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撞
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つ
ふりがな文庫
“
撞
(
つ
)” の例文
早鐘を
撞
(
つ
)
くような
動悸
(
どうき
)
だった、おちつこうとしても、跡を
跟
(
つ
)
けられてはいないかという
怖
(
おそ
)
れで、ついのめるような足早になっていた。
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鼻
蠢
(
うごめ
)
かして世話人は御者の
背
(
そびら
)
を指もて
撞
(
つ
)
きぬ。渠は
一言
(
いちごん
)
を発せず、世話人はすこぶる得意なりき。美人は戯るるがごとくに
詰
(
なじ
)
れり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この日は、誰でも鐘楼に上って自由に
撞
(
つ
)
くことを許してあった。三時頃から、私も例の組合の家について夏の日のあたった道を上った。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこでいろいろ考えて見ると、どうもやはりその底に
撞
(
つ
)
きあたるものは神でも真理でもなくして、自己という一石であるように思われる。
序に代えて人生観上の自然主義を論ず
(新字新仮名)
/
島村抱月
(著)
朝とひると日暮に、鳥右さんは庭にでていつてその鐘を
撞
(
つ
)
くのでした。鐘からはそばできくと、かうかうと冴えた音がしました。
鳥右ヱ門諸国をめぐる
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
海が幾日も
暴
(
あ
)
れて、山中の食料がつきた場合には、対岸の
牡鹿
(
おじか
)
半島にむかって合図の鐘を
撞
(
つ
)
くと、半島の南端、
鮎川
(
あゆかわ
)
村の忠実なる漁民は
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「こいつが、うまいことをいう。そんな
古策
(
ふるて
)
に誰が乗るか。油断をさせて、鐘を
撞
(
つ
)
くか、山法師どもを呼び集めてこようという
肚
(
はら
)
だろう」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところがその寺へ盗人がやって来たので、その急を村人に知らすために
鐘楼
(
しゅろう
)
の鐘をゴーンゴーンと
撞
(
つ
)
き鳴らすというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
それから
小半刻
(
こはんとき
)
(一時間ほど)、上野の鐘が、霧に
濡
(
ぬ
)
れて、びっくりするほど近く聴えました。その捨て鐘が
撞
(
つ
)
き終った頃。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
猫
(
ねこ
)
を可愛がることと、球を
撞
(
つ
)
くことと、
盆栽
(
ぼんさい
)
をいじくることと、安カフェエの女をからかいに行くことぐらいより、何の仕事も思い付かない。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
クラブ員達は夕方そこへやって来て、球を
撞
(
つ
)
いたり、カルタを
弄
(
もてあそ
)
んだり、碁を囲んだり、煙草の煙の中で世間話にうちくつろいだりするのだ。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
朝の五時には、かならず、時鐘を
撞
(
つ
)
く。鐘楼は街を一望に見下す高台の突端にあるので、その音は、ひろく、遠く、伝わる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
贏
(
か
)
ち得た所は物
寂
(
さ
)
びてゐる。奈良の
大仏
(
だいぶつ
)
の
鐘
(
かね
)
を
撞
(
つ
)
いて、其
余波
(
なごり
)
の
響
(
ひゞき
)
が、東京にゐる自分の耳に
微
(
かす
)
かに
届
(
とゞ
)
いたと同じ事である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
腕たア、
撞木
(
しゅもく
)
の腕のことか。その腕じゃ、ゴーンと
撞
(
つ
)
いても碌な
音
(
ね
)
は出なかろう、何を吐かしやがる。……まア、そんなことはどうでもいいや。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
下で見た時には左程にも思わなかった草丈が人の脊よりも高い。俯向きながら
無暗
(
むやみ
)
に掻き分けて行くと、
礑
(
はた
)
と岩に
撞
(
つ
)
き当って頭がズシンと響く。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
城山の
麓
(
ふもと
)
にて
撞
(
つ
)
く鐘雲に響きて、屋根瓦の
苔
(
こけ
)
白きこの町の
終
(
はて
)
より
終
(
はて
)
へともの哀しげなる音の漂う様は
魚
(
うお
)
住まぬ
湖水
(
みずうみ
)
の
真中
(
ただなか
)
に石一個投げ入れたるごとし。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
目のくりくりした丸顔で、玉も
撞
(
つ
)
くし映画も見るが、浪曲は何よりも好きで、
機嫌
(
きげん
)
のいい時は
楽燕
(
らくえん
)
張りの節廻しで、独りで南部坂を
唸
(
うな
)
ったりしていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
勢いかくの如し、外より
撞
(
つ
)
き破らざるも、早晩中よりして破裂せざるべからざるの運命に迫れり。これ実に宝暦、明和の際における天下の大勢なりとす。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
が、雪江さんも悪くない、なぞと思いながら、
茫然
(
ぼんやり
)
机に頬杖を突ている脊中を、誰だかワッといってドンと
撞
(
つ
)
く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
二人は大鐘を
撞
(
つ
)
かれたほどに驚いた。それが
虚言
(
うそ
)
か
真実
(
まこと
)
かも分らぬが、これでは何様いう始末になるか全く知れぬので、又
新
(
あらた
)
に身内が火になり氷になった。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……別の一台の方では、四人の人間が大声に笑いながら、賑かに三人上りの球を
撞
(
つ
)
いていた。私の方は三人。
撞球室の七人
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
早鐘を
撞
(
つ
)
くように乱れ撃ち初めた……呼吸が、それに連れて荒くなった。やがて死ぬかと思うほど
喘
(
あえ
)
ぎ出した。……かと思うと又、ヒッソリと静まって来た。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鐘をゆり動かす仕掛けを見せてくれる。そばにあった鉄の棒でガンガンと軽く鳴らして見せました。特別の祭日でなくてはこの鐘はほんとうには
撞
(
つ
)
かぬそうです。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
鉄の
杵
(
きね
)
に
撞
(
つ
)
かれるやら、油の鍋に煮られるやら、毒蛇に脳味噌を吸はれるやら、熊鷹に眼を食はれるやら、——その苦しみを数へ立ててゐては、到底際限がない位
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
子供
(
こども
)
の
兩足
(
りようあし
)
を
捕
(
とら
)
へて
倒
(
さか
)
さにつるし、
顏
(
かほ
)
を
外
(
そと
)
に
向
(
む
)
けて、
膝
(
ひざ
)
もて
背
(
せなか
)
を
撞
(
つ
)
くと
云
(
い
)
ふのですさうすれば、
曾
(
かつ
)
ての
實驗
(
じつけん
)
に
依
(
よつ
)
て
出
(
で
)
るから、
之
(
これ
)
を
遣
(
や
)
ツて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れと
熱心
(
ねつしん
)
に
勸
(
すゝ
)
めました
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
その時一人の男
遽
(
あわた
)
だしく驅け入りて、門口に立ちたる我を
撞
(
つ
)
きまろばし、扉をはたと閉ぢたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
日本にも『書紀』二五、大化改新の際朝廷に鐘を懸け、
匱
(
はこ
)
を設け、憂え諫むる人をして表を匱に
納
(
い
)
れしめ、それでも聴き採られざる時は憂訴の人、鐘を
撞
(
つ
)
くべしと詔あり。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しばらくすると、大抵十一時半に鳴る近い寺の鐘が、一つ二つと餘韻を追つて
撞
(
つ
)
き出された。
嘘をつく日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
すると弟の目の色がからりと變つて、晴やかに、さも嬉しさうになりました。わたくしはなんでも一と思にしなくてはと思つて膝を
撞
(
つ
)
くやうにして體を前へ乘り出しました。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
弁天堂の
梵鐘
(
ぼんしょう
)
が六時を
撞
(
つ
)
く間、音があまりに近いのでわたくしは両手で耳を
塞
(
ふさ
)
いでいた。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ただもう自分が糺明を受けているような気がして、胸は
早鐘
(
はやがね
)
を
撞
(
つ
)
くように
動悸
(
どうき
)
を打った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
そして神経がむやみに
昂
(
たかぶ
)
って、胸の
動悸
(
どうき
)
が早鐘を
撞
(
つ
)
くようにひびく。寒い外気に触れて頬のまわりに乾きつく涙を、道を行く人に
憚
(
はばか
)
るようにしてそっと
拭
(
ふ
)
きながら、私は心の中で
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
で、僕はその時刻を待ちかねて家へ帰って来ると、その瞬間に、どんな心配も仕事の疲れもからりと忘れるのでした。ところがあの晩は、妻が僕に唇をのべたとき僕は
撞
(
つ
)
きのけました。
誤診
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
こうして春の夕、大信寺の鐘の音が、わが村に響いて、余韻が消えなんとするとき、村の末風山福徳寺の鐘が、人の
撞
(
つ
)
かぬのに大信寺の鐘に応えるが如く、自ら低く唸り咳くのである。
わが童心
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
十月八日病
革
(
あらた
)
まるや、日昭、日朗以下六老僧をきめて懇ろに滅後の弘経を遺嘱し、同じく十八日朝日蓮自ら法華経を読誦し、長老日昭臨滅度時の鐘を
撞
(
つ
)
けば、帰依の大衆これに和して
学生と先哲:――予言僧日蓮――
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
僕が
咳払
(
せきばらい
)
を一ツやって庭場へ這入ると、台所の話はにわかに止んでしまった。民子は指の先で僕の肩を
撞
(
つ
)
いた。僕も承知しているのだ、今御膳会議で二人の噂が
如何
(
いか
)
に盛んであったか。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
『わたくしは
撞
(
つ
)
き葱をつけてあのおさかなを一つたべて見たうございますの。』
バルタザアル
(新字旧仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
この時に又た群衆を肘で
撞
(
つ
)
き
退
(
の
)
け/\、リツプの面前へ出て来たのは、仔細らしい、物識り顔な老人で、
隻腕
(
かたうで
)
を腰に突張り、隻腕を杖の上に置いて、尖つた帽の下から、鋭い眼を光らせ
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
夏は金魚を売ったり
心太
(
ところてん
)
を売ったりして、無茶苦茶に稼いで、堅いもんだから夜廻りの
拍子木
(
ひょうしぎ
)
も
彼
(
あ
)
の人は鐘をボオンと
撞
(
つ
)
くと、拍子木をチョンと撃つというので、ボンチョン番太と
綽名
(
あだな
)
をされ
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
勢田
(
せた
)
では風邪でも引込んでるらしい血走つた眼をした夕陽を見た。
矢走
(
やばせ
)
では破けた帆かけ船を見た。三
井寺
(
ゐでら
)
では汽車の都合があるからといつて、
態々
(
わざ/\
)
頼んで十五分程早目に時の鐘を
撞
(
つ
)
いて貰つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
東光院で
撞
(
つ
)
いたのであらう。
初夜
(
しよや
)
の鐘の音が、ゴーンと響いて來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
あ、
痛
(
いた
)
! さう強く
撞
(
つ
)
くから毎々球が
滾
(
ころ
)
げ出すのだ。風早の球は
暴
(
あら
)
いから
癇癪玉
(
かんしやくだま
)
と謂ふのだし、遊佐のは馬鹿に
柔
(
やはらか
)
いから
蒟蒻玉
(
こんにやくだま
)
。それで、二人の撞くところは
電公
(
かみなり
)
と
蚊帳
(
かや
)
が
捫択
(
もんちやく
)
してゐるやうなものだ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
鐘の
音
(
ね
)
は長い余韻の後を追掛け追掛け
撞
(
つ
)
き出されるのである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いにしへ聖者が
雅典
(
アデン
)
の森に
撞
(
つ
)
きし
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
歡喜の心、
逸散
(
いつさん
)
にわが身を
撞
(
つ
)
きて
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
一銭の
釣鐘
(
つりがね
)
撞
(
つ
)
くや昼霞
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
まだ本堂の前の
柊
(
ひいらぎ
)
も暗い。その時、朝の空気の静かさを破って、澄んだ大鐘の音が起こった。力をこめた松雲の
撞
(
つ
)
き鳴らす音だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
萱
(
かや
)
の風に伏すように、すべての人々が、
頭
(
かしら
)
を下げ、念仏を唱和し、やがて、
撞
(
つ
)
き出された
梵鐘
(
ぼんしょう
)
の音と共に、しいんとした静寂が見舞った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山嶺
(
さんれい
)
の
雪
(
ゆき
)
なほ
深
(
ふか
)
けれども、
其
(
そ
)
の
白妙
(
しろたへ
)
に
紅
(
くれなゐ
)
の
日
(
ひ
)
や、
美
(
うつく
)
しきかな
玉
(
たま
)
の
春
(
はる
)
。
松籟
(
しようらい
)
時
(
とき
)
として
波
(
なみ
)
に
吟
(
ぎん
)
ずるのみ、
撞
(
つ
)
いて
驚
(
おどろ
)
かす
鐘
(
かね
)
もなし。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
八幡鐘が夕六つを
撞
(
つ
)
き出すころに、棺はいよいよ送り出された。お若もお君も目を泣き腫らして棺のそばに付いて行った。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
撞
漢検準1級
部首:⼿
15画
“撞”を含む語句
撞着
撞木杖
撞球
撞木
撞著
撞突
撞見
鐘撞堂
打撞
自家撞着
鐘撞
撞球場
撞球台
頭撞
撞賢木
撞乎
鐘撞堂新道
球撞
撞球棒
撞木町
...