北村透谷君きたむらとうこくくん
明治廿二年、予の始めて上京するや偶銀座の街を歩し書肆に於て一冊を得たり、題して楚囚の詩と曰ふ。予は之れを読んで其言の欝愴たるを奇としたりき。 同廿四年、予の遠江にあるや友人明石桜井君、一書を予に贈れり、題して蓬莱曲と曰ふ。是れ楚囚の詩と作者 …