“生漆”の読み方と例文
読み方割合
きうるし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やはりお人好のお婆さんと二人でせっせと盆に生漆きうるしを塗り戸棚へしまい込む。なにも知らない温泉客が亭主の笑顔から値段の応対を強取しようとでもするときには、彼女は言うのである。
温泉 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
そして部屋へやのすみにある生漆きうるしを塗った桑の広蓋ひろぶたを引き寄せて、それに手携てさげや懐中物を入れ終わると、飽く事もなくそのふちから底にかけての円味まるみを持った微妙な手ざわりをいつくしんだ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
掻き取つた生漆きうるしを、町の市場に持つて行つて、そこで仲買人に売るのであつたが、フウトウの漆の市場は、あらゆる日常品がそろひ、この日は、玩具箱おもちやばこをひつくりかへしたやうなにぎやかな素朴さで
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)