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酔
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ふりがな文庫
“
酔
(
よい
)” の例文
旧字:
醉
そのうちにあまがえるは、だんだん
酔
(
よい
)
がまわって来て、あっちでもこっちでも、キーイキーイといびきをかいて
寝
(
ね
)
てしまいました。
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
こう云う事情がありましたから、お島婆さんの所へ行くと云っても、新蔵のほろ
酔
(
よい
)
の腹の底には、どこか真剣な所があったのでしょう。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
酔
(
よい
)
に乗じて
種々
(
いろいろ
)
の
捫着
(
もんちゃく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
している
中
(
うち
)
に、
折悪
(
おりあし
)
くも
其処
(
そこ
)
へ冬子が来合わせたので、更にこんな面倒な事件を
演出
(
しいだ
)
す事となって
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
甲「いえ/\誠に恐入りました、
酔
(
よい
)
に乗じ
甚
(
はなは
)
だ詰らん事を申して、お気に障ったら幾重にもお
詫
(
わび
)
を致します、どうか御勘弁を願います」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、ここだ、と
一番
(
ひとつ
)
、
三盃
(
さんばい
)
の
酔
(
よい
)
の元気で、拝借の、その、女の浴衣の、袖を二三度、両方へ引張り引張り、ぐっと膝を突向けて
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
瑠璃子の嫣然たる微笑を浴びると、勝平は
三鞭酒
(
シャンペンしゅ
)
の
酔
(
よい
)
が、だん/\廻って来たその
巨
(
おお
)
きい顔の
相好
(
そうごう
)
を、たわいもなく崩してしまいながら
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかしその顔とその着物がどうはかなく変化し得るかをすぐ予想して、
酔
(
よい
)
が去って急にぞっとする人のあさましさを覚える。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
右馬介は
侍者
(
じしゃ
)
として、急に自分の
酔
(
よい
)
をさました。ここは錦小路の、俗に“
請酒屋
(
うけざかや
)
”とも“小酒屋”ともよぶ腰かけ店だ。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
酔
(
よい
)
に
任
(
まか
)
せて
詰寄
(
つめよ
)
りました。すると母は僕の剣幕の余り鋭いので
喫驚
(
びっくり
)
して僕の顔を見て
居
(
い
)
るばかり、一言も発しません。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
己の頭には、まだブランデエの
酔
(
よい
)
が残って居て、
煌々
(
こう/\
)
たる舞台の光明を浴びると同時に、それが再び、強く激しく体内に燃えくるめくようであった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
飲んでいる間はおたがいに
酔
(
よい
)
の中に解け合ってしまいますけれども、それが
醒
(
さ
)
めかけた時はおたがいの胸にたまらないほどの
味気
(
あじき
)
なさが湧いて来ます。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこで私は、雨は降っているし、汽車には酔っているので、
酔
(
よい
)
をさましながら晴れるのを待とうと、待合室のベンチに腰をかけて、約小半時間を過した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
初代は見かけの弱々しい割には、
心
(
しん
)
にしっかりした所のある娘であったが、それでも、
酔
(
よい
)
のさめた様な青ざめた顔をして、ワナワナと唇の色をなくしていた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
省三は
飯
(
めし
)
の時にみょうな好奇心から小さなコップに二三ばい飲んでみた
葡萄
(
ぶどう
)
酒の
酔
(
よい
)
が
頬
(
ほお
)
に残っていた。それがためにいったいに
憂鬱
(
ゆううつ
)
な彼の心も軽くなっていた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
軍艦横丁のおでん屋に顔をつきこんでから、ひどく
酔
(
よい
)
のまわったことを覚えている。それから後は、
連
(
つれ
)
が出来たらしく、誰かと一緒に飲んでまた飲みつづけた。
暗号数字
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とさすが
快活
(
きさく
)
な男も少し鼻声になりながらなお
酔
(
よい
)
に
紛
(
まぎ
)
らして
勢
(
いきおい
)
よく云う。味わえば情も薄からぬ言葉なり。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は押入れの戸をあけて、一本の
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
の瓶をとり出した。そして、それを台のついた小さなグラスに汲んでちびりちびりとやり初めた。
酔
(
よい
)
が快く廻って行った。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
食後、いささかの
濁酒
(
にごりざけ
)
に
酔
(
よい
)
の
廻
(
まわ
)
った老人は傍なる琴を執って弾じた。二人の子がそれに和して
唱
(
うた
)
う。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
国子当時
蝉表
(
せみおもて
)
職中一の
手利
(
てきき
)
に
成
(
なり
)
たりと風説あり
今宵
(
こよい
)
は例より、酒
甘
(
うま
)
しとて母君大いに
酔
(
よい
)
給ひぬ。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私
(
わたくし
)
は
話
(
はなし
)
に
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られてゐたので、お
料理
(
れうり
)
を
大抵
(
たいてい
)
食
(
た
)
べはぐしてしまつた。おいしさうなスープも、
香
(
か
)
んばしい
饅頭風
(
まんじうふう
)
のお
菓子
(
かし
)
も、それに
時々
(
とき/″\
)
機械的
(
きかいてき
)
に
口
(
くち
)
にするウオツカの
酔
(
よい
)
も
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
阿Qは一通りぶらぶら飛び廻って
土穀祠
(
おいなりさま
)
に帰って来ると、もう
酔
(
よい
)
は醒めてしまった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
家にいてやればよかったと、男は考え出したときは、もう
酔
(
よい
)
が足もとをふらふらさせた。いつでも不平がましいことを言ったことがない。済まないと思いながら、こっそりと家を逃げ出してきたのだ。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
おそらく昼間飲んだ酒の
酔
(
よい
)
を、そのまま寝崩れたためであろう。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
軽い
酔
(
よい
)
が感じられて来るのであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
古
(
いにしえ
)
を恋ひ泣く老や
屠蘇
(
とそ
)
の
酔
(
よい
)
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
と
自棄
(
やけ
)
に笑った。が、
酔
(
よい
)
もさめ行く、
面
(
おもて
)
の色とともに澄切った瞳すずしく、深く
思情
(
おもい
)
を沈めた
裡
(
うち
)
に、高き哲人の風格がある。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、さらに一月ばかり経って見ると、
反
(
かえ
)
って彼はそのために、前よりも
猶
(
なお
)
安々
(
やすやす
)
と、いつまでも
醒
(
さ
)
めない
酔
(
よい
)
のような、怪しい幸福に
浸
(
ひた
)
る事が出来た。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
酔
(
よい
)
と云う
牆壁
(
しょうへき
)
を築いて、その
掩護
(
えんご
)
に乗じて、自己を大胆にするのは、
卑怯
(
ひきょう
)
で、残酷で、相手に汚辱を与える様な気がしてならなかったからである。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
屏風坂
(
びょうぶざか
)
の下り口、慈眼大師の石垣へ、
葭簀
(
よしず
)
を掛けた一軒の茶店で袖無しを着た茶店の親爺が、山では珍らしくない、
酔
(
よい
)
どれ武士の
鼾
(
いびき
)
を揺り起している。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酔
(
よい
)
の為に上気はしていたけれど、それ故に一層魅力を加えた、この美貌の青年は、私の夫であるという、異様な観念が、私の頭をかすめて
通過
(
とおりす
)
ぎたのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
酒の
酔
(
よい
)
も醒め、ヒステリー的の発作も
漸
(
ようや
)
く
鎮
(
しずま
)
った今の
彼女
(
かれ
)
は、
所謂
(
いわゆる
)
「狐の落ちた人」のように、
従来
(
これまで
)
の自分と現在の自分とは、何だか別人の
様
(
よう
)
にも感じられた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
クラネクとベルセネフとは酒を飲みながら料理を
喫
(
く
)
った。宵からみょうにはしゃいでいるクラネクは、
酔
(
よい
)
が廻って来るに従うてますます声を大きくして愉快そうに話した。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
親方どうも大きな声をしてお
八釜
(
やかま
)
しゅうございます、え、おいお
爺
(
とっ
)
さん、己ア此処迄に
四度
(
よたび
)
飲んで来たが、直ぐに
酔
(
よい
)
が醒めるんだ、醒めるから又居酒屋へ飛び込んで
飲
(
や
)
って来たが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
腹の
中
(
うち
)
には余計なと思い
乍
(
なが
)
ら、ならぬとも云い難く、それならば家も狭しおれ
丈
(
だ
)
ケは旅宿に帰るべしといって
其
(
その
)
晩は夜食の
膳
(
ぜん
)
の上、
一酌
(
いっしゃく
)
の
酔
(
よい
)
に
浮
(
うか
)
れてそゞろあるき、鼻歌に酒の
香
(
か
)
を吐き
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「どうやら酒の
酔
(
よい
)
もさめかけたような——」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この女此の時
艶
(
えん
)
に
屠蘇
(
とそ
)
の
酔
(
よい
)
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
独逸
(
ドイツ
)
に対する彼の敵意は勿論僕には痛切ではなかった。従って僕は彼の言葉に多少の反感の起るのを感じた。同時にまた
酔
(
よい
)
の
醒
(
さ
)
めて来るのも感じた。
彼 第二
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やや
怪訝
(
けげん
)
な顔をしたが、すすめられるまでもなく、
酔
(
よい
)
ざめのほしかったところなので、それを取って水挿の口から
喉
(
のど
)
を鳴らして飲み干し、周馬にもすすめると
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お葉は酒の
酔
(
よい
)
が
未
(
ま
)
だ醒めぬのかも知れぬ、
或
(
あるい
)
は何かの夢か幻を
視
(
み
)
ているのかも知れぬ。
兎
(
と
)
にかくお杉
婆
(
ばばあ
)
の魔力に引かれたように、殆ど無意識でふらふらと歩いていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
段々
酔
(
よい
)
が廻って、ドラ声をはり上げて歌うもの、洋服姿で変な踊りを始めるもの、場所は海岸離れた船の中、どんなに騒ごうがあばれようが、何の
気兼
(
きが
)
ねもないのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
頭から水を打ちかけられるように成って、すっかり
酔
(
よい
)
も醒め、口もきけなくなった
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今まで喜びに満されていたのに
引換
(
ひきか
)
えて、大した出来ごとではないが善いことがあったようにも思われないからかして、主人は快く
酔
(
よ
)
うていたがせっかくの
酔
(
よい
)
も興も
醒
(
さ
)
めてしまったように
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
急に
勢
(
いきおい
)
の
可
(
い
)
い声を出した、饂飩屋に飲む博多節の
兄哥
(
あにい
)
は、霜の上の
燗酒
(
かんざけ
)
で、月あかりに直ぐ
醒
(
さ
)
める、色の白いのもそのままであったが、二三杯、
呷切
(
あおっきり
)
の茶碗酒で、目の
縁
(
ふち
)
へ、
颯
(
さっ
)
と
酔
(
よい
)
が出た。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうかなすったんですか」と
酔
(
よい
)
が一時に去ったような表情をした。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
桃山哲郎は銀座
尾張町
(
おわりちょう
)
の
角
(
かど
)
になったカフェーでウイスキーを飲んでいた。彼は有楽町の汽車の線路に沿うたちょっとしたカフェーでやった仲間の会合でたりなかった
酔
(
よい
)
を
充
(
み
)
たしているところであった。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
老紳士はこう云って、
頸
(
くび
)
を
後
(
うしろ
)
へ
反
(
そ
)
らせながら、大きな声を出して笑い出した。もう
大分
(
だいぶ
)
酔
(
よい
)
がまわっているのであろう。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さすがに、
酔
(
よい
)
が、いっぺんに、発して、一町ばかり歩く頃から、雨が、逆さに降ッてるように見えた。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だんだん
酔
(
よい
)
が廻るにつれて、
猥談
(
わいだん
)
も出るという調子で、あけみも映画人だから、少々の猥談に
辟易
(
へきえき
)
するたちでもなく、三人とも心から、春のように笑い興じたものである。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのくらいのアルコールは途中で醒めてしまった筈だが、この狭いところへ
這入
(
はい
)
って、焚火にかッかとあぶられたら、又その
酔
(
よい
)
が一度に発して来て、いよいよ
朗
(
ほがら
)
かになって来たのよ。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
屋敷
内
(
うち
)
にいた時は気が張って居りますから
酔
(
えい
)
が出ませんが、外へ出ると一
時
(
じ
)
に
酔
(
よい
)
が発したから、歩くにも足元が定まらんので、小僧が心配を致し、介抱しながら漸く
永代橋
(
えいたいばし
)
を
担
(
かつ
)
いで通った様なもので
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
酔
常用漢字
中学
部首:⾣
11画
“酔”を含む語句
酔漢
酔醒
宿酔
微酔
生酔
酔臥
泥酔漢
馬酔木
麻酔
麻酔薬
酔客
酔倒
酔狂
酔興
泥酔
酔払
爛酔
酔心地
悪酔
酣酔
...