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褌
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ふんどし
ふりがな文庫
“
褌
(
ふんどし
)” の例文
鰌
(
どじょう
)
が居たら
押
(
おさ
)
えたそうに見える。丸太ぐるみ、どか落しで
遁
(
に
)
げた、たった今。……いや、遁げたの候の。……あか
褌
(
ふんどし
)
にも恥じよかし。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お安い御用だ、親分、——その押入の中にある
柳行李
(
やなぎがうり
)
と風呂敷があつしの世帶。
憚
(
はゞか
)
り乍ら錦の小袖も、絹の
褌
(
ふんどし
)
もあるわけぢやねえ」
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
或る年の暮に、貞固が五百に私語したことがある。「
姉
(
ね
)
えさん、察して下さい。正月が来るのに、わたしは実は
褌
(
ふんどし
)
一本買う銭もない。」
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
なんでも晩年
味噌
(
みそ
)
を買いに行き、雪上がりの往来で転んだ時にも、やっと
家
(
うち
)
へ帰ってくると、「それでもまあ
褌
(
ふんどし
)
だけ新しくってよかった」
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
だんだんに声を
辿
(
たど
)
って行くと、戸じまりをした隣家の
納屋
(
なや
)
の中に、
兵児帯
(
へこおび
)
と
褌
(
ふんどし
)
をもって両手足を縛られ、
梁
(
はり
)
から
兎
(
うさぎ
)
つるしに
吊
(
つる
)
されていた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
雷電の現象は
虎
(
とら
)
の皮の
褌
(
ふんどし
)
を着けた鬼の悪ふざけとして説明されたが、今日では空中電気と称する怪物の活動だと言われている。
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
おたがい、若い頃の、
破
(
や
)
れ
垣
(
がき
)
、夕顔棚の貧乏暮しのときから、
褌
(
ふんどし
)
一ツで、
肝胆
(
かんたん
)
のかたらいもし、出ては、
莫迦
(
ばか
)
もしあい、ときには喧嘩もし
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美しい顔を泣き
腫
(
はら
)
しながら、ただ
褌
(
ふんどし
)
だけを身に纏うてとぼとぼと夕日の下を西の方へ歩んで行った。百姓どもは皆この臆病者をあざわらった。
三浦右衛門の最後
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼はそこで新しい酒樽の木の香を嗅いだり、
褌
(
ふんどし
)
一つで、火の入った酒の
焚
(
た
)
き出しを手伝ったりした。彼の肉体にはぐんぐん力がはいってきた。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
角助は、天に顔をあげ、「日本の、乃木さんが、凱旋す、雀、
目白
(
めしろ
)
、ロシヤ、野蛮国、クロポトキン、きん玉、マカローフ、
褌
(
ふんどし
)
、しめた……」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
夏は素裸、
褌
(
ふんどし
)
一つ、冬はどてら一枚で、客があると、どんな寒中でも丸裸になって、ホイ
籠
(
かご
)
ホイ籠とかけ出す
駕籠屋
(
かごや
)
なぞはもはや顔色がない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
褌
(
ふんどし
)
ひとつになった其角、浅春とはいえ二月の内、川から来る風はまだ素肌には冷たかった。さすがに其角中っ腹になって
其角と山賊と殿様
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
猪口
(
ちよく
)
一箇を置いた塗りの剥げた
茶餉台
(
ちやぶだい
)
の前に、
褌
(
ふんどし
)
一つの真つ裸のまゝ仰向けに寝ころび、骨と皮に
痩
(
や
)
せ細つた
毛臑
(
けずね
)
の上に片つ方の毛臑を載せて
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
棚
(
たな
)
の隅にカタのついた汚れた猿又や
褌
(
ふんどし
)
が、しめっぽく、すえた
臭
(
にお
)
いをして
円
(
まる
)
められていた。学生はそれを野糞のように踏みつけることがあった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
佐分利はその劇なるを知りながら
係
(
かか
)
つたのは、大いに冒険の目的があつて存するのだらうけれど、
木乃伊
(
ミイラ
)
にならんやうに
褌
(
ふんどし
)
を
緊
(
し
)
めて掛るが可いぜ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
他人の
褌
(
ふんどし
)
で相撲をとつて初めて役に立ち易いもので、腹黒とか陰険だとかいはれるのも、自然と他を利用するやうに出来上がつてゐるからである。
琵琶湖
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
やがて眼界
頓
(
にわか
)
に開けた所へ出れば、
重畳
(
ちょうじょう
)
せる群山波浪のごとく起伏して、
下瞰
(
かかん
)
すれば
鬼怒
(
きぬ
)
の清流真っ白く、新しき
褌
(
ふんどし
)
のごとく
山裾
(
やますそ
)
を
迂
(
め
)
ぐっている。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
赤裸体
(
あかはだか
)
のもの、
襯衣
(
シャツ
)
一枚のもの、赤い
褌
(
ふんどし
)
をしめたもの、鉢巻をしたもの、二三十人がてんでに
得物
(
えもの
)
を提げてどこということなしに乗り込んでいる。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
あるいは
太夫
(
たゆう
)
が語り物を典し、雲助が
褌
(
ふんどし
)
を質に置くように、寺としてなければならぬものを置くので、質屋の方でも安心して取るのかも知れない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
中島を見ろ、四十五まであの男は木刀一本と
褌
(
ふんどし
)
一筋の足軽風情だったのを、函館にいる時分何に発心したか、島松にやってきて水田にかかったんだ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
神酒
(
みき
)
をあげ、「
六根清浄
(
ろっこんしょうじょう
)
………………
懺悔〻〻
(
さんげさんげ
)
」と叫んだあとで若い者が
褌
(
ふんどし
)
一つになって此二間
幅
(
はば
)
の大川に飛び込み
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
思案するまでもなく、余は六尺
褌
(
ふんどし
)
を解く。我もとて、嘉助氏も六尺褌を解く。碧洋と義三郎氏とは解こうとせず。
層雲峡より大雪山へ
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
濡
(
ぬ
)
れた
褌
(
ふんどし
)
をぶら下げて、暑い夕日の中を帰ってくる時の
気色
(
きしょく
)
の悪さは、実に
厭世
(
えんせい
)
の感を少年の心に
目醒
(
めざ
)
めさせた。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
また、勝浦港では年頃に及んだ処女を老爺に托して破素してもらい、米、酒、および桃紅色の
褌
(
ふんどし
)
を礼に遣わした。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そう云って指差す方角から、
褌
(
ふんどし
)
一筋の裸体一貫、隆々たる筋肉を寒風に
晒
(
さら
)
した噂の主のはだか武兵衛が、城中の侍に前後を守られ悠々として歩いて来る。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お前さん、こんなとこで寝るのに着物を着て寝る者があるもんですか。
褌
(
ふんどし
)
一筋だって、肌に着けてちゃ、
螫
(
せせ
)
られて睡られやしない、
素裸
(
すっぱだか
)
でなくっちゃ……」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
之等は、合図の下に、ラヴァラヴァを
褌
(
ふんどし
)
ほども短く着けた数人の若者によって、食物群中から運び出される。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
峡中の美橋、
美恵
(
みえ
)
橋が現れて来た。一名
褌
(
ふんどし
)
橋というのがそれだ。褌の節約と
馬糞
(
ばふん
)
の
拾集
(
しゅうしゅう
)
とから得た利益を積み立てて架橋したのが大正三年の洪水で流出した。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
入学して
一
(
ひと
)
月も経たぬうちに理由もなく応援団の者に
撲
(
なぐ
)
られた。記念祭の日、赤い
褌
(
ふんどし
)
をしめて裸体で踊っている寄宿生の群れを見て、
軽蔑
(
けいべつ
)
のあまり涙が落ちた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
老人は
褌
(
ふんどし
)
をしていなかった。白毛を冠った睾丸がぶらぶらとさがった。私はおかしくなって笑った。父と母とは、私の笑うのがおかしいように見せかけて笑った。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「馬鹿云え。先祖譲りの揃いの
肉襦袢
(
にくじゅばん
)
が何が恥かしいんだ。俺だってこの二重マントの下は
褌
(
ふんどし
)
一つの素っ裸体なんだぞ。構わないからみんなこっちへ這入らせろ」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一方には柿崎村民が
褌
(
ふんどし
)
を以て
櫓綱
(
ろづな
)
となし大小(刀)
行李
(
こうり
)
などその中にある漁舟の漂着したるを認め、名主に訴え出でたるより、かれこれ自分の客人なりと分明し
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そこでわたしは
褌
(
ふんどし
)
ひとつになって仕切りのガラス戸を明けると、窓が閉めきってあるから
湯気
(
ゆげ
)
が立ちこめていて、陽射しがもやもやした縞模様をつくっていました。
浴槽
(新字新仮名)
/
大坪砂男
(著)
矢田部先生が、
常陸山
(
ひたちやま
)
であるならば、私は
褌
(
ふんどし
)
かつぎであるから、相撲としても申分のない対手だった。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
本堂の廊下には
此処
(
ここ
)
で
夜明
(
よあか
)
ししたらしい
迂散
(
うさん
)
な男が今だに幾人も腰をかけていて、その中には
垢
(
あか
)
じみた
単衣
(
ひとえ
)
の
三尺帯
(
さんじゃくおび
)
を解いて平気で
褌
(
ふんどし
)
をしめ直している
奴
(
やつ
)
もあった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
同級生には教授や経済記者もあるから、人の
褌
(
ふんどし
)
で相撲を取るのでもないが、分相応の学者の積りだ。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
駕籠舁
(
かごかき
)
は多く辻にいて客に勧めた。彼らは少し暖かくなると
褌
(
ふんどし
)
一つの裸で居た。荷車曳きは寒暑とも通じて裸であった。宮寺には、寒中裸でお参りをする者があった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
夫
(
そ
)
れから大阪は
暖
(
あったか
)
い処だから冬は難渋な事はないが、夏は真実の
裸体
(
はだか
)
、
褌
(
ふんどし
)
も
襦袢
(
じゅばん
)
も何もない
真裸体
(
まっぱだか
)
。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
昔、ある城将が、容易に城を出ないのを、攻囲軍が、女の
褌
(
ふんどし
)
を送ってはずかしめたという話がある。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
揃いの縮緬の
浴衣
(
ゆかた
)
に
赤無垢綸子
(
あかむくりんず
)
の
褌
(
ふんどし
)
などはお安いご用。山車人形の衣裳に二千両、三千両。女房も娘も叩き売って山車の費用を出し合うのが江戸ッ子に生れた身の
冥加
(
みょうが
)
。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
思わず知らず尻餅をついてつらつら考えてみるに今朝はあわてていたので
褌
(
ふんどし
)
も締めずに出て来た。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
孰
(
いづ
)
れにしてもおつぎの
心
(
こゝろ
)
には
有繋
(
さすが
)
に
微
(
かす
)
かな
不足
(
ふそく
)
を
感
(
かん
)
ずるのであつた。
勘次
(
かんじ
)
は
洗
(
あら
)
ひ
曝
(
ざら
)
しの
襦袢
(
じゆばん
)
を
褌
(
ふんどし
)
一つの
裸
(
はだか
)
へ
引
(
ひ
)
つ
掛
(
かけ
)
て、
船頭
(
せんどう
)
が
被
(
かぶ
)
るやうな
藺草
(
ゐぐさ
)
の
編笠
(
あみがさ
)
へ
麻
(
あさ
)
の
紐
(
ひも
)
を
附
(
つ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
徳次は水際につないである船の所に行き着く前にもう
褌
(
ふんどし
)
とシャツ一枚の半裸体になつてゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
そこへ何処からか一匹の犬が現れて、与次郎の
褌
(
ふんどし
)
を
咬
(
くわ
)
えてぐいぐい引っ張って行くのである。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
又向うに駒下駄の音がして
赤縮緬
(
あかちりめん
)
の
褌
(
ふんどし
)
が見えると、助平の雲が出て来る、
彼
(
あ
)
れは何者だろう、お嬢様か娘か、
彼
(
あ
)
れを口説いて見ようか、口説いても
肯
(
き
)
かないといけないから
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一人の浪人は、
褌
(
ふんどし
)
一つになっていた。二人は肌脱ぎになっていた。もう一人は、半肌脱ぎで
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
祖父は
丁髷
(
ちょんまげ
)
をつけて、夏など
褌
(
ふんどし
)
一つで歩いていたのを覚えている。その頃裸体禁止令が出て、お巡りさんが「御隠居さん、もう裸では歩けなくなったのだよ。」と言って
喧
(
やかま
)
しい。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
十月廿八日、けふも一人で『
緑の森
(
グリユネワルト
)
』と
謂
(
い
)
ふ方に行つた。今朝、靴下、越中
褌
(
ふんどし
)
などの洗濯をし、下半身を冷水で洗つた。心が
平衡
(
へいかう
)
を得てゐるやうでもあり、不安なやうでもある。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
大山は、
半纏
(
はんてん
)
を脱いで、
褌
(
ふんどし
)
一つになって、隅っこの暗いところへ、這って行ってゴロリと横になった。それはまるで、その手紙が、当の本人で、その目から逃げるためのようであった。
山谿に生くる人々:――生きる為に――
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「ところが
師匠
(
ししょう
)
、笑わねえでおくんなせえ。忠臣蔵の
師直
(
もろのお
)
じゃねえが、あっしゃア急に命が惜しくなって、はばかりへ行くふりをしながら、
褌
(
ふんどし
)
もしずに逃げ出して来ちまったんで。……」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
“褌(ふんどし)”の解説
褌(ふんどし)は、日本の伝統的な下着。形状によって帯状の褌と袴状の褌に大別される。同様のものは世界各地の民族に見られ、帯状の褌は南方系民族、袴状の褌は北方系民族の被服の系統に由来するという説がある。
(出典:Wikipedia)
褌
漢検1級
部首:⾐
14画
“褌”を含む語句
赤褌
犢鼻褌
越中褌
屎褌
畚褌
緊褌
褌担
衣褌
古褌
紅褌
牘鼻褌
緋褌
仇討義理与犢鼻褌
褌子
無褌
褌木綿
褌町
褌盥
褌裸
褌襠
...