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丁度
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ちょうど
ふりがな文庫
“
丁度
(
ちょうど
)” の例文
「皆様、
丁度
(
ちょうど
)
十五年目でこの奇談クラブの会合を開きました。世の中も変りましたが御同様私共もすっかり年を取ってしまいました」
奇談クラブ〔戦後版〕:06 夢幻の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
丁度
(
ちょうど
)
そのときであった。金博士の頭を目がけて、一匹の
近海蟹
(
がざみ
)
のようによく
肥
(
こ
)
えた
大蜘蛛
(
おおぐも
)
が、長い糸をひいてするすると下りてきた。
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
父がここへ来たのは
丁度
(
ちょうど
)
幸いである。市郎は
彼
(
か
)
の𤢖に
就
(
つい
)
て父の意見を
訊
(
ただ
)
すべく待ち構えていた。が、父の話は
其
(
そ
)
んな問題で無かった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その溜りの中央が、
丁度
(
ちょうど
)
被害者の背中でこすり取られたらしく、白っぽいコンクリートの床を見せて、溜りを左右二つに割っている。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
(これがお前の
世界
(
せかい
)
なのだよ、お前に
丁度
(
ちょうど
)
あたり前の世界なのだよ。それよりもっとほんとうはこれがお前の中の
景色
(
けしき
)
なのだよ。)
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
この地方の百姓の生活といえば、
丁度
(
ちょうど
)
川がながれ来たり、ながれ去るのに似ていて、全く単調で、変化というものがないのである。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
丁度
(
ちょうど
)
あの
Zola
(
ゾラ
)
の
Lourdes
(
ルウルド
)
で、汽車の中に乗り込んでいて、足の
創
(
きず
)
の直った霊験を話す小娘の話のようなものである。
花子
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
丁度
(
ちょうど
)
人間が網を張って魚を獲ったり鳥を
捕
(
と
)
ったり、鉄鉋で獣を撃ったりする様なものだと彼は考えた。それなら彼は大好きである。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「そん都度に家が揺れ、
梁
(
はり
)
がみしみし鳴っとですたい。生きた心地はなかったです。
丁度
(
ちょうど
)
こん子が、小学校に入ったか入らん齢で——」
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
それは
丁度
(
ちょうど
)
、
幼
(
おさな
)
い
時
(
とき
)
から
別
(
わか
)
れ
別
(
わか
)
れになっていた
母
(
はは
)
と
子
(
こ
)
が、
不図
(
ふと
)
どこかでめぐり
合
(
あ
)
った
場合
(
ばあい
)
に
似通
(
にかよ
)
ったところがあるかも
知
(
し
)
れませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
御苦労な話で、ソレも屋敷に門限があるので、前の晩の十二時から行てその晩の十二時に帰たから、
丁度
(
ちょうど
)
一昼夜歩いて居た
訳
(
わ
)
けだ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私の父は私の十八の年(
丁度
(
ちょうど
)
東京の大地震の秋であったが)に死んだのだから父と子との交渉が相当あってもよい
筈
(
はず
)
なのだが、何もない。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それは、
丁度
(
ちょうど
)
、彼等が去年派遣されてやって来たのと同じ時分だった。四年兵と、三年兵との大部分は帰って行くことになった。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
そんな事を思いながら無電室へ戻ってみると、
丁度
(
ちょうど
)
助手が
何処
(
どこ
)
からかの無電を受けているところだった。助手は伊藤青年の顔を見るなり
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼女は
丁度
(
ちょうど
)
奥の窓から
額際
(
ひたいぎわ
)
に落ちるキラキラした朝の
日光
(
ひかげ
)
を
眩
(
まぶ
)
しさうに眼を
顰
(
しか
)
めながら、
閾
(
しきい
)
のうへに
爪立
(
つまだ
)
つやうにして黒い
外套
(
がいとう
)
を脱いだ。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
丁度
(
ちょうど
)
声
(
こえ
)
を
高
(
たか
)
めて
命令
(
めいれい
)
などは
决
(
けっ
)
して
致
(
いた
)
さぬと、
誰
(
たれ
)
にか
誓
(
ちかい
)
でも
立
(
た
)
てたかのように、くれとか、
持
(
も
)
って
来
(
こ
)
いとかとはどうしても
言
(
い
)
えぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一冊の
系図書
(
けいずがき
)
と、一枚の
書
(
かき
)
つけとが出て来て、その書きつけで初代というお前の名も、その時
丁度
(
ちょうど
)
お前が三つであったことも分ったのだよ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
丁度
(
ちょうど
)
宿直だった私は、
寝呆
(
ねぼ
)
け
眼
(
まなこ
)
で朝の一番電車を見送って、やれやれと思いながら、先輩であり同時に同僚である吉村君と
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
小さな子供がその脊の高さを
丁度
(
ちょうど
)
テーブルの面まで延ばしながら、じっと慄えるうす黄色い油に鼻のさきをひっつけていつまでも眺めていた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
だから私しが
余物
(
あまりもの
)
を
遣
(
やろ
)
うとして居ると
丁度
(
ちょうど
)
其時藻西が階段の所から口笛で呼ましたから犬は
泡食
(
あわくっ
)
て三階へ
馳上
(
はせあが
)
ッて仕舞ました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
思い当ったことがあるかのように、身をこわばらせて、
丁度
(
ちょうど
)
唐櫃のそばにかがやいている大燭台の光りをたよりに、もう一度、見込んだが——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
丁度
(
ちょうど
)
、十年前憶えたヴェルレエヌの句そのまま、「秋の日のヴィヲロンの、溜息の身にしみて、ひたぶるにうらがなしい」気持に
充
(
みた
)
されながら。
十年
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
一群の鴎が
丁度
(
ちょうど
)
足許から立って、鋭い、
貪
(
むさぼ
)
るような声で鳴きながら、忙しく湖水を超えて、よろめくように飛んで行った。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
丁度
(
ちょうど
)
満一年の新嘗祭も過ぎた十二月一日の午後、珍しく滝沢の名を帯びたはがきが主人の手に落ちた。其は彼の妻の死を報ずるはがきであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あだかも料理法で物を煮るように強過ぎる火で行かず弱過ぎる火でならず
丁度
(
ちょうど
)
よいという
程
(
ほど
)
と
加減
(
かげん
)
を知るのがむずかしい。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
丁度
(
ちょうど
)
その頃
一竿
(
いっかん
)
を手にして長流に対する味を覚えてから一年かそこらであったので、毎日のように
中川
(
なかがわ
)
べりへ出かけた。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
丁度
(
ちょうど
)
そこへ大哲学者のカストが出て、生気説に肩を持ちましたので、第十九世紀の前半には生気説は全盛を極めました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「諄うのうてどうしょうぞ。月次総登城とあらば、諸侯に対馬の動かぬ決心告げるに
丁度
(
ちょうど
)
よい都合じゃ——
硯
(
すずり
)
を持てい」
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私が十三歳の時だから、
丁度
(
ちょうど
)
慶応三年の頃だ、当時私は
京都寺町通
(
きようとてらまちどおり
)
の或る書房に居たのであるが、その頃に
其頃
(
そこ
)
の主人夫婦の間に、男の子が生れた。
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
その男というのはその時分
丁度
(
ちょうど
)
四十一二ぐらいで、
中々
(
なかなか
)
元気な人だったし、
且
(
か
)
つ職務柄、幽霊の話などは
初
(
てん
)
から「
何
(
な
)
んの
無稽
(
ばか
)
な」と
貶
(
けな
)
した方だった
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
それに対する地球の引力は距離の遠いだけ減っているのを
見出
(
みい
)
だし、その大きさが
丁度
(
ちょうど
)
距離の二乗に逆比例するということを計算で出したのでした。
ニュートン
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
丁度
(
ちょうど
)
某氏
等
(
ら
)
が同じ夢を見た晩と同じ晩の同じ時刻に、その病人が『今、自分は、色んな人に
逢
(
あっ
)
て、色んな愉快な話をして来たので、
宜
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
になった』
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
「
勘弁
(
かんべん
)
はいいが、——
丁度
(
ちょうど
)
いい
所
(
ところ
)
でおめえに
遭
(
あ
)
った。ちっとばかり
訊
(
き
)
きてえことがあるから、つきあってくんねえ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
人が、もしこれを性の欲望に関する変態のものだったろうと言うなら、
或
(
あるい
)
はそうかも知れないと答えよう。
丁度
(
ちょうど
)
、
年頃
(
としごろ
)
もその説を
当嵌
(
あては
)
めるに
妥当
(
だとう
)
である。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
丁度
(
ちょうど
)
予科の三年、十九歳頃のことであったが、私の家は
素
(
もと
)
より豊かな方ではなかったので、一つには家から学資を仰がずに
遣
(
や
)
って見ようという考えから
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで太平洋汽船会社の別の船に乗替えてパナマに行って蒸汽車に乗てあの地峡を
踰
(
こ
)
えて向側に出てまた船に
乗
(
のっ
)
て
丁度
(
ちょうど
)
三月十九日にニューヨークに着き……
咸臨丸その他
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
山路
(
やまじ
)
は一日がかりと覚悟をして、今度来るには
麓
(
ふもと
)
で一泊したですが、
昨日
(
きのう
)
丁度
(
ちょうど
)
前
(
ぜん
)
の時と
同一
(
おなじ
)
時刻、
正午
(
ひる
)
頃です。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その酒は勿論今売る
下
(
くだ
)
り
酒
(
ざけ
)
のごとく
旨
(
うま
)
いものでなかったことは、
丁度
(
ちょうど
)
家々の餅と砂糖餅との差も同じであった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
滝田
君
(
くん
)
に
最後
(
さいご
)
に
会
(
あ
)
ったのは今年の
初夏
(
しょか
)
、
丁度
(
ちょうど
)
ドラマ・リイグの
見物日
(
けんぶつび
)
に
新橋
(
しんばし
)
演舞場
(
えんぶじょう
)
へ行った時である。
小康
(
しょうこう
)
を
得
(
え
)
た滝田
君
(
くん
)
は三人のお
嬢
(
じょう
)
さんたちと
見物
(
けんぶつ
)
に来ていた。
滝田哲太郎君
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「おいおい、往来で何を云ってるんだ。
丁度
(
ちょうど
)
いい、今夜は前線の勇士を歓迎して大いに飲もうじゃないか。兵隊さん、いや失敬! 伍長殿飲もうじァないですか」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
あの時は、
丁度
(
ちょうど
)
dependents house の帰路で、薄ら寒い夜だったと記憶している。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
後
(
あと
)
でだんだん知れてみると、この男というのは性質の
頗
(
すこぶ
)
るよくない奴で、女房を変えること畳を変えるが如きほどにも思っていない、この娘が
丁度
(
ちょうど
)
三人目だとの事
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
私たちの入った門は半分
丈
(
だ
)
けは
錆
(
さ
)
びついてしまって、半分だけが、
丁度
(
ちょうど
)
一人だけ通れるように開いていた。門を入るとすぐそこには
塵埃
(
ごみ
)
が山のように積んであった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
丁度
(
ちょうど
)
そういうように、ぼんやりおぼえてるあの時分のことを考うれば考えるほど、色々新しいことを思出して、今そこに見えたり聞えたりするような心持がします。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
殊に豊国橋から見ると、その両岸に、まだ
錦絵
(
にしきえ
)
時代の倉と家があり、一本の松が右岸の家の庭から
丁度
(
ちょうど
)
円屋根の右手へ
聳
(
そび
)
え立ち
甚
(
はなは
)
だよき構図を作っているのである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「この子は八月十五夜の
丁度
(
ちょうど
)
月の出に生まれたんだよ。だから、きっと今に偉くなると思うわ。」
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
融通
(
ゆうずう
)
の利かぬ男じゃから、
帯刀
(
たてわき
)
と談合の上、
丁度
(
ちょうど
)
、感応院の蔵の中に、宝沢の笠のあったのを幸い、犬の血をつけて、切り目を作っての、越前の下役共の先廻りをして
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
恐ろしさとに
堪
(
た
)
えかねて、
跳起
(
はねお
)
きようとしたが、
躯
(
からだ
)
一躰
(
いったい
)
が
嘛痺
(
しび
)
れたようになって、起きる力も出ない、
丁度
(
ちょうど
)
十五分ばかりの
間
(
あいだ
)
というものは、この苦しい
切無
(
せつな
)
い
思
(
おもい
)
をつづけて
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
しかし
幸
(
さいわい
)
と何事も無く翌日になったが、
未
(
ま
)
だ
昨日
(
きのう
)
の事が
何
(
なん
)
だか気に
懸
(
かか
)
るので、
矢張
(
やはり
)
終日
家居
(
いえい
)
して暮したが、その日も別段変事も
起
(
おこ
)
らなかった、すると、その翌日
丁度
(
ちょうど
)
三日目の朝
鬼無菊
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
此度
(
こんど
)
は
丁度
(
ちょうど
)
私の家と隣屋敷との境の生垣のあたりなので、少し横に廻って、こっそりと様子を
窺
(
うかが
)
うと、
如何
(
どう
)
も人間らしい姿が見えるのだ、こいつは、てっきり
盗賊
(
どろぼう
)
と思ったので
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
丁
常用漢字
小3
部首:⼀
2画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“丁度”で始まる語句
丁度好
丁度々々
丁度並木道