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一呼吸
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ひといき
ふりがな文庫
“
一呼吸
(
ひといき
)” の例文
紅も散らない唇から、すぐに、
吻
(
ほっ
)
と息が出ようと、誰も皆思ったのが、
一呼吸
(
ひといき
)
の間もなしにバッタリと胴の間へ、島田を崩して倒れたんです。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飛脚が
一呼吸
(
ひといき
)
つく間もなくつぎの狼がまた頭をだした。その狼も飛脚の刀を浴びて下に落ちた。それでも次の狼は懲りずに上へあがろうとした。
鍛冶の母
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それを母が励まして絶頂の茶屋に休んで
峠餅
(
とうげもち
)
とか言いまして茶屋の婆が一人ぎめの名物を喰わしてもらうのを楽しみに、また
一呼吸
(
ひといき
)
の勇気を出しました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
青眼先生はこれを見ると、ほっと
一呼吸
(
ひといき
)
胸を
撫
(
な
)
で下しましたが、なおじっと気を落ち付けて動悸を鎮めて、それから死骸の傍へ寄ってよく
周囲
(
まわり
)
を
検
(
あらた
)
めて見ました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
一呼吸
(
ひといき
)
に次の時代の人に移ってあらわれることがあるものだ、まるできのう考えたような新しい思いをそのままに移しかえてくるから妙だ、人間の考えたものの前では
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
一呼吸
(
ひといき
)
にああいう処へ躍り入ったような風に見えたが、その残して置いた反古なぞを見ると、透谷集の中にある面白い深味のあるものが、皆ずっと以前の幼稚なものから
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
三つ目の林を駈け抜けると
弛
(
ゆる
)
い斜面が現われた。その斜面の行き詰まりに一座の高い大岩がある。その大岩の頂上に「虎狼の宮」があるのである。葉末は
一呼吸
(
ひといき
)
呼吸を入れると弛い斜面を走り出した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
殆ど
一呼吸
(
ひといき
)
で
梅原良三郎氏のモンマルトルの画室
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
と
一呼吸
(
ひといき
)
間
(
ま
)
を置いて、湯どのの
裡
(
なか
)
から聞こえたのは、もちろんわが心がわが耳に響いたのであろう。——お米でないのは言うまでもなかったのである。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「も一ツ」と今度は徳二郎が
注
(
つい
)
でやつたのを女は又もや
一呼吸
(
ひといき
)
に飮み干して月に
向
(
むかつ
)
て酒氣を
吻
(
ほつ
)
と吐いた。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
監物は忌いましそうな顔をして、膳の上の盃を執ってぐっと
一呼吸
(
ひといき
)
に飲んで、また不動の方に眼をやった。赤い
紅蓮
(
ぐれん
)
のような焔が不動の木像を中心にして炎々と燃えあがって見えた。
不動像の行方
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
眼も
眩
(
くら
)
み夢中にてただ
一呼吸
(
ひといき
)
に呑干しつ、やや人心地になりたれば、介抱せし人を見るに、別人ならぬ悪僕なり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
徳二郎は
平常
(
ふだん
)
にない
懊
(
むづか
)
しい顏をして居たが、女のさす盃を受けて
一呼吸
(
ひといき
)
に呑み干し
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
三左衛門は
一呼吸
(
ひといき
)
入れてから小屋の口へ往った。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と
麦酒
(
ビイル
)
の
硝子杯
(
コップ
)
を
一呼吸
(
ひといき
)
に引いて、威勢よく
卓子
(
テエブル
)
の上に置いた、愛吉は汚れた浴衣の腕まくりで、遠山金之助と、広小路の
麦酒
(
ビイヤ
)
ホールの一方を領している。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
語
(
かた
)
り
終
(
をは
)
つて
兒玉
(
こだま
)
は
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
くやオックスホードの
紳士
(
しんし
)
は
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「が、酒の
勢
(
いきおい
)
を借りて、と云うのが、打明けた処だろう——しかも今夜——頭から恐入らされたよ。」と、もう
一呼吸
(
ひといき
)
、帽子を深草、
蓑
(
みの
)
より
外套
(
がいとう
)
は
見窄
(
みすぼ
)
らしい。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と一杯
一呼吸
(
ひといき
)
に飲み干して校長に差し
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
夫人が態度の厳粛なりしは、犬の手品を見附けたる故にはあらで、「きっと。」をいわんとて、
屹
(
きっ
)
とせるなりと、小間使は観察しつ。ほっと
一呼吸
(
ひといき
)
、汗を入れぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人間とても年が
経
(
た
)
てば、ないがしろにする約束を、
一呼吸
(
ひといき
)
早く私が破るに、何に
憚
(
はばか
)
る事がある! ああ、恋しい人のふみを抱いて、私は心も悩乱した、姥、許して!
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其で此の家を見つけたんだもの、何の考へもなしに
駈
(
か
)
け込んだが、
一呼吸
(
ひといき
)
して見ると、
何
(
ど
)
うだらう。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
頸
(
うなじ
)
を垂れて屈託そう、眉毛のあとが著るしく
顰
(
ひそ
)
んで、
熟
(
じっ
)
と小首を傾けたり。はてこの様子では茶も菓子もと悟ったが、そのまま身退くことを
不得
(
えず
)
。もう
一呼吸
(
ひといき
)
ずるりと乗出し
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十時を過ぎた頃、
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
かせて、もの音は静まったが、裾を捲いて、
雷神
(
はたたがみ
)
を乗せながら、
赤黒
(
あかぐろ
)
に黄を交えた雲が
虚空
(
そら
)
へ、舞い舞い
上
(
あが
)
って、昇る
気勢
(
けはい
)
に、雨が、さあと
小止
(
おや
)
みになる。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十
時
(
じ
)
を
過
(
す
)
ぎた
頃
(
ころ
)
、
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
かせて、もの
音
(
おと
)
は
靜
(
しづ
)
まつたが、
裾
(
すそ
)
を
捲
(
ま
)
いて、
雷神
(
はたゝがみ
)
を
乘
(
の
)
せながら、
赤黒
(
あかぐろ
)
に
黄
(
き
)
を
交
(
まじ
)
へた
雲
(
くも
)
が
虚空
(
そら
)
へ、
舞
(
ま
)
ひ/\
上
(
あが
)
つて、
昇
(
のぼ
)
る
氣勢
(
けはひ
)
に、
雨
(
あめ
)
が、さあと
小止
(
をや
)
みに
成
(
な
)
る。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さあ、お三輪の顔を見ると、嬉しそうに双方を見較べて、
吻
(
ほっ
)
と
一呼吸
(
ひといき
)
を
吐
(
つ
)
いた様子。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
畳から、手をもぎ放すがごとくにして、身を開いて番頭、固くなって
一呼吸
(
ひといき
)
つき
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
身を
飜
(
ひるがえ
)
すと矢を射るよう、白い姿が、車の横を突切って、
一呼吸
(
ひといき
)
に飛んで逃げた。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻巻の裾を
渚
(
なぎさ
)
のごとく、電燈に爪足白く、流れて通って、
花活
(
はないけ
)
のその桜の一枝、舞の構えに手に取ると、ひらりと直って、袖にうけつつ、
一呼吸
(
ひといき
)
籠めた心の響、花ゆらゆらと胸へ取る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうして来たんです。誰と。
貴女
(
あなた
)
。いつ。どの汽車で。」と、
一呼吸
(
ひといき
)
に
慌
(
あわただ
)
しい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう
一呼吸
(
ひといき
)
で、
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
るところであつた。
臺所
(
だいどころ
)
から、
座敷
(
ざしき
)
へ、
水
(
みづ
)
も
夜具
(
やぐ
)
も
布團
(
ふとん
)
も
一所
(
いつしよ
)
に
打
(
ぶ
)
ちまけて、こたつは
忽
(
たちま
)
ち
流
(
なが
)
れとなつた。が
屈強
(
くつきやう
)
な
客
(
きやく
)
が
居合
(
ゐあは
)
せた。
女中
(
ぢよちう
)
も
働
(
はたら
)
いた。
家内
(
かない
)
も
落
(
おち
)
ついた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
上下
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
く間もあらせず、
眼
(
まなこ
)
鋭く、
頬
(
ほお
)
瘠
(
や
)
せて
髯
(
ひげ
)
蓬々
(
ぼうぼう
)
と口を
蔽
(
おお
)
い、髪は
蓬
(
おどろ
)
と
乱懸
(
みだれかか
)
りて、手足の
水腫
(
みずぶくれ
)
に蒼味を帯びたる
同一
(
おなじ
)
ような貧民一群、いまだ新らしき
棺桶
(
かんおけ
)
を、よいしょと
背負込
(
しょいこ
)
み
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
是
(
これ
)
から
推上
(
おしあが
)
らうと
云
(
い
)
ふのに
一呼吸
(
ひといき
)
つくらしく、フト
停
(
と
)
まると、
中
(
なか
)
でも
不精
(
ぶせう
)
らしい
簑
(
みの
)
の
裾
(
すそ
)
の
長
(
なが
)
いのが、
雲
(
くも
)
のやうに
渦
(
うづま
)
いた
段
(
だん
)
の
下
(
した
)
の、
大木
(
たいぼく
)
の
槐
(
えんじゆ
)
の
幹
(
みき
)
に
恁懸
(
よりかゝ
)
つて、ごそりと
身動
(
みうご
)
きをしたと
思
(
おも
)
へ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
水の音を聞くと一杯のんだ気になって、
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
いたんですが、——はてな。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
漸
(
やつ
)
との
思
(
おも
)
ひで
此処
(
こゝ
)
まで
来
(
き
)
て……
先
(
ま
)
づ
一呼吸
(
ひといき
)
と
気
(
き
)
が
着
(
つ
)
くと、あの
躰
(
てい
)
だ。
老爺
(
おぢい
)
さん、
形代
(
かたしろ
)
の
犠牲
(
にえ
)
に
代
(
か
)
へて、
辛
(
から
)
くもです、
我
(
わ
)
が
手
(
て
)
に
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
したとばかり
喜
(
よろこ
)
んだのは、お
浦
(
うら
)
ぢやない、
家内
(
かない
)
ぢやない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一呼吸
(
ひといき
)
拔
(
ぬ
)
いて
置
(
お
)
いて、
唐突
(
だしぬけ
)
に、ばり/\ばり/\、びしり、どゞん、
廊下
(
らうか
)
の
雨戸外
(
あまどそと
)
のトタン
屋根
(
やね
)
がすさまじく
鳴響
(
なりひゞ
)
く。ハツと
起
(
お
)
きて、
廊下
(
らうか
)
へ
出
(
で
)
た。
退治
(
たいぢ
)
る
氣
(
き
)
ではない、
逃路
(
にげみち
)
を
搜
(
さが
)
したのである。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……第一背中へ
掴
(
つか
)
まられて、
一呼吸
(
ひといき
)
でも
応
(
こた
)
えられるかどうだか、実はそれさえ
覚束
(
おぼつか
)
ない。悪くすると、そのまま目を
眩
(
まわ
)
して
打倒
(
ぶったお
)
れようも知れんのさ。
体
(
てい
)
よく按摩さんに掴み殺されるといった形だ。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
駈込
(
かけこ
)
んで、
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
いた頃から、
降籠
(
ふりこ
)
められた
出前
(
でさき
)
の雨の心細さに、親類か、友達か、浅草辺に番傘一本、と思うと共に、ついそこに、目の前に、路地の出窓から、
果敢
(
はか
)
ない顔を出して格子に
縋
(
すが
)
って
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
吃驚
(
びっくり
)
亀の子、空へ何と、爺どのは手を泳がせて、自分の
曳
(
ひ
)
いた荷車に、がらがら
背後
(
うしろ
)
から押出されて、わい、というたぎり、
一呼吸
(
ひといき
)
に村の
取着
(
とッつ
)
き、あれから、この街道が
鍋
(
なべ
)
づる
形
(
なり
)
に曲ります、明神様
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ええ、といきつぎに目を
瞑
(
ねむ
)
って、
仰向
(
あおむ
)
いて
一呼吸
(
ひといき
)
ついて
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と腕を組んで、
胡坐
(
あぐら
)
を直して、伸上って
一呼吸
(
ひといき
)
した。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ああ……もう
一呼吸
(
ひといき
)
で、
剃刀
(
かみそり
)
で、……」
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
番頭は
一呼吸
(
ひといき
)
つき
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
呼
常用漢字
小6
部首:⼝
8画
吸
常用漢字
小6
部首:⼝
6画
“一呼”で始まる語句
一呼