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恰
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あたか
ふりがな文庫
“
恰
(
あたか
)” の例文
恰
(
あたか
)
もそれが永久に負わされた悩みでもあるかのように転々反側するけれど、ものには限度のあるもので、その後には必ず喜びが来る。
波の如く去来す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
反之
(
これにはんして
)
或る場合には
恰
(
あたか
)
も革命時代の如く組織の如何は比較的閑却せられ、社会の内部における個人のみが
盛
(
さかん
)
に活躍する時代があります。
流れ行く歴史の動力
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
然
(
しか
)
し
崖丈
(
がけだけ
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。どんな
事
(
こと
)
があつたつて
壞
(
く
)
えつこはねえんだからと、
恰
(
あたか
)
も
自分
(
じぶん
)
のものを
辯護
(
べんご
)
でもする
樣
(
やう
)
に
力
(
りき
)
んで
歸
(
かへ
)
つて
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
我々はこの問題に肯定的に答へて、かの das Dämonische の概念が
恰
(
あたか
)
もかかるものに相応することを示さうと思ふ。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
ながめ麗はしく、こころひろやかなる松浦の天地は
恰
(
あたか
)
も望を未来に属し、闊達の気象を修養すべきわが国民の胸懐に似たるものあり。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
▼ もっと見る
その
好敵手
(
こうてきしゅ
)
と思う者が
首
(
しゅ
)
として
自
(
みず
)
から門閥の
陋習
(
ろうしゅう
)
を脱したるが故に、下士は
恰
(
あたか
)
も戦わんと欲して
忽
(
たちま
)
ち敵の所在を
失
(
うしな
)
うたる者のごとし。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは
恰
(
あたか
)
も、あの主人に信頼しきつて居る無智な犬の澄みきつた眼でぢつと見上げられた時の気持に似て、もつともつと激しかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
雨
(
あめ
)
の
日
(
ひ
)
のつれ/″\に、
佛
(
ほとけ
)
、
教
(
をし
)
へてのたまはく、
昔
(
むかし
)
某
(
それ
)
の
國
(
くに
)
に
一婦
(
いつぷ
)
ありて
女
(
ぢよ
)
を
生
(
う
)
めり。
此
(
こ
)
の
婦
(
をんな
)
恰
(
あたか
)
も
弱竹
(
なよたけ
)
の
如
(
ごと
)
くにして、
生
(
うま
)
れし
女
(
むすめ
)
玉
(
たま
)
の
如
(
ごと
)
し。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
だが床には六フィートに三フィートの、きまった長さの
筵
(
むしろ
)
が、
恰
(
あたか
)
も子供の積木が箱にピッタリ入っているような具合に敷きつめてある。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
誰か又バリイの
後
(
のち
)
に出でて、バリイを抜く事数等なる、
恰
(
あたか
)
もハヴアナのマニラに於ける如き煙草小説を書かんものぞ。(二月二十五日)
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
予はこれを明言すると同時に、予が
恰
(
あたか
)
もこの時に逢うて、
此
(
かく
)
の如き人に交ることを得た幸福を喜ぶことを明言することを辞せない。
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
自分の
困憊
(
こんぱい
)
の状察すべしである。
恰
(
あたか
)
も此時、
洋燈
(
ランプ
)
片手に花郷が戸を明けた。彼は極めて
怪訝
(
くわいが
)
に堪へぬといつた様な顔をして、盛岡弁で
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
字の如く藻掻き藻掻き又一二間は進んだけれど、もう
如何
(
どう
)
しても前に出られなくなった。
恰
(
あたか
)
も本縄の
雁字搦
(
がんじがらみ
)
に掛ったように感じられた。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
恰
(
あたか
)
もその友の救ひに最後の望をかけてゐたやうに。しかし彼の縛された手には繩がついてゐた。その繩で彼は後ろに引き倒された。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
又は八方に爪を
展
(
の
)
ばし、翼を広げて、
恰
(
あたか
)
も大道の
塵
(
ちり
)
の如く、又は眼に見えぬ黴菌の如く、死ぬが死ぬまでも人間に取り付いております。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その言葉が
讖
(
しん
)
を成したのでもあるまいが、
恰
(
あたか
)
もその夜、大正何年以来と云う猛烈な
颱風
(
たいふう
)
が関東一帯を襲って、幸子は自分に関する限り
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼らが山を走ることは
恰
(
あたか
)
も兎の走るがごとくで私など追いかけたところで、
埓
(
らち
)
の
明
(
あ
)
く訳でもない。また追いかけようという考えもない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
こういってN氏は、私たち九人が、
恰
(
あたか
)
も九
疋
(
ひき
)
の
子豚
(
こぶた
)
で、今にも牝豚ならぬ妖婆が、私たちを食べにでも来そうな雰囲気を作り出しました。
手術
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
これを
都留
(
つる
)
なる郡名の起りであるとし、後になって嘉名の鶴の字が代用されたことは、
恰
(
あたか
)
も桂川の桂の字が蔓に縁のある葛であったのに
マル及ムレについて
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
初めのうちは夜だけしか見えなかったのが今は真昼でも見えることに成り、
恰
(
あたか
)
も大空に恐ろしい龍の
蟠
(
わだかま
)
っている様にも思われた。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
私は
恰
(
あたか
)
もお前が小屋の中に居でもするかのように想像して、声を低めてそう一人ごちながら、じっと息をつめてその雉子を見守っていた。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
恰
(
あたか
)
もよし、これからようやくその無人の冬が来るのである。三冬の間をじっくりと落着いて、ここで飽くまで眠り通すに何の妨げがある。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
身の潔白を立てる為には、今後
何処
(
どこ
)
で
行逢
(
ゆきあ
)
おうとも決して
彼女
(
かれ
)
とは口を利くまいと、
窃
(
ひそか
)
に決心している矢先へ、
恰
(
あたか
)
も
彼
(
か
)
のお葉が現われた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それはというので、それに少々腹も
空
(
す
)
き加減の、
恰
(
あたか
)
もよしというところで、乗降口からレールへ飛び下りると、また駈け上って
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
因循怯懦の厭世港は黎明日本に皮肉な一役をつとめたのだ。然し結果は
恰
(
あたか
)
も町の性格どほりにあつけなかつた。港は信濃川の河口にあつた。
母を殺した少年
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
処で哲学そのものが、
恰
(
あたか
)
もこの生の自己解釈に外ならない。ここから哲学の方法は解釈学でなければならないのは当然である。
辞典
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
恰
(
あたか
)
も季参が彼女の
良人
(
おっと
)
で、その良人の眼を盗みながら、不義の快楽にでも
更
(
ふ
)
けっているように、私達は快楽に更けるのでした。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
わが宿りたるは
恰
(
あたか
)
も木曾川の流に沿ひて、
室
(
へや
)
よりはその流の髣髴を見ることを得ざれども、水聲は近く枕に通ひて、
夢魂
(
むこん
)
極めて穩かなりき。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
将門が
恰
(
あたか
)
も
水滸伝
(
すゐこでん
)
中の豪傑が危い目に度〻
逢
(
あ
)
つて
終
(
つひ
)
に官に抗し威を張るやうな徑路を取つたのも、考へれば考へどころはある。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
即ちこの長歌及び反歌は、旅人の心持になって、
恰
(
あたか
)
も自分の妻を
悼
(
いた
)
むような心境になって、旅人の妻の死を悼んだものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
本来この筆記は単に記憶に存したる事実を思い出ずるまゝに語りしものなれば、
恰
(
あたか
)
も一場の談話にして、
固
(
もと
)
より事の詳細を
悉
(
つ
)
くしたるに
非
(
あら
)
ず。
福翁自伝:01 〔慶應義塾の社中にては〕
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
恰
(
あたか
)
も科学の持つがごとき冷然たる素質を排撃するとしたならば、彼らの
総帥
(
そうすい
)
の
曾
(
かつ
)
て活用したる唯物論と雖も、その活用させたる科学的態度を
新感覚派とコンミニズム文学
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
北方心泉の方は、全幅が
恰
(
あたか
)
も一字の如くぴたっと行っておりますが、こちら守敬は非常にがたがたとして
纏
(
まと
)
まっていません。
よい書とうまい書
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
私達は先生の朗かに笑つた顏を一度も見たことはなかつた。先生は
恰
(
あたか
)
も生存の歡びを忘れた人のやうに感じられたのである。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
恰
(
あたか
)
も潜者の水底に沈みて真珠を拾ふが如く自然界の奥に
闖入
(
ちんにふ
)
し、冥想を以て他界の物を
攫取
(
くわくしゆ
)
し来るを以て詩人の尊む可きところとはするなり。
他界に対する観念
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
それは
恰
(
あたか
)
も空中からこの地点へ向って数多の爆弾を
投下
(
とうか
)
したならば、かような大穴があくことであろうと思ったことでした。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
恰
(
あたか
)
も
間伐
(
かんばつ
)
したかの如く、樹木がいい加減に合ひを置いて生えてゐる地上には牧草が青々と育つて、實に氣持ちのいい景色だ。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
恰
(
あたか
)
もそれは浪花節が「ぶし」であり常磐津の邦楽家が「ずわ屋」であるが如きもので、侮辱ではなくて実用語なのである。
奇術考案業
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
田圃には、連夜切りあげられた氷板が、長い距離に亘つて正しく積み並べられて、
恰
(
あたか
)
も氷の塁壁を築いた如き観を呈する。
諏訪湖畔冬の生活
(新字旧仮名)
/
島木赤彦
(著)
君子
(
きみこ
)
は
背
(
せ
)
のびをして
結
(
むす
)
ばれた
電氣
(
でんき
)
の
綱
(
つな
)
をほどいてゐた。とその
時
(
とき
)
、
母
(
はゝ
)
は
恰
(
あたか
)
もその
光
(
ひか
)
りに
彈
(
はじ
)
かれたやうにぱつと
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
とするならば、「六神丸それ自体は一体何に似てるんだ」そして「何のためにそれが必要なんだ」それは
恰
(
あたか
)
も今の社会組織そっくりじゃないか。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
入口の左右の壁には、煤竹を二本に渡した楕円形の小窓が開けられて居たが、その窓は
恰
(
あたか
)
も此家の
両
(
ふた
)
つの眼の様に見えた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
するとあなたは
恰
(
あたか
)
も不良青年にでもおびやかされた御様子で、逸作先生(僕はあの方があなたの御主人で画家丘崎逸作先生だと
直
(
す
)
ぐ判りました)
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
六千四百
噸
(
とん
)
の
巨船
(
きよせん
)
もすでに
半
(
なかば
)
は
傾
(
かたむ
)
き、
二本
(
にほん
)
の
煙筒
(
えんとう
)
から
眞黒
(
まつくろ
)
に
吐出
(
はきだ
)
す
烟
(
けぶり
)
は、
恰
(
あたか
)
も
斷末魔
(
だんまつま
)
の
苦悶
(
くもん
)
を
訴
(
うつた
)
へて
居
(
を
)
るかのやうである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
入江の奧より望めば舷燈高くかゝりて星かとばかり、燈影低く映りて
金蛇
(
きんだ
)
の如く。寂漠たる山色月影の
裡
(
うち
)
に浮んで
恰
(
あたか
)
も畫のやうに見えるのである。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
大月は
巻煙草
(
シガレット
)
を
燻
(
くゆ
)
らしながら、
恰
(
あたか
)
もこの事件に対して深い興味でも覚えたかの如く、暫くうっとりとした冥想に陥っていたが、軈て夫人に向って
花束の虫
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
若
(
も
)
し上野の山より
不忍池
(
しのばずのいけ
)
の水を奪つてしまつたなら、それは
恰
(
あたか
)
も両腕をもぎ取られた人形に等しいものとなるであらう。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
かかる思想家の思想が掴まるれば、その流派というようなものは、
恰
(
あたか
)
も
蔓
(
つる
)
をたぐるように理解せられて行くのである。
読書
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
けだしキリシタン宗は、
恰
(
あたか
)
も
足利
(
あしかが
)
の世に初めてわが国に渡来した。北条氏は足利氏の縁者である。その北条氏の滅亡遺恨の地に、今や南蛮寺が建つ。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
其論文の構造は如何にも華麗にして
恰
(
あたか
)
も
蜃気楼
(
しんきろう
)
の如くなれども堅硬なる思想の上に立たざるが故に、一旦
破綻
(
はたん
)
を生ずれば破落々々となり
了
(
をは
)
る者あり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
恰
漢検準1級
部首:⼼
9画
“恰”を含む語句
恰好
恰度
不恰好
背恰好
年恰好
恰当
脊恰好
恰幅
無恰好
相恰
四十恰好
格恰
恰形
恰腹
形恰
無格恰
悧恰
恰顔斎
脊丈恰好
身丈恰好
...