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ふりがな文庫
“
起居
(
たちい
)” の例文
三月ばかりたつと、しつが出来てだんだん
大相
(
たいそう
)
になった、
起居
(
たちい
)
もできぬようになって、二年ばかりは外へも行かずうちずまいをしたよ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「年が若くって
起居
(
たちい
)
に不自由さえなければ丈夫だと思うんだろう。
門構
(
もんがまえ
)
の
宅
(
うち
)
に住んで
下女
(
げじょ
)
さえ使っていれば金でもあると考えるように」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「一時は
癒
(
い
)
えて、
起居
(
たちい
)
もできるまでになりましたが、つい四、五年前、この子が生れてから程なく、余病のために亡くなりました」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
起居
(
たちい
)
のおとなしい、何をしても物に
柔
(
やわらか
)
に当るお玉と比べて見られるのだから、田舎から出たばかりの女中こそ
好
(
い
)
い迷惑である。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それに
貴僧
(
あなた
)
、
騒動
(
さわぎ
)
の
起居
(
たちい
)
に、一番気がかりなのは
洋燈
(
ランプ
)
ですから、宰八爺さんにそう云って、こうやって
行燈
(
あんどう
)
に取替えました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
在昔
(
ムカシ
)
大名の奥に奉公する婦人などが、手紙も見事に書き弁舌も爽にして、然かも其
起居
(
たちい
)
挙動
(
ふるまい
)
の野鄙ならざりしは人の知る所なり。参考の価ある可し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
気立てが優しいのと、
起居
(
たちい
)
がしとやかなのと、物質上の欲望が少いのと、ただそれだけがこの女の
長所
(
とりえ
)
だということが、いよいよ明らかになって来た。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
第一、女たちの生活は、
起居
(
たちい
)
ふるまいなり、服装なりは、優雅に優雅にと変っては行ったが、やはり昔の農家の
家内
(
やうち
)
の匂いがつき
纏
(
まと
)
うて離れなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「御大身の御方とお見受け申しまして、
御合力
(
ごごうりょく
)
をいたします。この通り
起居
(
たちい
)
も不自由な非人めにござりますゆえ、思召しの程お恵みなされて下さりませ」
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
起居
(
たちい
)
もしとやかで、
挨拶
(
あいさつ
)
も
沈着
(
おちつ
)
いた様子のよい子だから、そなたたちも無作法なことをして
不束者
(
ふつつかもの
)
、田舎者と笑われぬようによく気をつけるがよいと言われた。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
私
(
わたくし
)
が
重
(
おも
)
い
枕
(
まくら
)
に
就
(
つ
)
いて、
起居
(
たちい
)
も
不自由
(
ふじゆう
)
になったと
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
に、
第一
(
だいいち
)
に
馳
(
は
)
せつけて、なにくれと
介抱
(
かいほう
)
に
手
(
て
)
をつくしてくれましたのは
矢張
(
やは
)
り
鎌倉
(
かまくら
)
の
両親
(
りょうしん
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
静かにしようと気を配っているらしいが、
数珠
(
じゅず
)
が
脇息
(
きょうそく
)
に触れて鳴る音などがして、女の
起居
(
たちい
)
の
衣摺
(
きぬず
)
れもほのかになつかしい音に耳へ通ってくる。貴族的なよい感じである。
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
昨年の夏頃から宿に奉公して居りましたお北という若い女中が
主
(
ぬし
)
の定まらない
胤
(
たね
)
を宿して、だんだん
起居
(
たちい
)
も大儀になって来たので、この七月に暇を取って新宿の
宿許
(
やどもと
)
へ帰って
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
女主人のいうとおり彼は深い心の底からお園に惚れていたのにちがいない。私もやっぱり女の
起居
(
たちい
)
振舞などのしっとりして物静かなところが不思議に気に入っているのであった。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その泰平は
的
(
あて
)
にならない気がした頃のことだ、色の白い、骨細の
優男
(
やさおとこ
)
の宮内より、
逞
(
たくま
)
しい体をもって、力も人並以上あり、
起居
(
たちい
)
も雄々しい慎九郎の方が、治部太夫の娘の気に入った。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
夫婦は永くなるほど
容貌
(
かおかたち
)
気質まで似て来るものといえるが、なるほど近ごろの夫人が物ごし格好、その濃き
眉毛
(
まゆげ
)
をひくひく動かして、
煙管
(
きせる
)
片手に相手の顔をじっと見る様子より、
起居
(
たちい
)
の荒さ
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
起居
(
たちい
)
にも。動作にも。それを見て、岸本は一時的ながらもやや安心した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
父様
(
ととさま
)
御帰りになった時は
斯
(
こう
)
して
為
(
す
)
る者ぞと教えし
御辞誼
(
おじぎ
)
の
仕様
(
しよう
)
能
(
よ
)
く覚えて、
起居
(
たちい
)
動作
(
ふるまい
)
のしとやかさ、
能
(
よ
)
く
仕付
(
しつけ
)
たと
誉
(
ほめ
)
らるゝ日を
待
(
まち
)
て居るに、
何処
(
どこ
)
の
竜宮
(
りゅうぐう
)
へ行かれて
乙姫
(
おとひめ
)
の
傍
(
そば
)
にでも
居
(
お
)
らるゝ事ぞと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
起居
(
たちい
)
に音もたてないような冬亭に、鶴など殺せようはずがなく、それに冬亭と鹿島家との間には、むずかしい問題がいりくんでいて、むこうの庭へ入りこんで、乱暴なぞ働けない立場になっている。
西林図
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
腰が抜けて
起居
(
たちい
)
も自由ならず商売も出来ませんので其の日に追われ、
僅
(
わずか
)
な物も売尽して仕方がなく
明日
(
あした
)
米を買って与える事が出来ませんと、真に袖を絞って泣いての頼み、真実
面
(
おもて
)
に
顕
(
あら
)
われましたから
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
避暑宿に来ても変らぬ
起居
(
たちい
)
かな
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
武道家の門人として、大小を帯び、侍には装っているが、善鬼の
肥肉
(
ひにく
)
は余りに
逞
(
たくま
)
しすぎて、その
起居
(
たちい
)
までも、前身の船頭
癖
(
ぐせ
)
から脱けなかった。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廓
(
さと
)
に
馴
(
な
)
れた
吾妻下駄
(
あずまげた
)
、かろころ
左褄
(
ひだりづま
)
を取ったのを、そのままぞろりと青畳に敷いて、
起居
(
たちい
)
に
蹴出
(
けだ
)
しの水色
縮緬
(
ちりめん
)
。伊達巻で素足という芸者家の
女房
(
おんなあるじ
)
。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余は隣の
室
(
へや
)
に
呻吟
(
しんぎん
)
しながら、この若い男の言葉使いや
起居
(
たちい
)
を注意すべく余儀なくされた結果として、二十年の昔に経過した、自分の
生涯
(
しょうがい
)
のうちで
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人は伯よりおいたりと見ゆるほどに
起居
(
たちい
)
重けれど、こころの優しさ
目
(
まみ
)
の色に出でたり。メエルハイムを
傍
(
かたわら
)
へ呼びて、何やらむしばしささやくほどに、伯。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と涙を
袖
(
そで
)
で源氏は
拭
(
ぬぐ
)
っていた。これを見ると入道は気も遠くなったように
萎
(
しお
)
れてしまった。それきり
起居
(
たちい
)
もよろよろとするふうである。明石の君の心は悲しみに満たされていた。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
遊里
(
さと
)
の風がしみていたから、口の利き方や、
起居
(
たちい
)
などにも落着きがなかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
光を
韞
(
つつ
)
める女の、言葉多からず
起居
(
たちい
)
にしとやかなれば、見たる所は目より鼻にぬけるほど
華手
(
はで
)
には見えねど、不なれながらもよくこちの気を飲み込みて機転もきき、第一心がけの殊勝なるを
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
起居
(
たちい
)
も息切れがするようになった。
ノア
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
春めきし人の
起居
(
たちい
)
に
冴
(
さ
)
え返る
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
と、茶や菓子を運んで来て、庭向きの座敷へ席をすすめた二人の小間使の
起居
(
たちい
)
もしとやかで、家風のしつけを思わせる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時に
鏘々
(
しょうしょう
)
として響くのはこの音で、女神が
梳
(
くしけず
)
ると、また
更
(
あらた
)
めて、人に聞いた——それに、この像には、
起居
(
たちい
)
がある。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その内細君の
御腹
(
おなか
)
が段々大きくなって来た。
起居
(
たちい
)
に重苦しそうな
呼息
(
いき
)
をし始めた。気分も
能
(
よ
)
く変化した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人は伯よりおいたりと見ゆるほどに
起居
(
たちい
)
重けれど、こころの優しさ
目
(
まみ
)
の色にいでたり。メエルハイムをかたわらへ呼びて、なにやらんしばしささやくほどに、伯。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
大寒
(
だいかん
)
にまけじと老の
起居
(
たちい
)
かな
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
姜維
(
きょうい
)
にいたっては、日夜、側を離れることなく、
起居
(
たちい
)
の世話までしていた。孔明は彼にむかって
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また幕間で、人の
起居
(
たちい
)
は忙しくなるし、あいにく
通筋
(
とおりすじ
)
の板敷に席を取ったのだから
堪
(
たま
)
らない。膝の上にのせれば、
跨
(
また
)
ぐ。敷居に置けば、蹴る、脇へずらせば踏もうとする。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
去年の冬お前に会った時、ことによるともう
三月
(
みつき
)
か
四月
(
よつき
)
ぐらいなものだろうと思っていたのさ。それがどういう
仕合
(
しあわ
)
せか、今日までこうしている。
起居
(
たちい
)
に不自由なくこうしている。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
裾
(
すそ
)
を
曳
(
ひ
)
いて帳場に
起居
(
たちい
)
の女房の、
婀娜
(
あだ
)
にたおやかなのがそっくりで、半四郎茶屋と呼ばれた引手茶屋の、大尽は常客だったが、
芸妓
(
げいしゃ
)
は小浜屋の
姉妹
(
きょうだい
)
が一の
贔屓
(
ひいき
)
だったから
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その実直ぶりや、
起居
(
たちい
)
のはやい様子だけを見ては、誰もその新沙弥がついさきの年まで、世の人々から、魔か鬼かのように怖れられていた大盗
天城
(
あまぎの
)
四郎がその前身と思いつく者はあるまい。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時、その
刹那
(
せつな
)
、その顔を一目見たばかりで自分は思わず
慄
(
ぞっ
)
とした。これはただ保養に寝ていた人ではない。全くの病人である。しかも自分だけで
起居
(
たちい
)
のできないような重体の病人である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あとでも思ったが、その繕わない無雑作な
起居
(
たちい
)
の
嫋々
(
しなやか
)
さもそうだが、
歩行
(
ある
)
く時の腰の
柔
(
やわら
)
かに、こうまでなよなよと且つすんなりするのを、上手の踊のほかは余り見掛けない。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
主
(
ぬし
)
さへ命がけで入つてござつたといふ
処
(
ところ
)
、
私
(
わし
)
がやうな
起居
(
たちい
)
も不自由な
老寄
(
としより
)
が一人居ては、怪しうないことはなからうわいの、それぢやけど、聞かつしやれ、
姨捨山
(
おばすてやま
)
というて
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
直
(
すぐ
)
に小春が、客の意を得て、例の卓上電話で、二人の膳を帳場に通すと、今度註文をうけに出たのは、以前の、歯を染めた寂しい
婦
(
おんな
)
で、しょんぼりと
起居
(
たちい
)
をするのが、何だか
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
料理店の、あの亭主は、心
優
(
やさし
)
いもので、
起居
(
たちい
)
にいたはりつ、慰めつ、で、此も注意はしたらしいが、
深更
(
しんこう
)
の
然
(
しか
)
も夏の
夜
(
よ
)
の
戸鎖
(
とざし
)
浅ければ、
伊達巻
(
だてまき
)
の
跣足
(
はだし
)
で忍んで出る
隙
(
すき
)
は多かつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
挙動
(
ふるまい
)
を見るともなしに、
此方
(
こなた
)
の
起居
(
たちい
)
を知ったらしく、今、報謝をしようと
嬰児
(
あかご
)
を片手に、
掌
(
て
)
を差出したのを見も迎えないで、大儀らしく、かッたるそうに
頭
(
つむり
)
を下に垂れたまま
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
料理店の、あの亭主は、心
優
(
やさし
)
いもので、
起居
(
たちい
)
にいたわりつ、慰めつ、で、これも注意はしたらしいが、深更のしかも夏の
夜
(
よ
)
の
戸鎖
(
とざし
)
浅ければ、
伊達巻
(
だてまき
)
の
跣足
(
はだし
)
で忍んで出る
隙
(
すき
)
は多かった。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いざまず……これへ。」と口も気もともに軽い、が、
起居
(
たちい
)
が
石臼
(
いしうす
)
を
引摺
(
ひきず
)
るように、どしどしする。——ああ、無理はない、
脚気
(
かっけ
)
がある。夜あかしはしても、朝湯には行けないのである。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小さな白髪の
祖母
(
おばあ
)
さんの
起居
(
たちい
)
の様子もなしに、
悉
(
くわ
)
しく言えば誰が取次いだという形もなしに、土間から格子戸まで見通しの
框
(
かまち
)
の板敷、
取附
(
とっつ
)
きの縦四畳、框を仕切った二枚の障子が、すっと開いて
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
名代の女房の色っぽいのが、長火鉢の帳場奥から、寝乱れながら、艶々とした
円髷
(
まるまげ
)
で、
脛
(
はぎ
)
も白やかに起きてよ、
達手巻
(
だてまき
)
ばかり、
引掛
(
ひっか
)
けた羽織の裏にも
起居
(
たちい
)
の膝にも、
浅黄縮緬
(
あさぎちりめん
)
がちらちらしているんだ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“起居”の意味
《名詞》
起居(ききょ)
立ち居振舞い。日常生活。
安否。動静。
(出典:Wiktionary)
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
“起居”で始まる語句
起居振舞
起居挙動
起居動作
起居注
起居周旋
起居舎人