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操
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あやつ
ふりがな文庫
“
操
(
あやつ
)” の例文
このようなことはあながち彼の創意でもなく、敵前渡河のときは、かく
操
(
あやつ
)
るものと
訓
(
おし
)
えている前人の貴い経験に基づくものであった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
舟は水を渡りて、我等のかたにすゝめり、これを
操
(
あやつ
)
れるひとりの
舟子
(
ふなこ
)
よばゝりて、惡しき魂よ、汝いま來れるかといふ 一六—一八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それは、一人の人間が、
夥
(
おびただ
)
しいたくさんの機械を
操
(
あやつ
)
らねばならないからである。人間なら、誰も彼も、こうした機械群をうけもつ。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
遠く廊下に
操
(
あやつ
)
る布の、すらすら乱れて、さまよえるは、ここに絶えんず玉の緒の幻の糸に似たらずや。
繋
(
つな
)
げよ、玉の緒。
勿
(
な
)
断
(
た
)
ちそ細布。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
操
(
あやつ
)
り人形が糸に従うて動くごとくに、各自は少しも理由を知らずに、団体の要求に従うてかかる動作をなしているように見える。
動物界における善と悪
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
▼ もっと見る
私は、この時とばかりに努めて、口笛と交互に緩急な Ballad を鞭にして、「こわれかかった車」のスピードを
操
(
あやつ
)
った。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
さうかと言つて、この家から飛び出しもならず、怪しい
蜘蛛
(
くも
)
の糸に
操
(
あやつ
)
られて、お預けを喰ひながら、ヂツとして折を待つてゐるのでせう。
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、長さんの仕事を
操
(
あやつ
)
つたものに、倉田の主人夫婦と、もう一人、あの奇怪な魔力を持つた妖婆がゐたことを忘れてはならない。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
鋤
(
すき
)
をとり穂を束ねることもどんなにか幸福に見えるだろう。風のまにまに自由の帆を
操
(
あやつ
)
る小舟もどんなにか楽しく見えるだろう。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
苦労をさせたことを忘れないので銀子のことは銀子の好きなようにさせ、娘を
操
(
あやつ
)
って自身の
栄耀
(
えいよう
)
を図ろうなどの
目論見
(
もくろみ
)
は少しもなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
まるで
操
(
あやつ
)
りの糸に引かれた人形のようにふうわりと塀上に飛び上ったが、その上で、小手をかざして、ちょいと忠信のような
恰好
(
かっこう
)
をした。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
パラ/\と
自棄
(
やけ
)
に頁を
繰
(
く
)
る音がする。と、やつぱり相手を求める私の力でないやうな力に
操
(
あやつ
)
られて、私はつと後を追つて行く。
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
いくら仇同士であろうとも、
操
(
あやつ
)
りの人形に魂がはいって、敵と味方とが夜なかに斬り結ぶなぞという、そんな不思議が世にあろう筈がない。
半七捕物帳:38 人形使い
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
(娘、舞台から引き去らるる
操
(
あやつ
)
り人形のように、畸形に身を浮かして去る。論師、娘の姿が失くなると、青い舌を長く出して)
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
が、離れたと思うと落ちもせずに、不思議にも昼間の
中空
(
なかぞら
)
へ、まるで
操
(
あやつ
)
り人形のように、ちゃんと立止ったではありませんか?
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
操
(
あやつ
)
り人形のギニョル式に歴史をもてあそんでる無謀なヴォードヴィル作者サルドゥー流の、救済しがたい軽薄さが見て取られるのであった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
船頭
(
せんどう
)
が
態
(
わざ
)
と
自分
(
じぶん
)
を
突
(
つ
)
きのめしたものゝやうに
感
(
かん
)
じて
酷
(
ひど
)
く
手頼
(
たより
)
ない
心持
(
こゝろもち
)
がした。
彼
(
かれ
)
は
凝然
(
ぢつ
)
と
屈
(
かゞ
)
んで
船頭
(
せんどう
)
の
操
(
あやつ
)
る
儘
(
まゝ
)
に
任
(
まか
)
せた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
何か私が蔭で
操
(
あやつ
)
ったように思われるのも嫌ですから、双方理解の後ならばということにして、話が分った後に改めて家に置くことにしました。
幕末維新懐古談:77 西町時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
其の
折
(
をり
)
私達は船長がこの小さな
帆前船
(
ほまへせん
)
を
操
(
あやつ
)
つて遠く南洋まで航海するのだといふ話を聞き、全くロビンソンの冒険談を読むやうな感に打たれ
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その時はもう遅い。舟は大きなうねりに乗せられて、岸へ岸へと運ばれてしまう。帆はダラリと垂れてしまって、
舵
(
かじ
)
はどう
操
(
あやつ
)
っても利かない。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
軍談、落語、音曲、
操
(
あやつ
)
り人形、
声色
(
こわいろ
)
、物真似、
浄瑠璃
(
じょうるり
)
、八人芸、浮かれ節、影絵など、大もの揃いで、賑やかな席である。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「だがね、君の云ふその夢や感激つて云ふのは何だらう? 人間を胡麻化す或る
操
(
あやつ
)
りの糸に過ぎないんぢやないかね……」
ハルピンの一夜
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そういう時には、曾ての日と同じく、人語も
操
(
あやつ
)
れれば、複雑な思考にも堪え得るし、
経書
(
けいしょ
)
の章句を
誦
(
そら
)
んずることも出来る。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
地理
(
ちり
)
の
時間
(
じかん
)
でした。
小山
(
こやま
)
は、
夜店
(
よみせ
)
で
買
(
か
)
ったといって、
丹下左膳
(
たんげさぜん
)
と
侍
(
さむらい
)
の
小
(
ちい
)
さな
人形
(
にんぎょう
)
を二つ三つ、
紙
(
かみ
)
に
載
(
の
)
せて、
下
(
した
)
から
磁石
(
じしゃく
)
を
操
(
あやつ
)
って
踊
(
おど
)
らせていました。
白い雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼らはその淋しさを、却ってよい事にして、楽しい語らいの種も尽きず、ゆっくりと
櫂
(
かい
)
を
操
(
あやつ
)
りながら、今
吾妻橋
(
あづまばし
)
の下を抜けようとした時であった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが一度
手綱
(
たづな
)
を取ると、彼は、すぐにそれを
操
(
あやつ
)
つて、鞍に飛び乘つた——その努力をしてゐたとき、彼はひどく顏を顰めた、挫傷がねぢれたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
先の石段を下りるや若き女は
先
(
まづ
)
僕を乘らして後、
纜
(
もやひ
)
を解いてひらりと飛び乘り、さも輕々と櫓を
操
(
あやつ
)
りだした。
少年
(
こども
)
ながらも僕は此女の
擧動
(
ふるまひ
)
に驚いた。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかも殺人と被殺人者の両方の面からこれをながめ、「運命」の
操
(
あやつ
)
り手を楽屋から見物し、運命のやり方というものを仔細に観察することが出来る。
黒い手帳
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その当座の
中
(
うち
)
は何とも云わなかったが、それでも何も知らない娘のマユミが珍らしさの余りに、一知が
操
(
あやつ
)
っているラジオを覗きに行ったりするのが
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けれども彼らは争わなければならなかった。彼らの
背後
(
せなか
)
に
背負
(
しょ
)
っている
因縁
(
いんねん
)
は、他人に解らない過去から複雑な手を延ばして、自由に彼らを
操
(
あやつ
)
った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼らはすべて眼には見えない糸に
操
(
あやつ
)
られているかのように、ひそかに、かつ整然と戦いの準備をすすめて行った。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
品子が追ひ出されたのも、実は彼女が糸を
操
(
あやつ
)
つたからなので、庄造にはまだ未練があつたのだと云ふ人もある。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕の乗った舟を漕いでいる四十
恰好
(
がっこう
)
の船頭は、
手垢
(
てあか
)
によごれた
根附
(
ねつけ
)
の
牙彫
(
げぼり
)
のような顔に、極めて
真面目
(
まじめ
)
な表情を見せて、器械的に手足を動かして
艣
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
っている。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
手を離すと共に、遥かに控えている検使に一礼して木刀を拾取ると共に、静々渚へ行って船に飛乗った。そして船頭に楫を
操
(
あやつ
)
らせつつ、自分が楫を入れて漕去った。
巌流島
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
よく新聞記事などに、誰は誰の傀儡である、誰は誰を
操
(
あやつ
)
る傀儡子だなどということを言っております。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
相応
(
かなり
)
な
資本
(
もとで
)
を父から
頒
(
わ
)
けられると、それでもつて竹本座の
操
(
あやつ
)
り芝居を買取つて、座主、興行
主
(
ぬし
)
、兼作者として奮闘し、正面の
床
(
ゆか
)
を横に、
人形遣ひ
(
てすり
)
を三人に改めたり
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
医師は、手早くその用意をしてしまうと、今肉体を去ろうとして、たゆとうている魂を、呼び返すために、巧みに注射針を
操
(
あやつ
)
って、一筒のカンフルを体内に注いだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
操
(
あやつ
)
りのようにあたくしの神経の全部に走り、それを意識して意識しないふうに、甚だ無神経な奴になっていなければ、病人も
家
(
うち
)
のものもみんな
顰
(
しか
)
めッ面になってしまう。
紫式部:――忙しき目覚めに
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして、その裏にいて、この「産業の合理化」の糸を実際に
操
(
あやつ
)
っているものは「銀行」だった。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「とうとう
操
(
あやつ
)
り人形が出ていった。今度はわしらが出てゆく番だ。さあ、これで出てゆける!」
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
ジョン少年は
櫂
(
かい
)
を
操
(
あやつ
)
りドンドン小舟を進ませる。空は晴れ、海は
凪
(
な
)
ぎ、大変
長閑
(
のどか
)
な
日和
(
ひより
)
である。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「てぐすを飼うのさ。」見るとすぐブドリの前の
栗
(
くり
)
の木に、二人の男がはしごをかけてのぼっていて、一生けん命何か網を投げたり、それを
操
(
あやつ
)
ったりしているようでしたが
グスコーブドリの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この席に来た人々は日本に関する知識を求めに来たので、決して
雄弁
(
ゆうべん
)
や
能弁
(
のうべん
)
を聴くつもりで来たのでない。日本人が英語を
操
(
あやつ
)
るのであれば、
定
(
さだ
)
めしブロークンな英語であろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
何らの
手管
(
てくだ
)
もなく、たった純潔一つで
操
(
あやつ
)
られていると思うと渡瀬は心外でたまらなかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
陸軍中佐なる人の娘と
相愛
(
あひあい
)
して、末の契も堅く、月下の
小舟
(
をぶね
)
に比翼の
櫂
(
かひ
)
を
操
(
あやつ
)
り、スプレイの流を
指
(
ゆびさ
)
して、この水の
終
(
つひ
)
に
涸
(
か
)
るる日はあらんとも、我が恋の
燄
(
ほのほ
)
の消ゆる時あらせじ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ダアクの
操
(
あやつ
)
り
人形然
(
にんぎょうぜん
)
と妙な
内鰐
(
うちわに
)
の足どりでシャナリシャナリと蓮歩を運ぶものもあったが、中には今よりもハイカラな風をして、その頃
流行
(
はや
)
った横乗りで夫婦
轡
(
くつわ
)
を
駢
(
なら
)
べて行くものもあった。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
あゝ/\我は
斯
(
か
)
かる無人の島に漂うて辛うじて命を
継
(
つな
)
ぎ
居
(
お
)
るに、
仇
(
あだ
)
は
日々夜々
(
ひゞよゝ
)
に歓楽を極めて
居
(
お
)
ることであろう、
實
(
げ
)
に浮世とは申しながら、天はさま/″\に人を
操
(
あやつ
)
るものかな、蟠龍軒よ
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この女はね、先生、わしが独占するまで、わしともう一人の男を、それこそ、どつちにも内証で、
操
(
あやつ
)
つていた、したゝか者ですよ。もちろん、商売柄、そんなことはとがめるには当りませんがね。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
A操縦士とT機関士はその日も旅客機を
操
(
あやつ
)
って朝鮮海峡の空を飛んでいた。その日は切れぎれの雲が低く飛んで、二〇メートルと云う
烈
(
はげ
)
しい北東の風が、水上機の両翼をもぎとるように吹いていた。
飛行機に乗る怪しい紳士
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、感光膜の輪を鉄管の先端にうまく
篏
(
は
)
め込むと同時に、
鈎切
(
がんぎり
)
につけたもう一本の糸を
操
(
あやつ
)
って
感光膜
(
フィルム
)
を結びつけた糸を切り、更に、その鈎切で、垂直下に当る動力線の一点に傷をつけたのです。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
“操”の意味
《名詞》
(みさお)志や主義・主張を変えずに貫くこと。
(みさお)女性の貞操。
(みさお)上品で高雅なこと。
(みさお)常に変わらないこと。
(出典:Wiktionary)
操
常用漢字
小6
部首:⼿
16画
“操”を含む語句
志操
貞操
節操
心操
操人形
手操
操行
曹操
操縦
操持
操作
操練
操縦席
操舵室
操觚者流
操縱
玉松操
操子
操車場
良人操縱
...