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各
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おのおの
ふりがな文庫
“
各
(
おのおの
)” の例文
彼と彼の妻とは、その時、
各
(
おのおの
)
この草屋根の上にさまようて居た彼等の瞳を、互に相手のそれの上に向けて、瞳と瞳とで会話をした——
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
何人でも統一せる一の意識現象と考えている思惟または意志等について見ても、その過程は
各
(
おのおの
)
相異なっている観念の連続にすぎない。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
尤
(
もっと
)
もこれ等の名称は芸術家や人類学者又は骨相学者なぞが
各
(
おのおの
)
その立場立場に依ってそのつけ方を違えているのだそうでありますが
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
また宴席、酒
酣
(
たけなわ
)
なるときなどにも、上士が
拳
(
けん
)
を打ち
歌舞
(
かぶ
)
するは極て
稀
(
まれ
)
なれども、下士は
各
(
おのおの
)
隠し芸なるものを奏して
興
(
きょう
)
を
助
(
たすく
)
る者多し。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そして多くの労働者は、それを作り出すために、
各
(
おのおの
)
、危険と
鼻面
(
はなづら
)
を突き合わせて、凍え、飢え、さまよいながら、労働すべきであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
▼ もっと見る
案内も無くかかる内証の席に立入りて、彼等の
各
(
おのおの
)
心得顔なるは、必ず子細あるべしと思ひつつ、彼は
少
(
すこし
)
く座を
動
(
ゆる
)
ぎて
容
(
かたち
)
を改めたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
これ等三様の態度を反省して見て思う事は、先ず第一、
各
(
おのおの
)
の傾向に intentional な選択が行われている事である。
概念と心其もの
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そこから両藩のものが引き分れて、
各
(
おのおの
)
預けられた人達を連れて帰った。橋詰には医者が附けられ、又土佐藩から看護人が差し添えられた。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
両者
各
(
おのおの
)
理あり、各
非理
(
ひり
)
ありて、
争鬩
(
そうげい
)
則
(
すなわ
)
ち起り、各
情
(
じょう
)
なく、各真情ありて、戦闘則ち生ぜるもの、今に於て
誰
(
たれ
)
か
能
(
よ
)
く其の是非を判せんや。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は
先
(
ま
)
づ画家五人を
挙
(
あ
)
げ、次に
蒔絵
(
まきえ
)
、
鋳金
(
ちゅうきん
)
、彫刻、
象牙細工
(
ぞうげざいく
)
、銅器、
刺繍
(
ししゅう
)
、陶器各種の制作者中
各
(
おのおの
)
一人
(
いちにん
)
を選び、その代表的制作品を研究し
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
特務曹長「なるほど金無垢であります。すぐ組み立てます。」(一箇をちぎり曹長に渡す。以下これに
倣
(
なら
)
う。
各
(
おのおの
)
皮を
剥
(
む
)
く。)
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鼓瑟
(
ことのて
)
希
(
しばし
)
とだえ
鏗爾
(
こうじ
)
として
瑟
(
しつ
)
を
舎
(
さしお
)
きて
作
(
た
)
ち、対えて曰く、
三子者
(
さんししゃ
)
の
撰
(
よき
)
に異なり。子曰く、何ぞ
傷
(
いた
)
まん、
亦
(
また
)
各
(
おのおの
)
その志をいうなり。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
長老がこういい終わるがいなや群がる男女たちは
各
(
おのおの
)
のその胸に十字架をかき、長老のかたわらに集まりひざまずいてその衣のひだに
接吻
(
せっぷん
)
した。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
しかし両親様へ孝と申し候とも、其許たち
各
(
おのおの
)
自分の家これ有る事に候えば、家を捨て実家へ心力を尽され候ようの事はかえって道にあらず候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
僧都
真鯛
(
まだい
)
大小八千枚。
鰤
(
ぶり
)
、
鮪
(
まぐろ
)
、ともに二万
疋
(
びき
)
。
鰹
(
かつお
)
、
真那鰹
(
まながつお
)
、
各
(
おのおの
)
一万本。
大比目魚
(
おおひらめ
)
五千枚。
鱚
(
きす
)
、
魴鮄
(
ほうぼう
)
、
鯒
(
こち
)
、
鰷身魚
(
あいなめ
)
、
目張魚
(
めばる
)
、
藻魚
(
もうお
)
、合せて七百
籠
(
かご
)
。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
吾々の生活は千差万別であるから、吾々の惰性も商売により職業により、年齢により、気質により、両性によりて
各
(
おのおの
)
異なるであろう。がその通り。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
各
(
おのおの
)
これを揚げて
楽
(
たのし
)
むこともするが、唯揚げるばかりでなく、凧合戦をする事が盛んであった。これは子供でなく、二十歳近くの者が先立ってやった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
ジスレリの『文海奇観』に、禁獄された人が絃を鼓する事数日にして鼠と
蜘蛛
(
くも
)
が夥しく出で来り、その人を囲んで聴きおりさて弾じやむと
各
(
おのおの
)
退いた。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
蔡温はまた『独物語』の中に、国家を上中下の三段に分ち、その
各
(
おのおの
)
をまた上中下の三段に分ち、
都合
(
つごう
)
国家に九段の別があるという事をいっております。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
然し人々には、
各
(
おのおの
)
持って生れた機根の相違があるゆえ、人々は自分の機根に於てこのうちのどれか一つを選んで
宜
(
よろ
)
しい。阿難よ。お前は出家の身の上だ。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一、一味の
各
(
おのおの
)
存寄
(
ぞんじより
)
申出
(
もうしいで
)
られ候とも、自己の意趣を
含
(
ふくみ
)
申
妨
(
さまたげ
)
候儀これ
有
(
ある
)
まじく候。誰にても理の当然に申合すべく候。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
遠くまでたなびき渡して、空は
瑠璃色
(
るりいろ
)
深く澄みつつ、すべてのものが皆いきいきとして、
各
(
おのおの
)
その本能を発揮しながら、またよく自然の統一に参合している。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
皆々大いに驚き、すわや我家の焼け失せぬらん、一刻も早く帰るべしと言うより、
各
(
おのおの
)
我一
(
われいち
)
と船を早めて家に帰りたるに、陸には何のかわりたることもなし。
地震なまず
(新字新仮名)
/
武者金吉
(著)
その他男女共通に、眼、耳、手、足を
各
(
おのおの
)
二つ、鼻、口を一個ずつ特に旅行中の便宜のために黙認している。しかし、これが単なる
通過
(
トランジト
)
ならばよほど寛大だ。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
自分は敢て問ふ、
仏蘭西
(
フランス
)
の婦人は
何故
(
なにゆゑ
)
に
自
(
みづか
)
ら奮ひ立つて
各
(
おのおの
)
自己の教育を男子と
斉
(
ひと
)
しくすることを謀らないのか。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それが、学校へ入った時分から
各
(
おのおの
)
の環境によって、異って来る。社会の造った生活というものを知るからだ。
人間否定か社会肯定か
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ことゝひし磐ね・木ねだち・草のかき葉をも
言止
(
コトヤ
)
めて」など言ふ表現法を採る事になり、記紀に地上の庶物
各
(
おのおの
)
勢を得た様の描写と形を変へて来た理由である。
「しゞま」から「ことゝひ」へ
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
粗密
(
そみつ
)
は気質の差によるものである。粗を嫌ひ密を喜ぶのは、
各
(
おのおの
)
好む所に従ふが
好
(
よ
)
い。しかし粗密と純雑とは、
自
(
おのづか
)
ら又
異
(
ことな
)
つてゐる。純雑は気質の差のみではない。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
各
(
おのおの
)
粗末なしかも丈夫そうな洋服を着て、
草鞋
(
わらじ
)
脚絆
(
きゃはん
)
で、鉄砲を
各手
(
てんで
)
に持って、いろんな帽子をかぶって——どうしても山賊か
一揆
(
いっき
)
の夜討ちぐらいにしか見えなかった。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
歌には一首一首
各
(
おのおの
)
異った調子がある
筈
(
はず
)
だから、一首一首別なわけ方で何行かに書くことにするんだね。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
皇子
(
みこ
)
等
(
たち
)
共に
対
(
こた
)
へて
曰
(
いは
)
く、
理実
(
ことわり
)
灼然
(
いやちこ
)
なり。則ち草壁皇子尊
先
(
ま
)
づ進みて盟ひて
曰
(
いは
)
く、
天神
(
あまつかみ
)
地祇
(
くにつかみ
)
、及び
天皇
(
すめらみこと
)
証
(
あきら
)
めたまへ、
吾
(
おの
)
れ兄弟長幼、
并
(
あは
)
せて十余の
王
(
みこ
)
、
各
(
おのおの
)
異腹
(
ことはら
)
より
出
(
い
)
づ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
各
(
おのおの
)
〻、二千石三千石を加増され、馬をもち土地をもち家来を持って、それぞれここを巣立ちしていた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左右の手に
各
(
おのおの
)
小枝を握り、その両肩へ小枝を担ふ姿勢をとつて、両肘を張り、一声高くかう歌つた。
閑山
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
各
(
おのおの
)
の部屋は自修室と寝室との二間に分れている。寝室の壁によせて畳の敷いた
寝台
(
ねだい
)
が作りつけてある。そこへ彼は身を投げるようにして、寝台へ顔を押宛てて祈った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
時に
詔
(
みことのり
)
あって酒を
賜
(
たま
)
い
肆宴
(
とよのあかり
)
をなした。また、「汝諸王卿等
聊
(
いささ
)
か此の雪を
賦
(
ふ
)
して
各
(
おのおの
)
その歌を奏せよ」という詔があったので、それに
応
(
こた
)
え奉った、左大臣橘諸兄の歌である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
高踏派の壮麗体を訳すに当りて、多く
所謂
(
いはゆる
)
七五調を基としたる詩形を用ゐ、象徴派の
幽婉
(
ゆうえん
)
体を
翻
(
ほん
)
するに多少の変格を
敢
(
あへ
)
てしたるは、その
各
(
おのおの
)
の原調に適合せしめむが
為
(
ため
)
なり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
各
(
おのおの
)
真紅の毒舌を出しながら、
悪徒
(
わるもの
)
の手といい足といい首胴の差別なく巻き付いている、
髪面
(
ひげづら
)
の
悪徒
(
わるもの
)
は苦しそうな顔をして
悶
(
もが
)
き苦しんでいるというような絵を見た事があるが
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
それこそ到底地球上の人類ほどもいるかも知れない、それが
各
(
おのおの
)
猛烈な恋愛をやったり、
噛
(
か
)
み合ったり殺し合っているのだから
怖
(
おそ
)
ろしい、その弱肉強食、
殺合
(
ころしあ
)
いが極く自然に
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
つづいてちょうど星座とそれを構成する
各
(
おのおの
)
の星にそれぞれ名があるように大きくは定石、布石、細かくは
小桂馬
(
こげいま
)
しまり、大桂馬しまり、
一間高
(
いっけんたか
)
がかり、二間高がかり、等、等
独り碁
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
独逸
(
ドイツ
)
という外敵に勝った各国の人道主義者は、これより更に、その
各
(
おのおの
)
の国内における非人道思想や、専制思想と戦わねばなりませんが、日本人の国内におけるこの意味の戦いは
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
翻訳は
如何様
(
いかよう
)
にすべきものか、其の標準は人に依って、
各
(
おのおの
)
異ろうから、もとより一概に云うことは出来ぬ。されば、自分は、自分が従来やって来た
方法
(
しかた
)
について述べることとする。
余が翻訳の標準
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そして
各
(
おのおの
)
舷側から水の中にそれを浸して、時々は当度もなく舟を動かしているらしい。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
学の類たるや
各
(
おのおの
)
その分ありといへども而もみなその目的とする所は千古に渉りて朽ちざるにありてその攻究には仔細の考察と静慮とを要するなり。学術に関するに流行の文字を以てす。
史論の流行
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
(著)
例
(
たとえ
)
ば書方を学ぶにしても同じ先生の弟子は十人が十人全く同じような字を書いて居るが、だんだん年をとって経験を積み一個の見識が出来るに従って
自
(
おのずか
)
ら
各
(
おのおの
)
の持前の特色が現われて来て
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
匹配
(
ひつぱい
)
百両王姫を御す
之
(
この
)
子
于
(
ここ
)
に
帰
(
とつ
)
ぐ
各
(
おのおの
)
宜きを得
偕老
(
かいろう
)
他年白髪を期す 同心一夕紅糸を繋ぐ 大家終に団欒の日あり 名士豈遭遇の時無からん 人は周南詩句の
裡
(
うち
)
に在り 夭桃満面好手姿
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そして、この七枚の書類の日附けを、深谷夫人にそれぞれ辿って頂いたならば、きっと御夫人は、その
各
(
おのおの
)
の日の夜遅く、あの白い
柱
(
マスト
)
の尖端に黄色い信号燈が挙がっていた事を思い出されるでしょう。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
海抜二千五百尺の地の如何に寒いかといふことは、是で想像し得るであらう。若者は氷を積んでから、疲れた体を
各
(
おのおの
)
の家に運ぶ。朝飯を食べてから初めて暖い床に入つて、ぐつすりと寝入るのである。
諏訪湖畔冬の生活
(新字旧仮名)
/
島木赤彦
(著)
貧民は早や食ふと食はぬの界に臨みたるなれば、
各
(
おのおの
)
死憤の勢ありて小吏等万般説諭なせどもなかなかに鎮まらず、或は浅草今戸町その外処々の辻々へ貧窮人等が張札をして区々の苦情を
演
(
の
)
べたるうへ
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何不足のない国々で、
各
(
おのおの
)
福を受けるのを
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
各
(
おのおの
)
所屬の衆軍を整へ之を繰出せ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
各
常用漢字
小4
部首:⼝
6画
“各”を含む語句
各自
各々
各種
各〻
各所
各々方
各務
各國
各方面
各処
各個人
各戸
各藩
西洋各國
各病室
各人
各地
各地方
各童
各家屋
...