日夜にちや)” の例文
しかるも我國わがくに財源ざいげんにはかぎりあり、兵船へいせん増加ぞうかにも限度げんどあり、くにおもふの日夜にちや此事このこと憂慮ゆうりよし、えず此點このてんむかつてさくこうじてる。
個人の革命は今すでに日夜にちやに起りつつある。北欧の偉人イブセンはこの革命の起るべき状態についてつぶさにその例証を吾人ごじんに与えた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其上そのうへ仕事しごとをさするにあらず、日夜にちやまゝにあそばせて、食物しよくもつ望次第のぞみしだいうみのもの、やまのもの、ふにまかせてあたへむに、かなし理由いはれきはずなり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これよりしてイワン、デミトリチは日夜にちやをただ煩悶はんもんあかつづける、まどそばとおものにわものみな探偵たんていかとおもわれる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
吾輩は君、地球と同じに日夜にちや動いて居るんだぜ。よしかね。吾輩は十五びょうで一回転する。ソレ一時間に二百四十回転。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
番人ばんにんは、またと、そんなような手落ておちがあっては、自分じぶん生活せいかつ関係かんけいすると、不安ふあんかんじましたから、日夜にちやおこたりなく、このおとこ注意ちゅういしたのであります。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夫よりしてお花は日夜にちや下婢をなごの中に立まじり勝手もとの事などはたらくにぞ亭主はいとゞ不便に思ひ家内の者に言つけてお花をいたはらせければ下婢をなご仲間なかまにてもお花を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
君は、奥村源造の実の娘であることを知ると、お父さんや兄さん達にあだを報いる為に、日夜にちや心を砕きました。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この駒ヶ嶽の絶巓に微かに消え行く夕照せきせうの光を望み見て、日夜にちや都門に向ひて志を馳せつゝある少年なきや。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
この時などは実に日夜にちやねむらぬほどの経営けいえいで、また石橋いしばし奔走ほんそう目覚めざましいものでした、出版の事は一切いつさい山田やまだ担任たんにんで、神田かんだ今川小路いまがはかうぢ金玉出版会社きんぎよくしゆつぱんくわいしやふのに掛合かけあひました
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
養生やうじやう榮燿えいやうやうおもふは世上せじやう一般いつぱん習慣ならはしなり。いまへる養生法やうじやうはふは、いかなる貧人ひんじん、いかなる賤業せんげふひとにても、日夜にちやこゝろそゝげば出來できことなり。よつその大意たいい三首さんしゆ蜂腰ほうえうつゞることしかり。
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
あまりに日夜にちや思い続ける私とおまえとの間には最早もはや直通の心の橋が出来できていて、歳月も距離もほとんど影響しないように感ぜられる。私たち二人は望みの時、その橋の上で出会うことが出来る。
巴里のむす子へ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
単にわが空漠くうばくたる信念なりとするも、わが心この世の苦悩にもがき暗憺あんたんたる日夜にちやを送る時に当たりて、われいかにしばしばなんじに振り向きたるよ、ああワイの流! 林間の逍遙子(しょうようし)よ
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
つて賛成さんせい主從しゆじゆう日夜にちやひたひをあつめて其方法そのはうはふかうたりき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これよりしてイワン、デミトリチは日夜にちやたゞ煩悶はんもんあかつゞける、まどそばとほものにはものみな探偵たんていかとおもはれる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
御母さんは今に浩一こういちが帰って来たらばと、しわだらけの指を日夜にちやに折り尽してぶら下がる日を待ちがれたのである。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
討取ば又々れい仕方しかたありと申付ければ元より惡者共わるものどもの事ゆゑ金銀にくれ喜び勇みて請合日夜にちや三河町より須田町邊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれは、日夜にちや、いい音色ねいろて、しかも、それがなんともいえない愉快ゆかいであるには、どうしたら、そうつくられるかということに研究けんきゅうんだのであります。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其後そののち數年間すうねんかん春夏しゆんかさい折々をり/\おこなふにぎざりしが、二十五六さいころもつつるにおよび、日夜にちや奔走ほんそうさい頭痛づつうはなはだしきとき臥床ふしどきしことしば/\なりしが、そのさいには頭部とうぶ冷水れいすゐもつ冷却れいきやく
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
けれど、按摩あんまは、わたしがなくっては、ちっともあるけませんので、どこへいくにもわたしをつれていきました。わたしからだは、日夜にちや過労かろうのために、だんだんやせていきました。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うつゝになり日夜にちやおときの方へかよつめける故番頭の忠兵衞は以ての外の事なりと思ひ段々だん/\異見いけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あたらしく世帶しよたいつて、あたらしい仕事しごとはじめるひとに、ありちな急忙せはしなさと、自分達じぶんたちつゝ大都たいと空氣くうきの、日夜にちやはげしく震盪しんたうする刺戟しげきとにられて、何事なにごとをもじつかんがへるひまもなく
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)