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頼母
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たのも
ふりがな文庫
“
頼母
(
たのも
)” の例文
欧米の婦人連もまた同様に欠点があるので、その
彼我
(
ひが
)
の欠点を互いに相改めて、初めて
頼母
(
たのも
)
しい婦人が出来上がるというものである。
婦人に対する実業思想の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
梅原
頼母
(
たのも
)
は五百三十石の
寄合
(
よりあい
)
役
肝入
(
きもいり
)
で、小池帯刀の上役に当るが、隼人の口上にはいちおう反対し、こちらは待ってもよいと云った。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
慧鶴は前にいう通り容姿骨柄いかにも立派で
頼母
(
たのも
)
し気な青年であった。その点では女性が魅着するに何処といって非の打ち処はない。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
強いことを言っても、私は矢張り弱い女ですもの、命までも狙われていると解ると、ツイこう
頼母
(
たのも
)
しい方の手に
縋
(
すが
)
りたくなります。
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
興行あるごとに
打囃
(
うちはや
)
す
鳴物
(
なりもの
)
の音
頼母
(
たのも
)
しく、野衾の恐れも薄らぐに、
行
(
ゆ
)
きて見れば、木戸の
賑
(
にぎわ
)
いさえあるを、内はいかにおもしろからむ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
三宅藤兵衛と今峰
頼母
(
たのも
)
は、そのとき奥田
左衛門尉
(
さえもんのじょう
)
を振り向いて、何か目じらせした。そして三名ともついと幕の外へ立ってゆく。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(何んの音だろう?)と、四人の浪人が不審を打ったように、その音に不審を打ったのは、中庭に近い部屋に寝ていた、伊東
頼母
(
たのも
)
であった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
斯様
(
かよう
)
な際にいつも長次郎から聞く「なに、案じはねえ」というような
頼母
(
たのも
)
しい声のかかるのを空しく、実に空しく待っていたのであるから。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
こんな場合に自分ならという
彼我
(
ひが
)
の比較さえ胸に浮かばなかった。今の彼女には寝ぼけたお時でさえ、そこにいてくれるのが
頼母
(
たのも
)
しかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見込で御頼みとあれば
假令
(
たとへ
)
親兄弟
(
おやきやうだい
)
たりとも義に依ては
急度
(
きつと
)
助太刀
(
すけだち
)
致すべしと言へば掃部は聞て
偖々
(
さて/\
)
頼母
(
たのも
)
しき御
心底
(
しんてい
)
感
(
かん
)
じ入たり
然樣
(
さやう
)
御座らば何を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
この藩の用人荒木
頼母
(
たのも
)
の伜千之丞は、伝兵衛の推挙で先ごろ千倉屋へたずねて来て、澹山に
西王母
(
せいおうぼ
)
の大幅を頼んで行った。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
学者などにはよくあるやつだが、これも人間として
頼母
(
たのも
)
しくない。第三に、物事を深く究めないといふ癖のあることだ。
あの星はいつ現はれるか
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
キャラコさんは、楽しすぎて、すこし
茫
(
ぼう
)
となる。そのひとの掌は大きく温かくて、その手にとられていると、なんともいえない
頼母
(
たのも
)
しさを感じる。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
泰然と落着いて二本の箸をあやつっている
容子
(
ようす
)
に、どことなく中華大人の風格があって、なかなか
頼母
(
たのも
)
しい眺めである。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
義雄はそれを見て自分の説が大して影響してゐないのに失望すると同時に、自分はそんな
頼母
(
たのも
)
しくもない東京の文界へ再び舞ひもどる氣がしない。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
先
(
さ
)
き次第で
驕傲
(
きょうごう
)
になったり柔和になったり、丸でゴムの人形見るようだ、
如何
(
いか
)
にも
頼母
(
たのも
)
しくないと
大
(
おおい
)
に落胆したことがあるが、変れば変る世の中で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
徳川の一門にも随分忠義の国これ有り、加薩仙肥など
頼母
(
たのも
)
しく相見え候えども、
丸
(
まる
)
にこれらへ御委任
成
(
な
)
され候わば、やはり
義仲
(
よしなか
)
ならざれば
董卓
(
とうたく
)
に御坐候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
斯
(
か
)
う迄自分の書いたものを読んで呉れるとは思はなかつたと、丑松の熱心を
頼母
(
たのも
)
しく考へて居たらしいのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
これは好きな人に取っては好きな特徴となるに相違ない。しかしこの人のような絵はじきに行き詰ってしまうような事が無いからその点が
頼母
(
たのも
)
しいと思う。
二科会展覧会雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
逆旅
(
げきりょ
)
の寝覚めにはかかる
頼母
(
たのも
)
しからぬ報償をしながら、なお生を貪っていることが、はなはだ腑甲斐ないように思われて、自ら殺したいと思ったことさえあった。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
長女
藤姫
(
ふじひめ
)
は松平
周防守
(
すおうのかみ
)
忠弘
(
ただひろ
)
の奥方になっている。二女竹姫はのちに
有吉
(
ありよし
)
頼母
(
たのも
)
英長
(
ひでなが
)
の妻になる人である。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
かつて知ることのできなかった
頼母
(
たのも
)
しい信頼しきった腕力が感じられ、それにもたれていることだけで、何もいらないような一切を放棄した信条が花桐の心に
湧
(
わ
)
いた。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
『はい、
决
(
けつ
)
して
御無事
(
ごぶじ
)
には
濟
(
す
)
みません。』と、
亞尼
(
アンニー
)
は
眞面目
(
まじめ
)
になつた、
私
(
わたくし
)
の
顏
(
かほ
)
を
頼母
(
たのも
)
し
氣
(
げ
)
に
見上
(
みあ
)
げて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
月日たつにつれ自然
出家
(
しゅっけ
)
の念願起り
来
(
きた
)
り、十七歳の春
剃髪
(
ていはつ
)
致し、宗学
修業
(
しゅぎょう
)
専念に
心懸
(
こころがけ
)
候
間
(
あいだ
)
、寮主雲石殿も末
頼母
(
たのも
)
しき者に
思召
(
おぼしめ
)
され、
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
深切
(
しんせつ
)
に御指南なし下され候処
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
◎
大阪
(
おおさか
)
俳優
中村福円
(
なかむらふくえん
)
の
以前
(
もと
)
の
住居
(
すまい
)
は、
鰻谷
(
うなぎだに
)
の
東
(
ひがし
)
の
町
(
ちょう
)
であったが、弟子の
琴之助
(
ことのすけ
)
が肺病に
罹
(
かか
)
り余程の重態なれど、
頼母
(
たのも
)
しい親族も無く
難義
(
なんぎ
)
すると聞き自宅へ
引取
(
ひきとり
)
やりしが
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
餘
(
あま
)
りに
戀
(
こひ
)
しう
懷
(
なつ
)
かしき
折
(
をり
)
は
自
(
みづか
)
ら
少
(
すこ
)
しは
恥
(
はづ
)
かしき
思
(
おも
)
ひ、
如何
(
いか
)
なる
故
(
ゆゑ
)
ともしるに
難
(
かた
)
けれど、
且那
(
だんな
)
さま
在
(
おは
)
しまさぬ
時
(
とき
)
は
心細
(
こゝろほそ
)
さ
堪
(
た
)
へがたう、
兄
(
あに
)
とも
親
(
おや
)
とも
頼母
(
たのも
)
しき
方
(
かた
)
に
思
(
おも
)
はれぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
然
(
さ
)
れば小松殿も時頼を
末
(
すゑ
)
頼母
(
たのも
)
しきものに思ひ、行末には御子維盛卿の
附人
(
つきびと
)
になさばやと常々目を懸けられ、左衞門が
伺候
(
しこう
)
の折々に『茂頼、
其方
(
そち
)
は善き
悴
(
せがれ
)
を持ちて
仕合者
(
しあはせもの
)
ぞ』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「関東は武をもって治むる国である。
頼母
(
たのも
)
しい御体格ですな。定めしお力があろう。見たい。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
数を心得ないで、かんばかりで物事を決めるような非科学的なでたらめな奴は、
頼母
(
たのも
)
しくない
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
阪急百貨店の将来を大いに
頼母
(
たのも
)
しく思い、仕入部その他多数の使用人に対して、断然袖の下を謝絶させるだけの力のある小林さんは、当代ちょっと他に類なき人物であると考え
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
それは
大抵
(
たいてい
)
暖
(
あたゝ
)
かな
日
(
ひ
)
に
限
(
かぎ
)
られて
居
(
ゐ
)
るのであつたが、
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
彼
(
かれ
)
の
大
(
おほ
)
きな
躯幹
(
からだ
)
はきりゝと
帶
(
おび
)
を
締
(
し
)
めて、
股引
(
もゝひき
)
の
上
(
うへ
)
に
高
(
たか
)
く
尻
(
しり
)
を
端折
(
はしよ
)
つてまだ
頼母
(
たのも
)
しげにがつしりとして
見
(
み
)
えるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
また彼女の生きて来た生涯の体験に照してみて、たとえ娼家の一隅に生活しようともそれによって平一郎の人格が動揺するようでは
頼母
(
たのも
)
しくないとも考えられた。冒険ではあった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
「あらやだ。三田さんはいゝ男つていふんぢやなくて、
頼母
(
たのも
)
しい男なんですよお。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
文「
嘸々
(
さぞ/\
)
御愁傷のことで、お見送りもしなかったのは残念だ、
頼母
(
たのも
)
しくない」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
うちあけた話になってみると、おたがいに、相当に
頼母
(
たのも
)
しいところがある。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これもまた実情で、いかに旅宿の寒さは
凌
(
しの
)
ぎ難いにしても、いつも淋しい独り旅であることを思えば、
今宵
(
こよい
)
かく二人で旅寝をしていることは、いかにも心丈夫で
頼母
(
たのも
)
しいことぞ、というのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
小間物ででも釣っただべえ、
頼母
(
たのも
)
しい奴だと思ってただに。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
新蔵の耳にも
頼母
(
たのも
)
しいほど、男らしく云い切りました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
四
人
(
にん
)
合
(
がつ
)
して
頼母
(
たのも
)
を
乞
(
こ
)
うて
見
(
み
)
ると、
住職
(
じうしよく
)
は
不在
(
ふざい
)
とある。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
それで
敢
(
あえ
)
て恋とか愛とかそんなものでなく、たゞ
頼母
(
たのも
)
しい男性の友だちというものを得られたらわたくしはどんなに嬉しいでしょう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
中
(
うち
)
に最も人間に近く、
頼母
(
たのも
)
しく、且つ奇異に感じられたのは、
唐櫃
(
からびつ
)
の上に、一個八角時計の、
仰向
(
あおむ
)
けに乗っていた事であった。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「番太の株の安い賣物でもあつたのかえ、それにしても、顏を見るといきなり泣き言をいふやうぢや、お前といふ人間も
頼母
(
たのも
)
しくないぜ」
銭形平次捕物控:264 八五郎の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一朝事あるの時、拭き掃除の
襷
(
たすき
)
を外し、決然として一家の運命を背負って立つ、自信あり力量ある婦人は、なんと
頼母
(
たのも
)
しいものではあるまいか。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
門の左右には周囲二尺ほどな赤松が泰然として控えている。
大方
(
おおかた
)
百年くらい前からかくのごとく控えているのだろう。
鷹揚
(
おうよう
)
なところが
頼母
(
たのも
)
しい。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「分っておりまする」使者の
頼母
(
たのも
)
は、さっきからムカムカしている
我慢
(
がまん
)
が、フッと顔に
苦
(
にが
)
く出たので
俯向
(
うつむ
)
いたが、ぴったり、胸を張って改まった。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この頃主屋の一室では、覚兵衛や勘兵衛を相手にして、松浦
頼母
(
たのも
)
が話していた。
四辺
(
あたり
)
には杯盤が置き並べてあり、酒肴などがとり散らされていた。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうです、若年寄の柴田
頼母
(
たのも
)
さんです、と、久三郎が云った。富原さんではないんだな、と念を押しながら、幹太郎はふと不安な予感におそわれた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
諺に言葉多きは
科
(
しな
)
少なしと言い、西洋にも
空樽
(
あきだる
)
を叩けば声高しとの語あり。愚者の多言
固
(
もと
)
より厭う可し。況して婦人は静にして奥ゆかしきこそ
頼母
(
たのも
)
しけれ。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
……いや、はや、実にどうも、
慨歎
(
がいたん
)
に堪えんことです。するとゴイゴロフは、ひどく
頼母
(
たのも
)
しそうな顔をして、おお、そうか。見そこなってすまなかったなァ。
犂氏の友情
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私たちは何となく
頼母
(
たのも
)
しい気がして、この「毛唐ずれ」のした小野さんと、彼の、機智に富んだベントレイ夫人への断り文句などを毎日のように話しあっていた。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
頼
常用漢字
中学
部首:⾴
16画
母
常用漢字
小2
部首:⽏
5画
“頼母”で始まる語句
頼母子講
頼母子
頼母敷
頼母木
頼母講
頼母助為基
頼母木与四郎兵衛