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若
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も
ふりがな文庫
“
若
(
も
)” の例文
フランスの兵が
若
(
も
)
し官許を得て通るのなら、前以て外国事務係前宇和島藩主
伊達伊予守宗城
(
だていよのかみむねき
)
から通知がある筈であるに、それが無い。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
若
(
も
)
し地球が熱病を患ったのだとすれば、その熱病の病源菌は、喜多川治良右衛門とその周囲の悪友共であったとも云い得たであろう。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
若
(
も
)
し彼女に手紙を出すことを許されなかったら、そして時々彼女が手紙をくれなかったら、私はパリのこの地獄の中で死ぬだろう」
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
若
(
も
)
し鴉片の煙の匂に近い匂を求めるとすれば、それは人気のない墓地の隅に寺男か何かの掃き集めた
樒
(
しきみ
)
の葉を焚いてゐる匂であらう。
鴉片
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
若
(
も
)
しくは
又
(
また
)
苔の下に咽んでいた清水の滴りが岩間に走り出て、忽ち
潺湲
(
せんかん
)
の響を立てながら一道の迅流となって駆け下りて行くように
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
▼ もっと見る
若
(
も
)
しこの歌が止んだなら全く浮世と繋がる一筋の糸も断ち切られてしまうので、
悪
(
にく
)
むべき敵ながら、その歌う歌の調子に涙ぐまれた。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
然し人一倍義侠心の強い彼は、
若
(
も
)
し京太郎にとって悪い奴なら、自分がなんとか
扱
(
あしら
)
ってやろうと考え、そのまま浜の方へ
馳
(
か
)
けだした。
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……
若
(
も
)
しも落第をしようものなら、一年前に入學してゐる朋輩に對しても、家の者や村の者に對しても、おめ/\顏は合はされない。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
若
(
も
)
しも人々が国家の大祭日に当りて、肉体の休養と精神の慰安とに心を用いるなら、凡そ天下にそれほどよきものはないのであろう。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
若
(
も
)
し勧進の職を承るならば、劇務万端のために修行念仏の本意に背くことになりますから、どうぞこの儀は御免を願い度うございます
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其の時院の
御
(
み
)
けしきかはらせ給ひ、汝聞け、帝位は人の
極
(
きはみ
)
なり。
若
(
も
)
し
人道
(
にんだう
)
上
(
かみ
)
より乱す
則
(
とき
)
は、天の
命
(
めい
)
に応じ、
民
(
たみ
)
の
望
(
のぞみ
)
に
順
(
したが
)
うて是を
伐
(
う
)
つ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「鰻? 鰻ですか。フフフフフ、いや、鰻でも悪い。ピアノは鰻を置く処じゃない。
彼
(
あ
)
んなに
嚇
(
おどか
)
して
若
(
も
)
し病気になったら
如何
(
どう
)
します」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
虚偽
(
うそ
)
ツ、
若
(
も
)
し其れならば、姉さん、
貴嬢
(
あなた
)
の苦悶を私に打ち明けて下すつても
可
(
い
)
いぢやありませんか、秘密は即ち不信用の証拠です」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
若
(
も
)
し、同じやうな意味で選まれたとすると、その男が飛んだ目に逢つたやうに、僕も何時かは、飛んだ目に逢ひさうです。はゝゝゝ。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それにしても、
文字
(
もんじ
)
が彫ってあると云うのは
頗
(
すこぶ
)
る面白い問題で、
若
(
も
)
し
其
(
そ
)
の
文字
(
もんじ
)
の解釈が
能
(
でき
)
たら、𤢖の正体は
愈
(
いよい
)
よ確実に判りましょう。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
神の現前
若
(
も
)
しくは内住若しくは自我の高挙、光耀等の意識につきては、事に触れ境に接して、予がこれまで
屡〻
(
しば/\
)
躬
(
みづか
)
ら経たる所なりしが
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
尤
(
もつと
)
も、あれで
若
(
も
)
しどつちかが
斷然
(
だんぜん
)
強
(
つよ
)
くでもなつたとしたら、
恐
(
おそ
)
らく
進
(
すゝ
)
まぬ方は
憤然
(
ふんぜん
)
町内を
蹴
(
け
)
つて
去
(
さ
)
つたかも知れない。
桑
(
くは
)
原、
桑
(
くは
)
原!
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
若
(
も
)
し其処のが
負傷者
(
ておい
)
なら、この
叫声
(
わめきごえ
)
を聴いてよもや気の付かぬ事はあるまい。してみれば、これは死骸だ。味方のかしら、敵のかしら。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
そして勧善懲悪の名の
下
(
もと
)
に一篇の結末に至つて此等の人物が惨殺
若
(
も
)
しくは所刑せられるのに対して、英雄的悲壮美を経験するのである。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
三日過ぎたら大抵その縄張りを出て行くのであるが、
若
(
も
)
しもっと永くそこに留まろうとすれば、それ以後の費用は勿論甲の自弁である。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それで
若
(
も
)
しやお宅で何かの物音をおききになったか、或は衣川の姿でもご覧になりはしなかったかと思って、それを伺いに来たのです。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
自分
(
じぶん
)
の
同年齡
(
おないどし
)
で
自分
(
じぶん
)
の
知
(
し
)
つてる
子供
(
こども
)
を
殘
(
のこ
)
らず
片
(
かた
)
ッ
端
(
ぱし
)
から
考
(
かんが
)
へ
始
(
はじ
)
めました、
若
(
も
)
しも
自分
(
じぶん
)
が
其中
(
そのかな
)
の
誰
(
だれ
)
かと
變
(
か
)
へられたのではないかと
思
(
おも
)
つて。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
前
(
まへ
)
に
内外
(
ないがい
)
の
火山
(
かざん
)
を
巡見
(
じゆんけん
)
した
場合
(
ばあひ
)
の
記事
(
きじ
)
を
掲
(
かゝ
)
げて
置
(
お
)
いたが、
諸君
(
しよくん
)
若
(
も
)
し
兩方
(
りようほう
)
を
比較
(
ひかく
)
せられたならば、
國内
(
こくない
)
の
火山作用
(
かざんさよう
)
は
概
(
がい
)
して
穩
(
おだや
)
かであつて
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
源「黙れ左様な無礼な事を申して、
若
(
も
)
し用があったらどう致す、イヤサ御主人がお留守でも用の足りる
仔細
(
しさい
)
があったら
何
(
ど
)
うする積りだ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ヂュリ
誓言
(
せいごん
)
には
及
(
およ
)
びませぬ。
若
(
も
)
し
又
(
また
)
、
誓言
(
せいごん
)
なさるなら、わたしが
神樣
(
かみさま
)
とも
思
(
おも
)
ふお
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
をお
懸
(
か
)
けなされ、すればお
言葉
(
ことば
)
を
信
(
しん
)
じませう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
若
(
も
)
し熱のためでないとすれば、それはこの天気のせゐだ。このひどい風のせゐだ。と彼は思つた。全くその日はひどい風であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
若
(
も
)
しもあなたのような
優
(
や
)
さしい
御方
(
おかた
)
が
最初
(
さいしょ
)
からお
世話
(
せわ
)
をして
下
(
くだ
)
さったら、どんなにか
心強
(
こころづよ
)
いことであったでございましたろう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あゝ、
海賊船
(
かいぞくせん
)
か、
海賊船
(
かいぞくせん
)
か、
若
(
も
)
しもあの
船
(
ふね
)
が
世界
(
せかい
)
に
名高
(
なだか
)
き
印度洋
(
インドやう
)
の
海賊船
(
かいぞくせん
)
ならば、
其
(
その
)
船
(
ふね
)
に
睨
(
にら
)
まれたる
我
(
わが
)
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
運命
(
うんめい
)
は
最早
(
もはや
)
是迄
(
これまで
)
である。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「では
若
(
も
)
しや……」司令官は、何に
駭
(
おどろ
)
いたのか、その場に、直立不動の姿勢をとり、湯河原中佐の
憐愍
(
れんびん
)
を求めるかのように見えた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
巴里
(
パリイ
)
の小包は一日平均七千個だと云ふから、
之
(
これ
)
を
若
(
も
)
し郵便局で配達するとすれば係員の多くを要し事務の繁雑な割に利する所は
少
(
すくな
)
いが
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
若
(
も
)
しも浜田は、私と彼女とが既に完全な夫婦であると云われなかったら、進んで彼女を譲ってくれと云い出すつもりだったのでしょう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お前をうらみますぞえ——お前が、何もかも悪いのじゃ——坊やが、
若
(
も
)
しもいなくなってしまったら、どうしよう! どうしよう!
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
若
(
も
)
し私があなた方のような探偵小説作家だったら、之からお話しようとする事件を一篇の興味深い探偵小説に仕組んで発表するでしょう。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
けれど、
若
(
も
)
しその一言の見当が外れて居たら、こちらの完全な失敗であるから、更に初めから事件を
検
(
しら
)
べなおさねばならない……
呪われの家
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
若
(
も
)
し両親にして自己の幸福を犠牲にしない時は自然はその法則によつて彼等の罪を子供に報ひ、以て彼等の義務の怠慢を罰するであらう。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
若
(
も
)
しそれが出来さえすれば、気筒を上下に立てておくことも必要でなくなり、これを横にしておいてピストンを左右に動かすこともでき
ジェームズ・ワット
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
若
(
も
)
し支那の如き族制に起りたる国に自由の精気を
需
(
もと
)
め、英米の如き立憲国に忠孝の精気を求めなば、人は唯だ其愚を笑はんのみ。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「何事も隠さず云って頂きたい。そうでないと我々は貴君を氏名詐称と、
若
(
も
)
しかすると、詐欺取材で告発しなければなりません」
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それが度重なつたところで、そんな神経が
若
(
も
)
しあつたとしても、いつか
萎
(
な
)
えてしまつて、常習的に感じがなくなつてしまつたものだつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
若
(
も
)
し
謂
(
い
)
うところの芸術家のみが創造を
司
(
つかさど
)
り、他はこれに
与
(
あずか
)
らないものだとするなら、どうして芸術品が一般の人に訴えることが出来よう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
若
(
も
)
し何か危険にでも遇って、再び帰れないような場合には、荷物全部はグルンダー君をわずらわして、日本へ送ることに主人に依頼した。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
「
頻
(
しき
)
りに相撲宗平に手をこひて、
若
(
も
)
し負くるものならば時弘が首を切られん。宗平負けば、又宗平が首を切らんなど申しけるを」
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
屋敷の中に穴を
掘
(
ほっ
)
て隠れて居ようか、ソレでは雨の降るときに困る。土蔵の
椽
(
えん
)
の下に
這入
(
はいっ
)
て居ようか、
若
(
も
)
し大砲で撃れると困る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
赦
(
ゆる
)
してくれと謂ふのだらう。その外には、見なければ成らん用事の有る訳は無い。
若
(
も
)
し有ると為れば、それは見る可からざる用事なのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
新らしい道は古き道を辿る人々
若
(
も
)
しくは古き道を行き詰めた人々に未だ知られざる道である。又辿らうとする先導者にも初めての道である。
新らしき女の道
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
こういうとき、私は強い衝動に駆られて、
若
(
も
)
し許さるるなら私は大声挙げて「タロー! タロー!」と野でも山でも叫び廻り度い気がする。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
若
(
も
)
し来客あれば、一々この魚を指し示して、そを釣り挙げし来歴を述べ立つるにぞ、客にして慢性欠伸症に罹らざるは稀なり。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
「お爺さん。御免よ。
若
(
も
)
し綱が切れて高い所から落っこちると、あたい死んじまうよ。よう。後生だから勘弁してお呉れよ。」
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
若
(
も
)
し彼等が結合を作つたなら、青年は恐らく凍死するの危険を冒さなければならなかつたかも知れないと私は気づかつてゐる。
婦人解放の悲劇
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
『倅にそんなことがあるものか』という考えは
何時
(
いつ
)
の間にか消えてしまって、『
若
(
も
)
しか事実だったら……』と、そればかりが気づかわれた。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
“若”の意味
《名詞》
(わか)若君の略。代名詞的にも用いられる。
(出典:Wiktionary)
若
常用漢字
小6
部首:⾋
8画
“若”を含む語句
若衆
若干
傍若無人
若人
若者
若僧
若子
自若
杜若
若年
若木
若武士
天若日子
蘭若
老若
老若男女
若輩
若々
幸若
若侍
...