独り碁ひとりご
昭和三十三年十二月 家のない私は三十前後のころ谷中の真如院という寺に仮寓していた。そのじぶん上野公園から谷中の墓地へかけては何千本という杉の老木が空をついて群立ち、そのほかにも椎、樫、もち、肉桂などの古い闊葉樹が到る処繁ってたので、昼でも薄 …