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燈
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あかり
ふりがな文庫
“
燈
(
あかり
)” の例文
新字:
灯
燈
(
あかり
)
を
点
(
つ
)
けて本を読むのが目に悪けりゃあ、話をしていたって好いわけです。誰かが
纏
(
まとま
)
った話をして、みんなで聴いても好いでしょう。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
大月氏は黙って頷くと、そのまま草を踏付けるようにしながら、小さな
燈
(
あかり
)
をたよりに山肌を下りて行った。が、やがてふと立止った。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
そこへ、
中仕切
(
なかじきり
)
の障子が、次の
室
(
ま
)
の
燈
(
あかり
)
にほのめいて、二枚見えた。
真中
(
まんなか
)
へ、ぱっと映ったのが、大坊主の額の出た、唇の
大
(
おおき
)
い影法師。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうして居たか、よくわかりません。店の方から
燈
(
あかり
)
を持つて多勢驅け付けたので、始めて主人が殺されたことがわかりましたが」
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
岸を離れて見上げると徳二郎は
欄
(
てすり
)
に
倚
(
よ
)
つて見下ろして居た。そして内よりは
燈
(
あかり
)
が射し、外よりは月の光を受けて彼の姿が
明白
(
はつきり
)
と見える。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
幸
(
さいわい
)
怪我
(
けが
)
もなかったので
早速
(
さっそく
)
投出
(
なげだ
)
された
下駄
(
げた
)
を履いて、師匠の
家
(
うち
)
の前に来ると、雨戸が少しばかり
開
(
あ
)
いていて、店ではまだ
燈
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いている。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
彼
(
かれ
)
は
夜
(
よる
)
になつても
燈
(
あかり
)
をも
點
(
つ
)
けず、
夜
(
よも
)
すがら
眠
(
ねむ
)
らず、
今
(
いま
)
にも
自分
(
じぶん
)
が
捕縛
(
ほばく
)
され、
獄
(
ごく
)
に
繋
(
つな
)
がれはせぬかと
唯
(
たゞ
)
其計
(
そればか
)
りを
思
(
おも
)
ひ
惱
(
なや
)
んでゐるのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ぎゃくらっきょうの面を
燈
(
あかり
)
にうつむけながら、嬉しそうな色を見せず、口数もあんまり
利
(
き
)
かないところは、見上げたものだと思わせました。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこから孟買の港に船遊びする富限者船の
燈
(
あかり
)
が明滅するのを眺めながらサルーンから響いてくる音楽と歓談の声を聞いた。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
その中に、小さな仮小屋の様な
煙草店
(
たばこみせ
)
があって、まだガラス戸の中に
燈
(
あかり
)
が
明々
(
あかあか
)
とついていたので、そこで尋ねて見ると
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
食事のあと、友達は
手燭
(
てしよく
)
をともして現れました。「物置には
燈
(
あかり
)
がないのだ」渡り廊下を通るとき、海風が、酔ひにほてつた私の顔を叩いてゐました。
南風譜:――牧野信一へ――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
内から
燈
(
あかり
)
が
射
(
さ
)
してるので、はっきり見えないはずの外が見えるのですよ、雪がちらちらと降ってて、そのまた雪が銀の
鏨屑
(
のみくず
)
のように見えるのですよ。
雪の夜の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
楽しい新家庭に
訣
(
わかれ
)
をつげて、春日と渡邊が事務所へかえったのは、
燈
(
あかり
)
がついてからであった。渡邊は漸く笑ましげに
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
此方
(
こちら
)
は真暗、向うには
燈
(
あかり
)
がついているので、
目隠
(
めかくし
)
の板に
拇指
(
おやゆび
)
ほどの
大
(
おおき
)
さの節穴が丁度二ツ開いてるのがよく分った。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その一は趙太爺が、まだ秀才に入らぬ頃、
燈
(
あかり
)
を点じて文章を読むことを許された。その二は阿Qが日雇いに来る時は燈を点じて米搗くことを許された。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
向の料理屋の二階だけは未だ
賑
(
にぎや
)
かで、三味線の音だの、女の笑い声だのが風に送られて聞えて来る。
瓦斯
(
ガス
)
の
燈
(
あかり
)
はションボリとした柳の樹を照している。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
まわってゆくと隠居所の障子に
燈
(
あかり
)
がさしていて、庭の樹立がほのかな片明りに浮いてみえた。魔に
憑
(
つ
)
かれたような足どりで奈尾は合歓木の側までいった。
合歓木の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
千ちゃんはふしぎに思って、テレビジョンの空中線回路へ
監視燈
(
かんしとう
)
をつっこんでみると、
燈
(
あかり
)
がつかない。なるほど電流が通っていない。やっぱりそうだったんだ。
宇宙の迷子
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
で、婿さんの家へいってみますと、もう
燈
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いておりました。入ってみますと奥様が燈の下に坐って、
几
(
つくえ
)
によりかかっておやすみになろうとするふうでした。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
だが戸外には、いま廊下に漂つてゐたと同じしつとりした、動かぬ空気があり、
漆喰
(
しつくひ
)
の
庇
(
ひさし
)
の陰から照らしてゐる
燈
(
あかり
)
が石だゝみの上にぽつと落ちてゐるばかりだつた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
燈
(
あかり
)
は化粧机の上に置いてあつて、床に這入る前に婚禮の
衣裳
(
いしやう
)
と
被衣
(
かつぎ
)
をかけておいた押入の扉は開け放しになつてゐました。そこで何かさら/\と云ふ音がするのです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そこには、
光子
(
てるこ
)
の御方がいつの間にか立っている。間もなく
燈
(
あかり
)
が運ばれてきた。薄絹張りの行燈に照らされて、この部屋が寮の一室であることが彼にもはっきりと分った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
燈
(
あかり
)
がつけられると思つてネ、
万
(
よろづ
)
やへボツ/\いつて
蝋燭
(
らふそく
)
一
挺
(
ちやう
)
買つてネ、
直
(
す
)
ぐ帰らうとすると
万
(
よろづ
)
やの
五郎兵衛
(
ゴロベイ
)
どんが、おとめさん
久振
(
ひさしぶ
)
りだ一服吸つていきなつて愛想するから
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
星がイリュミネーションの
燈
(
あかり
)
のように見えて、ちょうど煙が出たり、風に吹き消されたりしてるようで、また耳の中に馬が息を吹き込んでるような気がしてびっくりするのよ。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
枕許
(
まくらもと
)
の
手燭
(
てしょく
)
へ
燈
(
あかり
)
をつけて、例の細い
濡椽
(
ぬれえん
)
を伝って便所へ行った、闇夜の事なので庭の
樹立等
(
こだちなど
)
もあまりよく見えない、
勿論
(
もちろん
)
最早
(
もう
)
夜も
更
(
ふ
)
け渡っているので
四辺
(
あたり
)
はシーンと静かである
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
我国には古くから八間という
燈
(
あかり
)
があった。これは寺院などに多くあるもので、実際は八間はなかったが、かなり大きいのでこの名がある。また当時よく常用されたものに
蝋台
(
ろうだい
)
がある。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
随分とみごとに面の数々がそちこちの家ごとに行渡ったもので、家々の前に差かかる度に振返って見ると、
夕餉
(
ゆうげ
)
の食卓を囲んだ
燈
(
あかり
)
の下で、面を
弄
(
もてあそ
)
んでいる光景で続けさまに
窺
(
うかが
)
われた。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
暮色はいよいよ
濃
(
こまやか
)
に、
転激
(
うたたはげし
)
き川音の寒さを添ふれど、
手寡
(
てずくな
)
なればや
燈
(
あかり
)
も持
来
(
きた
)
らず、
湯香
(
ゆのか
)
高く
蒸騰
(
むしのぼ
)
る
煙
(
けむり
)
の中に、
独
(
ひと
)
り影暗く
蹲
(
うづくま
)
るも、
少
(
すこし
)
く
凄
(
すさまじ
)
き心地して、程無く貫一も出でて座敷に返れば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
このとき、彼は、はじめて、相手の男の顔を、はっきりと
燈
(
あかり
)
の下で見ることができました。そして、あまり、その男の顔が、小さい時分に別れた自分の
従兄
(
いとこ
)
に似ているのでびっくりしました。
白い門のある家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
燈
(
あかり
)
のない暗い廊下みたいなところを通って、とある部屋の中へ押し入れられた。
暗闇
(
くらやみ
)
の中を手探りすると、畳の敷いてない床に、荒らい毛の毛布があったので、それにくるまって横になった。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
加多 それではその真壁の
燈
(
あかり
)
を正面に見ながら両肩を向けて左腕を正しく横に上げて下さい。そう。それでいいかな? 正しい? よし、(と今井の左腕の方向と地図と盤とを見較べている)
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
折
(
おり
)
から何だか、気味を
好
(
よ
)
く思っていないところへ、ある晩高麗蔵さんが、二階へ
行
(
ゆ
)
こうと、
梯子段
(
はしごだん
)
へかかる、
妻君
(
さいくん
)
はまた
威
(
おど
)
かす気でも何でもなく、上から下りて来る、その顔に薄く
燈
(
あかり
)
が
映
(
さ
)
して
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
偶然
(
ふと
)
先方
(
むこう
)
に座敷の
燈
(
あかり
)
が見えるから、その方へ行こうとすると、それがまた飛んでもない方に見えるので、
如何
(
どう
)
しても方角が考えられない、ついぞ見た事のない、
谿谷
(
たに
)
の崖の上などへ出たりするので
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
シグナルの緑の
燈
(
あかり
)
と、ぼんやり白い柱とが、ちらっと窓のそとを過ぎ、それから
硫黄
(
いおう
)
のほのおのようなくらいぼんやりした転てつ機の前のあかりが窓の下を通り、汽車はだんだんゆるやかになって
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ひやりとした空気が顔をなで、
黴
(
かび
)
つ臭いにほひが鼻をうちました。
然
(
しか
)
し、何分、まつくらなので、足元があぶないからちよつと立ちすくんでゐましたが、フト前の方に、かすかに
燈
(
あかり
)
が見えて来ました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
いつしかに日は暮れて
河岸
(
かし
)
のかなたはキネオラマのごとく
燈
(
あかり
)
点
(
つ
)
き
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「人の住む家にしちゃ小さいぞ。それに
燈
(
あかり
)
もついていない。」
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
侍「まア
却
(
かえ
)
って
燈
(
あかり
)
のない方が宜しいから持って
往
(
ゆ
)
け」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お
禮心
(
れいごころ
)
に、
燈
(
あかり
)
を
點
(
つ
)
けておともをしませう……
町
(
まち
)
を
𢌞
(
まは
)
つて、
門
(
かど
)
までお
迎
(
むか
)
ひに
參
(
まゐ
)
つても
可
(
よ
)
うござんす……
庭
(
には
)
へ
出
(
で
)
て
御覽
(
ごらん
)
なさいませんか。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
燈
(
あかり
)
も
明
(
あか
)
るき
無料
(
むれう
)
の
官宅
(
くわんたく
)
に、
奴婢
(
ぬひ
)
をさへ
使
(
つか
)
つて
住
(
す
)
んで、
其上
(
そのうへ
)
、
仕事
(
しごと
)
は
自分
(
じぶん
)
の
思
(
おも
)
ふ
儘
(
まゝ
)
、
仕
(
し
)
ても
仕
(
し
)
ないでも
濟
(
す
)
んでゐると
云
(
い
)
ふ
位置
(
ゐち
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
岸を離れて見上げると、徳二郎はてすりによって見おろしていた、そして内よりは
燈
(
あかり
)
がさし、外よりは月の光を受けて、彼の姿がはっきりと見える。
少年の悲哀
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
燈
(
あかり
)
の不意に消えたことは、乱軍の休戦ラッパとなり、同時にまた、あの
強
(
こわ
)
もてのような、変な空気ではじめた余興の見事な引上げぶりに終りました。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鳥居前の電車道を横ぎると向うの細い横町の角に待合の
燈
(
あかり
)
が三ツも四ツも一束になって立っているのが見えて、その辺に立並んだ新しい二階家の様子なぞ
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
政雄は
機仕掛
(
ばねじかけ
)
の人形のようにきょとんと
起
(
た
)
って、
室
(
へや
)
の外へ出るなり
階子段
(
はしごだん
)
を
駈
(
か
)
けあがった。二階では親切な老婆が
燈
(
あかり
)
を点けたついでに寝床をとってくれていた。
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
呟
(
つぶや
)
きながら奥の間へ行ってみると、
燈
(
あかり
)
の側に不由が端坐していた。果して……澄透るような
凄艶
(
せいえん
)
な顔に険しいものが見える、浅二郎は大剣を刀架へかけて静かに坐った
入婿十万両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とう/\
珈琲
(
コーヒー
)
が運ばれ紳士たちが招ばれた。私は蔭の方に坐つた——若しこの輝かしく
燈
(
あかり
)
の
點
(
つ
)
いた部屋に少しでも蔭があるとしたならば。窓掛が半ば私を隱してくれた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そこらのまばらな宵の
燈
(
あかり
)
を見ると、武蔵は足をとめて、どこに泊ったものか、
旅籠
(
はたご
)
に迷った。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かつこれがために第三の例外をひらいてこの晩特にしばらく
燈
(
あかり
)
をつけることを許された。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
陳は女を
伴
(
つ
)
れて帰り、
燈
(
あかり
)
を
点
(
つ
)
けてよく見ると、ひどく
佳
(
い
)
い
容色
(
きりょう
)
をしていた。陳は悦んで自分の
有
(
もの
)
にしようとした。女は大きな声をたててこばんだ。やかましくいう声が隣りまで聞えた。
阿霞
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「寢たことにして
燈
(
あかり
)
を消させ、
亥刻
(
よつ
)
(十時)過ぎに、そつとその窓から忍び出し」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
燈
部首:⽕
16画
“燈”を含む語句
燈火
提燈
燈明
軒燈
燈籠
油燈
行燈
電燈
燈光
幻燈
角燈
洋燈
街燈
走馬燈
燈台
高燈籠
点燈
御燈
燈影
燈心
...