旧字:渦卷
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そこには、小さなすきとおる渦巻きのようなものが、ついついと、のぼったりおりたりしているのでした。タネリは、また口のなかで、きゅうくつそうに云いました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
何が私をこうさせたか:――獄中手記―― (新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
半蔵は腕を組んでしまって、渦巻く世相を夢のようにながめながら、照りのつよい日のあたった南向きの障子のわきにすわりつづけた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
パリーは実にすべてをのみつくす大きな渦巻きで、一度そこに陥ればすべてのものが、海の渦巻きに吸わるるごとく世の渦巻きの中に姿を消してしまう。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
電灯の光も見えないほどに頭の中が暗い渦巻きでいっぱいになった。えゝ、いっその事死んでくれ。この血祭りで倉地が自分にはっきりつながれてしまわないとだれがいえよう。
頭の中にはあらゆるものが渦巻いていた。宗教、道徳、芸術、全生命、すべてを彼は一時に吟味していた。かくあらゆるものに思想を分散させるのに、なんらの秩序もなくなんらの様式もなかった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
その時、対岸の芒の中から、逃げ込んだ耶馬台の兵の一団が、再び勢いを盛り返して進んで来た。と、三方から包まれた奴国の密集団は渦巻きながら、耶馬台の軍の右翼となった大団の中へ殺倒した。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)