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毫
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がう
ふりがな文庫
“
毫
(
がう
)” の例文
しかもそれは刻々に、あらゆる雑念を溺らし去つて、果ては涙そのものさへも、
毫
(
がう
)
も心を刺す痛みのない、清らかな悲しみに化してしまふ。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼が
生立
(
おひたち
)
の状況洋行の源因就学の有様を描きたりとて本篇に
幾干
(
いくばく
)
の光彩を増すや、本篇に幾干の関係あるや、予は
毫
(
がう
)
も之が必要を見ざるなり。
舞姫
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
彼は実に他の一の標準とすべきものゝ如く、誠心にして忠実、我と如何なる運命をも共にして
毫
(
がう
)
も
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まざるの熱愛を有すればなり、と。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其
(
それ
)
等のユウゴオの「夢の
華
(
はな
)
」が
毫
(
がう
)
も不自然で
無
(
な
)
い
許
(
ばかり
)
か、空想の天地に自適して
如何
(
いか
)
にも楽し
相
(
さう
)
である偉人の心境が流露して居る様に思はれた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
先月の『我善坊にて』の中にある、昔と今との間に一
毫
(
がう
)
も加はつたものはないといふ感想は正宗君らしくつて面白かつた。捨てた形が面白かつた。
雨の日に
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
▼ もっと見る
けれども
夫
(
それ
)
を
實地
(
じつち
)
に
開
(
あ
)
ける
力
(
ちから
)
は、
少
(
すこ
)
しも
養成
(
やうせい
)
する
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
なかつた。
從
(
したが
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
立
(
た
)
つてゐる
場所
(
ばしよ
)
は、
此
(
この
)
問題
(
もんだい
)
を
考
(
かんが
)
へない
昔
(
むかし
)
と
毫
(
がう
)
も
異
(
こと
)
なる
所
(
ところ
)
がなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
罹災者
(
りさいしや
)
は
直
(
たゞち
)
にまた
自
(
みづか
)
ら
自然林
(
しぜんりん
)
から
樹
(
き
)
を
伐
(
き
)
つて
來
(
き
)
て
咄嗟
(
とつさ
)
の
間
(
ま
)
にバラツクを
造
(
つく
)
るので、
毫
(
がう
)
も
生活上
(
せいくわつじやう
)
に
苦痛
(
くつう
)
を
感
(
かん
)
じない。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
有志之士、
不堪杞憂
(
きいうにたへず
)
、
屡
(
しば/\
)
正論
讜議
(
たうぎ
)
すと雖、雲霧
濛々
(
もう/\
)
、
毫
(
がう
)
も採用せられず。
乃
(
すなは
)
ち断然
奸魁
(
かんくわい
)
を
斃
(
たふ
)
して、朝廷の反省を促す。下情
壅塞
(
ようそく
)
せるより起ると云ふは
即是也
(
すなはちこれなり
)
。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
平次の明智は、一
毫
(
がう
)
の曇りもありません。何から何まで、推理の上に築いた想像ですが、それが拔き差しならぬ現實となつて、二人の用人の
膽
(
きも
)
を奪つたのです。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
可愛い孫の
所做
(
しよさ
)
がこんなにうるさいのだから、私はよほど孤独の食事が好きと見える。美女の給仕などを
毫
(
がう
)
も要求しないのは
寧
(
むし
)
ろ先天的といはなければならない。
孫
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それ故に善惡可否巧拙と評するも固より劃然たる區別あるに非ず巧の極端と拙の極端とは
毫
(
がう
)
も紛るゝ處あらねど巧と拙との中間に在る者は巧とも拙とも申し兼候。
歌よみに与ふる書
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
夫
(
をつと
)
をして
三井
(
みつゐ
)
、
白木
(
しろき
)
、
下村
(
しもむら
)
の
売出
(
うりだ
)
し
広告
(
くわうこく
)
の前に立たしむればこれある
哉
(
かな
)
必要
(
ひつえう
)
の一
器械
(
きかい
)
なり。あれが
欲
(
ほ
)
しいの
愬
(
うつた
)
へをなすにあらざるよりは、
毫
(
がう
)
もアナタの存在を
認
(
みと
)
むることなし
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「
左様
(
さう
)
だ/\、
毫
(
がう
)
も疑ふ所は無い」と松本は
愈々
(
いよ/\
)
激昂
(
げきかう
)
しつ「現に今度の九州炭山の一件でも知ることが出来る、本来ならば篠田が自身に出掛けて
大
(
おほい
)
に
煽動
(
せんどう
)
せにやならないのだ、 ...
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
その聲調は、始て我をしてさきよりの月旦評の
毫
(
がう
)
もマリアが耳に入らざりしを悟らしめき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
南洲及び大久保公、木戸公、後藤象次郎、坂本龍馬等公を洛東より迎へて、朝政に任ぜしむ。公既に職に在り、
屡
(
しば/\
)
刺客
(
せきかく
)
の
狙撃
(
そげき
)
する所となり、
危難
(
きなん
)
累
(
しき
)
りに至る、而かも
毫
(
がう
)
も
趨避
(
すうひ
)
せず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
君が痛酷なる論文を「文学界」に掲げて余を
駁撃
(
ばくげき
)
したるより数日を隔てゝ君は予が家の薯汁飯を喫せり。余が君に遇ふや
屡〻
(
しば/\
)
論駁の鋒を向けぬ。君は
毫
(
がう
)
も之れに
逆
(
さから
)
ふことなかりし也。
北村透谷君
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
毫
(
がう
)
も成心があつてではないが、伊藤は折ふし面白半分に私の色の黒いことを言つてからかつた。それが私の不仕合せなさま/″\の記憶を新にした。多分八九歳位の時代のことであつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
銘々
(
めい/\
)
勝手
(
かつて
)
に
分
(
わか
)
つた々々と
自分
(
じぶん
)
の
議論
(
ぎろん
)
に
都合
(
つがふ
)
の
好
(
い
)
い
方
(
はう
)
にのみ
眼
(
め
)
を
配
(
くば
)
つて、
毫
(
がう
)
も
學術的研究
(
がくじゆつてきけんきう
)
は
行
(
おこな
)
はれず、一
方
(
ぱう
)
は
後
(
あと
)
から
彌生式
(
やよひしき
)
が
混入
(
こんにふ
)
したと
云
(
い
)
ひ、一
方
(
ぱう
)
は、
否
(
いな
)
、
然
(
しか
)
らずと
云
(
い
)
ひ。
水掛論
(
みづかけろん
)
で
終
(
をは
)
つて
了
(
しま
)
つた。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
毫
(
がう
)
も
其
(
そ
)
の
力
(
ちから
)
を
落
(
おと
)
さぬ
疾風
(
しつぷう
)
は
雜木
(
ざふき
)
に
交
(
まじ
)
つた
竹
(
たけ
)
の
梢
(
こずゑ
)
を
低
(
ひく
)
くさうして
更
(
さら
)
に
低
(
ひく
)
く
吹靡
(
ふきなび
)
けて
居
(
を
)
れど
棟
(
むね
)
はどうしても
見
(
み
)
えなかつた。
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
煙
(
けぶり
)
が
絲
(
いと
)
の
如
(
ごと
)
く
然
(
しか
)
も
凄
(
すさま
)
じく
自分
(
じぶん
)
の
林
(
はやし
)
の
邊
(
あたり
)
から
立
(
たつ
)
ては
壓
(
お
)
しつけられるのを
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
皮膚の全面に、あらゆる方向へ動かうとする力が働いてゐるが、皮膚自身は、それに対して、
毫
(
がう
)
も弾力を持つてゐない。
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
絵が
主
(
しゆ
)
であるけれど、彫塑や
其他
(
そのた
)
の工芸美術品も対等の取扱を受けて
毫
(
がう
)
も会自身に価値を定めようとする所が無く、
全
(
まつた
)
く観衆の批評に一任して居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
娘のお品を
責
(
せ
)
めて見ると、これはもう、言ひたくて待ち構へて居たところですから、何も彼も平次の指金だ一つたことを一
毫
(
がう
)
の隱すところなく言つて了ひました。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二氏共に罪過論は偏曲なり、又は小説に応用すべからずと断定せしのみにして、
毫
(
がう
)
も其理由を言はず。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
広瀬中佐の詩に至つては
毫
(
がう
)
も以上の条件を
具
(
そな
)
へてゐない。
已
(
やむ
)
を得ずして
拙
(
せつ
)
な詩を作つたと云ふ痕跡はなくつて、
已
(
やむ
)
を得るにも
拘
(
かゝ
)
はらず俗な句を並べたといふ疑ひがある。
艇長の遺書と中佐の詩
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今迄
毫
(
がう
)
も気が付かなんだ、此処にも亦一個の人間が居る。——男ではない。女だ。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
透谷と余の論戦は
頗
(
すこぶ
)
る激烈なりき。然れども余は個人たる透谷に対しては常に
毫
(
がう
)
も愛敬の念を失はざりき。透谷も亦
勿論
(
もちろん
)
、論敵たる人の性格までを疑はんとする卑劣なる人物にあらざりき。
透谷全集を読む
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
歌を一番善いと申すは固より理窟も無き事にて一番善い譯は
毫
(
がう
)
も無之候。
歌よみに与ふる書
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
されど又予を目して、万死の狂徒と
做
(
な
)
し、
当
(
まさ
)
に
屍
(
しかばね
)
に鞭打つて後
已
(
や
)
む可しとするも、予に於ては
毫
(
がう
)
も遺憾とする所なし。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ウフイツチ邸に劣らぬ多数の名幅を
蔵
(
をさ
)
めた中にラフワエルとチチアノの傑作が最も多く、
就中
(
なかんづく
)
予はラフワエルの円形の中に描いたマドンナが
毫
(
がう
)
も宗教
臭味
(
しうみ
)
を帯びず
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それは
政略
(
せいりやく
)
よりも
寧
(
むし
)
ろ
禮讓
(
れいじやう
)
からであつた。
從
(
したが
)
つて
宗助
(
そうすけ
)
には
毫
(
がう
)
も
不愉快
(
ふゆくわい
)
を
與
(
あた
)
へなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは牧野備後守樣江戸御留守居、金山主膳樣の打ちあけ話で、一厘一
毫
(
がう
)
の掛け引も御座りません。これが本當とすると、翁屋小左衞門の碓氷貞之助樣は、貴方樣の爲には、親の敵を
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
思ふに松平定信は実に幕府後宮の
譖
(
そしり
)
に因りて将軍補佐の任を
罷
(
や
)
むるに至れり、目前の事斯の如し。彼が此篇ありし所以決して偶然ならざる也。而して其文整々堂々格律森厳
毫
(
がう
)
も老憊の態なし。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
直往邁進
毫
(
がう
)
も撓むなき政治的天才によつて経緯せらるゝ所に御座候。
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と云ふよりは
呉織
(
くれはとり
)
綾織
(
あやはとり
)
から川島甚兵衛に至るまで、上下二千年の織工史を通じて、如何なる地歩を占むべきものか、その辺の消息に至つては、
毫
(
がう
)
もわからぬと云ふ外はない。
竜村平蔵氏の芸術
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
君
(
きみ
)
は
身體
(
からだ
)
が
丈夫
(
ぢやうぶ
)
だから
結構
(
けつこう
)
だ」とよく
何處
(
どこ
)
かに
故障
(
こしやう
)
の
起
(
おこ
)
る
安井
(
やすゐ
)
が
羨
(
うらや
)
ましがつた。
此
(
この
)
安井
(
やすゐ
)
といふのは
國
(
くに
)
は
越前
(
ゑちぜん
)
だが、
長
(
なが
)
く
横濱
(
よこはま
)
に
居
(
ゐ
)
たので、
言葉
(
ことば
)
や
樣子
(
やうす
)
は
毫
(
がう
)
も
東京
(
とうきやう
)
ものと
異
(
こと
)
なる
點
(
てん
)
がなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“毫”の意味
《名詞》
ほんのわずか。すこし。
(出典:Wiktionary)
毫
漢検1級
部首:⽑
11画
“毫”を含む語句
寸毫
秋毫
毫光
揮毫
一毫
毫末
白毫
毫釐
毫毛
毫厘
厘毫
白毫寺
釐毫
毛毫
毫髪
毫鍼
霜毫
羽毫
糸毫
一毫毛
...