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所業
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ふりがな文庫
“
所業
(
しわざ
)” の例文
奪った財宝の八割までを、自分と勘兵衛とが取り、後の二割を、配下の浪人どもへ分配してやった
悪辣
(
あくらつ
)
の
所業
(
しわざ
)
なども思い出された。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
勿論、
凡者
(
ただもの
)
の
所業
(
しわざ
)
ではない、夕方、横川を
渉
(
わた
)
って
飯室谷
(
いいむろだに
)
へかかった天城四郎とその手下どもの襲ったことから始った事件であった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それにしては余りに大胆で、軽卒で、それほどの運命を背負って立っている、頭のいい青年の
所業
(
しわざ
)
とはどうしても思われませぬ。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人々はこの怪談めいた出来事に、賊の
所業
(
しわざ
)
を憎むことも忘れて、あきれ返ってしまった。これが一体人間の仕業であろうか。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし、それは神経の病的作用でもなく、勿論妖しい
瘴気
(
しょうき
)
の
所業
(
しわざ
)
であり得よう道理はない。すでに法水は、
墓𥥔
(
ぼこう
)
の所在を知っていたのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
假におみつの
所業
(
しわざ
)
として、夜中にみんなの寢息をうかゞつて雜魚寢の部屋を拔出したとすると、あんまり度胸が太過ぎる。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
近頃は斬った死骸の
懐中物
(
ふところ
)
まで抜く、夜盗に等しい辻斬の
所業
(
しわざ
)
は、平次の職業意識を、一日毎にかき立てて行くのです。
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なして
憤
(
いきど
)
ほれ共如何とも
詮方
(
せんかた
)
なければ
頓
(
やが
)
て懷中を改め
見
(
みる
)
に是は如何に五百兩の
金
(
かね
)
は無く
偖
(
さて
)
は
盜賊
(
たうぞく
)
の
所業
(
しわざ
)
ならんと
近傍
(
あたり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼の聴水が
所業
(
しわざ
)
なること、
目前
(
まのあたり
)
見て知りしかば、いかにも無念さやるせなく。
殊
(
こと
)
には
他
(
かれ
)
は黄金丸が、
倶不戴天
(
ぐふたいてん
)
の
讐
(
あだ
)
なれば、意恨はかの事のみにあらず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「どうしても、許しがたいのは、それからあとのお前の
所業
(
しわざ
)
だ。おまえはエックス線で、わたしの
正体
(
しょうたい
)
を知ろうとした。この神聖なわたしの正体を!」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ソレニ、コレハ多分半分以上神経ノ
所業
(
しわざ
)
ダト思ウケレドモ、トキドキ体ガ急ニフラフラトシテ
平衡
(
へいこう
)
ヲ失イ、右カ左カ、ドチラカヘ倒レソウニナルヿガアル。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
理
(
り
)
も
非
(
ひ
)
もない。はじめから
人
(
ひと
)
の
妻
(
つま
)
を
掴
(
つか
)
み
取
(
と
)
つてものを
云
(
い
)
ふ、
悪魔
(
あくま
)
の
所業
(
しわざ
)
ぢや、
無理
(
むり
)
も
無躰
(
むたい
)
も
法外
(
ほふぐわい
)
の
沙汰
(
さた
)
と
思
(
おも
)
へ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「どうもそれは、狐か狸の
所業
(
しわざ
)
らしい、それが来そうな処へ
干沙
(
ひすな
)
をまいて置けば、足跡がつくから知れるよ」
一緒に歩く亡霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
だれの
所業
(
しわざ
)
ともわからないような盗みが行なわれた。浪士らが引き揚げを急いでいるどさくさまぎれの中で。ほとんど無警察にもひとしい町々の暗黒の中で。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
天狗
(
てんぐ
)
の
所業
(
しわざ
)
と云ってしまえばそれまでだが、いわゆる
鎌鼬
(
かまいたち
)
の
悪戯
(
いたずら
)
ではござるまいか」という説もあった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
よく友人
輩
(
たち
)
は
一口
(
ひとくち
)
に「君、それは鼠だろう」と
貶
(
けな
)
してしまう、
成程
(
なるほど
)
鼠の
居
(
お
)
るべき
処
(
ところ
)
なら鼠の
所業
(
しわざ
)
かと
合点
(
がてん
)
もするが、鼠の
居
(
お
)
るべからざる
処
(
ところ
)
でも、
往々
(
おうおう
)
にして聞くのだ
頭上の響
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
といってあたりを見廻した時、いつの間にやら鎮まって、あっけにとられ、彼の
所業
(
しわざ
)
を見守っていた勇吉が、いかにも面目なげにしおれ、小さい声で勘助にささやいた。
田舎風なヒューモレスク
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
是は
彼
(
か
)
のお茶の水で失ったる彦四郎貞宗ではないか、中身はと抜いて見ると
紛
(
まご
)
う方なき貞宗だから、あゝ残念な事をした庄左衞門を
殺害
(
せつがい
)
したのは彼等兄弟の
所業
(
しわざ
)
に相違ないが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
即ち私が利用するも同然である。のみならず、読者に対してはどうかと云うに、これまた相済まぬ訳である……所謂羊頭を掲げて狗肉を売るに類する
所業
(
しわざ
)
、厳しくいえば詐欺である。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
定めしおれの
所業
(
しわざ
)
をば不審もして居たろうがまあ聞け、手前の母に別れてから二三日の間実は張り
詰
(
つめ
)
た心も恋には
緩
(
ゆる
)
んで、
夜深
(
よふか
)
に一人月を
詠
(
なが
)
めては人しらぬ露
窄
(
せま
)
き
袖
(
そで
)
にあまる陣頭の
淋
(
さび
)
しさ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
物疑
(
ものうたが
)
ひといふては
露
(
つゆ
)
ほどもお
持
(
も
)
ちなさらぬ
心
(
こゝろ
)
のうつくしい
人
(
ひと
)
を、
能
(
よ
)
うも
能
(
よ
)
うも
舌三寸
(
したさんずん
)
に
欺
(
だま
)
しつけて
心
(
こゝろ
)
のまゝの
不義
(
ふぎ
)
放埒
(
はうらつ
)
、これがまあ
人
(
ひと
)
の
女房
(
にようばう
)
の
所業
(
しわざ
)
であらうか、
何
(
なん
)
といふ
惡者
(
わるもの
)
の、
人
(
ひと
)
でなしの
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
穗
(
ほ
)
を
掩
(
おほ
)
うた
其
(
そ
)
の
筵
(
むしろ
)
が
勘次
(
かんじ
)
の
所業
(
しわざ
)
であることを
的確
(
てきかく
)
に
證據立
(
しようこだ
)
てゝ
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
調査の結果、それがドーブレクの
所業
(
しわざ
)
である事が解りました
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
なん
人
(
びと
)
かの悪意ある
所業
(
しわざ
)
であることは明かである。
泉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
人の
所業
(
しわざ
)
を書き入れる筆もくたびれて*
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
中間
(
なか
)
へ
入
(
はい
)
つてした
所業
(
しわざ
)
。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
恐らく今度の事件なるものは、日本における会員の、不良分子の
所業
(
しわざ
)
であろうが、どういう径路で将軍家をどうして奪ったかわからない。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
反間苦肉
(
はんかんくにく
)
の密告が図星に当ったものであるが、むろん、これは卑怯とも何とも云いようのない
所業
(
しわざ
)
で、Wに対して弁解の余地は
毛頭
(
もうとう
)
ない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
関羽の死は、もともと曹操のさしずであり、曹操の
所業
(
しわざ
)
であると、この禍いの鍵を魏へ転嫁してしまうに限る。張昭はさように考えるのです。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次々と、ここには
記
(
しる
)
し得ぬ程、惨虐で淫猥な
所業
(
しわざ
)
が続けられた。そして幽霊男の生首遊戯はいつ果つべしとも見えぬのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
びっくりして夢の覚めたようになった武士は、
己
(
じぶん
)
の体が暗い地の上に立っていることを知った。彼は
手荒
(
てあら
)
な籠舁の
所業
(
しわざ
)
を
怒
(
おこ
)
ることも忘れて
四方
(
あたり
)
を見まわした。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
四角の角々を切り落せば、角の数が倍になって、八角に成るのわ
当然
(
あたりまえ
)
、しかもそれわ自分の
所業
(
しわざ
)
であるのに、そうとわ心付かぬ三角定木、驚いたの驚かないの!
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
「ふむ、それは
怪
(
け
)
しからん。女の
臀部
(
でんぶ
)
を斬るとは一体何の為だか。いずれ馬鹿か、
狂人
(
きちがい
)
の
所業
(
しわざ
)
であろうな」
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
と云うのは、いかなる魔の
所業
(
しわざ
)
であろうか、戸板の上の骸骨には、
肢
(
あし
)
首が
括
(
くく
)
り合わされていて、それが人魚を
象
(
かた
)
どる、あの図紋のように感じられたからである。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
いかに、
天變
(
てんぺん
)
の
際
(
さい
)
と
雖
(
いへど
)
も、
麩
(
ふ
)
に
羽
(
はね
)
が
生
(
は
)
えて
飛
(
と
)
ぶ
道理
(
だうり
)
がない。
畜生
(
ちくしやう
)
、
鼠
(
ねずみ
)
の
所業
(
しわざ
)
に
相違
(
さうゐ
)
あるまい。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恐れらるゝにや主人の仰せ殊に
御奉書
(
ごほうしよ
)
の上は一
刻
(
こく
)
も延引すべからず
最初
(
さいしよ
)
より某しは此儀に係り此度の
御召
(
おんめし
)
も皆々勘解由の
所業
(
しわざ
)
なれば只今より我一人下向致さん各々は御
國許
(
くにもと
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今ノ東京ヲコンナ浅マシイ乱脈ナ都会ニシタノハ誰ノ
所業
(
しわざ
)
ダ、ミンナ田舎者ノ、ポット出ノ、百姓上リノ、昔ノ東京ノ好サヲ知ラナイ政治家ト称スル人間共ノシタコトデハナイカ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
極彩色の仏像と、素木の仏像を替えて、親父の遺言を果せばそれでいいわけですが、馬鹿な振りをして様子を見ていると、妹を殺したのは、やはりあの善八の
所業
(
しわざ
)
だったことが分って来ました。
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
勿論
悪徒
(
わるもの
)
ですから誰の
所業
(
しわざ
)
と詮議して呉れる者も有りません。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「さすがは戸ヶ崎、心眼心耳、今に至って受け取れた! 曲者はいったに相違ない! ……この場の有様、曲者の
所業
(
しわざ
)
じゃ!」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「待て。車上の人間は、礼を知らぬ野人か、偽使者か。或いは呉に人なしと思うての無礼か、呉に剣なしと
侮
(
あなど
)
っての
所業
(
しわざ
)
か」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、四五日以前、警察の大がかりなトランク捜索がはじまる頃には三造も自分の
所業
(
しわざ
)
に恐れを抱きはじめました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
又は変態怪奇を極めた
所業
(
しわざ
)
を平気で演じて行く
例
(
たとえ
)
は、随分沢山に伝わっておりますので……
況
(
いわ
)
んや若林博士のような特殊な体質と頭脳を持った人間が
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
平生
(
いつも
)
の
疏放
(
そほう
)
から他人の住宅へ侵入した結果になり、その上
強窃盗
(
ごうせっとう
)
の嫌疑をかけられてもしかたのないようになった
己
(
おのれ
)
の
所業
(
しわざ
)
を恐ろしく思った。隣の室ではまたものの気配がした。
指環
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
見れば扇子一本
落
(
おち
)
てあり藤兵衞手に取あげ
能々
(
よく/\
)
見るに
鐵扇
(
てつせん
)
にて親骨に
杉田
(
すぎた
)
三五郎と
彫付
(
ほりつけ
)
有りし故掃部大いに
怒
(
いか
)
り然らば是は
幸手
(
さつて
)
の三五郎が
所業
(
しわざ
)
に
違
(
ちがひ
)
無
(
な
)
し今西の方へ
駈出
(
かけだ
)
して
行
(
ゆく
)
人影
(
ひとかげ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
言
(
い
)
ふに
言
(
い
)
はれぬ
心
(
こゝろ
)
を
籠
(
こ
)
めたらしい
所業
(
しわざ
)
が
可笑
(
をか
)
しい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
範覚のやった
所業
(
しわざ
)
なのであろう、両手両膝をしばられて、
猿轡
(
さるぐつわ
)
までかまされた浮藻の姿が、痛々しくその奥に
横仆
(
よこた
)
わっていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いわゆる敵の営中に眠って敵を眠らせぬというような大胆な
所業
(
しわざ
)
は、日本左衛門や雲霧ぐらいに
甲羅
(
こうら
)
を経た大盗でも、容易に行えない離れ
技
(
わざ
)
で
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ウム、僕が今ふと想像したのは非常な事柄だ。泥棒なんて生やさしい犯罪ではない。ゾッとするような陰謀だ。恐ろしいと同時に、唾棄すべき悪魔の
所業
(
しわざ
)
だ」
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
妖異の
所業
(
しわざ
)
と解釈して
斯
(
か
)
かる伝説の
由縁
(
ゆうえん
)
を作るべき事は疑を容れず、すなわちかかる伝説、口碑の殆ど全部が、屍体に側近する者の
些
(
すく
)
なき貧家の不幸事、もしくは屍体一個
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“所業”の意味
《名詞》
所業(しょぎょう)
(多く、好ましくない)行い。仕業。振舞い。
(出典:Wiktionary)
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
業
常用漢字
小3
部首:⽊
13画
“所”で始まる語句
所謂
所以
所
所詮
所為
所作
所在
所々
所有
所望