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乾
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ひ
ふりがな文庫
“
乾
(
ひ
)” の例文
土地
(
とち
)
にて、いなだは
生魚
(
なまうを
)
にあらず、
鰤
(
ぶり
)
を
開
(
ひら
)
きたる
乾
(
ひ
)
ものなり。
夏中
(
なつぢう
)
の
好
(
いゝ
)
下物
(
さかな
)
、
盆
(
ぼん
)
の
贈答
(
ぞうたふ
)
に
用
(
もち
)
ふる
事
(
こと
)
、
東京
(
とうきやう
)
に
於
(
お
)
けるお
歳暮
(
せいぼ
)
の
鮭
(
さけ
)
の
如
(
ごと
)
し。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「峠の者こそ、抜かるなといってくれ」
乾
(
ひ
)
からびた笑い声をながして、下の者は、すたすたと
胸突坂
(
むなつき
)
を登って行った。すると、不意に
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから西洋には、わさびおろしのような便利な機械がないので、
乾
(
ひ
)
からびたパン切れを、わさびおろしの代りに使っているわけである。
サラダの謎
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
秀夫は
合点
(
がてん
)
が往かなかった。今の婢もそう顔だちの悪い女ではなかったが、あんな
沢
(
つや
)
のない
乾
(
ひ
)
からびたような女ではなかった。
牡蠣船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
土地にしろ、草木にしろ、生物にしろ、
乾
(
ひ
)
からびるといふことは、養分がなくなることで、機能の衰退、死滅を意味します。
戦争と文化:――力としての文化 第三話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
▼ もっと見る
正月に、漁師たちが大焚火でもしてあたりながら食べたのだろう、
蜜柑
(
みかん
)
の皮が
乾
(
ひ
)
からびて沢山一ところに散らかっているのが砂の上に見えた。
海浜一日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
六月
(
みなつき
)
の
地
(
つち
)
さへ
割
(
さ
)
けて照る日にも吾が袖
乾
(
ひ
)
めや君に逢はずして」(巻十・一九九五)等は、同じような発想の
為方
(
しかた
)
の歌として味うことが出来る。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
なにを湯だよ、洗濯の
盥
(
たらい
)
でなくても
宜
(
よ
)
いてば、何を、えい強情張らなくても宜い、知ってるお客様だ、
手拭
(
てぬぐい
)
の
乾
(
ひ
)
たのを持ってお出で………さ
此方
(
こっち
)
へ
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ええ奥さん、それが一番ですよ。可哀相だ可哀相だといってた日にゃ、こちらの口が
乾
(
ひ
)
あがってしまいますからねえ」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
ヂュリ
涙
(
なみだ
)
で
創口
(
きずぐち
)
を
洗
(
あら
)
はしゃるがよい、
其
(
その
)
涙
(
なみだ
)
の
乾
(
ひ
)
る
頃
(
ころ
)
にはロミオの
追放
(
つゐはう
)
を
悔
(
くや
)
む
予
(
わし
)
の
涙
(
なみだ
)
も
大概
(
たいがい
)
盡
(
つけ
)
う。
其
(
その
)
綱
(
つな
)
を
拾
(
ひろ
)
うてたも。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
潮
(
しお
)
の
滿
(
み
)
ちる珠を出して溺らせ、もし大變にあやまつて來たら、
潮
(
しお
)
の
乾
(
ひ
)
る珠を出して生かし、こうしてお苦しめなさい
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
まぶたひとつ、唇ひとつ、うごかすこともできず、まるで顔がかさかさに
乾
(
ひ
)
あがって木になって、頭は
留針
(
ピン
)
のあたまみたいに、縮まったような気がする。
ねむい
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その
乾
(
ひ
)
からびた声が、霜に響くせゐか、
凛々
(
りんりん
)
として
凩
(
こがらし
)
のやうに、一語づつ五位の骨に、応へるやうな気さへする。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主
(
あるじ
)
はこの時
窓際
(
まどぎは
)
の
手合観
(
てあはせみ
)
に呼れたれば、貫一は独り残りて、未だ
乾
(
ひ
)
ぬ
袂
(
たもと
)
を
翳
(
かざ
)
しつつ、
愈
(
いよい
)
よ限無く惑ひゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
して居ては家業に出る事もならず此方の
頥
(
あご
)
が
乾
(
ひ
)
て仕舞ぞや
此罪
(
このつみ
)
は皆お前の亭主へ懸て行よく/\の
業
(
ごふ
)
つくばりなりと己等が
迷惑
(
めいわく
)
紛
(
まぎ
)
れに種々
恥
(
はづ
)
かしめければ是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
従弟
(
いとこ
)
とおまっちゃんと三人で、炎天ぼしになって掬ったが、
入
(
いれ
)
ものをもたないで、土に掬いあげたのはすぐ消たように
乾
(
ひ
)
かたまってしまった。三人は
唾
(
つばき
)
をした。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
櫟
(
くぬぎ
)
、
榛
(
はしばみ
)
などの落葉がからからに
乾
(
ひ
)
からびて、一歩一歩踏んで行く草鞋をややもすると
辷
(
すべ
)
らせようとする。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
しかし、ひとり背の高い、
乾
(
ひ
)
からびたような顔つきをした老紳士がいて、
眉
(
まゆ
)
が眼の上に張りだしていたが、この人は終始、重々しい、むしろ厳しい顔をしていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
青年は
一途
(
いちず
)
に救いを求めるような、混乱した表情を見せなから、
乾
(
ひ
)
からびた言葉をぐっと呑みこんだ。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうして鉄路の附近に、氷河湖の跡が
乾
(
ひ
)
からびて、今は青草の生えた牧場になって、牛が遊んでいる。
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
奧さんの唇はいつも
乾
(
ひ
)
からびて
皹
(
ひゞ
)
が入つてゐる。これはいつも頭から夜着を被つて寢るからである。奧さんは此家に來てから、博士の母君をあの人としか云はない。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
岩には青苔が蒸して、台のあたりはギボウシが手向の花のように咲いていた。
乾
(
ひ
)
からびた妙な物が炉の上に吊してある。何かと聞いて見れば熊の臓物であるという。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
無暗に
埃
(
ごみ
)
などは投げこめなかつたのですが、丸橋忠彌が石を投り込んだ内濠と違つて、二十や三十の
乾
(
ひ
)
菓子なら、夜陰ひそかに投り込めないことでは無かつたでせう。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
西側の庭には温室もあり、その前の植木棚には盆栽が五、六十鉢、中に三百円も投じた「えびの巣」という名石や、二百円もする赤松の盆栽が、潮風に
乾
(
ひ
)
からびてる。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
と、どうなる⁈ エジプトの心臓ナイル河の水が、底をみせて
涸々
(
からから
)
に
乾
(
ひ
)
あがるだろう。むろん
灌漑水
(
かんがいすい
)
が不足して
飢饉
(
ききん
)
がおこる。舟行が駄目になるから交通は杜絶する。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
『大学』に「「斐たる君子あり」といって、立派な君子ありという意味の言葉があるのをもじって、「濡れた」に対し「
乾
(
ひ
)
たる」とかけて応答したというわけであった。
故郷七十年
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この世に生きている人間の慾が、
乾
(
ひ
)
る時なんかあるもんか。何千年何万年たったって同じさ。
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
露の
乾
(
ひ
)
ぬ
間
(
ま
)
の朝顔は、云う迄もなく碧色を
要素
(
ようそ
)
とする。それから夏の草花には矢車草がある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
このあたりを取り巻いているものは、ひろびろとした
荒寥
(
こうりょう
)
たる
環境
(
かんきょう
)
ばかりでした。
乾
(
ひ
)
からびた
褐色
(
かっしょく
)
のヒースと、うす黒く
焦
(
こ
)
げた
芝草
(
しばくさ
)
が、白い
砂洲
(
さす
)
のあいだに見えるだけでした。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そんな
乾
(
ひ
)
からびた
木乃伊
(
みいら
)
みたいな了簡だから、
伜
(
せがれ
)
が云う事を聴かないで
家
(
うち
)
を飛出すのだぞ
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どうもこいつには二通りあるようです。あの四人組の一人のおとっつぁん、あの人のように肉がこけて
乾
(
ひ
)
からびて行くのと、それはまだいいが、ほんとに文字どおり腐って行く奴とです。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
カラカラという
乾
(
ひ
)
からびたような、しかし、ひどく傍若無人な高笑いであった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
口惜
(
くや
)
しかったらどうとでもしてみろ。ぬかしたなあま。云ったらどうした、あたしの躯に傷でもつけたら、おまえの口が
乾
(
ひ
)
あがるんだよ。くそ、このあま、と三平の逆上した声が聞え、幸坊が
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ねえ皆さん、どうでしょうね、もうじき水を掛けてもらえるんでしょうかしら?」と、水気の大好きなサゴ
椰子
(
やし
)
が尋ねました、「あたくしもう、ほんとに今日は
乾
(
ひ
)
あがってしまいそうですのよ。」
アッタレーア・プリンケプス
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
かへりてはかごとやせまし寄せたりし
名残
(
なごり
)
に袖の
乾
(
ひ
)
がたかりしを
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
君無くば
乾
(
ひ
)
からびた味の無い砂地のごとき悲哀になっちまう。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ランドリュは咽喉を
圧
(
お
)
された
乾
(
ひ
)
からびた声でつぶやいた。
青髯二百八十三人の妻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
蒙古野に去年の出水の溜れるは五十年して
乾
(
ひ
)
ぬべしと聞く
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
あるいはその根にいろいろな祭壇が
乾
(
ひ
)
からびてる。
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
乾
(
ひ
)
からびし黄ぐさの
薫
(
かをり
)
、そのかみも仄めき蒸しぬ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
のこる
桂
(
かつら
)
は
乾
(
ひ
)
からびぬ。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
露
乾
(
ひ
)
て菫枯れしより
鬼哭寺の一夜
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お前のその
蝦蛄
(
しゃこ
)
の
乾
(
ひ
)
もののようになった、両手の指を、
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
る
這
(
は
)
って
舐
(
な
)
めろと言え。……いずれ剣劇や活動写真が好きだろう。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
抜きかけたが、ベリッと、いいそうな、
硬
(
こわ
)
い感触にもためらわれた。
斑々
(
はんはん
)
と、紙端に黒く
乾
(
ひ
)
からびているのは、血の痕らしい。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右側にビール会社の
煉瓦
(
れんが
)
の建物が
乾
(
ひ
)
からびた血のような色をして
聳
(
そび
)
えていた。そこはもう人通りが無くなっていた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
モン長 げに、
幾朝
(
いくあさ
)
も/\、
未
(
まだ
)
乾
(
ひ
)
ぬ
露
(
つゆ
)
に
涙
(
なみだ
)
を
置添
(
おきそ
)
へ、
雲
(
くも
)
には
吐息
(
といき
)
の
雲
(
くも
)
を
加
(
くは
)
へて、
彷徨
(
うろつ
)
いてゐるのを
見掛
(
みか
)
けたとか。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
干菓子のように
乾
(
ひ
)
からびた教育を、
女庭訓
(
おんなていきん
)
とするようになってから、彼女たちに代ったものはなんであったか、大名たちの
下
(
しも
)
屋敷や
国許
(
くにもと
)
における
妾
(
めかけ
)
狂いは別として
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鼻は
鸚鵡
(
おうむ
)
の
嘴
(
くちばし
)
のような形で、顔は天然痘のために少々穴があいていて、そこに消えることのない
乾
(
ひ
)
からびた花が咲いているさまは、霜にうたれた秋の葉のようだった。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
乾
(
ひ
)
からび切った笑いが、またヘラヘラと小屋の天井に響いて四方へ鬼気を
撒
(
ま
)
き散らします。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
詛言
(
のろいごと
)
を言つて、「この竹の葉の青いように、この竹の葉の
萎
(
しお
)
れるように、青くなつて萎れよ。またこの鹽の
盈
(
み
)
ちたり
乾
(
ひ
)
たりするように盈ち乾よ。またこの石の沈むように沈み伏せ」
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
“乾”の意味
《名詞》
(いぬい)北西の方角。戌(いぬ)と亥(い)の間であることから。
(出典:Wiktionary)
“乾”の解説
乾(けん)は八卦の一つ。卦の形はであり、三爻がすべて陽。または六十四卦の一つであり、乾為天。乾下乾上で構成される。
(出典:Wikipedia)
乾
常用漢字
中学
部首:⼄
11画
“乾”を含む語句
乾燥
乾酪
乾干
乾魚
干乾
乾涸
乾葡萄
乾飯
乾坤
乾物
乾草
乾枯
乾鮭
生乾
乾杯
乾菓子
乾菜
乾田
乾麺麭
乾声
...