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其癖
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そのくせ
ふりがな文庫
“
其癖
(
そのくせ
)” の例文
餅菓子店
(
もちぐわしや
)
の
店
(
みせ
)
にツンと
濟
(
す
)
ましてる
婦人
(
をんな
)
なり。
生娘
(
きむすめ
)
の
袖
(
そで
)
誰
(
たれ
)
が
曳
(
ひ
)
いてか
雉子
(
きじ
)
の
聲
(
こゑ
)
で、ケンもほろゝの
無愛嬌者
(
ぶあいけうもの
)
、
其癖
(
そのくせ
)
甘
(
あま
)
いから
不思議
(
ふしぎ
)
だとさ。
神楽坂七不思議
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
手に提げた水入れの石油缶が邪魔で仕方がない。
其癖
(
そのくせ
)
今朝からまだ一滴も口に入れないのだ。寒い位涼しいので水など少しも欲しくない。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
其癖
(
そのくせ
)
私は祖母を小馬鹿にしていた。何となく奥底が
見透
(
みすか
)
されるから、祖母が何と言ったって、
些
(
ちッ
)
とも
可怕
(
こわ
)
くない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
其癖
(
そのくせ
)
彼
(
かれ
)
は
一々
(
いち/\
)
絹糸
(
きぬいと
)
で
釣
(
つ
)
るした
價格札
(
ねだんふだ
)
を
讀
(
よ
)
んで、
品物
(
しなもの
)
と
見較
(
みくら
)
べて
見
(
み
)
た。さうして
實際
(
じつさい
)
金時計
(
きんどけい
)
の
安價
(
あんか
)
なのに
驚
(
おど
)
ろいた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
獨
(
ひとり
)
で
畫
(
ゑ
)
を
書
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
るといへば
至極
(
しごく
)
温順
(
おとな
)
しく
聞
(
きこ
)
えるが、
其癖
(
そのくせ
)
自分
(
じぶん
)
ほど
腕白者
(
わんぱくもの
)
は
同級生
(
どうきふせい
)
の
中
(
うち
)
にないばかりか、
校長
(
かうちやう
)
が
持
(
も
)
て
餘
(
あま
)
して
數々
(
しば/\
)
退校
(
たいかう
)
を
以
(
もつ
)
て
嚇
(
おど
)
したのでも
全校
(
ぜんかう
)
第
(
だい
)
一といふことが
分
(
わか
)
る。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
机
(
つくゑ
)
の
前
(
まへ
)
にマツチは
有
(
あ
)
つて、
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
れを
見
(
み
)
てゐながら、
其癖
(
そのくせ
)
、
大聲
(
おほごゑ
)
を
上
(
あ
)
げて
小使
(
こづかひ
)
を
呼
(
よ
)
んでマツチを
持
(
も
)
つて
來
(
こ
)
いなどと
云
(
い
)
ひ、
女中
(
ぢよちゆう
)
のゐる
前
(
まへ
)
でも
平氣
(
へいき
)
で
下着
(
したぎ
)
一つで
歩
(
ある
)
いてゐる、
下僕
(
しもべ
)
や、
小使
(
こづかひ
)
を
捉
(
つかま
)
へては
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其癖
(
そのくせ
)
、ガラ/\と
又
(
また
)
……
今度
(
こんど
)
は
大戸
(
おほど
)
の
閉
(
しま
)
つた
時
(
とき
)
は、これで、
最
(
も
)
う、
家内
(
かない
)
と
私
(
わたし
)
は、
幽明
(
いうめい
)
処
(
ところ
)
を
隔
(
へだ
)
てたと
思
(
おも
)
つて、
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
涙
(
なみだ
)
が
落
(
お
)
ちた。…
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
消化
(
こな
)
れない
堅
(
かた
)
い
團子
(
だんご
)
が
胃
(
ゐ
)
に
滯
(
とゞこ
)
うつてゐる
樣
(
やう
)
な
不安
(
ふあん
)
な
胸
(
むね
)
を
抱
(
いだ
)
いて、わが
室
(
へや
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。さうして
又
(
また
)
線香
(
せんかう
)
を
焚
(
た
)
いて
坐
(
す
)
はり
出
(
だ
)
した。
其癖
(
そのくせ
)
夕方
(
ゆふがた
)
迄
(
まで
)
は
坐
(
すわ
)
り
續
(
つゞ
)
けられなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
こりゃ楽ではないわいと
坐
(
そぞ
)
ろに不安の念が漂う。
其癖
(
そのくせ
)
心はぐいぐい奥の方へ引張られて行くのだ。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
其癖
(
そのくせ
)
、
學校
(
がくかう
)
で、おの/\を
覗
(
のぞ
)
きつくらをする
時
(
とき
)
は「
蛇
(
じや
)
の
目
(
め
)
の
紋
(
もん
)
だい、
清正
(
きよまさ
)
だ。」と
言
(
い
)
つて、
負
(
まけ
)
をしみに
威張
(
ゐば
)
つた、
勿論
(
もちろん
)
、
結構
(
けつこう
)
なものではない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其癖
(
そのくせ
)
彼
(
かれ
)
の
性質
(
せいしつ
)
として、
兄夫婦
(
あにふうふ
)
の
如
(
ごと
)
く、
荏苒
(
じんぜん
)
の
境
(
さかひ
)
に
落付
(
おちつ
)
いてはゐられなかつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
よく
覺
(
おぼ
)
えては
居
(
ゐ
)
ないが、
玄關
(
げんくわん
)
へ
掛
(
かゝ
)
ると、
出迎
(
でむか
)
へた……お
太鼓
(
たいこ
)
に
結
(
むす
)
んだ
女中
(
ぢよちう
)
が
跪
(
ひざまづ
)
いて——ヌイと
突出
(
つきだ
)
した
大學生
(
だいがくせい
)
の
靴
(
くつ
)
を
脱
(
ぬ
)
がしたが、べこぼこんと
弛
(
たる
)
んで、
其癖
(
そのくせ
)
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そのうち
愚図々々
(
ぐずぐず
)
しているうちに、この己れに対する気の毒が凝結し始めて、
体
(
てい
)
のいい
往生
(
レシグネーション
)
となった。わるく云えば立ち腐れを甘んずる様になった。
其癖
(
そのくせ
)
世間へ対しては
甚
(
はなは
)
だ
気燄
(
きえん
)
が高い。
処女作追懐談
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
らうとしたけれど
気
(
き
)
が
重
(
おも
)
くなつて
其癖
(
そのくせ
)
神経
(
しんけい
)
は
鋭
(
するど
)
くなつて、それで
居
(
ゐ
)
てひとりでにあくびが
出
(
で
)
た。あれ!
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それで端然と
坐
(
すは
)
つてゐる。
眼
(
め
)
と
口
(
くち
)
に笑を帯びて無言の儘三四郎を見守つた
姿
(
すがた
)
に、男は寧ろ
甘
(
あま
)
い苦しみを感じた。
凝
(
じつ
)
として見らるゝに
堪
(
た
)
へない心の起つたのは、
其癖
(
そのくせ
)
女の腰を
卸
(
おろ
)
すや否やである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其癖
(
そのくせ
)
、犬に吠えられた時、お弁当のお
菜
(
さい
)
を
遣
(
や
)
つて
口塞
(
くちふさぎ
)
をした気転なんぞ、
満更
(
まんざら
)
の馬鹿でも無いに
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
父親
(
てゝおや
)
の
医者
(
いしや
)
といふのは、
頬骨
(
ほゝぼね
)
のとがつた
髯
(
ひげ
)
の
生
(
は
)
へた、
見得坊
(
みえばう
)
で
傲慢
(
がうまん
)
、
其癖
(
そのくせ
)
でもぢや、
勿論
(
もちろん
)
田舎
(
ゐなか
)
には
苅入
(
かりいれ
)
の
時
(
とき
)
よく
稲
(
いね
)
の
穂
(
ほ
)
が
目
(
め
)
に
入
(
はい
)
ると、それから
煩
(
わづ
)
らう、
脂目
(
やにめ
)
、
赤目
(
あかめ
)
、
流行目
(
はやりめ
)
が
多
(
おほ
)
いから
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
身
(
み
)
の
置處
(
おきどころ
)
ないまでに、
右
(
みぎ
)
から、
左
(
ひだり
)
から、
路
(
みち
)
をせばめられて、しめつけられて、
小
(
ちひ
)
さく、
堅
(
かた
)
くなつて、おど/\して、
其癖
(
そのくせ
)
、
驅
(
か
)
け
出
(
だ
)
さうとする
勇氣
(
ゆうき
)
はなく、
凡
(
およ
)
そ
人間
(
にんげん
)
の
歩行
(
ほかう
)
に、ありツたけの
遲
(
おそ
)
さで
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
癖
常用漢字
中学
部首:⽧
18画
“其”で始まる語句
其
其処
其方
其處
其様
其許
其奴
其所
其儘
其後