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礫
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つぶて
ふりがな文庫
“
礫
(
つぶて
)” の例文
雪国の
習
(
ならい
)
として、板屋根には沢山の石が載せてあるので、彼は
手当
(
てあたり
)
次第に取って投げた。石の
礫
(
つぶて
)
と雪の礫とが
上下
(
うえした
)
から乱れて飛んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
礫
(
つぶて
)
を拾って、そこらの笹の繁みへ、ねらいもきめずに投げつけた。石はカチンと松の幹にぶつかって、反射してほかへはねとんだ。
浮動する地価
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
きゃッ、と云うと、島が
真中
(
まんなか
)
から裂けたように、二人の
身体
(
からだ
)
は、浜へも返さず、
浪打際
(
なみうちぎわ
)
をただ
礫
(
つぶて
)
のように左右へ飛んで、
裸身
(
はだか
)
で逃げた。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何が落下するのか、屋根の上あたりに、キラキラと火花が光って、やがてバラバラと、
礫
(
つぶて
)
のようなものが、避難民の頭上に降ってきた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
八五郎は充分の自信で飛んで行きましたが、その晩は便りがなく、その翌る日も梨の
礫
(
つぶて
)
で、三日目の晝頃、ぼんやり戻つて來て
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
つづいて両手が下げられた時
礫
(
つぶて
)
や丸太や火のついている棒が、紋也の頭上へ恐ろしい勢いで、唸りながら落ちて来たからである。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
白刃
(
しらは
)
を
植
(
う
)
えたような
稲妻
(
いなづま
)
が
断間
(
たえま
)
なく
雲間
(
あいだ
)
に
閃
(
ひらめ
)
き、それにつれてどっと
降
(
ふ
)
りしきる
大粒
(
おおつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
は、さながら
礫
(
つぶて
)
のように
人々
(
ひとびと
)
の
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
ちました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と、足もとの小石を三つ四つ拾いとったかと思うと、はるか、流れの中ほどをねらって、おそろしく
熟練
(
じゅくれん
)
した
礫
(
つぶて
)
を投げはじめた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
がやがやと話し出したと見る間に、腰をかがめて、塵芥の山から、ブリキ
缶
(
かん
)
や、釘の折れや、竹切れなどを拾って、塵の
礫
(
つぶて
)
を飛ばし出した。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
巨大な影の交錯する縞の中で、人々の口が
爆
(
はじ
)
けていた。棉の塊りは動乱する頭の上を躍り廻った。
礫
(
つぶて
)
が
長測器
(
メートル
)
にあたって、ガラスを吐いた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それは北見と石狩の国境に近く、ふたつの
嶮
(
けわ
)
しい
山塊
(
さんかい
)
に囲まれた平原で、湿地や沼沢の多い、
礫
(
つぶて
)
の
洗出
(
あらいだ
)
されたひどい
荒蕪地
(
こうぶち
)
に
取巻
(
とりま
)
かれていた。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこで七兵衛も思案して、松の樹を下りましたが、さてどこへどう飛び込んだか、闇の
礫
(
つぶて
)
のようなもので影がわかりません。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
闇
(
やみ
)
の中を、
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
に走った。闇の中を、
礫
(
つぶて
)
のように走った。滅茶苦茶に、走りでもする外、彼の
嵐
(
あらし
)
のような心を抑える方法は何もなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
猿臂
(
ゑんぴ
)
をのばいたと見るほどに、早くも敵の大将を
鞍壺
(
くらつぼ
)
からひきぬいて、目もはるかな大空へ、
礫
(
つぶて
)
の如く投げ飛ばいた。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天狗の
礫
(
つぶて
)
と称して人のおらぬ方面からぱらぱらと大小の石の飛んできて、夜は山小屋の屋根や壁を打つことがあった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
千蔵も広島に
小店
(
こだな
)
をかり教授とやら申ことに候。帰後はなしとも
礫
(
つぶて
)
とも不承候。
源
(
げん
)
十
直卿
(
ちよくけい
)
仍旧
(
きうにより
)
候。源十軽浮、時々うそをいふこと自若。直卿
依旧
(
きうにより
)
候。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
二度も手紙を出したのに梨の
礫
(
つぶて
)
で返事が来ない、もう自分だけでは考えあぐねたので、実はこうこうしかじかなのですが、と三浦にだけは打明けました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
礫
(
つぶて
)
のようについと一羽の十姉妹が破れ目から庭へ飛び去った。続いて紅雀、残った十姉妹。あるものはすぐ縁側の下の
沈丁花
(
じんちょうげ
)
のこんもりした枝に止った。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
洗ふ
水音
(
みづおと
)
滔々
(
たう/\
)
として其の夜は
殊
(
こと
)
に一
天
(
てん
)
俄
(
には
)
かに
掻曇
(
かきくも
)
り
宛然
(
さながら
)
墨
(
すみ
)
を
流
(
なが
)
すに似て
礫
(
つぶて
)
の如き
雨
(
あめ
)
はばら/\と降來る
折柄
(
をりから
)
三更
(
さんかう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これでは長く歩いては凍死だと思った。
礫
(
つぶて
)
のような雪を吹きつけるばかりか身体が逆に吹き戻される。手のさきの感覚が無くなって顔がむやみとほてった。
五色温泉スキー日記
(新字新仮名)
/
板倉勝宣
(著)
お新の近くへ、
礫
(
つぶて
)
の落ちるのがつづくと共にお新は悟った。甚七の姿が、闇の中に立って、声が聞えると共に、このまゝ二人が捕えられてもいゝと思った。
新訂雲母阪
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
今にも降り出しそうな
戸外
(
そと
)
の闇黒から、何やら白い
礫
(
つぶて
)
のような物が、窓の
桟
(
さん
)
のあいだを飛んできて畳を打った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「女の面に
礫
(
つぶて
)
を打つような
酷
(
むご
)
たらしい方には、
従
(
つ
)
くような女はこの世界のどこにもいはいたしませぬ。」
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
民間にてはこれを
狐狸
(
こり
)
または
天狗
(
てんぐ
)
の所為と申しておる。ゆえに、その石を天狗
礫
(
つぶて
)
という名をつけてある。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
風いよいよ吹き募りて、暴雨一陣
礫
(
つぶて
)
のごとく雨戸にほとばしる。浪子は目を閉じつ。いくは身を震わしぬ。
三人
(
みたり
)
が
語
(
ことば
)
しばし途絶えて、風雨の音のみぞすさまじき。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
水溜りでもぬかるみでもお関いなしにガタビシと進んで行くので、泥が
礫
(
つぶて
)
のように四方に飛んだ。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
火取虫
(
ひとりむし
)
が
礫
(
つぶて
)
のように顔を
掠
(
かす
)
めて飛去ったのに驚かされて、空想から覚めると、君江は牛込から小石川へかけて眼前に見渡す眺望が急に何というわけもなく懐しくなった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それが、
茲
(
ここ
)
二三ヶ月、いくら手紙を出しても、いくら安否を問うても、まるで梨の
礫
(
つぶて
)
であった。
蝕眠譜
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
聳然
(
すつくり
)
と
空
(
そら
)
に
奔騰
(
ほんたう
)
しようとする
焔
(
ほのほ
)
を
横
(
よこ
)
に
壓
(
お
)
しつけ/\
疾風
(
しつぷう
)
は
遂
(
つひ
)
に
塊
(
かたまり
)
の
如
(
ごと
)
き
火
(
ひ
)
の
子
(
こ
)
を
攫
(
つか
)
んで
投
(
な
)
げた。
其
(
そ
)
の
礫
(
つぶて
)
はゆらり/\とのみ
動
(
うご
)
いて
居
(
ゐ
)
る
東隣
(
ひがしどなり
)
の
森
(
もり
)
の
木
(
き
)
がふはりと
受
(
う
)
けて
遮斷
(
しやだん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
然れども、油、犬、両篇を取って精読すれば、溢るゝばかりに冷罵の口調あるを見ざらんと欲するも得べからず。而して疑ふ、彼の冷罵は如何なる
対手
(
あひて
)
に向ふて投ぐる
礫
(
つぶて
)
なるや。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
財布の中へ
礫
(
つぶて
)
か何か入れて置いて、人の頭へ叩きつけて、ざまあ見やがれ、
彼様
(
あんな
)
汚い
形
(
なり
)
を
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
こうした
経緯
(
いきさつ
)
が、言葉を待つまでもなく、七人の
復辟
(
ふくへき
)
派には次々と
泛
(
うか
)
んでいった。まるで、ウルリーケの一言が
礫
(
つぶて
)
のように、追憶の、巻き拡がる波紋のようなものがあったのである。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
夜、外の闇から
火光
(
あかり
)
を眼がけて猛烈にカナブンが飛んで来る。ばたンばたンと
障子
(
しょうじ
)
にぶつかる音が、
礫
(
つぶて
)
の様だ。
掴
(
つか
)
んでは入れ、掴んでは入れして、サイダァの
空瓶
(
あきびん
)
が忽一ぱいになった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その上空に追い迫った一隊の爆撃機が急速なダイヴィングで
礫
(
つぶて
)
のごとく落下して来て、飛行船の横腹と横腹との間の狭い空間を電光のごとくかすめては滝壷の
燕
(
つばめ
)
のごとく舞上がる光景である。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その妻から与えられた黄金を
礫
(
つぶて
)
として池の
鴛鴦
(
えんおう
)
に
擲
(
ほう
)
ったので始めて黄金の貴重なことを知らされ、これがそんなに貴いものなら俺の炭を焼く山の谷川には幾らでもあるというお極りの譚の筋で
炭焼長者譚:系図の仮托と民族の改良
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
心せはしき
三度
(
みたび
)
五度
(
いつたび
)
、答なきほど迷ひは愈〻深み、氣は愈〻狂ひ、十度、二十度、哀れ六尺の
丈夫
(
ますらを
)
が二つなき魂をこめし
千束
(
ちづか
)
なす文は、底なき谷に投げたらん
礫
(
つぶて
)
の如く、只の一度の返り
言
(
ごと
)
もなく
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
破れた雨戸から雨が
礫
(
つぶて
)
のやうに降込んで来た。従つて何処も
濡
(
ぬ
)
れてゐないところはなかつた。廊下に出ようとすると、風が凄じく吹いて来て、手に持つた蝋燭は
危
(
あやふ
)
くそのために消されようとした。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「国賊ッ」叫喚が
礫
(
つぶて
)
の様に聴衆を打った。
十姉妹
(新字新仮名)
/
山本勝治
(著)
明智の投げた
礫
(
つぶて
)
がそいつに命中したのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
矢張
梨
(
なし
)
の
礫
(
つぶて
)
であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただ
一攫
(
ひとつま
)
みなりけるが、船の中に落つると
斉
(
ひと
)
しく、
礫
(
つぶて
)
打った水の輪のように舞って、花は、鶴の
羽
(
は
)
のごとく
舳
(
へさき
)
にまで咲きこぼれる。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
礫
(
つぶて
)
の渦巻が巡羅官の頭の上で唸り飛んだ。高く並んだ建物の窓々から、河のようなガラスの層が青く輝きながら、墜落した。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
(激しくしばたたく)それでな、わしが思うに、あの騒動中に誰の打った
礫
(
つぶて
)
が、松野様に当ったか、打った当人にもわかるものじゃないと思う。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
併
(
しか
)
し、二人は間に合ひませんでした。曲者は裏口から飛出すと、九段へ一足飛に飛んで白晝の牛ヶ
淵
(
ふち
)
へ、
礫
(
つぶて
)
のやうに身を投げてしまつたのです。
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と——もう小石の
礫
(
つぶて
)
が、そちらへ、飛んできた。
輦
(
くるま
)
をとび下りた寿童が、石をひろって、ぶつけているのである。そして
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに
応
(
こた
)
えるように、どこからか闇を
剪
(
き
)
って一つの
礫
(
つぶて
)
が飛んで来て、采女を囲んでいる敵の一人の真っ向を強く撲った。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
忽然
(
こつねん
)
、その時どこからともなく
礫
(
つぶて
)
がバラバラと降って来て、武者之助はじめ手下の者どもは、肩を打たれ背を
拉
(
ひし
)
がれ、手足を砕かれる者さえあった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お松はそこに人のあることは知らないで、一心に七兵衛の合図ばかりを待っていると、池の中へトボーンと
礫
(
つぶて
)
の音。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と思うと、それがまた
礫
(
つぶて
)
を投げるように、落として来て、太郎の鼻の先を一文字に、向こうの
板庇
(
いたびさし
)
の下へはいる。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
短刀を口にくわえ、赤ダスキをかけた「猫婆さん」が、花札を、ビュウ、ビュウ、と、目つぶしの
礫
(
つぶて
)
のように、風を切って投げながら、街を練り歩いている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
“礫”の解説
礫(䃯、れき、つぶて、こいし)は、小さい石、小石である。「礫」には様々な定義があるが(#大きさによる分類参照)、本項では特に断りのない限り、砂、ゴマ粒よりも大きく、握り拳大程度までの大きさの石について述べる。
(出典:Wikipedia)
礫
漢検1級
部首:⽯
20画
“礫”を含む語句
砂礫
瓦礫
石礫
礫川
小礫
火山礫
飛礫
礫道
磧礫
沙礫
火山礫層
雪礫
人礫
紙礫
礫刑
石飛礫
紙飛礫
天狗礫
巨礫
礫岩
...