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御心配
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ごしんぱい
「いいえ、ため
息をおつきになったりなんかして、きっと
何か
御心配なことがあるのでしょう。わけを
話して
下さいまし。」
貴方の
祕密が、
私には
知れましても、お
差支へのない
事をお
知らせ
申しませうか、——
餘り
御心配なすつておいとしいんですもの。
眞個に、
殿方はお
優しい。
ばお
勸申せば
兎にも
角にも
偏りし事のみ
被仰お
出なくば御兩親樣が折角のお心盡しも
無に成て返つて
掛る
御心配學問なさるが
親不孝と申すは
茲の次第なりと一什を
『イヤ、イヤ、
决して
御心配なく。』と
彼は
此時珈琲を
一口飮んだが、
悠々と
鼻髯を
捻りながら
墓へ
這入るまで八
圓の
月給では
有るまいと
思ひますに、
其邊格別の
御心配なくと
見事に
言へば、
母親はまだらに
殘る
黒き
齒を
出して、
成るほど/\
宜く
立派に
聞えました
「はッはッは。それでわざわざお
運び
下さろうッてんでげすか。これぁどうも
恐れいりやした。そのことなら、どうかもう
御心配は、
御無用になすっておくんなさいまし」
「
然し
御心配になる
事はありません。
斯う
云ふ
場合に、もし
惡い
結果が
起るとすると、
屹度心臟か
腦を
冒すものですが、
今拜見した
所では
双方共異状は
認められませんから」と
説明して
呉れた。
今までに、
度々お
話しようと
思ひましたが、
御心配をかけるのもどうかと
思つて、
打ち
明けることが
出來ませんでした。
實を
申しますと、
私はこの
國の
人間ではありません。
月の
都の
者でございます。
御心配には
及びません。
今日から
七日の
日限のつきないうちに、きっと
娘さんを
助けることができるだろうと
思いますから、
安心して
待っていて
下さい。
(
何、いけませんければ
跣足になります
分のこと、
何卒お
構ひなく、
嬢様に
御心配をかけては
済みません。)
私が
戻りましたからは
御心配なくお
就蓐下されと
洒然といひて
隣の
妻を
歸しやり、
一人淋しく
洋燈の
光りに
烟草を
吸ひて、
忌々しき
土産の
折は
鼠も
喰べよとこぐ
繩のまゝ
勝手元に
投出し
御女中
衆の中へ御加へ下され御客樣の御給仕にても御させ
成れて下さりませと云ば亭主は
打案じ夫は入ぬ
御心配なり御武家に御
育ち成れし御身が宿屋の女の
手傳ひも成まじ然ながら手前に然樣な心は
塵程も有ねども
貯へなくて
滯留するは氣の毒と御
心遣ひが有ては
却て
惡ければ御
言葉に
隨ひ御
客が多く手の足ぬ時は
天子さまはたいそう
御心配になって、
度々兵隊をおくって
高丸をお
討たせになりましたが、いつも
向こうの
勢いが
強くって、そのたんびに
負けて
逃げて
帰って
来ました。
お
目に
懸らでは
戻らるゝことかはさるにても
此病人のうへに
此お
生計右も
左もお
身一つに
降りかゝる
芳さまが
御心配は
嘸なるべし
尋常ならば
御兩親の
見取り
看護もすべき
身が
餘所に
見聞く
苦しさよと
沸き
返る
涙胸に
呑みて
差のぞかんとする
二枚戸を
「おとうさんにも、おかあさんにも、よけいな
御心配をかけてすみませんでした。」
「……
餘り
唐突で、
變にお
思ひでせう。
何も
御心配な
事ぢやありません。」
おかあさんはその
様子を
見ると、
大そう
御心配をなすって、ある日
乳母を
呼んで
「どうぞこんどの
戦に
首尾よく
勝って、
天子さまの
御心配の
解けますように。」