処女作追懐談しょじょさくついかいだん
私の処女作——と言えば先ず『猫』だろうが、別に追懐する程のこともないようだ。ただ偶然ああいうものが出来たので、私はそういう時機に達して居たというまでである。 というのが、もともと私には何をしなければならぬということがなかった。勿論生きて居る …