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ごしんぱい
『イヤ、イヤ、
决して
御心配なく。』と
彼は
此時珈琲を
一口飮んだが、
悠々と
鼻髯を
捻りながら
墓へ
這入るまで八
圓の
月給では
有るまいと
思ひますに、
其邊格別の
御心配なくと
見事に
言へば、
母親はまだらに
殘る
黒き
齒を
出して、
成るほど/\
宜く
立派に
聞えました
「はッはッは。それでわざわざお
運び
下さろうッてんでげすか。これぁどうも
恐れいりやした。そのことなら、どうかもう
御心配は、
御無用になすっておくんなさいまし」