわたくしおもつたどうり、このうみ
「でも只今たゞいまの奥さんもお気の毒でございますね。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
只今たゞいまはお気楽きらくでございますよ、みなさんがたまかせツきりで、憲法発布けんぱふはつぷりまして、それからはみなえらいかた引受ひきうけてんでもなさるのです。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
このころにも、このお二方ふたかたりまいて、名人めいじんといつてよい人々ひと/″\だいぶんゐるのですが、そのおはなしは、只今たゞいまいたしません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
……それはさうと、只今たゞいままうしましたとほり、初穗節はつほまつりよるになると、ちゃうどお十四にならッしゃります、大丈夫だいぢゃうぶでござります、はい、おぼえてりまする。
大膳にむか只今たゞいま御聞おんきゝの通り伊豆守方より斯樣に申參り候へばとても今日のには參り申さずおそれながら明日又々いらせられ候樣願ひ奉ると申に大膳も此趣このおもむきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『はゝゝゝゝ。只今たゞいま御話の出ました「是」の方の御相談ですが、』と金縁眼鏡の議員は巻煙草をふかし乍ら
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
只今たゞいま明家あきやになつてをりますが、折々おり/\よるになると、とらまゐつてえてをります。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
戸の外に筆記して居るものがあるも知れないです、——し私一己いつこの野心から申すならば、今まむなしく牢獄にとらはれて、特に只今たゞいま御話の如き暴行は、随分各国の獄裡ごくりに実験せられた所ですから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
これはもう周圍まはりものうよりみとめてゐるところで、只今たゞいまもドクトル、エウゲニイ、フエオドロヰチがふのには、貴方あなた健康けんかうためには、すべから氣晴きばらしをして、保養ほやうせん一とんければならんと。これ實際じつさいです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
華魁おいらんですかどうもまことにお見受みうまうしたおかただとぞんじましたが、只今たゞいまはお一人ですか。女「いえ配偶者つれあひがあるんですよ。 ...
思ひ出し給はば夫にてこゝろざしの程は知て居るなり夫に只今たゞいま質屋しちやよりながれ催促さいそくに來りしを聞れ斯樣の事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わし書齋しょさいへ。……只今々々たゞいま/\!……はてさて、おろかにもほどがあるわ!……はい/\、只今たゞいままゐります!
こと二番にばんめのうたなどになると、ほとんど、只今たゞいまひとつくつたものか、とうっかりおもはれるようなおさくであります。まづ普通ふつうひとならば、のない雜草ざつそうはななどはみません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
へえ有難ありがたぞんじます、只今たゞいまつゑを持つてまゐりませう。近「もうつゑらねえから薬師やくしさまへをさめてきな。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あなたが塩原多助しほばらたすけ御縁類ごえんるゐかたでございますか、愚僧ぐそう当住たうぢうで……只今たゞいま御囘向ごゑかうを……」
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
はいにもつくしましたが、此品これわたくし秘蔵ひざうでございますから、此品これだけはうも売却はなすことが忌嫌いやでございますから、只今たゞいまもつて麪桶めんつうがはりに傍離そばはなさずに使つてります。