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あ
ふりがな文庫
“
中
(
あ
)” の例文
お兄様は、到頭、悲劇の結末を言い
中
(
あ
)
ててしまいましたわね。電報でお知らせしたように、漆戸は死にました。いえ、殺されました。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
王子珍考えて、玄石が言うたところの白衣は白鶏の毛、紫巾を戴くとは鶏冠、跣足とは鶏の足、左の眼
潰
(
つぶ
)
れたるは我が射
中
(
あ
)
てたのだ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
其年
(
そのとし
)
の
京都
(
きやうと
)
の
冬
(
ふゆ
)
は、
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てずに
肌
(
はだ
)
を
透
(
とほ
)
す
陰忍
(
いんにん
)
な
質
(
たち
)
のものであつた。
安井
(
やすゐ
)
は
此
(
この
)
惡性
(
あくしやう
)
の
寒氣
(
かんき
)
に
中
(
あ
)
てられて、
苛
(
ひど
)
いインフルエンザに
罹
(
かゝ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
……
渋豌豆
(
しぶえんどう
)
の堅いやつを、自分で持って行って、無理に頼んで、うどん粉をこってりと、揚物にさしたという、それに
中
(
あ
)
てられたんです。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「よし、助けてやる。だが、おれを護送して来た小役人ふたりは、毒酒に
中
(
あ
)
てられて眠ってらあ。早く、あいつらの手当をしろ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
気の毒なことには郷里で学友と猟に行き、散弾を頭に
中
(
あ
)
てられて負傷したため健康を害し、製作も前のように行かなくなった。
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
この一団は、品川辺の何かきおいの職人衆だったが、馴れぬ雪の山路に、皆ひどく
中
(
あ
)
てられた風だ。翌朝はしかし、病人もどうにか歩けた。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
で
鉱脈
(
こうみゃく
)
を探る時など、よく
鉱山
(
かなやま
)
の山師などは、笛か鼓を持って行って、それを奏して金の
有無
(
うむ
)
を、うまく
中
(
あ
)
てるということだよ
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どうなすったの。さっきからひどく
塞
(
ふさ
)
ぎ込んでいらっしゃるじゃありませんか。余興に
中
(
あ
)
てられなすったのじゃなくって」
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
黄金万能の処世哲学には均平もしばしば
中
(
あ
)
てられたものだが、それはそれとして俗物としては偉大な俗物だと感心しないわけにいかなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼の僕等に対するや、
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつて
)
「ます」と言ふ語尾を使はず、「そら、そこを厚く
中
(
あ
)
てるんだ」などと命令すること
屡
(
しばしば
)
なり。
病牀雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
後
(
のち
)
僕は君と
交
(
まじわ
)
っている間、君の
毒気
(
どくき
)
に
中
(
あ
)
てられて死んでいた心を振い起して高い
望
(
のぞみ
)
を
抱
(
いだ
)
いたのだが、そのお蔭で無慙な
刺客
(
しかく
)
の手にかかって
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
「あの娘の毒に
中
(
あ
)
てられた苦しみようが、一番ひどかったが、他の人とはどこか調子が違っていはしませんでしたか」
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
源三が
懐
(
いだ
)
いているこういう秘密を誰から聞いて知ろうようも無いのであるが、お浪は偶然にも云い
中
(
あ
)
てたのである。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「そればかりじゃないんだ。
彼奴
(
あいつ
)
は警察でわざと大事な事を云い落しやがったんじゃねえかと思うんだ。俺に云い
中
(
あ
)
てられて、慌てて云い消しよったろう」
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
暑気に
中
(
あ
)
てられた肺病患者が一様に食欲を失ってくると、庭の片隅のゴミ箱には残飯が山のように溜り、それがまたすぐに腐って堪えがたい悪臭を放った。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
語未だ畢らざるに、婦人は手中の扇をあげてしたゝかに我面を撃ちたり。その撃ちかたの強さより
推
(
お
)
すに、我は
偶〻
(
たま/\
)
女の身上を占ひて善く
中
(
あ
)
てたるものならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
己はかう云つてドユパンが真にその人が誰だと云ふことを
中
(
あ
)
てたのだか、たしかめて見ようと思つた。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
こういう種々な中毒に支那人は罹っているんである。そうかといえば、元来支那民族は民族としては決してそれほど劣等なものに非ず、いわゆる毒に
中
(
あ
)
てられているのみだ。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
起
(
き
)
を
撃
(
う
)
つの
徒
(
と
)
、
呉起
(
ごき
)
を
射刺
(
せきし
)
するに
因
(
よ
)
つて、
并
(
あは
)
せて
悼王
(
たうわう
)
に
中
(
あ
)
つ。
悼王
(
たうわう
)
既
(
すで
)
に
葬
(
はうむ
)
られて、
太子
(
たいし
)
立
(
た
)
つ。
乃
(
すなは
)
ち
(一一〇)
令尹
(
れいゐん
)
をして
盡
(
ことごと
)
く
呉起
(
ごき
)
を
射
(
い
)
て
并
(
あは
)
せて
王
(
わう
)
の
尸
(
し
)
に
中
(
あ
)
てし
者
(
もの
)
を
誅
(
ちう
)
せしむ。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
「罰など
中
(
あた
)
っても構わない。こんなラサのような所に生れて来ない方がありがたいのだ。実に気が
晴々
(
せいせい
)
した。ラサに居る悪魔共が俺に
罰
(
ばち
)
を
中
(
あ
)
てることが出来れば気が
利
(
き
)
いてる」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
まさか小川さんの義太夫に
中
(
あ
)
てられたのでもあるまいが、丁度あの晩から熱が出て数日寝込んだ。三輪さんの面倒を見てやるどころか東京駅で三輪さんに迎えて貰うような始末。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「何を、」とクランチャー君は、狙った
的
(
まと
)
に
中
(
あ
)
てそこなってから自分の呼びかける人間の言い方を変えて、言った。——「何を
手前
(
てめえ
)
はしてやがったんでえ、人に迷惑をかける奴め?」
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
一寸
(
ちょい
)
と島さん
待
(
まっ
)
て
呉
(
く
)
れ、云うて呉れるな、私が
中
(
あ
)
てゝ見せよう、大変と云えば何でも
是
(
こ
)
れは水戸の浪人が
掃部様
(
かもんさま
)
の
邸
(
やしき
)
に
暴込
(
あばれこ
)
んだと云うような事ではないかと云うと、島は
更
(
さ
)
らに驚き
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
今ではイヅミと言つております。ここにヒコクニブクの命が「まず、そちらから清め矢を放て」と言いますと、タケハニヤスの王が射ましたけれども、
中
(
あ
)
てることができませんでした。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
杏多き所にて、ジヤルルック君
一風呂敷
(
ひとふろしき
)
買ひ来りしかど、余はエルサレムに、杏に
中
(
あ
)
てられたれば食はず。ほとり近く泉あり。村の
婦人
(
をんな
)
甕を頭に乗せて来り汲む。或はこゝにて洗濯をなすあり。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
多くの読者はあるいは自分の郷里ばかりの一
些事
(
さじ
)
なりと考えられるか知らぬが、小児が土筆を
袴
(
はかま
)
の部分から二つに折って、そっと元の通りに
挿
(
さ
)
して置いて、どこで続いだかを
中
(
あ
)
てさせる遊戯は
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして豆のような小さな物を鬼に見せないように手の中へ
隠
(
かく
)
して、唄をうたいつつ順々に次の人の手へ渡して行き、唄が終ると
皆
(
みな
)
じっと動かずにいて、誰の手の中に豆があるかを鬼に
中
(
あ
)
てさせる。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
輜重
(
しちょう
)
を運べる間流れ丸に
中
(
あ
)
たりて即死したる報道を得しより、いと痛う力を落しぬ、これよりは隠気に
鎖
(
と
)
じ
籠
(
こも
)
り終日戸の外にも出でず、屋の煙さえいと絶え絶えにて、時々寒食断食することさえあり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
文「そんなら上げもしようが、
中
(
あ
)
てられるなよ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの雲の
中
(
なか
)
に生きているものを
中
(
あ
)
てて見ようか。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
ああ、わたしは
中
(
あ
)
てられた。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
中
(
あ
)
たりて
床
(
とこ
)
に
隱
(
こも
)
れども
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
予これを
忖度
(
そんたく
)
す〉とは
夫子
(
ふうし
)
の
謂
(
いい
)
なり、我は自分で
行
(
や
)
っておきながら、何の訳とも分らなんだに夫子よくこれを言い
中
(
あ
)
てたと
讃
(
ほ
)
めたので
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「そうであろう」と頷いたが、葉之助の方へ眼をやると、「さて、お前に聞くことがある。
中
(
あ
)
てずに縁を
擦
(
こす
)
ったは、竹林派に故実あってかな?」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「やっぱり、旦那のカンは
中
(
あ
)
たっていました。五人組の賊へ、舟を貸したのは、木更津船の岩五郎という船親方でした」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は毒物として、もっぱら
玉芹
(
たまぜり
)
を使った時代がある、玉芹の毒に
中
(
あ
)
てられて、友人の夫人が暴死したからである。
銭形平次打明け話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
されど普通教育を受たりといへどもまことの識見なき俗間の人には華文の毒に
中
(
あ
)
てらるゝものいと多かり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
保吉はいよいよ
中
(
あ
)
てられたから、この客の存在を忘れたさに、隣にいる
露柴
(
ろさい
)
へ話しかけた。が、露柴はうんとか、ええとか、
好
(
い
)
い加減な返事しかしてくれなかった。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二十三年の弱点が一度に露見した様な心持であつた。
親
(
おや
)
でもあゝ
旨
(
うま
)
く言ひ
中
(
あ
)
てるものではない。……
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その日は昼飯の時に食べた
海老魚
(
えび
)
のフライにでも
中
(
あ
)
てられたのか、ウヰスキイの効き目も薄かつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
此
(
この
)
戦
(
たたかい
)
や
火耳灰
(
ホルフイ
)
矟
(
ほこ
)
を
執
(
と
)
って燕王に
逼
(
せま
)
る、
相
(
あい
)
距
(
さ
)
るたゞ十歩ばかり、
童信
(
どうしん
)
射って、
其
(
その
)
馬に
中
(
あ
)
つ。馬倒れて王
免
(
のが
)
れ、
火耳灰
(
ホルフイ
)
獲
(
え
)
らる。王
即便
(
すなわち
)
火耳灰
(
ホルフイ
)
を
釈
(
ゆる
)
し、当夜に入って
宿衛
(
しゅくえい
)
せしむ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
また
陽州
(
やうしう
)
の
役
(
えき
)
に、
顏息
(
がんそく
)
といへる
名譽
(
めいよ
)
の
射手
(
しやしゆ
)
、
敵
(
てき
)
を
射
(
い
)
て
其
(
そ
)
の
眉
(
まゆ
)
に
中
(
あ
)
つ。
退
(
しりぞ
)
いて
曰
(
いは
)
く、
我無勇
(
われゆうなし
)
。
吾
(
わ
)
れの
其
(
そ
)
の
目
(
め
)
を
志
(
こゝろざ
)
して
狙
(
ねら
)
へるものを、と
此
(
こ
)
の
事
(
こと
)
左傳
(
さでん
)
に
見
(
み
)
ゆとぞ。
術
(
じゆつ
)
や、
其
(
そ
)
の
無勇
(
ゆうなき
)
に
在
(
あ
)
り。
術三則
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてその証拠として、丁度その時己の考へてゐた事をすつかり
中
(
あ
)
てゝ己を驚かした。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
少々
中
(
あ
)
てられるかも知れないが、裁判長だから仕方があるまい……ハハハ……
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかるに惜しいかなダージリンの近傍の林の中に在るところの
瘴毒
(
しょうどく
)
に
中
(
あ
)
てられてとうとう死んでしまったです。これが一八四〇年頃の事で、現にダージリンの近傍にこの方の墓が残ってあります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
日
(
ひ
)
は
午
(
ご
)
に
中
(
あ
)
たり
南
(
みんなみ
)
の
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
「
中
(
あ
)
てて御覧。」
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
人の心を以て畜生の心を測るの
易
(
やす
)
からぬは、荘子と恵子が馬を
観
(
み
)
ての問答にもいえる通りで、正しく判断し
中
(
あ
)
てるはすこぶる難い。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
平次は独り言のように
呟
(
つぶや
)
きました。この男の毒気に
中
(
あ
)
てられて、さすが、探索の意気込みも
挫
(
くじ
)
けたのでしょう。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“中”の意味
《名詞》
【なか】 物の内側。
【チュウ】 大きいとも小さいとも言えない状態。
【チュウ】 成績評価において、優れているとも劣っているとも言えない状態。平均的。
【チュウ】 大規模な文章や書籍などで、中の方の部分。
(出典:Wiktionary)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“中”を含む語句
家中
中央
夜中
女中
連中
日中
中心
懐中
中間
室中
山中
中風
市中
心中
最中
掌中
中止
途中
真中
中旬
...