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軸
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じく
ふりがな文庫
“
軸
(
じく
)” の例文
床の間には鷹を描いた宮本武蔵の
軸
(
じく
)
がかけてある。もちろん複製品だ。女指圧師がまず口にしたのは、この部屋の悪口であった。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ちゃんと床の間へあがりこんで、
山水
(
さんすい
)
の
軸
(
じく
)
の前にユッタリ腰を下ろし、高見の見物とばかり、膝ッ小僧をだいているではないか!
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小野さんは
覗
(
のぞ
)
き込んだ眼を急に
外
(
そ
)
らして、素知らぬ顔で、
容斎
(
ようさい
)
の
軸
(
じく
)
を真正面に眺めていると、二人の影が敷居口にあらわれた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
桜草はその
靭
(
しな
)
やかな緑色の
軸
(
じく
)
をしずかにゆすりながらひとの聞いているのも知らないで
斯
(
こ
)
うひとりごとを云っていました。
若い木霊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それではこの
時代
(
じだい
)
の
繪畫
(
かいが
)
といふものは
殘
(
のこ
)
つてゐるかといひますと、もちろん
襖
(
ふすま
)
や
唐紙
(
からかみ
)
に
描
(
か
)
き、
掛
(
か
)
け
軸
(
じく
)
にした
繪
(
え
)
などは、この
時代
(
じだい
)
にはないばかりでなく
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
夜逃げ同様屋敷を脱け出したのが
怪
(
け
)
しからぬという言い掛りでしたが、近頃はお袖に預けた
古筆
(
こひつ
)
の茶掛け一
軸
(
じく
)
と、
彫三島
(
ほりみしま
)
の松の葉の
香盒
(
こうごう
)
が紛失したから
銭形平次捕物控:131 駕籠の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの婦人は何かの身体の異状によって、マッチの
軸
(
じく
)
を喰べないでいられなかったのです。つまり
赤燐喰い症
(
せきりんイーター
)
です。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かんじんな
軸
(
じく
)
うけが、すっかりすりへっているのに、それをあたらしくとりかえて、音楽をもとどおりはっきりきかせるくふうがつかないから、せいぜい
小夜啼鳥
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
低い根笹と筆の
軸
(
じく
)
ほどな細竹とが、自然の小道のように配られてある石から石への通路を程よく
湿
(
しめ
)
らせている。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
英雄は人類の中心点である、そうだ、中心点だ、車の
軸
(
じく
)
だ、国家を支える大黒柱だ、ギリシャの神話にアトラス山は天が
墜
(
お
)
ちるのを
支
(
ささ
)
えている山としてある。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「
僕
(
ぼく
)
、これほしいな。」といって、
銀
(
ぎん
)
の
軸
(
じく
)
に
小
(
ちい
)
さな
英語
(
えいご
)
の
彫
(
ほ
)
ってあるのをじっと
見
(
み
)
ていますと
小さな弟、良ちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其墓場の一端には、彼が
甥
(
おい
)
の墓もあった。甥と云っても一つ違い、五つ六つの
叔父
(
おじ
)
甥は常に共に遊んだ。ある時叔父は筆の
軸
(
じく
)
を甥に与えて、犬の如く
啣
(
くわ
)
えて振れと命じた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
粗末な板張りの座敷ではあるけれども、
枕上
(
まくらがみ
)
のところに仮りの
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
が設けてあって、
八幡大菩薩
(
はちまんだいぼさつ
)
の
軸
(
じく
)
が
懸
(
かゝ
)
っている。
床脇
(
とこわき
)
に据えた
持佛
(
じぶつ
)
の
厨子
(
ずし
)
には不動明王が安置してある。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
小川をとり入れた小さい池も、伯父が自分で
彫
(
ほ
)
ったらしい
梅里庵
(
ばいりあん
)
という
篆字
(
てんじ
)
の額も、すべての風物が珍しかった。
帆足万里
(
ほあしばんり
)
の
軸
(
じく
)
の前に
坐
(
すわ
)
って、伯父は今の生活の心安さを色々と話してくれた。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
と
放下
(
ほうげ
)
してしまって、またそこらを見ると、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
ではない、一方の七、八尺ばかりの広い壁になっているところに、その壁をいくらも余さない位な大きな古びた
画
(
え
)
の
軸
(
じく
)
がピタリと懸っている。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
道人
(
どうじん
)
は薄赤い絹を解いて、
香炉
(
こうろ
)
の煙に一枚ずつ、中の
穴銭
(
あなせん
)
を
燻
(
くん
)
じた
後
(
のち
)
、今度は
床
(
とこ
)
に懸けた
軸
(
じく
)
の前へ、丁寧に円い頭を下げた。軸は
狩野派
(
かのうは
)
が
描
(
か
)
いたらしい、
伏羲文王周公孔子
(
ふくぎぶんおうしゅうこうこうし
)
の四大聖人の画像だった。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ふるい掛け
軸
(
じく
)
です。
電人M
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
行李
(
こうり
)
の底から、
帆足万里
(
ほあしばんり
)
の書いた小さい
軸
(
じく
)
を出して、壁へ掛けた。これは先年帰省した時、装飾用のためにわざわざ持って来たものである。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
受信機とパネルの間には、長い
軸
(
じく
)
が渡されてあった。金網の外で、パネルの上の
目盛盤
(
めもりばん
)
をまわすと、その長い軸がまわって、受信機の可動部品を動かすのである。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
床
(
とこ
)
に、一幅の
軸
(
じく
)
がかけられてある。
端厳
(
たんげん
)
な肖像が描かれてあった。それがお千絵の父である、阿波へ入ったまま消息をたって、今に知れぬ甲賀世阿弥の像である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「サア解らねえ、幽霊の一
軸
(
じく
)
を殺して飲んだといったような手数のかかる
洒落
(
しゃれ
)
じゃあるまいな」
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その兵隊は、半裸体のまま、手を妙な具合に曲げると、いきなりシュッシュッと言いながら、おそろしくテンポの早い
出鱈目
(
でたらめ
)
の踊りを踊り出した。よろめく脚を
軸
(
じく
)
として、
独楽
(
こま
)
のように廻った。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
たしかにみんなそう云う気もちらしかったのです。製板の
小屋
(
こや
)
の中は
藍
(
あい
)
いろの
影
(
かげ
)
になり、白く光る
円鋸
(
まるのこ
)
が四、五
梃
(
ちょう
)
壁
(
かべ
)
にならべられ、その一梃は
軸
(
じく
)
にとりつけられて
幽霊
(
ゆうれい
)
のようにまわっていました。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
石には
苔
(
こけ
)
の
斑
(
ふ
)
が薄青く吹き出して、灰を交えた
紫
(
むらさき
)
の質に深く食い込む下に、
枯蓮
(
かれはす
)
の
黄
(
き
)
な
軸
(
じく
)
がすいすいと、去年の
霜
(
しも
)
を
弥生
(
やよい
)
の中に突き出している。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お吉はそれを、良人の眼をしのんで、小さな
軸
(
じく
)
に仕立て、自分の心のまもりとして常に肌に秘めていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまドロップスの入っていた
空
(
あ
)
き
缶
(
かん
)
の蓋を払いのけて底に小さな
孔
(
あな
)
をあけ、そこに糸をさし入れて缶を逆さに釣り、鉛筆の
軸
(
じく
)
かなにかでコーンと一つ叩いてみるがいい。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
娘は浮かぬ顔を、
愛嬌
(
あいきょう
)
に傾けて、床の間を見る。
軸
(
じく
)
は
空
(
むな
)
しく落ちて、いたずらに余る黒壁の端を、
竪
(
たて
)
に
截
(
き
)
って、
欝金
(
うこん
)
の
蔽
(
おい
)
が春を隠さず明らかである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仁斎は、床の一
軸
(
じく
)
を見て云った。
瓶
(
へい
)
には黄菊が
挿
(
い
)
けてある。墨の香と菊の香とが、
薫々
(
くんくん
)
と和していた。
日本名婦伝:小野寺十内の妻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ダリア嬢は、
然
(
しか
)
りその超人的視力をもつ『赤外線女』だったんだ。これはあとで判ったことだけれど、彼女はあの
銀鍼
(
ぎんばり
)
をシャープペンシルの
軸
(
じく
)
の中に隠して持っていたのだった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「なるほどそれもそうじゃろ。わしも
達磨
(
だるま
)
の
画
(
え
)
ぐらいはこれで、かくがの。そら、ここに掛けてある、この
軸
(
じく
)
は先代がかかれたのじゃが、なかなかようかいとる」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軸
(
じく
)
をしめ、またやや
戻
(
もど
)
し、
軽弄
(
けいろう
)
、
漫撚
(
まんねん
)
と
絃
(
いと
)
のしらべにしきりと首をかしげているのを見て、ふと、おなじ部屋の片すみから、法師の母の尼が、小机ごしに、眸だけで
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後部には、
軸
(
じく
)
に平行に十六本の噴気管がうしろへ向かって開いている。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
北側に
床
(
とこ
)
があるので、申訳のために変な
軸
(
じく
)
を掛けて、その前に
朱泥
(
しゅでい
)
の色をした
拙
(
せつ
)
な
花活
(
はないけ
)
が飾ってある。
欄間
(
らんま
)
には
額
(
がく
)
も何もない。ただ
真鍮
(
しんちゅう
)
の
折釘
(
おれくぎ
)
だけが二本光っている。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
渓流
(
けいりゅう
)
へいってからだを
洗
(
あら
)
い、宿の
主
(
あるじ
)
にひかれて、
奥
(
おく
)
の一
室
(
しつ
)
へ落ちつくと、
床
(
とこ
)
に一
幅
(
ぷく
)
の
軸
(
じく
)
がかかっていた。それはその
部屋
(
へや
)
へはいったとたんに、だれにもすぐ目についた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その自転車は、
軸
(
じく
)
うけがさびてだめになるだけです」
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
焦茶
(
こげちゃ
)
の
砂壁
(
すなかべ
)
に、白い
象牙
(
ぞうげ
)
の
軸
(
じく
)
が
際立
(
きわだ
)
って、両方に突張っている、手前に例の木蘭がふわりと浮き出されているほかは、
床
(
とこ
)
全体の
趣
(
おもむき
)
は落ちつき過ぎてむしろ陰気である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軸
(
じく
)
を
締
(
し
)
め
絃
(
いと
)
を
撥
(
はら
)
いて
三両声
(
さんりょうせい
)
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫
(
それ
)
では一本の万年筆がどの位長く使えるだろうと聞いたら、此間横浜のもので、ペンはまだ可なりだが、
軸
(
じく
)
が減ったから軸
丈
(
だけ
)
易
(
か
)
えて
呉
(
く
)
れと云って持って来たのがあるが
余と万年筆
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は金の
調達
(
ちょうだつ
)
を引き受けた。その時
彼
(
か
)
れは風呂敷包の中から一幅の
懸物
(
かけもの
)
を取り出して、これがせんだって御話をした
崋山
(
かざん
)
の
軸
(
じく
)
ですと云って、紙表装の
半切
(
はんせつ
)
ものを
展
(
の
)
べて見せた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その座蒲団は
更紗
(
さらさ
)
の模様を染めた真丸の形をしたものなので、敬太郎は不思議そうにその上へ
坐
(
すわ
)
った。
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
には
刷毛
(
はけ
)
でがしがしと
粗末
(
ぞんざい
)
に書いたような
山水
(
さんすい
)
の
軸
(
じく
)
がかかっていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
耳のうしろへペン
軸
(
じく
)
をはさんでいる。なんとなく得意である。三四郎は承知した。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軸
(
じく
)
は底光りのある
古錦襴
(
こきんらん
)
に、
装幀
(
そうてい
)
の
工夫
(
くふう
)
を
籠
(
こ
)
めた
物徂徠
(
ぶっそらい
)
の
大幅
(
たいふく
)
である。絹地ではないが、多少の時代がついているから、字の巧拙に論なく、紙の色が周囲のきれ地とよく調和して見える。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
襖
(
ふすま
)
の
画
(
え
)
は
蕪村
(
ぶそん
)
の筆である。黒い柳を濃く薄く、
遠近
(
おちこち
)
とかいて、
寒
(
さ
)
むそうな漁夫が
笠
(
かさ
)
を
傾
(
かたぶ
)
けて土手の上を通る。
床
(
とこ
)
には
海中文殊
(
かいちゅうもんじゅ
)
の
軸
(
じく
)
が
懸
(
かか
)
っている。
焚
(
た
)
き残した線香が暗い方でいまだに
臭
(
にお
)
っている。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫
(
それ
)
でペリカンの方でも
半
(
なか
)
ば余に
愛想
(
あいそ
)
を尽かし、余の方でも半ばペリカンを
見限
(
みかぎ
)
って、此正月「
彼岸過迄
(
ひがんすぎまで
)
」を筆するときは又
一
(
ひ
)
と時代退歩して、ペンとそうしてペン
軸
(
じく
)
の旧弊な昔に逆戻りをした。
余と万年筆
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軸
常用漢字
中学
部首:⾞
12画
“軸”を含む語句
掛軸
軸木
地軸
軸物
坤軸
車軸
中軸
一軸
画軸
牙軸
懸軸
青軸
洋筆軸
枢軸国側
巻軸
名大津画噂一軸
軸枢
其地軸
軸承
製軸所
...