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愛
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め
ふりがな文庫
“
愛
(
め
)” の例文
ああ、
委
(
くわ
)
しくここに写さんも要なけれど、余が彼を
愛
(
め
)
づる心のにわかに強くなりて、ついに離れがたきなかとなりしはこの折なりき。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「国の習いで、抜けば鞘を叩き割るのが、血を見ずに鞘へ納まったは今日が初め、まあ仲裁ぶりに
愛
(
め
)
でて
不祥
(
ふしょう
)
するわ。時に貴殿のは」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我は荒漠たる原野に名も知れぬ花を
愛
(
め
)
づるの心あれども、園芸の
些技
(
さぎ
)
にて
造詣
(
ざうけい
)
したる
矮少
(
わいせう
)
なる自然の美を、左程にうれしと思ふ情なし。
秋窓雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
がしかし菓子箱の蓋の三色版画の中にでもいるようなこの
愛
(
め
)
ぐしき令嬢の願いを、当惑や自尊心だけで、拒絶していいものであろうか。
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
唯だ彼人の往かんは
妥
(
おだやか
)
ならねば、我もえ往かざるべし。そが上コンスタンチヌスの寺なる彼儀式は固より餘り
愛
(
め
)
でたからぬ事なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
初冬の深更のこと、雪明りを
愛
(
め
)
づるまま写経に時を忘れてゐると、窓外から毛の生えた手を差しのべて顔をなでるものがあつた。
閑山
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「国歌の人を鼓舞して忠誠を貫かしめ人を
劇奨
(
げきしょう
)
して
孝貞
(
こうてい
)
を
竭
(
つ
)
くさしめ」云々「
豈
(
あに
)
翅
(
ただ
)
に花を賞し月を
愛
(
め
)
で春霞に
思
(
おもい
)
を
遣
(
や
)
り風鳥に心を傾くる」
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
汝等の中にラチオ
人
(
びと
)
の魂ありや、我に告げよ、我そのしらせを
愛
(
め
)
で喜ばむ、また我これを知らば恐らくはその者に益あらむ。 九一—九三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
なおこの
期
(
ご
)
になってもその自己を——敵軍すべて取り囲む琵琶の湖中においてさえも——
珠
(
たま
)
の如く
愛
(
め
)
でて持っている姿であった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われ夫人の気高く清らかなるを
愛
(
め
)
ずれば、
愈
(
いよいよ
)
夫人を
汚
(
けが
)
さまく思い、
反
(
かえ
)
ってまた、夫人を汚さまく思えば、愈気高く清らかなるを愛でんとす。
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕には、花一輪をさえ、ほどよく愛することができません。ほのかな匂いを
愛
(
め
)
ずるだけでは、とても、がまんができません。
秋風記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
雨風に悩まさるれば一度は地に伏しながらも
忽
(
たちまち
)
起きあがりて咲くなど、菊つくりて誇る今の人ならぬ
古
(
いにしへ
)
の人のまことに
愛
(
め
)
でもすべきものなり。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
叔母恨むというとも
貴嬢
(
きみ
)
怒るに及ばじ、恨む心は女の心にして、恨む女は
愛
(
め
)
ずる女なり、ただこの叔母を哀れとおぼさずや。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これはキムブルガーの唇(ハプスブルグ家代々の唇の特徴)じゃ——と
陛下
(
へいか
)
が
愛
(
め
)
でられたほどに由緒あるもの——それが沿岸警備にもつかず
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼の、すゞに対する感情は、老人が、自分の孫にあたるような幼い娘を、老後の断ち切ることの出来ない欲情から
愛
(
め
)
ずる。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
刀の
在所
(
ありか
)
、
仇敵
(
かたき
)
の
匿家
(
かくれが
)
まで教えて呉れた其の功に
愛
(
め
)
でゝ、永く苦痛をさするも
不便
(
ふびん
)
ゆえ、この小三郎が介錯して取らせるぞ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし時雨の趣を解するような人が、初時雨を
愛
(
め
)
でて柚味噌を焼いているというほど、殊更な趣向とも解したくない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「もみぢ葉の散らふ
山辺
(
やまべ
)
ゆ
榜
(
こ
)
ぐ船のにほひに
愛
(
め
)
でて出でて来にけり」(同・三七〇四)という歌を作ったりしている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ひややかなる影の谷の中にあるようにしてではなく——おお、そうではなく、——御身があるべきようにして——すなわち、星の
愛
(
め
)
ずる海の
楽土
(
イリジアム
)
なる
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ところが
形姿
(
かたち
)
威儀
(
いぎ
)
竝
(
なら
)
びなき一人の男が夜中にたちまち來ました。そこで互に
愛
(
め
)
でて結婚して住んでいるうちに、何程もないのにその
孃子
(
おとめ
)
が
姙
(
はら
)
みました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
唯継は彼の
言
(
ものい
)
ふ花の姿、温き玉の
容
(
かたち
)
を
一向
(
ひたぶる
)
に
愛
(
め
)
で
悦
(
よろこ
)
ぶ余に、
冷
(
ひやや
)
かに
空
(
むなし
)
き
器
(
うつは
)
を
抱
(
いだ
)
くに異らざる妻を擁して、
殆
(
ほとん
)
ど憎むべきまでに得意の
頤
(
おとがひ
)
を
撫
(
な
)
づるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
海外までも名に響いた紋太夫の名を
愛
(
め
)
でさせられ、特に願いを聞き届けこの住吉の海辺において首打つ事になったというは、一方ならぬ
上
(
かみ
)
のご仁慈じゃ。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
子が
愛
(
め
)
づる
薄葉鉄
(
ブリキ
)
の太鼓、その
紅
(
あか
)
き
片面
(
かたも
)
剥げしに、土盛りて、せめて植ゑむと、福寿草霜に抜き来ぬ、二株三株。
篁
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
旅の
渇
(
かわ
)
きを
癒
(
いや
)
すため、ステファアヌ・マラルメが
愛
(
め
)
でた果実、「理想の
苦
(
にが
)
みに味つけられた
黄金色
(
こがねいろ
)
のシトロン」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
この承認はすべての
愛
(
め
)
でたき徳を生む母である。しこうしてつくられたるものの切なる願いは、造り主の
完
(
まった
)
さに似るまでおのれをよくせんとの祈りである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ただこの時代の貴紳の芸術が、花鳥風月を
愛
(
め
)
でる風流となって久しいから、その実感ということは、一層念を入れ、一層細かく自然を見るという方へ向う。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
流れの清きに
愛
(
め
)
でて手に
掬
(
むす
)
びつらんとよませ給ふにやあらんを、後の人の毒ありといふ
一一〇
狂言
(
まがこと
)
より、此の
端詞
(
はしことば
)
はつくりなせしものかとも思はるるなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
僕の雨を
愛
(
め
)
づる癖は恐らく母から
承
(
う
)
けたのであろう。いまそかりし昔、僕はしばしば母と閑話を交えながら、庭に降る雨を眺め暮したことを今もなお思い出す。
雨の日
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
翁もその熱心に
愛
(
め
)
でたものであろう、叱り叱り稽古を付けてやったが、翁が歿前かなりの重態に陥って、稽古を休んでいる時までも毎日毎日執拗に押かけて来て
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
したがって彼は、神様からもその悪意や暗いところの微塵もないからりとした性質を
愛
(
め
)
でられていた。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
常識のみとおしにすぎなくて、この抵抗が私のより生粋な作家らしさ、
愛
(
め
)
づべき魂ではないのかしら。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
虫喰い算は、序文にも述べてあるとおり、中級以上のものは一題一題が宝石のように尊く且つ
愛
(
め
)
ずべきものであるからして、なるべくじっくりと解いていただきたい。
虫喰い算大会
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
年少から寄席を
愛
(
め
)
で、落語を愛してきた私のその頃のメモは、また他日稿を新たとすることとして
わが寄席青春録
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
庭の桜の一片をも、我とならでは
愛
(
め
)
でたまはず。窓の月のさやけきにも、我在らずは背きたまふ。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
若し、日本音楽を愛し、歌舞伎劇を愛し、紫の色を
愛
(
め
)
で、白緑の色を好み、
紺蛇
(
こんじや
)
の目を好き而も、近代ジヤズに魅力を感ずる女性あらば、如何なる香水がふさはしいか。
「香水の表情」に就いて:――漫談的無駄話――
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
これまでひたすら
愛
(
め
)
で
慈
(
いつく
)
しみ、内心ひとりで嘆賞していた大事な秘密の想念を表白したわけなので、どうして人がこの功業を嘆賞しないのかと不思議でたまらなかった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
わが心、何を求め何に憧るるや、われ
自
(
みづか
)
らもわき難きを、われ自らにあらぬ人の
父母
(
ちゝはゝ
)
なりとていかで知り得ん。我が父母はただ只管に限り無くわれを
愛
(
め
)
でいつくしみ給ひき。
貝殻追放:008 「その春の頃」の序
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
しかしその無類潔白な色を
愛
(
め
)
で貞女神ヘーラまたジュノンおよびスベスの手にこの花を持つ
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
無上の愛らしい形態のなかに
秘
(
かく
)
されている、この人類全体の過去の努力と永遠にわたる望みを、私たちは知らずしらずわれらの
幼児
(
おさなご
)
として
愛
(
め
)
でよろこんでいるのだと思われます。
おさなご
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
其火を見ぬ様になったはよいが、
真正面
(
ましょうめん
)
に彼が七本松と名づけて
愛
(
め
)
でゝ居た赤松が、大分伐られたのは、惜しかった。此等の傾斜を南に上りつめた
丘
(
おか
)
の
頂
(
いただき
)
は、隣字の
廻沢
(
めぐりさわ
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
茶道の影響は貴人の優雅な
閨房
(
けいぼう
)
にも、
下賤
(
げせん
)
の者の住み家にも行き渡ってきた。わが田夫は花を生けることを知り、わが野人も山水を
愛
(
め
)
でるに至った。俗に「あの男は
茶気
(
ちゃき
)
がない」という。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
そして
部屋
(
へや
)
のすみにある
生漆
(
きうるし
)
を塗った桑の
広蓋
(
ひろぶた
)
を引き寄せて、それに
手携
(
てさ
)
げや懐中物を入れ終わると、飽く事もなくその
縁
(
ふち
)
から底にかけての
円味
(
まるみ
)
を持った微妙な手ざわりを
愛
(
め
)
で
慈
(
いつく
)
しんだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「不弥の女よ。我とともに来れ。我は爾を奴国の何物よりも
愛
(
め
)
でるであろう。」
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
千束
(
ちづか
)
なす我が文は讀みも了らで捨てやられ、さそふ秋風に桐一葉の哀れを殘さざらんも知れず。
況
(
まし
)
てや、あでやかなる彼れが
顏
(
かんばせ
)
は、浮きたる色を
愛
(
め
)
づる世の中に、そも幾その人を惱しけん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ここにおかしきは妾と室を共にせる眉目
麗
(
うるわ
)
しき
一婦人
(
いっぷじん
)
あり、天性
賤
(
いや
)
しからずして、
頻
(
しき
)
りに読書習字の教えを求むるままに、妾もその志に
愛
(
め
)
でて
何角
(
なにかと
)
教え導きけるに、彼はいよいよ妾を
敬
(
うやま
)
い
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
一抹
(
いちまつ
)
のかすみの中にあるいは
懸崖千仭
(
けんがいせんじん
)
の上にあるいは
緑圃黄隴
(
りょくほこうろう
)
のほとりにあるいは
勿来
(
なこそ
)
の
関
(
せき
)
にあるいは吉野の旧跡に、古来幾億万人、春の桜の花を
愛
(
め
)
でて大自然の
摂理
(
せつり
)
に感謝したのである
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
... さればわれその
厚意
(
こころざし
)
に
愛
(
め
)
で、おつつけ彼の黒衣とやらんを
討
(
うっ
)
て、爾がために
恨
(
うらみ
)
を
雪
(
すす
)
がん。心安く
成仏
(
じょうぶつ
)
せよ」「こは有難き
御命
(
おおせ
)
かな。かくては思ひ置くこともなし、
疾
(
と
)
くわが
咽喉
(
のど
)
を
噬
(
か
)
みたまへ」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
併し土岐子とか言うあの娘は感心ですね、あの心掛に
愛
(
め
)
でて、私の報告書がどんなに緩和されたことでしょう? あんな悪党に、あんな立派な娘が生れるというのも、神様の深い
思召
(
おぼしめし
)
でしょう。
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
芭蕉は殊のほかこの湖國の風景を
愛
(
め
)
でて、石山の奧には長く住んでゐたのであるが、翁の詠んだ句には湖水の深い處の句は、自分の寡聞のせゐか餘り知らない。多く湖南に屬する景物を吟じてゐる。
湖光島影:琵琶湖めぐり
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
私が弟への手紙のはしに書きつけやり候歌、なになれば
悪
(
わ
)
ろく候にや。あれは歌に候。この国に生れ候私は、私らは、この国を
愛
(
め
)
で候こと誰にか劣り候べき。物堅き家の両親は私に何をか教へ候ひし。
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
“愛”の解説
愛(あい、en: love、fr: amour)について解説する。
(出典:Wikipedia)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
“愛”を含む語句
可愛
愛情
愛敬
慈愛
愛惜
愛嬌
愛着
最愛
情愛
愛人
寵愛
愛妾
可愛想
愛子
愛想尽
鍾愛
愛憎
愛玩
無愛想
恋愛
...