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草履
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ぞうり
ふりがな文庫
“
草履
(
ぞうり
)” の例文
お靜が丹精した新しい
袷
(
あはせ
)
、十手を懷ろに忍ばせて、おろし立ての麻裏の
草履
(
ぞうり
)
をトンと踏みしめると
項
(
うなじ
)
から、切火の鎌の音が冴えます。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこへ飯を喰い終った一知が、帯を締め締め、
草履
(
ぞうり
)
を
穿
(
は
)
いて出て来たので、草川巡査は素知らぬ顔をして台所の入口へ引返して来た。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
(急に低くなりますから気をつけて。こりゃ
貴僧
(
あなた
)
には
足駄
(
あしだ
)
では無理でございましたかしら、
宜
(
よろ
)
しくば
草履
(
ぞうり
)
とお
取交
(
とりか
)
え申しましょう。)
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お銀様も快く駕籠を出て、茶屋から借りた
草履
(
ぞうり
)
を
穿
(
は
)
いて、盛んに景気を立てている相撲小屋の方へと、石ころ道を歩きはじめました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
とにかくに四つか五つの年から数年の間、毎年この実が熟すると必ず
採
(
と
)
りに行き、
草履
(
ぞうり
)
を泥だらけにして
叱
(
しか
)
られたことも覚えている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
若い女が、キャッと声を立てて、バタバタと、
草履
(
ぞうり
)
を
蹴
(
け
)
とばして、楽屋の入口の間へ
駈
(
か
)
けこんだが、身を縮めて壁にくっついていると
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それに軽い新しい麻裏
草履
(
ぞうり
)
をも穿いた。彼は足に力を入れて、往来の土を踏みしめ踏みしめ、
雀躍
(
こおどり
)
しながら若い友達の方へ急いだ。
足袋
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
眼に血をそそぎ、すさまじい
形相
(
ぎょうそう
)
で
壱岐殿坂
(
いきどのざか
)
のほうを見こむと、
草履
(
ぞうり
)
をぬいで
跣足
(
はだし
)
になり、髪ふりみだして
阿修羅
(
あしゅら
)
のように走りだした。
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ある日、五番目の孫の八重は学校から帰ってくるなり納屋の前で
莚
(
むしろ
)
をひろげ、
草履
(
ぞうり
)
を作っているかやのそばへ、でんと坐りこんだ。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
挟箱、
草履
(
ぞうり
)
、御槍の人々が、そのあとを、追って行った。駕籠脇の侍が二十人余り、橋の下の一人を取囲んで、白刃の垣を作っていた。
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
が、教えられた地点に立った行者は、どう云う訳かすぐには拝もうとしないで、二た足三足歩きかけた背後の
草履
(
ぞうり
)
のおとを聞くと
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その柿の皮があかあかと紙くずとごったになって敷き石の上に散っていた。葉子は叔父にちょっと
挨拶
(
あいさつ
)
をして
草履
(
ぞうり
)
をさがしながら
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
だから
納所
(
なっしょ
)
にいるお小僧までが——もっとも
小寺
(
こでら
)
なのでほかに住僧はないが——びたびたという尻切れ
草履
(
ぞうり
)
が寺内に聞えてくると
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勝手門と台所との間には、
御用聞
(
ごようきき
)
やこの家の使用人達のものであろう、靴跡やフェルト
草履
(
ぞうり
)
の跡が重なるようにしてついている。
石塀幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
晩飯の
膳
(
ぜん
)
を運ぶ女中の
草履
(
ぞうり
)
の音が、廊下にばたばたするころになると、いらいらするような心持で、ふらりと下宿を出て行った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
椿
(
つばき
)
の葉にて私のをさなき時に乳母がせしやう
光
(
ひかる
)
に
草履
(
ぞうり
)
つくりてやりたくと、彼の家の庭をあやにくや見たうも/\思へど、私はゆかず候。
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
見たというわけじゃないが、岩頭に
草履
(
ぞうり
)
やいつも生命よりも大事にしていた頭飾りのものなどを並べてあったのを見つけたんだ。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
きん「あのそれは
先刻
(
さっき
)
あの
入
(
いら
)
っしゃいまして、それはあの、雨が降って駒下駄では
往
(
い
)
けないから
草履
(
ぞうり
)
を貸してと仰しゃいまして」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ええ、あの長い顔の
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やした。あれはなに、わたしあの人の下駄を見て
吃驚
(
びっくり
)
したわ。随分薄っぺらなのね。まるで
草履
(
ぞうり
)
よ」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの中の言葉はまた何とした古風なものでしたろう。お廊下のことをおめんどうといい、
草履
(
ぞうり
)
のことをおこんごうといってる。
私の思い出
(新字新仮名)
/
柳原白蓮
(著)
その身なりを見ると言合せたように、男は
襤褸
(
ぼろ
)
同然のスェータか国民服に黄色の古帽子、破れた半靴。また
草履
(
ぞうり
)
ばき。年は大方四十がらみ。
買出し
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(なあんだ。あと姥石まで
煙草
(
たばこ
)
売るどこなぃも。ぼかげで
置
(
お
)
いで
来
(
こ
)
。)おみちは
急
(
いそ
)
いで
草履
(
ぞうり
)
をつっかけて出たけれども間もなく戻って来た。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
僧が
引込
(
ひきこ
)
んだので三左衛門はそこへ
草履
(
ぞうり
)
を脱いであがった。庵の内には
藁
(
わら
)
を敷いて
見附
(
みつけ
)
に
仏間
(
ぶつま
)
を設けてあったが、それは扉を締めてあった。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
草履
(
ぞうり
)
をひっかけた彼の足音は、やわらかいおが屑のなかに消えてしまった。彼は立ちどまってふと相手をうかがうようにした。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
我
(
おれ
)
は火の玉の兄きがところへ遊びに行たとお吉帰らば云うておけ、と
草履
(
ぞうり
)
つっかけ出合いがしら、
胡麻竹
(
ごまだけ
)
の
杖
(
つえ
)
とぼとぼと
焼痕
(
やけこげ
)
のある
提灯
(
ちょうちん
)
片手
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
嫩草山
(
わかくさやま
)
の麓の茶屋に来た頃は、秋の日が入りかけた。
草履
(
ぞうり
)
をはいた娘子供が五六人、たら/\と
滑
(
すべ
)
る様に山から下りて来た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そう考えたのであるが、まもなく、縁側へあらわれた庄兵衛が
笠
(
かさ
)
を持ち、
草履
(
ぞうり
)
を持っているのを見て「あ」と口を押えた。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三百石の家にては侍二人、
具足持
(
ぐそくもち
)
一人、
鑓持
(
やりもち
)
一人、
挾箱
(
はさみばこ
)
持
(
もち
)
一人、馬取二人、
草履
(
ぞうり
)
取
(
とり
)
一人、
小荷駄
(
こにだ
)
二人の軍役を寛永十年二月十六日の御定めなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
それからもう
一
(
ひと
)
つ
道中
(
どうちゅう
)
姿
(
すがた
)
に
無
(
な
)
くてはならないのが
被衣
(
かつぎ
)
……
私
(
わたくし
)
は
生前
(
せいぜん
)
の
好
(
この
)
みで、
白
(
しろ
)
の
被衣
(
かつぎ
)
をつけることにしました。
履物
(
はきもの
)
は
厚
(
あつ
)
い
草履
(
ぞうり
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そのとき、
子供
(
こども
)
らは
恨
(
うら
)
めしそうに、こちらを
見
(
み
)
たが、いずれも
顔色
(
かおいろ
)
は
青
(
あお
)
く、
手足
(
てあし
)
がやせて、
草履
(
ぞうり
)
を
引
(
ひ
)
きずって
歩
(
ある
)
くのも
物憂
(
ものう
)
そうなようすであった。
子供は悲しみを知らず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私は寄宿舎から、帽子もかぶらずに、
草履
(
ぞうり
)
のまんま、私の家へ
駈
(
か
)
けつけた。私の家はもう焼けていた。私は私の両親の
行方
(
ゆくえ
)
を知りようがなかった。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
やがてカラリと箸を置くと、フラリと立って土間へ下り、
草履
(
ぞうり
)
をはくとのめるように、灯の明るい町へ引かれて行った。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
両大師の際の学校の頃は、少し早く行くと、そこらの草原は露が深くて、歩けば
草履
(
ぞうり
)
の裏がすっかり
濡
(
ぬ
)
れるほどでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
前つぼの
固
(
かた
)
い
草履
(
ぞうり
)
の
先
(
さき
)
で
砂
(
すな
)
を
蹴
(
け
)
って、一
目散
(
もくさん
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した
伝吉
(
でんきち
)
は、
提灯屋
(
ちょうちんや
)
の
角
(
かど
)
まで
来
(
く
)
ると、ふと
立停
(
たちどま
)
って
小首
(
こくび
)
を
傾
(
かし
)
げた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
洗面所で手を洗っていると、丁度窓の下を第二工場の連中が帰りかけたとみえて、ゾロ/\と板
草履
(
ぞうり
)
や靴バキの音と一緒に声高な話声が続いていた。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
左手の何か大きい四角の石で女らしいのが
頻
(
しき
)
りに藁を打って居る、夜なべに縄をなうか、
草履
(
ぞうり
)
でもつくるのであろう。
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そこには人の影はなく、ぴかぴかと黒光りのする板敷に
藺
(
い
)
で作ったスリッパのような上
草履
(
ぞうり
)
が行儀よく並べてあった。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
すると、ふと、その中に、むこうからトボトボと近づいて来た、細長い人影——雪之丞が身をひそめた、つい側まで来て、ピタリと
草履
(
ぞうり
)
の音を止めた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
赤土と水が出て、あたりは
踏
(
ふ
)
み立てられぬほど路がわるかった。組合の男はいち早く
草履
(
ぞうり
)
を
踏
(
ふ
)
み込んで、買いたての白足袋を散々にしたと言っている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
とにかく、芝居に出て来る人物の印象を与えるような服装だったら、少年はそれで満足なのでした。初夏のころで、少年は素足に麻裏
草履
(
ぞうり
)
をはきました。
おしゃれ童子
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
枝が揺れさわぐと、やみのなかに黒い影がおどって、冷や飯
草履
(
ぞうり
)
をとおして、地面の冷えが、はい上がってきた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
履物
(
はきもの
)
の類では同じ町に見かける
阿檀葉
(
あだんば
)
の
草履
(
ぞうり
)
を挙げねばなりません。よく
燻
(
いぶ
)
して海水で洗いますが、これを繰り返すこと二十年にも及ぶものがあります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そう云うと、夫人は軽やかに、紫のフェルトの
草履
(
ぞうり
)
で、
踏台
(
ステップ
)
を軽く踏んで、ヒラリと車中の人になってしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一
人
(
にん
)
は三
尺
(
じやく
)
帶
(
おび
)
に
突
(
つツ
)
かけ
草履
(
ぞうり
)
の
仕事師
(
しごとし
)
の
息子
(
むすこ
)
、一
人
(
にん
)
はかわ
色
(
いろ
)
金巾
(
かなきん
)
の
羽織
(
はをり
)
に
紫
(
むらさき
)
の
兵子帶
(
へこおび
)
といふ
坊樣仕立
(
ぼうさましたて
)
、
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
はうらはらに、
話
(
はな
)
しは
常
(
つね
)
に
喰
(
く
)
ひ
違
(
ちが
)
ひがちなれど
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
なよたけ (
草履
(
ぞうり
)
をはきながら)静かにしなければ
嫌
(
いや
)
。うるさくする子はもう遊んであげない。……お父さん。また、みんなと一緒に遊びに行って来るわ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
廊下を通る男たちの
草履
(
ぞうり
)
のすれる音、二、三人ひそひそと人目をぬすんで話しつつ行く気はい、運搬車の車のきしむ響き、三度三度の飯時に食器を投げる音
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
玄関の履き物を調べさせてみると、綾子のはいてきた
草履
(
ぞうり
)
が、いつの間にか無くなっていることがわかった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「男持ちの
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
を出して下さい。」「
草履
(
ぞうり
)
を出して下さい。」「河を渡って桃を見に行くから。」私は必ずしも、男性に
餓
(
う
)
えているというわけではなかった。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は重い雨傘をかたむけて、有楽町から日比谷見附を過ぎて堀端へ来かかると、
俄
(
にわか
)
にうしろから足音がきこえた。足駄の音ではなく、
草履
(
ぞうり
)
か
草鞋
(
わらじ
)
であるらしい。
御堀端三題
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鶏の糞をかき集めると、畑の
肥料
(
こやし
)
になるのである。すると、そこへ紺絣の筒っぽに、板裏の
草履
(
ぞうり
)
をはいた三太がやって来た。三太は牧の旦那の
独
(
ひと
)
り息子である。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
“草履”の意味
《名詞》
わら、藺草などで編まれ、底が平らで鼻緒が挿げられている履物。
(出典:Wiktionary)
“草履”の解説
草履(ぞうり)は、鼻緒を有する日本の伝統的な履物。明治以降に洋靴が普及するまで日本で広く使用された。
古くは藁(わら)を材料に作られた履物で藁草履ともいう。構造的に同じく鼻緒部分(strap)と台の部分(sole)があるが、ゴム製のものはゴム草履(flip-flops)と呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
履
常用漢字
中学
部首:⼫
15画
“草履”で始まる語句
草履取
草履穿
草履袋
草履屋
草履持
草履表
草履下駄
草履片方