銭形平次打明け話ぜにがたへいじうちあけばなし
昭和六年のある春の日の午後のことである、かねて顔見知りで、同じ鎌倉に住んでいる菅忠雄君が、その当時報知新聞記者であった私を訪ねて来て、二階の応接間でこう話したのである。 「今度オール読物を月刊雑誌にすることになったが、その初号から岡本綺堂さ …