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しんみ
ふりがな文庫
“
親身
(
しんみ
)” の例文
なぜだか知らないけれど、わたし心底から、あなたが
親身
(
しんみ
)
なかたのような気がしますの。……どうぞ助けてください。ね、助けて。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その服装がいかにも生活の不規則なのと窮迫しているのを思わせると、葉子は
親身
(
しんみ
)
な同情にそそられるのを拒む事ができなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
……のみならず、その叔父独得の陽気な響きを喪った声の中には、今までにない淋しい……如何にも
親身
(
しんみ
)
の叔父らしい響さえ
籠
(
こも
)
っていた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私が
親身
(
しんみ
)
に愛していた兄フランツの即座な同意を受けてベートーヴェンと婚約したのは、一八〇六年の五月のことであった。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「あい、約束した人が……約束と申しますと、
異
(
い
)
なことに聞えましょうけれど、わたしを
親身
(
しんみ
)
にしてくれた人が待っているはずでございます」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
そして
親身
(
しんみ
)
になって着物の裁ち方や縫い方を教えた。少しは糸道が明いているのだからといって、三味線も教えてくれた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
親身
(
しんみ
)
になって、何から何まで、計ろうて下されたお情けでござりまする。その上、こよいもここで待てば、きっと小殿にお会い出来ようぞと」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
室
(
へや
)
は、
今夜
(
こんや
)
だ、
今夜
(
こんや
)
だ、と
方々
(
はう/″\
)
の
病室
(
びやうしつ
)
で、
然
(
さ
)
う
言
(
い
)
つたのを
五日
(
いつか
)
續
(
つゞ
)
けて、
附添
(
つきそ
)
ひの、
親身
(
しんみ
)
のものは
聞
(
き
)
いたんですつて。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いずれ話はしみじみとしてさすがに、
親身
(
しんみ
)
の情である。蚕棚の側から、どしんどしん足音さしつつ、兄も出てきた。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そして、自身
嘗
(
な
)
めた経験からみたそういう世の中というものに、
親身
(
しんみ
)
のむす子をあてはめるため、
叱
(
しか
)
ったり、気苦労さすのは引合わないような気がする。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
遠い、違つた国へ来て、かうして病気なんかになつて……そんなことを思ひながら、そばでお給仕をしてると、つい、
親身
(
しんみ
)
に世話をしてやりたくなるわ。
モノロオグ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
と、いつになく、
親身
(
しんみ
)
に老人をなぐさめ、手をとって小村井の
往還
(
おうかん
)
まで送ってやって、また、さっきの岸で釣糸をたれようとしていると、中川の下流から
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
保名
(
やすな
)
の
体
(
からだ
)
が
元
(
もと
)
どおりになるにはなかなか
手間
(
てま
)
がかかりました。
娘
(
むすめ
)
はそれでも、
毎日
(
まいにち
)
ちっとも
飽
(
あ
)
きずに、
親身
(
しんみ
)
の
兄弟
(
きょうだい
)
の
世話
(
せわ
)
をするように
親切
(
しんせつ
)
に
世話
(
せわ
)
をしました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
伯父は
幾分
(
いくぶん
)
か眉を
顰
(
ひそ
)
めてその
思慮無
(
はしたな
)
きを
疎
(
うと
)
んずる色あれども伯母なる人は
親身
(
しんみ
)
の
姪
(
めい
)
とてその
心根
(
こころね
)
を哀れに思い
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
平次がお樂を伴れ込んだのを見ると、女房のお靜は惡い顏をするどころか、自分の
親身
(
しんみ
)
の姉が、久し振りで里に歸つたやうに、何の
隔
(
へだ
)
てもなく受け容れてくれました。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
生母に別れた後の鶴見は、
親身
(
しんみ
)
になって世話をやいてくれるものは誰一人なく、一旦棄てられた小供がまた拾われてかつがつ養われていたような気分に
纏
(
まと
)
われていた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
親身
(
しんみ
)
の叔母よりもかえって義理の叔父の方を、心の中で好いていたお延は、その報酬として、自分もこの叔父から特別に
可愛
(
かわい
)
がられているという信念を常にもっていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
一方
(
かた/\
)
は戸田様の御家来にて三百石取りの身柄のお方が、見る影もない炭屋の男を送ると云うも
親身
(
しんみ
)
の
父子
(
おやこ
)
、多助は嬉し涙に暮れながら山口屋まで送られて帰りました。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女中
(
じょちゅう
)
を置いても事足ることではあるが、女中といってもお大層であり、また
親身
(
しんみ
)
になって母に尽くすには、他人任せでは安心が出来ず、やっぱり、いっそ、これは家内を貰い
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
何だか
親身
(
しんみ
)
に世話をして貰ふ気になれない、それと云ふのが、心から年寄を
労
(
いた
)
はつてやらうと云ふ優しい情愛がないからなのだと、母親はよくさう云つたが、つまり嫁も姑も
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
不二屋のおかみさんも遠縁とはいえ、立ち入って面倒を見てくれるほどの
親身
(
しんみ
)
の仲でもないと言った。母は
賃仕事
(
ちんしごと
)
などをしていたが、それも病身で近頃はやめていると言った。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼女
(
かのじょ
)
は
私
(
わたくし
)
の
母
(
はは
)
と一
緒
(
しょ
)
に、
例
(
れい
)
の
海岸
(
かいがん
)
の
私
(
わたくし
)
の
隠
(
かく
)
れ
家
(
が
)
に
詰
(
つ
)
め
切
(
き
)
って、それはそれは
親身
(
しんみ
)
になってよく
尽
(
つく
)
してくれ、
私
(
わたくし
)
の
病気
(
びょうき
)
が
早
(
はや
)
く
治
(
なお
)
るようにと、
氏神様
(
うじがみさま
)
へ
日参
(
にっさん
)
までしてくれるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
彼は
親身
(
しんみ
)
の兄弟というものが無い人で、日頃お種の弟達を実の兄弟のように頼もしく思っている。三吉が来た為に、
種々
(
いろいろ
)
話が出る。話が出れば出るほど、種々な
心地
(
こころもち
)
が引出される。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
着古しの
平常衣
(
ふだんぎ
)
一つ、何の
焼
(
たき
)
かけの
霊香
(
れいきょう
)
薫ずべきか、泣き寄りの
親身
(
しんみ
)
に一人の
弟
(
おとと
)
は、有っても無きに
劣
(
おと
)
る
賭博
(
ばくち
)
好き酒好き、
落魄
(
おちぶれ
)
て相談相手になるべきならねば頼むは親切な
雇婆
(
やといばば
)
計
(
ばか
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
勘次等
(
かんじら
)
、
親子
(
おやこ
)
仲
(
なか
)
よくつてよかんべ、
世間
(
せけん
)
の
聞
(
きこ
)
えも
立派
(
りつぱ
)
だあ、
親身
(
しんみ
)
のもなあ、お
蔭
(
かげ
)
で
肩身
(
かたみ
)
が
廣
(
ひろ
)
くつてえゝや」おつたは
庭
(
には
)
の
出口
(
でぐち
)
から
一寸
(
ちよつと
)
顧
(
かへり
)
みていつた。さうしてさつさと
行
(
い
)
つて
畢
(
しま
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その時にはもうその粗暴さのうちにも、ある親切なやさしい打ち明けた
親身
(
しんみ
)
らしい調子がこもっていて、マリユスは突然落胆から希望に移ってゆき、そのためにぼんやりして酔ったようになった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
親身
(
しんみ
)
もおよばぬ面倒をみてくれた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
北国の冬の日暮らしにはことさら客がなつかしまれるものだ。なごりを心から惜しんでだろう、農場の人たちも
親身
(
しんみ
)
にかれこれと君をいたわった。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お絹は自分の子を危ないところから助け出したような言葉で言っていますが、これはまるきり
作
(
つく
)
り
言
(
ごと
)
ではなく、多少の
親身
(
しんみ
)
が籠っているようです。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
嵯峨
(
さが
)
の
仁和寺
(
にんなじ
)
に、
麿
(
まろ
)
の
親身
(
しんみ
)
な
阿闍梨
(
あじゃり
)
がわたらせられるほどに、ひとまずそれへお
越
(
こ
)
し
召
(
め
)
されて、しばらくは天下の
風雲
(
ふううん
)
をよそに、世のなりゆきを見ておわせ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此
(
これ
)
に
就
(
つ
)
けては
御親父樣
(
ごしんぷさま
)
、
御新造樣
(
ごしんぞさま
)
も
大概
(
たいがい
)
御心配下
(
ごしんぱいくだ
)
すつた
事
(
こと
)
ではござりません。
友造
(
ともざう
)
や、
身體
(
からだ
)
を
謹
(
つゝし
)
め、
友
(
とも
)
さん、
酒
(
さけ
)
をお
飮
(
の
)
みでないよ、と
親身
(
しんみ
)
に
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さります。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
音絵は
親身
(
しんみ
)
になって心配した。毎日家事のすきまを見ては程近い歌寿の家を訪ねて介抱してやった。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
何だか
親身
(
しんみ
)
に世話をして貰ふ気になれない、それと云ふのが、心から年寄を
労
(
いた
)
はつてやらうと云ふ優しい情愛がないからなのだと、母親はよくさう云つたが、つまり嫁も姑も
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
みんな出掛けに一度ずつは見舞いに来てくれるが、
親身
(
しんみ
)
に看病してゆく者もないと、お君は頼りなげに言った。それでも豊吉はゆうべ来て、四つ少し前までいてくれたと話した。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分は
親身
(
しんみ
)
の子として、時たま本当の父や母に向いながら
嘘
(
うそ
)
と知りつつ真顔で何か云い聞かされる事を覚えて以来、世の中で本式の本当を云い続けに云うものは一人もないと
諦
(
あきら
)
めていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お前はわしから最も
親身
(
しんみ
)
な心配と助力とだけを期待していいのだよ。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私
(
わたくし
)
というものは
御覧
(
ごらん
)
の
通
(
とお
)
り
何
(
なん
)
の
取柄
(
とりえ
)
もない、
短
(
みじ
)
かい
生涯
(
しょうがい
)
を
送
(
おく
)
ったものでございますが、それでも
弟橘姫様
(
おとたちばなひめさま
)
は
私
(
わたくし
)
の
現世時代
(
げんせじだい
)
の
浮沈
(
うきしずみ
)
に
対
(
たい
)
して
心
(
こころ
)
からの
同情
(
どうじょう
)
を
寄
(
よ
)
せて、
親身
(
しんみ
)
になってきいてくださいました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
年老いた
親身
(
しんみ
)
の心はそれに同意することができなかった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
あなたのことを
親身
(
しんみ
)
に心配していました。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
などと彼らは
戯談
(
じょうだん
)
ぶった口調で
親身
(
しんみ
)
な心持ちをいい現わした。事務長は
眉
(
まゆ
)
も動かさずに、机によりかかって黙っていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
能登守は、お君とその犬との
親身
(
しんみ
)
な有様をじっと見つめていました。伊太夫はじめ能登守のお
伴
(
とも
)
の者がそこへ駈けつけたのはその後のことであります。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何だか
親身
(
しんみ
)
に世話をして貰う気になれない、それと云うのが、心から年寄を
労
(
いた
)
わってやろうと云う優しい情愛がないからなのだと、母親はよくそう云ったが、つまり嫁も姑も
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
うむ、お三輪と乙吉——それがお
前
(
めえ
)
の
親身
(
しんみ
)
だというこたあ、おれもうすうす知っているが、なにしろ対手がお十夜にまだ二人の連れがある。でなくてせえあいつらは、お
前
(
めえ
)
の姿を
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……わたくし
幼少
(
おさな
)
い時より
両親
(
ふたおや
)
に死に別れまして、
親身
(
しんみ
)
の親孝行も致しようのない身の上とて、この上はただ
御楼主様
(
ごないしょさま
)
の御養育の御恩を、一心にお返しするよりほかに道はないと
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
親身
(
しんみ
)
の叔母よりも義理の叔父を好いていたお延は少し
真面目
(
まじめ
)
になった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
親身
(
しんみ
)
になっていろいろとやさしく
言
(
い
)
われますので、
私
(
わたくし
)
の
方
(
ほう
)
でもすっかり
安心
(
あんしん
)
して、
勿体
(
もったい
)
ないとは
思
(
おも
)
いつつも、いつしか
懇意
(
こんい
)
な
叔父
(
おじ
)
さまとでも
対座
(
たいざ
)
しているような、
打解
(
うちと
)
けた
気分
(
きぶん
)
になって
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
親身
(
しんみ
)
に持ちかけてみたり、よそよそしく取りなしてみたり、その時の気分気分で勝手な無技巧な事をしていながらも
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ほんとに済まないね、お礼を申しますよ。それから何でもお前、不自由があったら遠慮なくそうお言い、
我儘
(
わがまま
)
を言い合うようでないと
親身
(
しんみ
)
の情がうつらないからね
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
親身
(
しんみ
)
の甥よりも他人のおれの方が好きなのだろう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、仲時は
親身
(
しんみ
)
になって。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
親
常用漢字
小2
部首:⾒
16画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“親”で始まる語句
親
親戚
親父
親爺
親仁
親子
親切
親方
親類
親鸞