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飽迄
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あくまで
ふりがな文庫
“
飽迄
(
あくまで
)” の例文
わたくしは因縁こそ実に
尊
(
とうと
)
くそれを
飽迄
(
あくまで
)
も大切にすべきものだと信じて
居
(
お
)
ります。
其処
(
そこ
)
に優しい
深切
(
しんせつ
)
な愛情が当然
起
(
おこ
)
るのであります。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
空は
飽迄
(
あくまで
)
灰色であった、三尺
許
(
ばかり
)
上は灰色の厚い布で張詰られているような気がした。外へ出たが誰を
探
(
たず
)
ねて見ようという考えは別になかった。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
過去
(
くわこ
)
を
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
いて、
事
(
こと
)
の
成行
(
なりゆき
)
を
逆
(
ぎやく
)
に
眺
(
なが
)
め
返
(
かへ
)
しては、
此
(
この
)
淡泊
(
たんぱく
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
が、
如何
(
いか
)
に
自分等
(
じぶんら
)
の
歴史
(
れきし
)
を
濃
(
こ
)
く
彩
(
いろど
)
つたかを、
胸
(
むね
)
の
中
(
なか
)
で
飽迄
(
あくまで
)
味
(
あぢ
)
はひつゝ
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
文筆生活に
這入
(
はい
)
ってから、氏は年を
閲
(
けみ
)
していない。で氏は
飽迄
(
あくまで
)
も自分自身を、アマチュアを以て任じて居られる。で氏は時々云われるのである。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
然るに氏は
飽迄
(
あくまで
)
も芸術の人として進みたいのであるから、
其
(
それ
)
等には頓着せず、ポルト・サン・マルタン座へ首席俳優として
入
(
はひ
)
る事に決めて
仕舞
(
しま
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
一体誰が言出したんだか知らないが、
若
(
も
)
し世間に其様な風評が立つやうなら、
飽迄
(
あくまで
)
も僕は弁護して遣らなけりやならん。だつて、君、考へて見給へ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
振
(
ふ
)
りながら何の御禮に及びませうぞ
夫
(
それ
)
其處
(
そこ
)
は
水溜
(
みづたま
)
り此處には石が
轉
(
ころ
)
げ有りと
飽迄
(
あくまで
)
お安に安心させ
何處
(
どこ
)
へ
連行
(
つれゆき
)
殺
(
ばら
)
さんかと心の内に目算しつゝ麹町をも
疾
(
とく
)
過
(
すぎ
)
て初夜の
鐘
(
かね
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
この辺り、家康大に寛仁の度を示して、
飽迄
(
あくまで
)
幸村の心を関東に
惹
(
ひ
)
かんものと試みたのかも知れない。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
が、それ丈に又、同時代の
屑々
(
せつせつ
)
たる作者輩に対しては、
傲慢
(
がうまん
)
であると共に
飽迄
(
あくまで
)
も不遜である。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
父といふ人は、
強慾
(
がうよく
)
で、そして
我執
(
がしふ
)
の念の強い、
飽迄
(
あくまで
)
も物質
慾
(
よく
)
の
旺
(
さか
)
んな人物であツたらしい。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ロミオ お
乳母
(
うば
)
どの、おぬしのお
姫
(
ひい
)
さんへ
慇懃
(
ねんごろ
)
に
傳
(
つた
)
へて
下
(
くだ
)
され。
予
(
わし
)
は
飽迄
(
あくまで
)
も
言
(
い
)
うておく……
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
勿論
(
もちろん
)
この
問題
(
もんだい
)
は
專門家
(
せんもんか
)
に
由
(
よつ
)
て
飽迄
(
あくまで
)
も
研究
(
けんきう
)
されねばならぬのであるが。
我輩
(
わがはい
)
は、
茲
(
こゝ
)
には
深
(
ふか
)
い
哲學的議論
(
てつがくてきぎろん
)
には
立
(
た
)
ち
入
(
い
)
らないで、
極
(
きは
)
めて
通俗的
(
つうぞくてき
)
に
之
(
これ
)
に
關
(
くわん
)
する
感想
(
かんさう
)
の一
端
(
たん
)
を
述
(
の
)
べて
見
(
み
)
よう。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
あゝ、
天
(
てん
)
は
飽迄
(
あくまで
)
我等
(
われら
)
に
祟
(
たゝ
)
るのかと、
心
(
こゝろ
)
を
焦立
(
いらだ
)
て、
身
(
み
)
を
藻掻
(
もが
)
いたが、
如何
(
いかん
)
とも
詮方
(
せんかた
)
が
無
(
な
)
い。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
聞けば
此
(
この
)
母親娘が
或
(
ある
)
お
屋敷
(
やしき
)
の
奥向
(
おくむき
)
に
奉公中
(
ほうこうちう
)
臨時
(
りんじ
)
の
頂戴物
(
てうだいもの
)
もある事なればと
不用分
(
ふようぶん
)
の給料を送りくれたる味の忘られず父親のお人よしなるに
附込
(
つけこ
)
みて
飽迄
(
あくまで
)
不法
(
ふはふ
)
を
陳
(
ちん
)
じたるものゝ
由
(
よし
)
に
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
彼は
疾
(
とっ
)
くに既うこうして謝罪りたかったのであったが、
流石
(
さすが
)
に女の前では
出来難
(
できにく
)
かった間に、ずんずんと女に
引摺
(
ひきず
)
られて嘘許り云ったのであった。其処へ持って来て巡査は
飽迄
(
あくまで
)
彼を追窮した。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
当局に於いては虚心平気で実地の真情を
審
(
つぶ
)
さに調査報告し、改良すべき点ありと認むれば、
飽迄
(
あくまで
)
も之が改善を命ずるのである、腹蔵なく述るがよい、世評が
嘘伝
(
うそ
)
であって欲しいと思うと述べた。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
一は曰く
飽迄
(
あくまで
)
従前の如く水中を
溯
(
さかのぼ
)
らん、一は曰く山に
上
(
のぼ
)
り山脈を
通過
(
つうくわ
)
して水源の上に
出
(
い
)
でん、
特
(
こと
)
に人夫中冬猟の
経験
(
けいけん
)
ありて
雪中
(
せつちう
)
此辺に
来
(
きた
)
りしもの、皆曰く是より前途は
嶮
(
けん
)
更
(
さら
)
に嶮にして
幽
(
いう
)
更に幽
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
仕方がないから、例の某大家に
縋
(
すが
)
って書生に置いて貰おうとすると、先生は相変らずグズリグズリと煮切らなかったが、奥さんが
飽迄
(
あくまで
)
不承知で、先生を
差措
(
さしお
)
いて、御自分の口から
断然
(
きっぱり
)
断られた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
僕には
未
(
ま
)
だ翁の近年の作の妙味が十分
会
(
ゑ
)
得せられないが
飽迄
(
あくまで
)
も
若若
(
わかわか
)
しい
此
(
この
)
翁の心境は例の真夏の花を嗅ぐ様な豊艶多肉な女を
倦
(
う
)
む色もなく描いて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
始
(
はじめ
)
て私は幾十尺上って来たかと驚いた。右を見るとまたしても、太い、高い、黒い二本の烟突が目につく。私は
飽迄
(
あくまで
)
この烟突に圧迫せられている
感
(
かんじ
)
がする。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
たとえば今日泳がなくても主人の免許を受けたことは
飽迄
(
あくまで
)
も事実であるのに、浅はかな人達よ。何とでも思うが好い。と私はぐっと、息を詰めて堪えて居た。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
強
(
つよ
)
く
烈
(
はげ
)
しい
命
(
いのち
)
に
生
(
い
)
きたと
云
(
い
)
ふ
證劵
(
しようけん
)
を
飽迄
(
あくまで
)
握
(
にぎ
)
りたかつた
彼
(
かれ
)
には、
活
(
い
)
きた
現在
(
げんざい
)
と、
是
(
これ
)
から
生
(
うま
)
れやうとする
未來
(
みらい
)
が、
當面
(
たうめん
)
の
問題
(
もんだい
)
であつたけれども、
消
(
き
)
えかゝる
過去
(
くわこ
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
左様
(
さう
)
いふ気心の知れた人なら双方の好都合。
委敷
(
くはし
)
いことは出京の上で。と
飽迄
(
あくまで
)
も言ひ張る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
乳母
飽迄
(
あくまで
)
も
言
(
い
)
うて
置
(
お
)
く、とおッしゃったと
言
(
い
)
や、それが
立派
(
りっぱ
)
なお
言傳手
(
ことづて
)
ぢゃがな。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
我を東天皇と云い彼を西皇帝と称し
飽迄
(
あくまで
)
も対等の礼を以って押通された。
日本上古の硬外交
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
好
(
すき
)
こそ物の
上手
(
じやうず
)
なれと
譬
(
たと
)
への通り
飽迄
(
あくまで
)
も
公事向
(
くじむき
)
に手
馴
(
なれ
)
し長助が思ひ通りの訴状御取上に成りしかばお光の
喜
(
よろこ
)
び一方ならず然るに三四日過て御
呼出
(
よびだ
)
しに相成越前守殿願ひ人お光清右衞門長助の三人へ申渡されけるは此訴訟の
趣
(
おもむ
)
きにては先年同役たる中山出雲守の係りにて
裁許
(
さいきよ
)
相濟
(
あひすみ
)
たる
事件
(
ことがら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
飽迄
(
あくまで
)
も良心のまゝに疑わなければならない。今、私達の文壇の弊は、この最も正直に、疑わなければならないものを、疑わざるところに存するのでなかろうか。
何を作品に求むべきか
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其処
(
そこ
)
へ
多勢
(
おほぜい
)
の義士が誘ひに来て
散散
(
さんざん
)
に辱めた上
飽迄
(
あくまで
)
も躊躇して居るキニゼイに告別して行つて
仕舞
(
しま
)
ふと、キニゼイ先生も
終
(
つひ
)
に決心して
許嫁
(
いひなづけ
)
を
突除
(
つきの
)
け同志の
後
(
あと
)
を追つて
行
(
ゆ
)
く。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
受出さんとの
御事
(
おんこと
)
承知仕つり候へ共一品にても
拔差
(
ぬきさし
)
は手前にて
迷惑
(
めいわく
)
に候間殘らず御受なさるゝなら
格別
(
かくべつ
)
其方
(
そなた
)
の勝手に大小ばかり
請樣
(
うけやう
)
などと仰られても其儀は出來申さずと云ければ文右衞門
聞
(
きゝ
)
て夫は
御道理
(
ごもつとも
)
の事なり今殘らず請出す
間
(
あひだ
)
元利
(
ぐわんり
)
何程
(
なにほど
)
か勘定して下されと
云
(
いふ
)
故
(
ゆゑ
)
番頭久兵衞は
飽迄
(
あくまで
)
見込
(
みこみ
)
違
(
ちが
)
ひになりしかば心の中にては
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
飽
常用漢字
中学
部首:⾷
13画
迄
漢検準1級
部首:⾡
7画
“飽”で始まる語句
飽
飽気
飽々
飽満
飽足
飽食
飽海
飽浦
飽和
飽氣