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股
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もも
ふりがな文庫
“
股
(
もも
)” の例文
ハラムは印度人の
中
(
うち
)
でも図抜けの大男だった。背の高さが二
米突
(
メートル
)
ぐらいあって左右の腕が日本人の
股
(
もも
)
とおんなじ大きさをしていた。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お庄は
背
(
せなか
)
や
股
(
もも
)
のあたりにびっしょり汗を掻きながら、時々蓄音機の前や、風鈴屋の前で足を休めて、
背
(
せなか
)
で眠りかける子供を揺り起した。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
臀
(
しり
)
と
股
(
もも
)
と
膝頭
(
ひざがしら
)
が一時に飛び上がった。自分は
五位鷺
(
ごいさぎ
)
のように布団の上に立った。そうして、
四囲
(
あたり
)
を見廻した。そうして泣き出した。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんどは自分から立っていって薄暗い
厨房
(
ちゅうぼう
)
の調理台にあった兎の
股
(
もも
)
みたいな
烙
(
あぶ
)
り肉を右手に一本つかみ、それを横へ
咥
(
くわ
)
えかけた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は
少年心
(
こどもごころ
)
に少し薄気味悪く思ったが、松の下に近づいて見ると角のない
奴
(
やつ
)
のさまで大きくない鹿で、
股
(
もも
)
に
銃丸
(
たま
)
を受けていた。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
八
(
や
)
っちゃんが黒い石も白い石もみんなひとりで両手でとって、
股
(
もも
)
の下に入れてしまおうとするから、僕は怒ってやったんだ。
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
内地にいる時と、外地にいる時と、自分ながら、まるでもう人が違っているような気がして、われとわが
股
(
もも
)
を
抓
(
つね
)
ってみたくなるような思いだ。
雀
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
式部が弟五郎次郎、兄をかばわんとて、立ち向うを、真柄余りに強く打ちければ、五合郎が太刀を
鎺元
(
はばきもと
)
より斬り落し、右手の
股
(
もも
)
をなぎすえた。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
わあっと笑い声と一しょにかけてくる背の高い男は、この寒空の下で素足の肌を
股
(
もも
)
のあたりまで見せながら、長髪をゆさゆささせて走ってくる。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「どうも、そうらしくないよ。お園の死骸の
股
(
もも
)
のところに、血染の手形が着いていたが、あれは随分大きかったようだな」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それで当日は伊藤が全責任を持ち、両
股
(
もも
)
がゴムでぴッしりと強く締まるズロースをはいて、その中に入れてはいること。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
痩
(
や
)
せた
女
(
ひと
)
の
股
(
もも
)
ほどもある腕をもっている体格の、腕力の強い母親だった。ドサリと背中へ乗りかけられてしまうと、
跳返
(
はねかえ
)
すことなどは出来なかった。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
飛
(
とん
)
でかかれば黄金丸も、
稜威
(
ものもの
)
しやと振り
払
(
はらっ
)
て、また
噬
(
か
)
み付くを
丁
(
ちょう
)
と
蹴返
(
けかえ
)
し、その
咽喉
(
のどぶえ
)
を
噬
(
かま
)
んとすれば、
彼方
(
あなた
)
も去る者身を沈めて、黄金丸の
股
(
もも
)
を噬む。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
未
(
ま
)
だ暑いから
股引
(
ももひき
)
は
穿
(
は
)
かず、
跣足
(
はだし
)
で
木屑
(
きくず
)
の中についた
膝
(
ひざ
)
、
股
(
もも
)
、胸のあたりは色が白い。大柄だけれども
肥
(
ふと
)
っては
居
(
お
)
らぬ、ならば
袴
(
はかま
)
でも穿かして見たい。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかる後ハチマキをしめハカマの
股
(
もも
)
ダチをとり、武器をとって相対するのが昔の定法であるから、まして殿様の眼前のことだ、相手はあくまで礼儀専一に
花咲ける石
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
雑兵共に踏入られては、御かばねの上の御恥も
厭
(
いと
)
わしと、
冠
(
かむ
)
リ
落しの信国が刀を抜いて、おのれが
股
(
もも
)
を二度突通し試み、如何にも刃味
宜
(
よ
)
しとて主君に奉る。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と言って、長火鉢の前で、がんりきのやくざ野郎に吸附煙草を吸わせて、それを傍から甘ったるく
睨
(
にら
)
みつけたお蘭のあまが、百の野郎の
股
(
もも
)
をつねりました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どうです、一句出ましたぜ、洪水に女の
股
(
もも
)
の白きかな——ハッ、ハッ、いかがでげす」などと、
嘔吐
(
へど
)
のごとき
醜句
(
しゅうく
)
を吐き出せば、
側
(
かたわら
)
の痩男は小首を
捻
(
ひね
)
って
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
人間の
体躯
(
たいく
)
も骨ばかりでは用をなさぬ、筋肉もあれば
脂肪
(
しぼう
)
もある、腹や
股
(
もも
)
が柔であるから、人体は柔であるといえぬ。
爪
(
つめ
)
や
歯牙
(
しが
)
があるから剛だともいわれぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
女は荒い中形模様の
湯衣
(
ゆかた
)
を着て、殆ど仰向きに倒れている。併し、着物が膝の上の方までまくれて、
股
(
もも
)
がむき出しになっている位で、別に抵抗した様子はない。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
行水
(
ぎょうずい
)
でもつかうように、
股
(
もも
)
の
付根
(
つけね
)
まで
洗
(
あら
)
った
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
が、
北向
(
きたむき
)
の
裏
(
うら
)
二
階
(
かい
)
にそぼ
降
(
ふ
)
る
雨
(
あめ
)
の
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
きながら、
徳太郎
(
とくたろう
)
と
対座
(
たいざ
)
していたのは、それから
間
(
ま
)
もない
後
(
あと
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そして、小さい子や女の子は、やはらかい
股
(
もも
)
のやうにふくらんだ、色さまざまの
浮袋
(
ブイ
)
をもつてゐます。
プールと犬
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
橘の顔は
硬
(
こわ
)
ばり、思わず低い驚きの声を発したほどだった。事、ここに至ってはどういいようもなく、
股
(
もも
)
がこまかくふるえて来て唖のように二人の若者を見守った。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それは夏の
夕
(
ゆうべ
)
一人の秀才が庭の
縁台
(
えんだい
)
の上で寝ていると、
数多
(
たくさん
)
の蛍が来て
股
(
もも
)
のあたりへ集まっていた。
馬の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
わが
足下
(
あしもと
)
に
横
(
よこた
)
わっているのは、尋ぬる父の安行であった。わが右の足で踏んでいた柔かい物は
粘土
(
ねばつち
)
で無い、
老
(
おい
)
たる父の左の
股
(
もも
)
であった。市郎は驚いて声も出なかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、いったいどこへ行ったらよかろうかと、立ち止まって考えたとき、ふと、俊夫君が今「本郷なりどこへなり」と言ったことを思い出し、私は思わず
股
(
もも
)
を打ちました。
紅色ダイヤ
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
尻尾
(
しっぽ
)
の毛は大鳥毛のようで高く巻き上がって
房
(
ふっ
)
さりしており、
股
(
もも
)
の前にも
伴毛
(
ともげ
)
が長い、胴は短くつまって四足細く指が長く歩く時はしなしなする。頭が
割方
(
わりかた
)
大きく見ゆる。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
着たままの、
外出着
(
よそいき
)
も、すっかり
皺
(
しわ
)
だらけになってしまっているが、膝のあたりに水いろの湯巻がこぼれて、ふくらかな
股
(
もも
)
が、ちょっとあらわれて、じきに隠されてしまった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それが幾年にも人の通ったけはいもなく、両側から
丈
(
たけ
)
高い熊笹に
掩
(
おお
)
われている、胸許までといっては大ゲサ過ぎるかも知れぬが、
股
(
もも
)
のあたりくらいまでは、確かにあったであろう。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
十五年二月廿二日御当家
御攻口
(
おんせめくち
)
にて、御幟を一番に入れ候時、銃丸左の
股
(
もも
)
に
中
(
あた
)
り、ようよう引き取り候。その時某四十五歳に候。
手創
(
てきず
)
平癒
(
へいゆ
)
候て後、某は十六年に
江戸詰
(
えどづめ
)
仰つけられ
候
(
そろ
)
。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
南部牛は既に四つの大きな肉の塊に成って、その一つズツの
股
(
もも
)
が屠場の奥の方に釣された。屠手の頭はブリキの箱を持って来て、大きな丸い黒印をベタベタと牛の股に
捺
(
お
)
して歩いた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こは何事と
駭
(
おどろ
)
ける貫一は、身を
避
(
さく
)
る
暇
(
いとま
)
もあらず三つ四つ撃れしが、
遂
(
つひ
)
に取つて抑へて両手を働かせじと為れば、
内俯
(
うつぷし
)
に引据ゑられたる満枝は、物をも言はで彼の
股
(
もも
)
の
辺
(
あたり
)
に
咬付
(
かみつ
)
いたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
時には脚が膝のところで切れており、時には
股
(
もも
)
のつけ根から切れていた。また時には、もとからその一本脚しかなくて、それが胴体の真中についているという怪物であることもあった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
従って接合部切口における断面積も算出されるわけだから、これらの数値によって不要なる
贅肉
(
ぜいにく
)
は揉み出して切開除去されるのだ。だから
股
(
もも
)
と移植すべき脚との接合部はぴたりと合う。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ピカピカ光る五銭玉を握って肉屋の店先へ立ち、猪の肉を切ってくれる親爺の手許をじっと見つめながら、今日はどこの肉をくれるだろう、
股
(
もも
)
ったまのところかな、それとも腹のほうかな。
猪の味
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
旋風が吹きおこって「通行人の身にものあらくあたれば
股
(
もも
)
のあたり縦さまにさけて、
剃刀
(
かみそり
)
にて切りたるごとく口ひらけ、しかも痛みはなはだしくもなし、また血は少しもいでず、うんぬん」
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして
袴
(
はかま
)
の
股
(
もも
)
だちをとって
田舎道
(
いなかみち
)
を歩いてゆかれた先生の姿など眼のまえに浮かんでくる。甲州
御嶽
(
みたけ
)
の歌会には私の都合で行をともにすることのできなかったのを、今でも遺憾に思っている。
左千夫先生への追憶
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
で、彼は子供の頭を押え、
股
(
もも
)
でその
繊細
(
かぼそ
)
い
腰部
(
こし
)
を締めつけた——子供は両手を男の膝の上においていたが——そのとき男は、或る
憎悪
(
にくしみ
)
が、われにもあらず、むらむらっと心中に沸きかえった。
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
終には御自身の
股
(
もも
)
の肉を割愛して、
餓
(
う
)
え求むる者に与え去らしめたというが如き、
姑息弥縫
(
こそくびほう
)
の解決手段の
外
(
ほか
)
に、この悲しむべき利害の大衝突を、永遠に調和せしむる策を見出し得ざったのであす。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それが、固く引締った下から太い
股
(
もも
)
が出ている処に胸のどきつく美しさがあった。それが針金の上で、あるいは空中の高い処であらゆるポーズをして見せるのだから、今でも私はあの芸当を好む。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「顔だけ見ているとそうでもないが、
裸体
(
はだか
)
になると
骸骨
(
がいこつ
)
だ。
股
(
もも
)
なんか
天秤棒
(
てんびんぼう
)
ぐらいしかない。能く立ってられると思う、」と大学で
癌
(
がん
)
と鑑定された
顛末
(
てんまつ
)
を他人の
咄
(
はなし
)
のように静かに
沈着
(
おちつ
)
いて話して
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
わが悪しき犬なり女医の
股
(
もも
)
噛めり
今日:02 今日
(新字旧仮名)
/
西東三鬼
(著)
わたしの腕で、わたしの
股
(
もも
)
で
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
騎手は眼を細めて
股
(
もも
)
で締める
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そっと
股
(
もも
)
へ引きつけた。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
股
(
もも
)
長に
寢
(
い
)
は
宿
(
な
)
さむを。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
苔むすや、
股
(
もも
)
、
臂
(
ただむき
)
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
兄貴のフェリックスはいう——「おれが、とっとくよ。そいつで釣りに行かあ。とんでもねえ、母さんの血んなかへ
漬
(
つ
)
かってた針なんてなあ、申し分、この上なしだ。
捕
(
と
)
れるっちゃねえぞ、魚が!
股
(
もも
)
みたいなでっけえやつ、気の毒だが、用心しろ!」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
耳の附根の処をゾキゾキやっていた剃刀の音がモウ一度ソッと離れ
退
(
の
)
いた。同時に吾輩のお尻から両
股
(
もも
)
にかけてゾーッと粟立って来た。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
平岡は
股
(
もも
)
の上へ
肱
(
ひじ
)
を乗せて、肱の上へ
顎
(
あご
)
を載せて黙っていたが、何にも云わずに盃を代助の前に出した。代助も黙って受けた。三千代は又酌をした。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
股
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“股”を含む語句
股引
股立
太股
大股
刺股
両股
小股
猿股
四股
股間
股倉
洲股
高股
墨股
手股
二股膏薬
股引下
八股
股引穿
股旅者
...