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内儀
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ないぎ
ふりがな文庫
“
内儀
(
ないぎ
)” の例文
女中や番頭に取り巻かれて、すすぎ
盥
(
だらい
)
の前へ腰かけたのは、商家の
内儀
(
ないぎ
)
らしい年増の女と、地味な
縞
(
しま
)
ものを着た
手代
(
てだい
)
風の男であった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
円髷
(
まるわげ
)
に結ひたる四十ばかりの
小
(
ちひさ
)
く
痩
(
や
)
せて色白き女の、
茶微塵
(
ちやみじん
)
の糸織の
小袖
(
こそで
)
に黒の
奉書紬
(
ほうしよつむぎ
)
の紋付の羽織着たるは、この家の
内儀
(
ないぎ
)
なるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
町家の
内儀
(
ないぎ
)
や娘らしいのがそれぞれに着飾って、
萠黄
(
もえぎ
)
の風呂敷包などを首から下げた
丁稚
(
でっち
)
を供に
伴
(
つ
)
れて三々伍々町を歩いている。
長閑
(
のどか
)
な景色だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何
(
なに
)
かな、
御身
(
おみ
)
は
遠方
(
ゑんぱう
)
から、
近頃
(
ちかごろ
)
此
(
こ
)
の
双六
(
すごろく
)
の
温泉
(
をんせん
)
へ、
夫婦
(
ふうふ
)
づれで
湯治
(
たうぢ
)
に
来
(
き
)
て、
不図
(
ふと
)
山道
(
やまみち
)
で
其
(
そ
)
の
内儀
(
ないぎ
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
半狂乱
(
はんきやうらん
)
に
捜
(
さが
)
してござる
御仁
(
ごじん
)
かな。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その人だかりの中には、日ごろは
外
(
おもて
)
などへ出たこともない大問屋の
内儀
(
ないぎ
)
たちも交っている。私はよそから帰って来て、なにごとだろうかと思った。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
日本の旅館の不快なる事は毎朝毎晩番頭や
内儀
(
ないぎ
)
の挨拶、散歩の度々に女中の送迎、旅の寂しさを愛するものに取ってはこれ以上の
煩累
(
はんるい
)
はあるまい。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その時また烈しい風が、どっと茶室を
揺
(
ゆ
)
すぶりました。それに声が
紛
(
まぎ
)
れたのでしょう。弥三右衛門の
内儀
(
ないぎ
)
の言葉は、何と云ったのだかわかりません。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
帳場の
背後
(
うしろ
)
より立来り「何を御覧に入ましょう目「いや買物では無い、外の用事だ、
内儀
(
ないぎ
)
は内か下女「はいお内です、是へお呼申しましょう」とて
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「そいつを教えてはならない
内儀
(
ないぎ
)
が、
先刻
(
さっき
)
とう/\息を引取ったからですよ。
内儀
(
おかみ
)
さんさえ死んでしまえば、隠して置く張合も無いようなわけで——」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
きまりの悪そうなのも道理、この屋台店の主婦というのが、本郷の山岡屋の
内儀
(
ないぎ
)
のお滝が
成
(
な
)
れの
果
(
はて
)
でありました。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
商家のお
内儀
(
ないぎ
)
というものの明け暮れがどんなものかということも、さんざん見あきるくらい見てきていながら
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
お
内儀
(
ないぎ
)
様と云われるのを喜んだり、箸の持ち運び、食事の仕様までもそのままなのを見ると、それが山下
久米八
(
くめはち
)
と、いかに際立った対照をなしているか判ることと思う。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
引出し終に
表店
(
おもてだな
)
へ出て
可
(
か
)
なりに暮し一度は
流行
(
りうかう
)
爲
(
な
)
しけれども元より
己
(
おのれ
)
に覺えなき
業
(
わざ
)
なれば終には此處の
内儀
(
ないぎ
)
が藥違ひにて殺されたの彼所の
息子
(
むすこ
)
が
見立違
(
みたてちが
)
ひにて苦しみ
死
(
しに
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
奥へ入ってから、彼は子供達や
中風
(
ちゅうぶう
)
の夫と一塊になって寝ている
内儀
(
ないぎ
)
に声をかけられた。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
「お
内儀
(
ないぎ
)
、お内儀、何をこれしきの傷。死にはしないから、気を確かに持ちなさい」
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
此處
(
こゝ
)
の
内儀
(
ないぎ
)
が
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にうかびたる
形
(
かたち
)
は、
横巾
(
よこはゞ
)
ひろく
長
(
たけ
)
つまりし
顏
(
かほ
)
に、
目鼻
(
めはな
)
だちはまづくもあるまじけれど、
鬂
(
びん
)
うすくして
首筋
(
くびすぢ
)
くつきりとせず、
胴
(
どう
)
よりは
足
(
あし
)
の
長
(
なが
)
い
女
(
をんな
)
とおぼゆると
言
(
い
)
ふ
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
渡さねえか。愚図愚図していると、ホラ、お
内儀
(
ないぎ
)
のこの美しい頬っぺたから赤い血が流れるんだぜ。ふた目と見られぬ、恐ろしい顔に早変りしてしまうんだぜ。サア、鍵を渡さねえか
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
貞之進ははなはだ
遺憾
(
のこりおし
)
げに帰りかゝる時、すっきりとした三十三四の
鉄漿
(
かね
)
つけた
内儀
(
ないぎ
)
が礼に出て、門口まで送って来たが、歌ちゃん明日は縁日ですよと婢が云うを、小歌はそれには答えずして
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「お
内儀
(
ないぎ
)
、とんだ災難だったのう」
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
夏痩の言葉
嶮
(
けわ
)
しき
内儀
(
ないぎ
)
かな
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
其
(
そ
)
の
様子
(
やうす
)
を
聞
(
き
)
けば、
私
(
わし
)
が
言托
(
ことづけ
)
を
為
(
し
)
た
通
(
とほ
)
り、
何
(
なに
)
か、
内儀
(
ないぎ
)
の
形代
(
かたしろ
)
を
一心
(
いつしん
)
に
刻
(
きざ
)
むと
聞
(
き
)
く、……
其
(
それ
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
したと
言
(
い
)
ふ
昨夜
(
ゆふべ
)
ぢや。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あのせつは、ご心配をおかけいたしましたが、今では、
小
(
ささ
)
やかですが、
穀商人
(
こくあきゅうど
)
の
内儀
(
ないぎ
)
になり、子どもまでもうけて、親どもと一緒に暮らしております。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この
家
(
うち
)
には、金があり過ぎた。女も多過ぎた。皆んな主人を
怨
(
うら
)
んでいた。隣の人も、奉公人たちも
内儀
(
ないぎ
)
までも」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
余は此言葉に依り
宛
(
あたか
)
も稲妻の光るが如く我が脳髄に新しき思案の差込み来るを覚えたり、一分の猶予も無く熱心に倉子に向い「では
内儀
(
ないぎ
)
犯罪の夜に此犬は
何所
(
どこ
)
に居ましたか」
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
是
(
これ
)
ぞ
此家
(
このや
)
の
旦那
(
だんな
)
殿の
寝所
(
しんじよ
)
ならめと腰障子をすこしつきやぶりて、是より入つて見れば夫婦枕をならべて、前後も知らず連れ
節
(
ぶし
)
の
鼾
(
いびき
)
に、(中略)
先
(
まづ
)
内儀
(
ないぎ
)
の顔をさし
覗
(
のぞ
)
いて見れば
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
町家
(
ちょうか
)
の
内儀
(
ないぎ
)
らしい
丸髷
(
まるまげ
)
の女が
七
(
なな
)
、
八
(
やっ
)
ツになる娘の手を引いて門の
内
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
って行った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
内儀
(
ないぎ
)
同様のお高なので、このごろでは、男たちも、改まった口をきいているのだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
内儀
(
ないぎ
)
が、遅い夜食の後の歯を
楊子
(
ようじ
)
でせせりながら彼の横に立って、言った。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
娘
(
むすめ
)
に
書
(
か
)
かせたる
事
(
こと
)
論
(
ろん
)
なしとこゝの
内儀
(
ないぎ
)
が
人
(
ひと
)
の
惡
(
わる
)
き
目
(
め
)
にて
睨
(
にら
)
みぬ、
手跡
(
しゆせき
)
によりて
人
(
ひと
)
の
顏
(
かほ
)
つきを
思
(
おも
)
ひやるは、
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いて
人
(
ひと
)
の
善惡
(
ぜんあく
)
を
判斷
(
はんだん
)
するやうなもの、
當代
(
たうだい
)
の
能書
(
のうしよ
)
に
業平
(
なりひら
)
さまならぬもおはしますぞかし
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と相模屋の
内儀
(
ないぎ
)
が驚くのを
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
顔そむけ
出
(
い
)
づる
内儀
(
ないぎ
)
や
溝浚
(
みぞさらい
)
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
言ふ其人は
床
(
ゆか
)
し
懷
(
なつか
)
し何人ぞやと
出合頭
(
であひがしら
)
に
顏
(
かほ
)
打詠
(
うちなが
)
め見れば
此方
(
こなた
)
の彼男はお前こそは道十郎殿の御
内儀
(
ないぎ
)
お光殿にて有しよな
珍
(
めづ
)
らしき所にて
絶
(
たえ
)
て久しき
面會
(
めんくわい
)
なり
拙者
(
せつしや
)
事は
瀬戸物屋
(
せとものや
)
忠兵衞と言れてお光は
面
(
かほ
)
打
(
うち
)
まもり扨は忠兵衞殿にて在せしかと
往昔馴染
(
むかしなじみ
)
の何とやら
懷
(
なつか
)
しきまゝ
詞
(
ことば
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
天守
(
てんしゆ
)
の
主人
(
あるじ
)
は、
御身
(
おみ
)
が
内儀
(
ないぎ
)
の
美艶
(
あでやか
)
な
色
(
いろ
)
に
懸想
(
けさう
)
したのぢや。
理
(
り
)
も
非
(
ひ
)
もない、
業
(
ごふ
)
の
力
(
ちから
)
で
掴取
(
つかみと
)
つて、
閨
(
ねや
)
近
(
ちか
)
く
幽閉
(
おしこ
)
めた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
久助は、さびしい裏町へお蝶を導いて、何を
渡世
(
とせい
)
にする家とも分らない一軒のしもたやの戸を開けて、顔を出したそこの
内儀
(
ないぎ
)
と小声で話しておりましたが
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「此
家
(
うち
)
には、金があり過ぎた。女も多過ぎた。皆んな主人を
怨
(
うら
)
んで居た。隣の人も、奉公人達も
内儀
(
ないぎ
)
までも」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
町家
(
ちやうか
)
の
内儀
(
ないぎ
)
らしい
丸髷
(
まるまげ
)
の女が
七八
(
なゝやつ
)
ツになる娘の手を引いて門の
内
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
つて行つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私しは氷を
喫
(
たべ
)
ようと思いましたが一人では余り淋しい者ですから右隣の
靴店
(
くつみせ
)
の
内儀
(
ないぎ
)
と左隣の
手袋店
(
てぶくろみせ
)
の内儀を招きました
所
(
とこ
)
ろ、二人とも
早速
(
さっそく
)
に参りまして十一時過までも
茲
(
こゝ
)
に居ました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
願います。またこちらはお
内儀
(
ないぎ
)
、いや奥様
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
江戸の
大通
(
だいつう
)
ともあろうものが、召使にチョッカイを出して
内儀
(
ないぎ
)
にうんと油を
絞
(
しぼ
)
られていることでしょう。
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
内儀
(
ないぎ
)
もまだ若いし、あんな小娘と二人
限
(
ぎ
)
りで、よくこんな山里に住んでいられるな」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先
(
まず
)
は月
幾分
(
いくぶ
)
の利金を捨てる位のもので大した損はあるまいと立派にバランスを取って見た上、さて表立っての落籍なぞは世間の聞えを
憚
(
はばか
)
るからと待合の
内儀
(
ないぎ
)
にも
極内
(
ごくない
)
で、万事当人同志の対談に
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
江戸の
大通
(
だいつう
)
ともあらうものが、召使にチヨツカイを出して
内儀
(
ないぎ
)
にうんと油を
絞
(
しぼ
)
られてゐることでせう。
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そういっても、友だち
輩
(
ばら
)
にはわかっていた。——この秋には、天皇、上皇おそろいで、ふたたび
仁和寺
(
にんなじ
)
に
行幸
(
みゆき
)
の
内儀
(
ないぎ
)
があり、同日同所において、競馬を
覧給
(
みたも
)
うと、さたされている。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの人が嫁にでも行けば、世話の仕手がなくなって、
内儀
(
ないぎ
)
のお駒さんも自分で
拵
(
こしら
)
えた座敷牢から出て来る気になるかもしれません——と、こんなことを言っていましたが
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お前も、家にいた頃と違って、すッかり
堅気
(
かたぎ
)
のお
内儀
(
ないぎ
)
らしくなりましたね」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戸を開けてくれたのは、下女のお近といふ中年女、
内儀
(
ないぎ
)
のお徳も奧から聲を聽いてやつて來て
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これはお珍らしいことで、四国屋のお
内儀
(
ないぎ
)
様ではございませんか」
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
驚いたことに、
内儀
(
ないぎ
)
のお世乃は一番
纒
(
まと
)
まつた金を持つてをり、その次は下女のお萬が物持ちで、番頭の才八と、法印無道軒は殆んど百も持つて居ないことがわかりました。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あなたの
内儀
(
ないぎ
)
ですか」と性善坊が口を入れた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家中の者が集まつた中から、
内儀
(
ないぎ
)
のお種が飛んで出ると、平次の
袂
(
たもと
)
にすがりつくのです。
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“内儀”の意味
《名詞》
内儀(ないぎ)
(context、dated)内々に行われる評議。
(context、dated)内証。内密の事柄。
貴人、他人の妻の尊称。
(出典:Wiktionary)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
儀
常用漢字
中学
部首:⼈
15画
“内儀”で始まる語句
内儀様
内儀樣
内儀姿
内儀風