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寸分
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すんぶん
ふりがな文庫
“
寸分
(
すんぶん
)” の例文
人垣を分けて飛込んだ平次も、自分の予想と
寸分
(
すんぶん
)
違わぬ現場の様子に、物をも言わずに立ち
竦
(
すく
)
みました。それは実に恐ろしい暗合です。
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女はようやく首斬り台を
探
(
さぐ
)
り当てて両の手をかける。唇がむずむずと動く。
最前
(
さいぜん
)
男の子にダッドレーの紋章を説明した時と
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
わぬ。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今度
(
こんど
)
こそは
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
寸分
(
すんぶん
)
豚
(
ぶた
)
に
相違
(
さうゐ
)
ありませんでしたから、
愛
(
あい
)
ちやんも
最
(
も
)
う
其
(
そ
)
れを
伴
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
くのは
全
(
まつた
)
く
莫迦氣
(
ばかげ
)
たことだと
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
すると、たなの
中
(
なか
)
ほどのところに、
寸分
(
すんぶん
)
違
(
ちが
)
わない、
仏像
(
ぶつぞう
)
が
置
(
お
)
いてありました。
男
(
おとこ
)
は、これに
目
(
め
)
が
止
(
と
)
まると、はっと
驚
(
おどろ
)
きました。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかしその帽子を除いたにしても、何の某の服装なるものは、
寸分
(
すんぶん
)
も
立派
(
りつぱ
)
になる次第ではない。唯貧しげな外観が、全体に
蔓延
(
まんえん
)
するばかりである。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
見れば、床の間に安置してあるものと
寸分
(
すんぶん
)
ちがわない五重の塔が、五つにわかれて、さんぜんとかがやいているのです。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その人のお供の者たちも、やはりみんな、赤ひものついた、青ずりの着物を着ていまして、だれが見ても天皇のお行列と
寸分
(
すんぶん
)
も
違
(
ちが
)
いませんでした。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
柱の太さと堂の大きさとの釣り合い、軒の長さと柱の力との調和、それらはもうこれ以上に
寸分
(
すんぶん
)
も動かせない。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
年紀
(
とし
)
のころは
云
(
い
)
ふまでもない、
上
(
うへ
)
に
襲
(
かさ
)
ねた
衣
(
きぬ
)
ばかりで、
手足
(
てあし
)
も
同
(
おな
)
じ
白
(
しろ
)
さと
見
(
み
)
るまで、
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
はぬ
脊丈恰好
(
せたけかつかう
)
。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
有王 私の心は昔と
寸分
(
すんぶん
)
変わりませぬ。あなたが
都
(
みやこ
)
をおたちなされてから、苦しい長い日がつづきました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
福田
蘭童
(
らんどう
)
、あの人、こんな手紙、女のひとへ幾枚も、幾枚も、書いたのだ。
寸分
(
すんぶん
)
ちがわぬ愛の手紙を。
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
壁にも耳、
徳利
(
とくり
)
にも口と、
寸分
(
すんぶん
)
、間違いのないことを、法に照らして処断するのが
務
(
つとめ
)
に御座りまする
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
寸分
(
すんぶん
)
異ならぬ同一事実のものでも、
見
(
み
)
ようによりては
褒
(
ほ
)
めることもできれば、
誹
(
そ
)
しることもできる。賞することも
罰
(
ばっ
)
することもでき、殺すことも
活
(
い
)
かすこともできる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかもそれは、
寸分
(
すんぶん
)
の休みもなく走っている鷲の背なかで、天空の上で——行われつつある
争闘
(
そうとう
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木
(
き
)
の葉にしても、草の葉にしても、
獣
(
けだもの
)
にしても、鳥にしても、
魚
(
うを
)
にしても、また昆虫にしても同じ事で、もしか
寸分
(
すんぶん
)
ちがはないといふ、これらの二つの物を見つける事が出来たなら
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ロレ あゝ、これ、ヂュリエットや、
其
(
そ
)
の
悲歎
(
かなしみ
)
は
善
(
よ
)
う
知
(
し
)
ってをる!
何
(
なん
)
ぼう
搾
(
しぼ
)
っても
予
(
わし
)
の
智慧
(
ちゑ
)
には
能
(
あた
)
はぬ。
次
(
つぎ
)
の
木曜
(
もくえう
)
には、
寸分
(
すんぶん
)
の
猶豫
(
ゆうよ
)
もなう、
彼
(
あ
)
の
若
(
わか
)
と
婚禮
(
こんれい
)
を
爲
(
し
)
やらねばならぬと
聞
(
き
)
いた。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
屁えこき虫の石太郎が屁をはなったときと、
寸分
(
すんぶん
)
ちがわぬことが。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
こう云って、清吉は娘の顔と
寸分
(
すんぶん
)
違わぬ畫面の女を指さした。
刺青
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
虎列剌と
寸分
(
すんぶん
)
たがわぬ死に方をするということをご存じか
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
生前
(
せいぜん
)
現世
(
げんせ
)
で
手慣
(
てな
)
れたものに
寸分
(
すんぶん
)
の
相違
(
そうい
)
もないのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
家
(
いえ
)
に
帰
(
かえ
)
ってから、
背中
(
せなか
)
の
仏像
(
ぶつぞう
)
をおろして、
買
(
か
)
ってきたのと二つ
前
(
まえ
)
に
並
(
なら
)
べてみますと、まさしく
寸分
(
すんぶん
)
も
違
(
ちが
)
っていませんでした。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二匹の人獣は、淡い車内燈の光の前で、
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
わぬ顔と顔とを突き合わせ、牙をむき、敵意に燃えて
睨
(
にら
)
み合った。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
亭主
(
ていしゆ
)
が
答
(
こた
)
へて、
如何
(
いか
)
にも、
此
(
こ
)
の
辺
(
へん
)
で
噂
(
うはさ
)
するには、
春
(
はる
)
の
曙
(
あけぼの
)
のやうに、
蒼々
(
あを/\
)
と
霞
(
かす
)
んだ、
滑
(
なめら
)
かな
盤石
(
ばんじやく
)
で、
藤色
(
ふぢいろ
)
がゝつた
紫
(
むらさき
)
の
筋
(
すぢ
)
が、
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
はず、
双六
(
すごろく
)
の
目
(
め
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
実際この寂しい川筋の景色も、幾多の冒険に
慣
(
な
)
れた素戔嗚には、まるで
高天原
(
たかまがはら
)
の
八衢
(
やちまた
)
のように、今では
寸分
(
すんぶん
)
の
刺戟
(
しげき
)
さえない、平凡な往来に過ぎないのであった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし天皇はそれでも
寸分
(
すんぶん
)
もおいといにならないで、雨がひどく降るたんびには、おへやの中へおけをひき入れて、ざあざあと
漏
(
も
)
り入る
雨
(
あま
)
もれをお受けになり
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
もう一つ困るのは、松山中学にあの小説の中の
山嵐
(
やまあらし
)
という
綽名
(
あだな
)
の教師と、
寸分
(
すんぶん
)
も
違
(
たが
)
わぬのがいるというので、漱石はあの男のことをかいたんだといわれてるのだ。
僕の昔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吾心のみはこの静かな中から何事かを予期しつつある。されどもその何事なるかは
寸分
(
すんぶん
)
の観念だにない。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
秋
(
あき
)
が
納戸
(
なんど
)
に
居
(
ゐ
)
た
姿
(
すがた
)
を、
猛然
(
まうぜん
)
と
思出
(
おもひだ
)
すと、
矢張
(
やつぱ
)
り
鳴留
(
なきや
)
まぬ
猫
(
ねこ
)
の
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が、
豫
(
かね
)
ての
馴染
(
なじみ
)
でよく
知
(
し
)
つた。お
秋
(
あき
)
が
撫擦
(
なでさす
)
つて、
可愛
(
かはい
)
がつた、
黒
(
くろ
)
、と
云
(
い
)
ふ
猫
(
ねこ
)
の
聲
(
こゑ
)
に
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
はぬ。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
の周囲には王氏を始め、座にい合せた
食客
(
しょっかく
)
たちが、私の
顔色
(
かおいろ
)
を
窺
(
うかが
)
っていました。ですから私は失望の色が、
寸分
(
すんぶん
)
も顔へ
露
(
あら
)
われないように、気を使う必要があったのです。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし、ふたりとも、心の中は、
寸分
(
すんぶん
)
のゆだんもなくはりきっているのです。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
不思議や、
蒔絵
(
まきえ
)
の車、雛たちも、それこそ
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
わない
古郷
(
ふるさと
)
のそれに似た、と思わず
伸上
(
のびあが
)
りながら、ふと心づくと、前の雛壇におわするのが、いずれも
尋常
(
ただ
)
の形でない。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
またある時はふと眼がさめると、彼女と一つ
床
(
とこ
)
の中に、いない筈の男が眠っていた。迫った
額
(
ひたい
)
、長い
睫毛
(
まつげ
)
、——すべてが
夜半
(
やはん
)
のランプの光に、
寸分
(
すんぶん
)
も以前と変らなかった。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すると旅順に行くには朝八時と十一時の汽車があって……とまた
先刻
(
さっき
)
と
寸分
(
すんぶん
)
違わないような案内者めいた事を云って聞かせた。先が先だから余も依然としてなるほどなるほどを繰り返した。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこには小泉氏と顔から背かっこうまで、
寸分
(
すんぶん
)
たがわぬ人物が、ニコニコ笑いながらつっ立っていたのです。まるで大きな鏡でも見ているように、すぐ目の前に自分自身の姿があらわれたのです。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
衣絵
(
きぬゑ
)
さんが
此辺
(
このあたり
)
を
旅行
(
たび
)
した
時
(
とき
)
の
車
(
くるま
)
と
言
(
い
)
ふのを、
話
(
はなし
)
の
次手
(
つひで
)
に
聞
(
き
)
いたのが——
寸分
(
すんぶん
)
違
(
ちが
)
はぬ
的切
(
てつきり
)
此
(
これ
)
だ……
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
黒ん坊の王が持っているのと、
寸分
(
すんぶん
)
も違わない宝ばかりだ。
三つの宝
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
寸分
(
すんぶん
)
のすきまもない厳重な警戒です。
黄金豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
晝間
(
ひるま
)
あのお
春
(
はる
)
が
納戸
(
なんど
)
に
絲
(
いと
)
を
繰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
る
姿
(
すがた
)
を
猛然
(
まうぜん
)
と
思出
(
おもひだ
)
すと、
矢張
(
やつぱ
)
り
啼留
(
なきや
)
まぬ
猫
(
ねこ
)
の
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が、
豫
(
かね
)
ての
馴染
(
なじみ
)
でよく
知
(
し
)
つた、お
春
(
はる
)
が
撫擦
(
なでさす
)
つて
可愛
(
かはい
)
がつた
黒
(
くろ
)
と
云
(
い
)
ふ
猫
(
ねこ
)
の
聲
(
こゑ
)
に
寸分
(
すんぶん
)
違
(
ちが
)
はぬ。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
寸分
(
すんぶん
)
違わぬ作りになっていたのです。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“寸分”の意味
《名詞・形容動詞》
寸分(すんぶん)
少し(も)。些か(も)。
(出典:Wiktionary)
寸
常用漢字
小6
部首:⼨
3画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“寸”で始まる語句
寸
寸毫
寸法
寸隙
寸々
寸暇
寸時
寸断
寸燐
寸志