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小路
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こうぢ
ふりがな文庫
“
小路
(
こうぢ
)” の例文
静かな
小路
(
こうぢ
)
の
中
(
うち
)
に、自分の
足音
(
あしおと
)
丈が高く
響
(
ひゞ
)
いた。代助は
馳
(
か
)
けながら猶恐ろしくなつた。
足
(
あし
)
を
緩
(
ゆる
)
めた時は、非常に
呼息
(
いき
)
が
苦
(
くる
)
しくなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
又こゝはいかならむとさし覗き見るに、空は皆一つらに赤うなり、右左の
小路
(
こうぢ
)
はいづこも/\火燃ゆるさま、目のあたりに見えておそろし。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
するともういつの間にか幸子が、不似合な冬の頃の赤い着物を無雜作にきせられて、巍に抱かれながら、松林の
小路
(
こうぢ
)
を
此方
(
こちら
)
へ向つて歩いて來てゐるのであつた。
珠
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
馬鹿らしい気違じみた、我身ながら分らぬ、もうもう
皈
(
かへ
)
りませうとて横町の闇をば出はなれて夜店の並ぶにぎやかなる
小路
(
こうぢ
)
を気まぎらしにとぶらぶら歩るけば
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
若い詩人は
其
(
その
)
粗末な小さな部屋を
小綺麗
(
こぎれい
)
に片
附
(
づ
)
けて居た。一つしか無い窓を開けると
小路
(
こうぢ
)
を隔てて塀の高い監獄の構内を
直
(
す
)
ぐ見
下
(
おろ
)
すのである。妙な
処
(
ところ
)
に住んでるね。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
小路
(
こうぢ
)
の兩側の花々は倒れたまま地に頭をつけてゐた。今迄揺れつづけてゐた葡萄棚の蔓は靜まつて、垂れ下つた葡萄の實の先端からまだ雨の滴りがゆるやかに落ちてゐた。
妻
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
久
(
ひさ
)
しい
以前
(
いぜん
)
だけれども、
今
(
いま
)
も
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
一度
(
いちど
)
は
本郷
(
ほんがう
)
龍岡町
(
たつをかちやう
)
の、あの
入組
(
いりく
)
んだ、
深
(
ふか
)
い
小路
(
こうぢ
)
の
眞中
(
まんなか
)
であつた。
一度
(
いちど
)
は
芝
(
しば
)
の、あれは
三田
(
みた
)
四國町
(
しこくまち
)
か、
慶應大學
(
けいおうだいがく
)
の
裏
(
うら
)
と
思
(
おも
)
ふ
高臺
(
たかだい
)
であつた。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さういふ熱い男の恋心が、垣に添つて、または
小路
(
こうぢ
)
をつたつて、時には塀のかげ、時には川の畔といふ風に既に二年もそこらを
彷徨
(
さまよ
)
つてゐるやうなことは夢にも知らなかつたのである。
ひとつのパラソル
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
相手の女といふは、西京の
魚
(
うを
)
の
棚
(
たな
)
、
油
(
あぶら
)
の
小路
(
こうぢ
)
といふところにある宿屋の総領娘、といふことが知れたもんですから、さあ、寺内の
先
(
せん
)
の坊さんも心配して、早速西京へ出掛けて行きました。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから
少許
(
すこし
)
行くと、大澤河原から稻田を横ぎつて一文字に、幅廣い新道が出來て居て、これに隣り合つた見すぼらしい
小路
(
こうぢ
)
——自分の極く親しくした藻外という友の下宿の前へ出る道は
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今や/\と待程に其後岡山侯より
迎
(
むか
)
への人
數
(
ず
)
來り
大名
(
だいみやう
)
小路
(
こうぢ
)
の上屋敷へ三人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
長崎は石だたみ道ヴェネチアの
古
(
ふ
)
りし
小路
(
こうぢ
)
のごととこそ聞け
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
春の夜やとある
小路
(
こうぢ
)
に驚きぬ
巨人
(
きよにん
)
のやうに見えし
水甕
(
みがめ
)
に
短歌
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ていねいに夜の
小路
(
こうぢ
)
の大き石はぎてみたれど蟋蟀は居ず
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
日は沈み山紫に空赤く
大路
(
おほぢ
)
小路
(
こうぢ
)
に
灯火
(
ともし
)
見えそむ
閉戸閑詠
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
小路
(
こうぢ
)
に跳りかつ消ゆる其聲黒し。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
その間を這ふ細き
小路
(
こうぢ
)
は
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
つつましく人住む
小路
(
こうぢ
)
一点鐘
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
市
(
いち
)
の
小路
(
こうぢ
)
の
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
小路
(
こうぢ
)
の
泥濘
(
ぬかるみ
)
は
雨上
(
あめあが
)
りと
違
(
ちが
)
つて
一日
(
いちんち
)
や
二日
(
ふつか
)
では
容易
(
ようい
)
に
乾
(
かわ
)
かなかつた。
外
(
そと
)
から
靴
(
くつ
)
を
汚
(
よご
)
して
歸
(
かへ
)
つて
來
(
く
)
る
宗助
(
そうすけ
)
が、
御米
(
およね
)
の
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るたびに
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
馬鹿
(
ばか
)
らしい
氣違
(
きちがひ
)
じみた、
我身
(
わがみ
)
ながら
分
(
わか
)
らぬ、もう/\
皈
(
かへ
)
りませうとて
横町
(
よこちよう
)
の
闇
(
やみ
)
をば
出
(
で
)
はなれて
夜店
(
よみせ
)
の
並
(
なら
)
ぶにぎやかなる
小路
(
こうぢ
)
を
氣
(
き
)
まぎらしにとぶら/\
歩
(
あ
)
るけば
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
霧につゝまれた裏の松林の
小路
(
こうぢ
)
を見つめた、多緒子は、かうして自分が見つめてゐるうちに、ひよつとどこかの松の陰から幸子が夫の手に抱かれて出て來やしないか。
珠
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
僕等は細い
小路
(
こうぢ
)
を曲つて吸はれる如くカテドラルの二重扉の中へ
入
(
はひ
)
つて行つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
前栽
(
せんざい
)
の
強物
(
つはもの
)
の、
花
(
はな
)
を
頂
(
いたゞ
)
き、
蔓手綱
(
つるたづな
)
、
威毛
(
をどしげ
)
をさばき、
裝
(
よそほ
)
ひに
濃
(
こ
)
い
紫
(
むらさき
)
を
染
(
そめ
)
などしたのが、
夏
(
なつ
)
の
陽炎
(
かげろふ
)
に
幻影
(
まぼろし
)
を
顯
(
あら
)
はすばかり、
聲
(
こゑ
)
で
活
(
い
)
かして、
大路
(
おほぢ
)
小路
(
こうぢ
)
を
縫
(
ぬ
)
つたのも
中頃
(
なかごろ
)
で、やがて
月見草
(
つきみさう
)
、
待
(
まつ
)
よひ
草
(
ぐさ
)
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
浮世
小路
(
こうぢ
)
は
繁
(
しげ
)
けれど
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
さても
怪
(
あや
)
しや
車上
(
しやじやう
)
の
人
(
ひと
)
萬世橋
(
よろづよばし
)
にもあらず
鍋町
(
なべちやう
)
にもあらず
本銀町
(
ほんしろかねちやう
)
も
過
(
す
)
ぎたり
日本橋
(
にほんばし
)
にも
止
(
とゞ
)
まらず
大路
(
おほぢ
)
小路
(
こうぢ
)
幾通
(
いくとほ
)
りそも
何方
(
いづかた
)
に
行
(
ゆ
)
かんとするにか
洋行
(
やうかう
)
して
歸朝
(
きてう
)
の
後
(
のち
)
に
妻
(
つま
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「又
来
(
く
)
る。平岡君によろしく」と云つて、代助は
表
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
た。
町
(
まち
)
を横断して
小路
(
こうぢ
)
へ
下
(
くだ
)
ると、あたりは暗くなつた。代助は
美
(
うつ
)
くしい
夢
(
ゆめ
)
を見た様に、
暗
(
くら
)
い
夜
(
よ
)
を
切
(
き
)
つて
歩
(
ある
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
チエスタア・ロオドの三井物産の支店を
訪
(
と
)
はうとして横の
小路
(
こうぢ
)
へ
入
(
はひ
)
つた時、白い
若
(
もし
)
くは水色の五階建が
稍
(
やゝ
)
斜めに両側を
劃
(
しき
)
つた間から浅い藤紫の色をした朝のピンクの一
片
(
へん
)
が見えたのは快かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
何
(
なん
)
とせん
道
(
みち
)
を
間違
(
まちが
)
へたり
引返
(
ひきかへ
)
してと
復
(
また
)
跡戻
(
あともど
)
り、
大路
(
おほぢ
)
に
出
(
いづ
)
れば
小路
(
こうぢ
)
に
入
(
い
)
らせ
小路
(
こうぢ
)
を
縫
(
ぬひ
)
ては
大路
(
おほぢ
)
に
出
(
い
)
で
走
(
そう
)
幾走
(
いくそう
)
、
轉
(
てん
)
幾轉
(
いくてん
)
、
蹴
(
け
)
立
(
たつ
)
る
雪
(
ゆき
)
に
轍
(
わだち
)
のあと
長
(
なが
)
く
引
(
ひき
)
てめぐり
出
(
いづ
)
れば
又
(
また
)
以前
(
いぜん
)
の
道
(
みち
)
なり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
人通りの少ない
小路
(
こうぢ
)
を二三度折れたり
曲
(
まが
)
つたりして行くうちに、突然
辻占
(
つぢうら
)
屋に逢つた。大きな丸い
提灯
(
てふちん
)
を
点
(
つ
)
けて、腰から
下
(
した
)
を
真赤
(
まつか
)
にしてゐる。三四郎は辻占が買つて見たくなつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
横
(
よこ
)
町を
後
(
あと
)
へ引き
返
(
かへ
)
して、裏通りへ出ると、半町ばかり北へ
来
(
き
)
た所に、突き当りと思はれる様な小路がある。其
小路
(
こうぢ
)
の中へ三四郎は
二人
(
ふたり
)
を
連
(
つ
)
れ込んだ。
真直
(
まつすぐ
)
に行くと植木屋の庭へ出て仕舞ふ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さては
按摩
(
あんま
)
の
笛
(
ふえ
)
犬
(
いぬ
)
の
聲
(
こゑ
)
小路
(
こうぢ
)
一
(
ひと
)
つ
隔
(
へだ
)
てゝ
遠
(
とほ
)
く
聞
(
きこ
)
ゆるが
猶更
(
なほさら
)
に
淋
(
さび
)
し
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“小路”の意味
《名詞》
(ショウロ、ショウジ、こうじ、こみち) 道幅が狭く、道程も短い道。
(ショウロ) 律令制で令に定められた官道である駅路の階級。
(ショウロ) 戦前の内務省令で定められた道路の種類のひとつ。
(出典:Wiktionary)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“小路”で始まる語句
小路々々
小路戦