御心配ごしんぱい)” の例文
「いいえ、ためいきをおつきになったりなんかして、きっとなに御心配ごしんぱいなことがあるのでしょう。わけをはなしてくださいまし。」
夢占 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
貴方あなた祕密ないしよが、わたしにはれましても、お差支さしつかへのないことをおらせまをしませうか、——あんま御心配ごしんぱいなすつておいとしいんですもの。眞個ほんとに、殿方とのがたはおやさしい。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ばおすゝめ申せばにもかくにもかたよりし事のみ被仰おつしやりいでなくば御兩親樣が折角のお心盡しもに成て返つてかけ御心配ごしんぱい學問なさるが親不孝おやふかうと申すはこゝの次第なりと一什を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『イヤ、イヤ、けつして御心配ごしんぱいなく。』とかれ此時このとき珈琲カツヒー一口ひとくちんだが、悠々ゆう/\鼻髯びぜんひねりながら
はか這入はいるまで八ゑん月給げつきうではるまいとおもひますに、其邊そのへん格別かくべつ御心配ごしんぱいなくと見事みごとへば、母親はゝおやはまだらにのこくろして、るほど/\立派りつぱきこえました
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「はッはッは。それでわざわざおはこくださろうッてんでげすか。これぁどうもおそれいりやした。そのことなら、どうかもう御心配ごしんぱいは、御無用ごむようになすっておくんなさいまし」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しか御心配ごしんぱいになることはありません。場合ばあひに、もしわる結果けつくわおこるとすると、屹度きつと心臟しんざうなうをかすものですが、いま拜見はいけんしたところでは双方共さうはうとも異状いじやうみとめられませんから」と説明せつめいしてれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いままでに、度々たび/\はなししようとおもひましたが、御心配ごしんぱいをかけるのもどうかとおもつて、けることが出來できませんでした。じつまをしますと、わたしはこのくに人間にんげんではありません。つきみやこものでございます。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
御心配ごしんぱいにはおよびません。今日きょうから七日なのか日限にちげんのつきないうちに、きっとむすめさんをたすけることができるだろうとおもいますから、安心あんしんしてっていてください。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
なに、いけませんければ跣足はだしになりますぶんのこと、何卒どうぞかまひなく、嬢様ぢやうさま御心配ごしんぱいをかけてはみません。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしもどりましたからは御心配ごしんぱいなくお就蓐やすみくだされと洒然さつぱりといひてとなりつまかへしやり、一人ひとりさびしく洋燈らんぷあかりに烟草たばこひて、忌々いま/\しき土産みやげをりねづみべよとこぐなはのまゝ勝手元かつてもと投出なげいだ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御女中しゆの中へ御加へ下され御客樣の御給仕にても御させなされて下さりませと云ば亭主は打案うちあんじ夫は入ぬ御心配ごしんぱいなり御武家に御そだち成れし御身が宿屋の女の手傳てつだひも成まじ然ながら手前に然樣な心は塵程ちりほども有ねどもたくはへなくて滯留たいりうするは氣の毒と御心遣こゝろづかひが有てはかへつあしければ御言葉ことばしたがひ御きやくが多く手の足ぬ時は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御苦労ごくらう御苦労ごくらうまこと御骨折ごほねをりけて誰方どなたにも相済あひすまん。が、御心配ごしんぱいにはおよばんのだ。——おきなさい、行衛ゆくゑれなかつた家内かないは、唯今たゞいま所在ありかわかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天子てんしさまはたいそう御心配ごしんぱいになって、度々たびたび兵隊へいたいをおくって高丸たかまるをおたせになりましたが、いつもこうのいきおいがつよくって、そのたんびにけてげてかえってました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かゝらではもどらるゝことかはさるにても此病人このびやうにんのうへにこの生計くらしみぎひだりもおひとつにりかゝるよしさまが御心配ごしんぱいさぞなるべし尋常つねなみならば御兩親ごりやうしん見取みと看護かんごもすべき餘所よそ見聞みきくるしさよとかへなみだむねみてさしのぞかんとする二枚戸にまいど
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おとうさんにも、おかあさんにも、よけいな御心配ごしんぱいをかけてすみませんでした。」
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「……あま唐突だしぬけで、へんにおおもひでせう。なに御心配ごしんぱいことぢやありません。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おかあさんはその様子ようすると、たいそう御心配ごしんぱいをなすって、ある日乳母うばんで
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
御心配ごしんぱいでございます。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どうぞこんどのいくさ首尾しゅびよくって、天子てんしさまの御心配ごしんぱいけますように。」
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)