あたか)” の例文
もそれが永久に負わされた悩みでもあるかのように転々反側するけれど、ものには限度のあるもので、その後には必ず喜びが来る。
波の如く去来す (新字新仮名) / 小川未明(著)
反之或る場合にはも革命時代の如く組織の如何は比較的閑却せられ、社会の内部における個人のみがに活躍する時代があります。
流れ行く歴史の動力 (新字新仮名) / 津田左右吉(著)
崖丈大丈夫です。どんながあつたつてえつこはねえんだからと、自分のものを辯護でもするんでつてつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我々はこの問題に肯定的に答へて、かの das Dämonische の概念がもかかるものに相応することを示さうと思ふ。
ゲーテに於ける自然と歴史 (新字旧仮名) / 三木清(著)
ながめ麗はしく、こころひろやかなる松浦の天地はも望を未来に属し、闊達の気象を修養すべきわが国民の胸懐に似たるものあり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
その好敵手と思う者がとしてから門閥の陋習を脱したるが故に、下士はも戦わんと欲してち敵の所在をうたる者のごとし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それはも、あの主人に信頼しきつて居る無智な犬の澄みきつた眼でぢつと見上げられた時の気持に似て、もつともつと激しかつた。
のつれ/″\に、へてのたまはく、一婦ありてめり。弱竹くにして、れしし。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だが床には六フィートに三フィートの、きまった長さのが、も子供の積木が箱にピッタリ入っているような具合に敷きつめてある。
誰か又バリイのに出でて、バリイを抜く事数等なる、もハヴアナのマニラに於ける如き煙草小説を書かんものぞ。(二月二十五日)
予はこれを明言すると同時に、予がもこの時に逢うて、の如き人に交ることを得た幸福を喜ぶことを明言することを辞せない。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分の困憊の状察すべしである。も此時、洋燈片手に花郷が戸を明けた。彼は極めて怪訝に堪へぬといつた様な顔をして、盛岡弁で
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
字の如く藻掻き藻掻き又一二間は進んだけれど、もう如何しても前に出られなくなった。も本縄の雁字搦に掛ったように感じられた。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
もその友の救ひに最後の望をかけてゐたやうに。しかし彼の縛された手には繩がついてゐた。その繩で彼は後ろに引き倒された。
又は八方に爪をばし、翼を広げて、も大道のの如く、又は眼に見えぬ黴菌の如く、死ぬが死ぬまでも人間に取り付いております。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その言葉がを成したのでもあるまいが、もその夜、大正何年以来と云う猛烈な颱風が関東一帯を襲って、幸子は自分に関する限り
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼らが山を走ることはも兎の走るがごとくで私など追いかけたところで、く訳でもない。また追いかけようという考えもない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
こういってN氏は、私たち九人が、も九子豚で、今にも牝豚ならぬ妖婆が、私たちを食べにでも来そうな雰囲気を作り出しました。
手術 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
これを都留なる郡名の起りであるとし、後になって嘉名の鶴の字が代用されたことは、も桂川の桂の字が蔓に縁のある葛であったのに
マル及ムレについて (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
初めのうちは夜だけしか見えなかったのが今は真昼でも見えることに成り、も大空に恐ろしい龍のっている様にも思われた。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
私はもお前が小屋の中に居でもするかのように想像して、声を低めてそう一人ごちながら、じっと息をつめてその雉子を見守っていた。
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
もよし、これからようやくその無人の冬が来るのである。三冬の間をじっくりと落着いて、ここで飽くまで眠り通すに何の妨げがある。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
身の潔白を立てる為には、今後何処行逢おうとも決して彼女とは口を利くまいと、に決心している矢先へ、のお葉が現われた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それはというので、それに少々腹もき加減の、もよしというところで、乗降口からレールへ飛び下りると、また駈け上って
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
因循怯懦の厭世港は黎明日本に皮肉な一役をつとめたのだ。然し結果はも町の性格どほりにあつけなかつた。港は信濃川の河口にあつた。
母を殺した少年 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
処で哲学そのものが、もこの生の自己解釈に外ならない。ここから哲学の方法は解釈学でなければならないのは当然である。
辞典 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
も季参が彼女の良人で、その良人の眼を盗みながら、不義の快楽にでもけっているように、私達は快楽に更けるのでした。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わが宿りたるはも木曾川の流に沿ひて、よりはその流の髣髴を見ることを得ざれども、水聲は近く枕に通ひて、夢魂極めて穩かなりき。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
将門が水滸伝中の豪傑が危い目に度〻つてに官に抗し威を張るやうな徑路を取つたのも、考へれば考へどころはある。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
即ちこの長歌及び反歌は、旅人の心持になって、も自分の妻をむような心境になって、旅人の妻の死を悼んだものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
本来この筆記は単に記憶に存したる事実を思い出ずるまゝに語りしものなれば、も一場の談話にして、より事の詳細をくしたるにず。
も科学の持つがごとき冷然たる素質を排撃するとしたならば、彼らの総帥て活用したる唯物論と雖も、その活用させたる科学的態度を
北方心泉の方は、全幅がも一字の如くぴたっと行っておりますが、こちら守敬は非常にがたがたとしてまっていません。
よい書とうまい書 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
私達は先生の朗かに笑つた顏を一度も見たことはなかつた。先生はも生存の歡びを忘れた人のやうに感じられたのである。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
も潜者の水底に沈みて真珠を拾ふが如く自然界の奥に闖入し、冥想を以て他界の物を攫取し来るを以て詩人の尊む可きところとはするなり。
他界に対する観念 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
それはも空中からこの地点へ向って数多の爆弾を投下したならば、かような大穴があくことであろうと思ったことでした。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
間伐したかの如く、樹木がいい加減に合ひを置いて生えてゐる地上には牧草が青々と育つて、實に氣持ちのいい景色だ。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
もそれは浪花節が「ぶし」であり常磐津の邦楽家が「ずわ屋」であるが如きもので、侮辱ではなくて実用語なのである。
奇術考案業 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
田圃には、連夜切りあげられた氷板が、長い距離に亘つて正しく積み並べられて、も氷の塁壁を築いた如き観を呈する。
諏訪湖畔冬の生活 (新字旧仮名) / 島木赤彦(著)
君子のびをしてばれた電氣をほどいてゐた。とそのもそのりにかれたやうにぱつとつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
とするならば、「六神丸それ自体は一体何に似てるんだ」そして「何のためにそれが必要なんだ」それはも今の社会組織そっくりじゃないか。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
入口の左右の壁には、煤竹を二本に渡した楕円形の小窓が開けられて居たが、その窓はも此家のつの眼の様に見えた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
するとあなたはも不良青年にでもおびやかされた御様子で、逸作先生(僕はあの方があなたの御主人で画家丘崎逸作先生だとぐ判りました)
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
六千四百巨船もすでにき、二本煙筒から眞黒吐出は、斷末魔苦悶へてるかのやうである。
入江の奧より望めば舷燈高くかゝりて星かとばかり、燈影低く映りて金蛇の如く。寂漠たる山色月影のに浮んでも畫のやうに見えるのである。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大月は巻煙草らしながら、もこの事件に対して深い興味でも覚えたかの如く、暫くうっとりとした冥想に陥っていたが、軈て夫人に向って
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
し上野の山より不忍池の水を奪つてしまつたなら、それはも両腕をもぎ取られた人形に等しいものとなるであらう。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かかる思想家の思想が掴まるれば、その流派というようなものは、をたぐるように理解せられて行くのである。
読書 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
けだしキリシタン宗は、足利の世に初めてわが国に渡来した。北条氏は足利氏の縁者である。その北条氏の滅亡遺恨の地に、今や南蛮寺が建つ。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
其論文の構造は如何にも華麗にして蜃気楼の如くなれども堅硬なる思想の上に立たざるが故に、一旦破綻を生ずれば破落々々となりる者あり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)