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夕
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せき
ふりがな文庫
“
夕
(
せき
)” の例文
「おそらくは、由緒あるお山のご高徳でいらせられましょう。ぜひ、一
夕
(
せき
)
のお
斎
(
とき
)
なと差上げて、ご法話でも伺いたいと申されますが」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
婦人は間もなく健康になって、かの一
夕
(
せき
)
の
談
(
はなし
)
を
置
(
お
)
き
土産
(
みやげ
)
に都に帰られた。逗子の秋は寂しくなる。話の印象はいつまでも消えない。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ミミイ嬢はタヌの
叱責
(
しっせき
)
に廉恥心を感じ、一
夕
(
せき
)
、五合余りの牛乳と一〇〇
瓦
(
グラム
)
のバタを
嚥下
(
えんか
)
して、山のように積んだ臓品のそばで自殺してしまった。
ノンシャラン道中記:08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして色々な非難もあらうが、谷崎君も
嘗
(
か
)
つて云つた通り、明るく快活な気持で、一
夕
(
せき
)
を過すと云ふ意味なら、もつと、寧ろ流行させたいやうな気がする。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
かつて故
児玉
(
こだま
)
大将が生存中、僕は一
夕
(
せき
)
大将をその
邸
(
やしき
)
に訪ねたことがある。折から外出より帰った大将は
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
燗
(
かん
)
の熱いのをと命じて、手あきの女中達大勢に取り巻かれて、
暫
(
しばら
)
く一
夕
(
せき
)
の名残を惜んでいる。
里芋の芽と不動の目
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
種種
(
しゆじゆ
)
の
色
(
いろ
)
大理石を自由に使役して、
此
(
この
)
高雅と壮大と優麗との調和を成就した
彼
(
か
)
れの才の絶大さよ。
此処
(
ここ
)
には彼れの
雄偉
(
ゆうゐ
)
なる未成品「
昼
(
ちう
)
」「
夜
(
や
)
」「
朝
(
てう
)
」「
夕
(
せき
)
」の四像もあつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
『閲微草堂筆記』の名を
冠
(
かぶ
)
らせたのでありまして、実に一千二百八十二種の奇事異聞を
蒐録
(
しゅうろく
)
してあるのですから、とても一朝一
夕
(
せき
)
に説き尽くされるわけのものではありません。
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
加州のある土地で、博士は在留日本人から
招待
(
せうだい
)
を受けて一
夕
(
せき
)
国語教育の講演をした。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
練兵場の
横
(
よこ
)
を通るとき、
重
(
おも
)
い
雲
(
くも
)
が西で切れて、
梅雨
(
つゆ
)
には
珍
(
めづ
)
らしい
夕
(
せき
)
陽が、
真赤
(
まつか
)
になつて
広
(
ひろ
)
い
原
(
はら
)
一面
(
いちめん
)
を
照
(
て
)
らしてゐた。それが
向
(
むかふ
)
を
行
(
ゆ
)
く
車
(
くるま
)
の
輪
(
わ
)
に
中
(
あた
)
つて、
輪
(
わ
)
が
回
(
まは
)
る
度
(
たび
)
に
鋼鉄
(
はがね
)
の如く
光
(
ひか
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
夕
(
せき
)
翁の語りけるは、今より四五十年以前吉田の(三島郡の内なり)ほとり大鳥川といふ
渓
(
たに
)
川に夜な/\光りものありとて人
怖
(
おぢ
)
て近づくものなかりしに、此川の近所に富長村といふあり
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その倉地が妻や娘たちに取り巻かれて楽しく一
夕
(
せき
)
を過ごしている。そう思うとあり合わせるものを取って
打
(
ぶ
)
ちこわすか、つかんで引き裂きたいような衝動がわけもなく
嵩
(
こう
)
じて来るのだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ありしは
何時
(
いつ
)
の七
夕
(
せき
)
の
夜
(
よ
)
、なにと
盟
(
ちか
)
ひて
比翼
(
ひよく
)
の
鳥
(
とり
)
の
片羽
(
かたは
)
をうらみ、
無常
(
むじよう
)
の
風
(
かぜ
)
を
連理
(
れんり
)
の
枝
(
ゑだ
)
に
憤
(
いきどほ
)
りつ、
此處
(
こヽ
)
閑窓
(
かんさう
)
のうち
机上
(
きじやう
)
の
香爐
(
かうろ
)
に
絶
(
た
)
えぬ
烟
(
けふ
)
りの
主
(
ぬし
)
はと
問
(
と
)
へば、
答
(
こた
)
へはぽろり
襦袢
(
じゆばん
)
の
袖
(
そで
)
に
露
(
つゆ
)
を
置
(
お
)
きて
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
煩
(
わずら
)
わすことになったが、実は一
朝
(
ちょう
)
一
夕
(
せき
)
の思いつきじゃない。この一二年、手当り次第に伝記書類を読んで見た。しかし何うも気に入らん。初めから教訓の積りで書いているから、肩が凝ってしまう
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
居士
(
コジ
)
には
居士
(
コジ
)
の
定見
(
ていけん
)
あり、そを
評論
(
ひやうろん
)
せんは一
朝
(
てふ
)
一
夕
(
せき
)
の
業
(
わざ
)
にはあらじ。
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
升目
(
ますめ
)
一升四
合
(
ごう
)
六
夕
(
せき
)
八合九夕 五合七夕
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
極
(
きは
)
めてお光に向ひ夫は
道理
(
もつとも
)
なる次第なれども一
朝
(
てう
)
一
夕
(
せき
)
の事ならず假令
證據
(
しようこ
)
人の有ればとて
周章
(
あわて
)
て
願
(
ねが
)
ふ事
柄
(
がら
)
ならず殊に北の御番所にて
先年
(
せんねん
)
裁許濟
(
さいきよずみ
)
に成し事故今更兎や角申立るとも
入費倒
(
にふひたふ
)
れにて
贅
(
むだ
)
事に成も知れず云ば證文の出し
後
(
おく
)
れなり夫より
最早
(
もはや
)
夫
(
をつと
)
道十郎殿の事は前世よりの
因縁
(
いんえん
)
と
斷念
(
あきらめ
)
られ
紀念
(
かたみ
)
の道之助殿の成長を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
というのは、佐渡様とも申しあわせ、御身が小倉へ到着したら、ぜひ一夜、われらなども
交
(
ま
)
じえて、一
夕
(
せき
)
の宴をと、待ちもうけていたのじゃ
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十年ぶりに読んでいるうちに
端
(
はし
)
なく思い起こした事がある。それはこの小説の
胚胎
(
はいたい
)
せられた一
夕
(
せき
)
の事。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
一
夕
(
せき
)
翁の語りけるは、今より四五十年以前吉田の(三島郡の内なり)ほとり大鳥川といふ
渓
(
たに
)
川に夜な/\光りものありとて人
怖
(
おぢ
)
て近づくものなかりしに、此川の近所に富長村といふあり
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
わが共同の邸宅に招き一
夕
(
せき
)
盛大なる晩餐会を催すにつき、食堂、玄関、便所の嫌いなく満堂国花をもって埋むべし、という、例によって例のごとき、
端倪
(
たんげい
)
すべからざるタヌが
咄嗟
(
さっそく
)
の思い立ち。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「人間の性格って、然う一
朝
(
ちょう
)
一
夕
(
せき
)
に分るものじゃありませんわ」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
後七
夕
(
せき
)
の条に「当日御祝儀御帳出勤」と記してある。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「それは一
朝
(
ちょう
)
一
夕
(
せき
)
に話せぬが、つまるところ、お千絵という
世阿弥
(
よあみ
)
の娘も、弦之丞に思いをよせて、あいつに逢うのを一念で待っているのだ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
夕
(
せき
)
夫人
繁子
(
しげこ
)
を書斎に呼びて懇々浪子の事を託したる後、同十三日
大纛
(
だいとう
)
に
扈従
(
こしょう
)
して広島大本営におもむき、翌月さらに
大山大将
(
おおやまたいしょう
)
山路
(
やまじ
)
中将と前後して
遼東
(
りょうとう
)
に向かいぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
然
(
そ
)
う一
朝
(
ちょう
)
一
夕
(
せき
)
に行くまい」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一
夕
(
せき
)
の宴をもうけて、また、彼の人間をも見ようとする姫路藩の人々が、二十余名も、
駕籠
(
かご
)
までもって、迎えに出ていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらにまた、それが一朝一
夕
(
せき
)
の陰謀でなく、義伝公以来歴代の太守が、幕府に隙さえあらばと、常に
鏃
(
やじり
)
を
研
(
と
)
いでいたことに違いない、とも思った。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ご存知ないか。毛利方の軍備というのは、一朝一
夕
(
せき
)
のものではありませぬぞ。想像以上と思わねばなりますまい」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこに、酒でも設けて、一
夕
(
せき
)
、剣談を交わそうとあれば、彼もよろこんで来るであろうし、大殿の耳へ入っても、それならばお
咎
(
とが
)
めはなかろうではないか。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その一
夕
(
せき
)
、相府の宴には、
踵
(
きびす
)
をついでくる客の車馬が迎えられた。相府の群臣も陪席し、大堂の欄や歩廊の
廂
(
ひさし
)
には、華燈のきらめきと
龕
(
がん
)
の明りがかけ連ねられた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いやこの張順も、はからずお三名の豪傑に、一
夕
(
せき
)
一
堂
(
どう
)
のうちでお目にかかり、こんなうれしいことはございません。どうぞこれからは兄弟分の端と思ってお叱りを」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
出す。すまないが貴公たちも、この
不愍
(
ふびん
)
な
酒楼
(
さかば
)
芸人のために、一
夕
(
せき
)
の歌でも唄わせたと思って、
餞別
(
せんべつ
)
をやってくれんか。……それを路銀に故郷へ帰してやりたいと思うが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当時の憶い出を語りながら、一
夕
(
せき
)
会したいというのである。場所は、根岸の笹の雪としてある。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十年語り合っても理解し得ない人と人もあるし、一
夕
(
せき
)
の間に百年の
知己
(
ちき
)
となる人と人もある。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徳川家の
藩塀
(
はんぺい
)
として、ここに一城を築きまするにも、一朝一
夕
(
せき
)
のことではなく、藩祖浅野采女正の
勲功
(
くんこう
)
、以後代々の忠誠に依り、御恩遇を
蒙
(
こうむ
)
りましたこと、亡君内匠頭に於ても
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まことに、よいお話で。皆様の御推挙が通り、それが実現すれば、柳営武道のためにも、武蔵どののためにも、もう一
夕
(
せき
)
、宴を張って、お杯を挙げてもよろしゅうございますな」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小柳生城の中へ、
童
(
わっぱ
)
ひとりを連れて、堂々と、入り込んでござった不敵さは、
曲者
(
くせもの
)
ながらよい
面
(
つら
)
がまえ。それに、一
夕
(
せき
)
の
好誼
(
よしみ
)
もある。——腹を切れ、支度のあいだは待ってやろう。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここは木曾路をへてくる
上方
(
かみがた
)
の客、
信濃路
(
しなのじ
)
からくる善光寺帰りの旅人、和田峠をこえて江戸の方角から
辿
(
たど
)
りつく旅人などが、一
夕
(
せき
)
の
垢
(
あか
)
を洗うべく
温泉
(
ゆ
)
をたのしみに必ずわらじを脱ぐので
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その女性は、和尚の
郷国
(
くに
)
とはすぐ近い
美作
(
みまさか
)
の七宝寺とやらで育った者であるといえば、和尚とは話も合おう。佳人の笛を聞きながら一
夕
(
せき
)
の美酒は、茶で
時鳥
(
ほととぎす
)
という夜ともまた変った味がある。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、一
夕
(
せき
)
、佐女牛の邸に、
闘茶
(
とうちゃ
)
の会を催して、在京の諸大将を招待した。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あすは都へ還るという前夜、曹操は諸大将と一
夕
(
せき
)
の
歓
(
かん
)
を共にした。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一
夕
(
せき
)
、お迎え申したいが」と、使いを以て招いた。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
めずらしく、
積良
(
つむら
)
の一
夕
(
せき
)
は、清遊であった。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“夕”の意味
《名詞》
(ゆう)日暮れから夜半にかけて。ゆうべ。
(出典:Wiktionary)
“夕”の解説
夕(ゆう、ゆうべ)は、1日のうち太陽が沈んで暗くなる時間帯を指す。
(出典:Wikipedia)
夕
常用漢字
小1
部首:⼣
3画
“夕”を含む語句
夕食
夕飯
朝夕
夕照
夕陽
夕映
夕餐
夕餉
夕暮
昨夕
一夕
旦夕
夕立
夕炊
夕方
夕凪
夕栄
夕涼
夕霧
夕凉
...