現象げんしやう)” の例文
いにしへ國民こくみん地震ぢしんつても、科學的素養くわがくてきそやうけてゐるから、たゞ不可抗力ふかかうりよく現象げんしやうとしてあきらめるだけで、これに對抗たいかうする方法はうはふ案出あんしゆつない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
かれ眼前がんぜんこほりぢては毎日まいにちあたゝかひかり溶解ようかいされるのをた。かれにはそれがたゞさういふ現象げんしやうとしてのみうつつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この社交的しやかうてき坂井さかゐと、孤獨こどく宗助そうすけ二人ふたりつてはなし出來できるのは、御米およねにさへめうえる現象げんしやうであつた。坂井さかゐ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なかには人間にんげん知識ちしき高尚こうしやう現象げんしやうほかには、ひとつとして意味いみのある、興味きようみのあるものはいのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其金そのかね内地ないち金貨きんくわもつ支拂しはらつたのではない、したがつ内地ないち通貨つうくわらぬのであるが、しかしながら金解禁きんかいきんが一ぐわつ十一にち出來できのちには、以前いぜんとはまつたちがつた現象げんしやうるのは
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
しかるに家業かげふ出精しゆつせいゆゑもつて、これよりさきとく一個いつここの鍛冶屋かぢやしやうたまひしより、昧爽まいさうける市街しがい現象げんしやううておもむきへんじ、今日けふ此頃このごろいたりては、鍛冶屋かぢや丁々てう/\ふもさらなり
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もつとも周三は近頃ちかごろおそろしい藝術的げいじゆつてき頬悶ほんもんおちいツて、何うかすると、折角せつかく築上つきあげて來た藝術上の信仰しんかう根底こんていからぐらつくのであツた、此のぐらつきは、藝術家にりて、もつとも恐るべき現象げんしやう
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
建築けんちく耐震的考慮たいしんてきかうりよくはふるとは、地震ぢしん現象げんしやう考究かうきうして、材料ざいれう構造こうざう特殊とくしゆ改善かいぜんくはふることで、これは餘程よほど人智じんち發達はつたつし、社會しやくわい進歩しんぽしてからのことである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
立春りつしゆんぎてから、かへつ黄昏たそがれ果敢はかないうすひかりそらちるはず西風にしかぜなにいかつてかいて/\まくつて、わたつても幾日いくにちまぬほど稀有けう現象げんしやうともなうて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かくごと風雲ふううんは、加能丸かのうまる既往きわう航海史上かうかいしじやうめづらしからぬ現象げんしやうなれども、(一人坊主ひとりばうず)の前兆ぜんてうりて臆測おくそくせる乘客じやうかくは、かゝ現象げんしやうもつすゐすべき、風雨ふうう程度ていどよりも、むし幾十倍いくじふばいおそれいだきて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
手持てもち商品しやうひんすくなくすることは、商取引しやうとりひきることである。それだけ經濟界けいざいかいには不景氣ふけいききたすとふことである。それであるから爲替相場かはせさうばあが道程だうていおいては不景氣ふけいきむをない現象げんしやうであつた。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
この偉大ゐだい現象げんしやうおこさせるものは人間以上にんげんいじやうもの人間以上にんげんいじやうかたちをしたものだらう。この想像さうざう宗教しうけうもととなり、化物ばけもの創造さうざうするのである。かつまた人間にんげんには由來ゆらい好奇心かうきしんる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
自然界しぜんかい現象げんしやうると、るものは非常ひぜううつくしく、るものは非常ひぜうおそろしい。あるひ神祕的しんぴてきなものがあり、あるひ怪異くわいいなものがある。これにはなにそのおく偉大ゐだいちからひそんでるに相違さうゐない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)