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薪
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まき
ふりがな文庫
“
薪
(
まき
)” の例文
薪
(
まき
)
や材木を積むこと、川岸に小屋や
雪隠
(
せっちん
)
を建てること、二階に灯を点けることまで禁じましたが、夜ごとの火事騒ぎは少しも減らず
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
足利
(
あしかが
)
時代に作られた「
鉢
(
はち
)
の木」という最も通俗な能の舞は、貧困な武士がある寒夜に炉に
焚
(
た
)
く
薪
(
まき
)
がないので、旅僧を歓待するために
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
それにまた早くその辺へ野宿と極め込んでまずヤクの
糞
(
ふん
)
とキャンという野馬の糞を拾う必要がある。それを
薪
(
まき
)
にするのでござります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
やがて
薪
(
まき
)
の煙が、勝手から家の内を吹きながれた。
湯浴
(
ゆあ
)
みして、
帷子
(
かたびら
)
にかえた藤吉郎は、草履をはいて、庭木戸から外へ歩みかけた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
表町
(
おもてちょう
)
で小さい
家
(
いえ
)
を借りて、酒に
醤油
(
しょうゆ
)
、
薪
(
まき
)
に炭、塩などの新店を出した時も、飯
喰
(
く
)
う
隙
(
ひま
)
が惜しいくらい、クルクルと働き詰めでいた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
猫の死んだのは実にその晩である。朝になって、下女が裏の物置に
薪
(
まき
)
を出しに行った時は、もう硬くなって、古い
竈
(
へっつい
)
の上に倒れていた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは
食料
(
しよくれう
)
と
薪
(
まき
)
との
不廉
(
ふれん
)
な
供給
(
きようきふ
)
を
仰
(
あふ
)
がねばならぬからである。
勘次
(
かんじ
)
はお
品
(
しな
)
の
發病
(
はつびやう
)
から
葬式
(
さうしき
)
までには
彼
(
かれ
)
にしては
過大
(
くわだい
)
な
費用
(
ひよう
)
を
要
(
えう
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
貞之助と三人の姉妹とは応接間の
煖炉
(
だんろ
)
にぱちぱちはねる
薪
(
まき
)
の音を聞きながら、久しぶりに顔を
揃
(
そろ
)
えてチーズと白葡萄酒の小卓を囲んだ。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日の光りと、
月光
(
げつくわう
)
と、
薪
(
まき
)
の火と、
魚油
(
ぎよゆ
)
しかなかつた暗いころの、
燈
(
とも
)
し
油
(
あぶら
)
になるなたねの花は、どんなに大切なものであつたらう。
菜の花:――春の新七草の賦のその一ツ――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ですから
彼等
(
かれら
)
のゐる
村落附近
(
そんらくふきん
)
の
山林
(
さんりん
)
は、
後
(
のち
)
にはだん/\に
狹
(
せま
)
く、まばらになつて
來
(
き
)
て、つひには
薪
(
まき
)
の
材料
(
ざいりよう
)
にも
不足
(
ふそく
)
するようになりました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
天井まで届くような大きな
煖炉
(
オーフェン
)
の中で、白樺や
落葉松
(
からまつ
)
の太い
薪
(
まき
)
が威勢よくはじけ、鉄架の上で
珈琲沸
(
パーコレーター
)
がいつも白い湯気をふきあげている。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
鉢
(
はち
)
かつぎは
朝
(
あさ
)
も
晩
(
ばん
)
もお
釜
(
かま
)
の
前
(
まえ
)
に
座
(
すわ
)
って、いぶり
臭
(
くさ
)
い
薪
(
まき
)
のにおいに目も
鼻
(
はな
)
も
痛
(
いた
)
めながら、
暇
(
ひま
)
さえあれば
涙
(
なみだ
)
ばかりこぼしていました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
暗いからわからぬが、何か釜らしいものが戸外の
一隅
(
かたすみ
)
にあって、
薪
(
まき
)
の
余燼
(
もえさし
)
が赤く見えた。薄い煙が提燈を
掠
(
かす
)
めて淡く靡いている。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
古来の倹約な習慣のために後悔のあまり和らげられていた——(彼は大束の
薪
(
まき
)
を費消しながら、一本のマッチをおしんでいた。)
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それ、火は
薪
(
まき
)
によりて、すなわち火あり。薪なければ、すなわち火なし。薪は火を生ずるゆえんなりといえども、しかも火の
本
(
もと
)
にあらず。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
これを相手に月に
薪
(
まき
)
が何
把
(
ば
)
炭が何俵の勘定までせられ、「
母
(
おっか
)
さん、そんな事しなくたって、菓子なら
風月
(
ふうげつ
)
からでもお取ンなさい」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
数枝、何も言わず、笑いをやめて、てれかくしみたいに、ストーヴの傍の木箱から
薪
(
まき
)
を取り出し、二、三本ストーヴにくべる。
冬の花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
さてその
農民小屋
(
のうみんごや
)
にはひつて
見
(
み
)
ると
爐邊
(
ろへん
)
には
薪
(
まき
)
が
燃
(
も
)
やされてあつて、その
地方
(
ちほう
)
の
風俗
(
ふうぞく
)
をした
爺
(
ぢい
)
さんがたばこを
燻
(
いぶ
)
らしてゐたり
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
此の身体を
打毀
(
ぶっこわ
)
して
薪
(
まき
)
にしても一分や二分のものはあらアね、馬の腹掛を着て頼むのだから、お前さん三拾両貸して呉れても
宜
(
よ
)
かろうと思う
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
第一の
妃
(
ひ
)
ただ一人と共に火に入ったという説もあれば、数百の
婢妾
(
ひしょう
)
を
薪
(
まき
)
の火に投じてから自分も火に入ったという説もある。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
私はだんろに
薪
(
まき
)
をくべて、さかんにもやしました。あまりあつくなると、らんまの小窓を少しあけました。外には雪がふりしきっていました。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
私が筋肉薄弱で
鎌
(
かま
)
が切れず、持て余しているのを見た父は、自分で鎌と
鉈
(
なた
)
を
揮
(
ふる
)
って、
薪
(
まき
)
の束を作り初めたが、その上手なのに驚いてしまった。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ガタピシと板戸を開けると、
薪
(
まき
)
や炭を積んだ小暗い物置の隅っ子に、人間程の大きさの藁人形が、いかめしく
突立
(
つった
)
っていた。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼等の随喜する
薪
(
まき
)
を焚く炉が切ってあるけれど、そのほかの場所では、大がい
痩
(
や
)
せこけたステイム・パイプが部屋の片隅に威張ってるだけだ。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「立っているのはよくない、貴殿らも
薪
(
まき
)
など探して置いて下され、火が燃えだせば明るみが見えるであろう、それを目当てに立ちもどればよい」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
大衆は単に
薪
(
まき
)
だ。英雄という天の霊火が落ちて初めて燃え上る。全く十九世紀の思想だが、それ丈けに社長の共鳴が買えると思って、私は後刻
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
薪
(
まき
)
のような感じの、不思議な顔である。血の気というものがすこしもなく、すっかり枯れて見えるのだ。我意の張った口を、一文字に結んでいる。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ほかの時は
絶
(
た
)
えず小さな口笛を吹きながら、用もないのに
沸
(
わ
)
いているのだが、その鍋の
罅
(
ひび
)
だらけの腹の下で、消えかかった二本の
薪
(
まき
)
が
燻
(
いぶ
)
っている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
花売とはいうけれども
門松
(
かどまつ
)
年木
(
としぎ
)
、または尋常の
薪
(
まき
)
や
枯枝
(
かれえだ
)
もあり、或いはぬれた
松明
(
たいまつ
)
とか、根無し
蔓
(
つる
)
という植物とか
謂
(
い
)
っている例も
喜界島
(
きかいじま
)
にはある。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ある日わたしの
薪
(
まき
)
の山——いや、むしろ掘りおこした切株の山に往ったとき、わたしは二匹の大きな蟻——一方は赤く
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
そこで学業のひまに新聞を売ったり
薪
(
まき
)
を割ったりして働いて得た金を積立てて自動車を買うわけであるから、あまり立派なものは手に入らなかった。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
やがて積みかさねた
薪
(
まき
)
の上へ米の死骸が置かれた。それと見て人びとは念仏を唱えた。同時に
隠坊
(
おんぼう
)
が薪に火を点けた。
妖蛸
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
旅籠屋
(
はたごや
)
をはじめ、
小商人
(
こあきんど
)
、近在の
炭
(
すみ
)
薪
(
まき
)
等を
賄
(
まかな
)
うものまでが必至の困窮に陥るから、この上は山林の利をもって渡世を営む助けとしたいものであると
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
……その日その日の米
薪
(
まき
)
さえ
覚束
(
おぼつか
)
ない生活の悪処に臨んで、——実はこの日も、
朝飯
(
あさ
)
を済ましたばかりなのであった。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしそれは私が昼間谷から自分で採ってきた僅かな焚木でも事足りる、わざわざ
薪
(
まき
)
を買うほどのこともない……と、まあ、そういった位の余寒さだ。
卜居:津村信夫に
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
まじめな顔で冗談を言いながら、S君が我れわれのまどいを離れた頃には、高粱の
薪
(
まき
)
ももう大方は灰となって、弱い火が寂しくちろちろと燃えていた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ジャン・ヴァルジャンのそばには、彼が屋根を伝っておりてきた小屋があり、
薪
(
まき
)
がつみ重ねてあり、その後ろに壁にくっついて石の立像が一つあった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
薪
(
まき
)
が飛んで、親父は片眼はまるきり見えんようになったらしいけんど、片方が大丈夫じゃけ——眼は一つありゃええ、なんて、元気でいうとるらしい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
乾草
(
ほしぐさ
)
つくりに手をかしたり、垣根をなおしたり、馬に水をのませに連れていったり、
牝牛
(
めうし
)
を放牧場から駆りたてたり、冬の
煖炉
(
だんろ
)
に燃す
薪
(
まき
)
をきったりした。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
燈芯
(
とうしん
)
のうすい
行燈
(
あんどん
)
の灯が破れた障子にうつる。土門をはいると野良着のままで
薪
(
まき
)
を割っている藤作の姿が見えた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
そこは東に百万坪の荒地へ続く
芦原
(
あしはら
)
、西は根戸川に接していて、工場のほかに事務所と、工員たちの小さな住宅があり、
貝殻
(
かいがら
)
置場と
薪
(
まき
)
小屋が並んでいた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
カピ長
南無三
(
なむさん
)
、やりをるわい。おもしろい
下司野郎
(
げすやらう
)
め!
何
(
なん
)
ぢゃ、
薪
(
まき
)
を
見
(
み
)
る
眼
(
め
)
ぢゃ?
乃公
(
おれ
)
ゃまた
薪目
(
まきめ
)
くらかと
思
(
おも
)
うた。……はれやれ、
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けたわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
死体の上に
藁
(
わら
)
と
薪
(
まき
)
とが積み重ねられ、幾缶かの石油を浴びせてそれにマッチで火を
点
(
つ
)
けるだけのことであった。
或る嬰児殺しの動機
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
だからね(とアーストロフに)僕だけには一つ、相変らずストーブに
薪
(
まき
)
をくべたり、材木を使って小屋を建てたりすることを、お許しねがいたいものだね。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
母を送りだして茶の間に帰ったおぬいは、ストーヴに
薪
(
まき
)
を入れ添えて、火口のところにこぼれ落ちた灰を掃除しながら時計を見るともう三時になっていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
己はその
後
(
ご
)
中庭や
畠
(
はた
)
で、エルリングが色々の為事をするのを見た。
薪
(
まき
)
を割っている事もある。花壇を掘り返している事もある。桜ん坊を摘んでいる事もある。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
それは——彼もよく見かけたものだが——ときには
薪
(
まき
)
や乾草などを高く積み上げた荷を引いて、特に車がぬかるみやわだちの跡へはまりでもしようものなら
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
薪
(
まき
)
を使った鉱泉に入って、古めかしいランプの下、物静かな女中の給仕で沼の
鯉
(
こい
)
、
鮒
(
ふな
)
の料理を食べて、物音一つせぬ山の上、水の
際
(
きわ
)
の静かな夜の
眠
(
ねむり
)
に入った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
階下が食堂兼居室で、普通の山小屋の体裁に
真中
(
まんなか
)
に大きい
薪
(
まき
)
ストーヴがあって、二階が寝室になっている。
雪の十勝:――雪の研究の生活――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
あわてて
松葉
(
まつば
)
と
薪
(
まき
)
をくべると、ひどい
煙
(
けむり
)
の中から
炎
(
ほのお
)
がまいたって、土間の自転車の金具が炎で赤く光った。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
“薪”の解説
薪(まき、たきぎ)とは、木および枝を伐採し、固形燃料としたものを指す。木質燃料の一種であるueda。長細く割り、扱いやすい長さへ切断し、乾燥させて燃料とする。木材の廃材を棒状に加工したものも含む。
なお、薪と炭(特に木炭)とを合わせてと呼ぶ。
(出典:Wikipedia)
薪
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
“薪”を含む語句
薪水
柴薪
薪木
薪小屋
薪雑木
薪炭
松薪
薪割
薪雑棒
薪雜棒
薪山
薪架
薪台
薪採
薪材
薪火
薪炭屋
臥薪
薪車
臥薪嘗胆
...